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(1) lim(n→∞)(|α(n)|)^(1/n)が存在するとき、1/r=lim(n→∞)(|α(n)|)^(1/n)

(2) lim(n→∞)|α(n+1)/α(n)|が存在するとき、1/r=lim(n→∞)|α(n+1)/α(n)|
※rは冪級数(ex:Σ(0から∞まで)α(n)z^n〔原点を中心とするzの冪項からなる無限級数〕)の収束半径を表す。

(1),(2)の証明を下さい。

A 回答 (3件)

コーシー流にせよ、ダランベール流にせよ、収束半径の計算法は、


それぞれに対応する級数収束判定法から派生し、両者の起源は
等比級数の収束条件にあります。少し長くなりますが、書いてみましょう。

まず「等比数列の収束条件」:
  複素数 a,r に対して S(n) = Σ[k=0..n] ar^k と置くと、
  lim[n→∞] S(n) の収束条件は |r| < 1 であることです。
高校の教科書に載っているように、
(1 - r)S(n) = S(n) - r S(n) = Σ[k=0..n] ar^k - r Σ[k=0..n] ar^k
= { a + Σ[k=1..n] ar^k } - r{ Σ[k=0..n-1] ar^k + ar^n }
= a + Σ[k=1..n] ar^k - Σ[k=0..n-1] ar^(k+1) - ar^(n+1)
= a - ar^(n+1).
よって、S(n) = a{ 1 - r^(n+1) }/(1 - r).
lim[n→∞] S(n) = a{ 1 - lim[n→∞] r^(n+1) }/(1 - r)
となりますが、右辺は |r| < 1 のとき収束、|r| > 1 のとき発散します。

次に「優級数定理」:
それには実数の定義の一部である完備性を規定する公理が必要になります。
同値なものが復数知られていますが、ここでは
「上に有界な単調増加列は収束する」を採用することとします。
すると、優級数定理
  実数列 a(n), b(n) が 0 ≦ a(n) ≦ b(n) を満たすとき、
  Σ[k=0..∞] b(k) が収束するならば Σ[k=0..∞] a(k) も収束する
...が成り立ちます。
証明は簡単。Σ[k=0..∞] b(k) が収束するならば
部分和の列 Σ[k=0..n] b(k) は有界ですが、その上界のひとつを B とすると
a(n) ≦ b(n) より Σ[k=0..n] a(k) ≦ Σ[k=0..n] b(k) ≦ B であり、
また 0 ≦ a(n) より Σ[k=0..n] a(k) は増大列なので、
実数の完備性により lim[n→∞] に関して収束します。
対偶として、
  Σ[k=0..∞] a(k) が発散するならば Σ[k=0..∞] b(k) も発散する
...も言えます。

優級数定理は正項級数に関する定理ですが、
これの複素数への拡張として「絶対収束定理」があります。
  複素数列 a(n) について、Σ[k=0..∞] |a(k)| が収束するならば
  Σ[k=0..∞] a(k) も収束する。
a(n) の実部虚部を考えると、
0 ≦ |Re a(n)| ≦ |a(n)|, 0 ≦ |Im a(n)| ≦ |a(n)| なので、
Σ[k=0..∞] |a(k)| が収束するならば、優級数定理より
Σ[k=0..∞] |Re a(k)|, Σ[k=0..∞] |Im a(k)| も収束します。
実数列に対して絶対収束定理がなりたちさえすれば、ここから
Σ[k=0..∞] Re a(k), Σ[k=0..∞] Im a(k) の収束が言えて、
a(n) = Re a(n) + i Im a(n) より
Σ[k=0..∞] a(k) = Σ[k=0..∞] Re a(k) + i Σ[k=0..∞] Im a(k)
も収束します。

よって、以下、a(n) を実数列に限定して証明します。
実部虚部の類似として、実数 x に対し
Pos x = (|x| + x)/2, Neg x = (|x| - x)/2 を定義します。
上記と同様に
0 ≦ Pos a(n) ≦ |a(n)|, 0 ≦ Neg a(n) ≦ |a(n)| なので、
Σ[k=0..∞] |a(k)| が収束するならば、優級数定理より
Σ[k=0..∞] Pos a(k), Σ[k=0..∞] Neg a(k) の収束が言えて、
a(n) = Pos a(n) - Neg a(n) から
Σ[k=0..∞] a(k) = Σ[k=0..∞] Pos a(k) - Σ[k=0..∞] Neg a(k)
も収束します。

Σ[k=0..∞] |a(k)| が収束するとき Σ[k=0..∞] a(k) は「絶対収束する」といい、
Σ[k=0..∞] |a(k)| は収束しないが Σ[k=0..∞] a(k) は収束するとき
Σ[k=0..∞] a(k) は「条件収束する」といいます。
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さて、前述を踏まえて、「コーシーの級数収束判定法」


  limsup[n→∞] |a(n)|^(1/n) < 1 のとき Σ[k=0..∞] a(k) は収束し、
  > 1 のとき 発散する。
...が言えます。

まず < 1 の場合:
limsup[n→∞] |a(n)|^(1/n) = L < 1 ならば、
limsup[n→∞] が lim[N→∞] sup[n≧N] であることと sup 定義により、
どこかに自然数 N があって、n ≧ N であれば |a(n)|^(1/n) ≦ L,
すなわち |a(n)| ≦ L^n が成り立ちます。
優級数定理より Σ[k=N..∞] a(k) は絶対収束するので、 
Σ[k=0..∞] a(k) = Σ[k=0..N-1] a(k) + Σ[k=N..∞] a(k) より
Σ[k=0..∞] a(k) も収束します。

そして > 1 の場合:
limsup[n→∞] |a(n)|^(1/n) = L > 1 ならば、
limsup[n→∞] が lim[N→∞] sup[n≧N] であることと sup 定義により、
1 < Lc < L の範囲に定数 Lc を採ると
どんなに大きい自然数 N に対しても
n ≧ N かつ |a(n)|^(1/n) ≧ Lc となるような n が存在します。
そのような n だけを選んで a(n) の部分数列 A(n) を作ると
A(n) ≧ a(n) となるので、lim[n→∞] A(n) が(収束するかどうかも別として
たとえ収束したとしても) = 0 にはなりません。これは、
Σ[k=0..∞] a(k) が収束するとき lim[n→∞] a(n) = 0 であることに反します。
よって、L > 1 のとき Σ[k=0..∞] a(k) は発散します。

次に、この級数収束判定法を冪級数 a(n) = c(n)・x^n に適用すると、
limsup[n→∞] |a(n)|^(1/n) = |x|・limsup[n→∞] |c(n)|^(1/n) が
< 1 のとき Σ[k=0..∞] c(k)・x^k は収束(しかも絶対収束)し、
> 1 のとき 発散します。
収束発散の境目を与える |x| の値 1/limsup[n→∞] |c(n)|^(1/n) を
Σ[k=0..∞] c(k)・x^k の「収束半径」というのです。
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「ダランベールの級数収束判定法」も、似たような感じで。


  lim[n→∞] |a(n+1)/a(n)| = L が収束するならば、
  L < 1 のとき Σ[k=0..∞] a(k) は収束し、
  L > 1 のとき 発散する。
...となっています。 L が収束しない場合は、この判定法は使えません。

まず L < 1 の場合:
lim[n→∞] の定義により、任意の正数 ε に対して自然数 N があって
n ≧ N ならば L-ε ≦ |a(n+1)/a(n)| ≦ L+ε が成り立ちます。
L < 1 の場合、L < L+ε < 1 となるように ε を採ることができるので、
対応する N に対して n ≧ N ならば |a(n+1)| ≦ |a(n)|・(L+ε) です。
よって帰納的に n ≧ N ならば |a(n)| ≦ |a(N)|・(L+ε)^(n-N) が言えます。
L+ε < 1 から等比級数 Σ[k=N..∞] |a(N)|・(L+ε)^(k-N) が収束するので、
優級数定理より Σ[k=N..∞] a(n) は絶対収束し、
Σ[k=0..∞] a(k) = Σ[k=0..N-1] a(k) + Σ[k=N..∞] a(k) より
Σ[k=0..∞] a(k) も収束します。

そして L > 1 の場合:
lim[n→∞] の定義により、任意の正数 ε に対して自然数 N があって
n ≧ N ならば L-ε ≦ |a(n+1)/a(n)| ≦ L+ε が成り立ちます。
L > 1 の場合、1 < L-ε < L となるように ε を採ることができるので、
対応する N に対して n ≧ N ならば |a(n+1)| ≧ |a(n)|・(L-ε) です。
よって帰納的に n ≧ N ならば |a(n)| ≧ |a(N)|・(L-ε)^(n-N) が言えます。
1 < L-ε から等比級数 Σ[k=N..∞] |a(N)|・(L-ε)^(k-N) が発散するので、
優級数定理(の対偶)より Σ[k=N..∞] a(n) は発散し、
Σ[k=0..∞] a(k) = Σ[k=0..N-1] a(k) + Σ[k=N..∞] a(k) より
Σ[k=0..∞] a(k) も発散します。

次に、この級数収束判定法を冪級数 a(n) = c(n)・x^n に適用すると、
lim[n→∞] |a(n+1)/a(n)| = |x|・lim[n→∞] |c(n+1)/c(n)| が
< 1 のとき Σ[k=0..∞] c(k)・x^k は収束(しかも絶対収束)し、
> 1 のとき 発散します。
収束発散の境目を与える |x| の値 1/lim[n→∞] |c(n+1)/c(n)| を
Σ[k=0..∞] c(k)・x^k の収束半径といいます。
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