No.4ベストアンサー
- 回答日時:
確かに昨年から改正相続法が施行されつつありますが,遺言に関するものに関しては,本件案件には影響はないと思います。
改正相続法の概要とその施行時期は次のとおりです。
(1)自筆証書遺言の方式の緩和
2019年1月13日施行
(2)持戻し免除の推定
(3)遺産分割前の預金の払戻し
(4)遺言執行者の権限の明確化
(5)遺留分制度の見直し
(6)相続の対抗要件の見直し
(7)相続人以外の者の貢献の考慮
以上,2019年7月1日施行
(8)配偶者居住権・配偶者短期居住権の創設
2020年4月1日施行
このうち,(1)は施行日以降に作成された遺言書に関するもので,その日以降に作成された遺言(作成日は遺言の重要な要件なので,これが明らかでない遺言はそもそも無効です)については,一定の要件を満たした財産目録は本人の自筆でなくてもかまわないというものですが,4~5年前に書かれた遺言となると施行日以前のものなので,この緩和規定は適用されません。全文自書,明確な作成日と押印という3要件を満たしていなければ,従来どおり無効になります。
(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)は遺言者の死後のことなので,単に遺言を保管しているということとは関係のない話です。
遺言書保管法については2020年7月10日に施行されますが,これは遺言者自身が遺言書保管所に出頭して保管申請をしなければならないので,後見人(成年後見人ですよね?)がついている現状では使えない制度と言わざるをえません。
結局,改正前の民法に従って考えることになります(下記に記した条文は改正前の条文です)。
さて現在あなたが遺言を保管しているとのことですが,遺言の保管者についての法規制は何もありませんので,あなたが大切に保管している限りは問題はありません。ただ,お母さんの死後,遅滞なく,家庭裁判所に遺言の検認の申立てをする義務があること(民法1004条1項),遺言が封印されている場合には,検認前に勝手に開封してはならないこと(同条3項),遺言を破棄したりすると相続権を失うこと(民法891条5号)といったことに気を付けておくぐらいでしょうか。
後見人に遺言の存在を明らかにするか否かについては,個別の事情によってどうすべきかの判断が分かれるとところではありますが,遺言の存在が後見事務に影響を与えることはありません。もしも遺言が封印されたものであった場合,後見人はその内容を知りえないので後見事務にそれが影響を与えることはありませんし,内容が読める状態であったとしても,後見人は法律に従って適正に後見事務を行う義務があるために,遺言に逆らうようなことをしなければならないことすらあります。
被後見人であるお母さんが亡くなった後の引継ぎについても,検認前の遺言に基づく遺言執行はできない(民法1005条)ので,相続財産に化体した被後見人の財産は,法定相続人に引き渡さざるを得ません。たとえばあなたから「自筆証書遺言の検認が終わるまで財産引継ぎは待って欲しい」というような通知でも受けない限りは,お兄さんたちへの財産引継ぎをするかもしれません。その引継ぎを待ってもらうためには,あなたがアクションを起こさざるを得ないでしょう(民法873条の2)。
遺言の検認には所定の戸籍謄本類が必要になります。そのための戸籍謄本等を今用意しておいても検認時には使えないのですが,それを速やかに取得するための準備はしておいたほうがいいかもしれません。
《参考》
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正) @法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
遺言書の検認 @裁判所
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_ka …
この度は、ご回答アドバイスをいただき有難うございます。
また、参考の添付わかりやすかったです。
アドバイスの文章は、
そのままコピーさせていただきいつでも見れるように手元に置いておかせていただきます。
皆様から多くのアドバイスをいただき勉強になりました。
お礼が遅くなりましたことお詫び申し上げます。
取り急ぎ、お礼まで。
No.3
- 回答日時:
遺言をご相談者が保管することは良いですが、成年後見人には遺言の存在は知らせた方が良いです。
理由としては、もし、お母様が亡くなった場合、成年後見人は、相続財産を法定相続人に引き渡すことになりますが、遺言がある場合、遺言でその財産を取得することになっている相続人や遺言執行者に引き渡しするからです。また、成年後見人が被後見人の財産を処分した場合、そのことによって遺言の内容と抵触すれば、その部分について遺言が撤回されるとみなされます。例えば、A口座を相続させるという遺言の内容であれば、成年後見人がA口座を解約すると、A口座を相続させる旨の遺言は撤回されたものとみなされます。成年後見人が遺言の内容を知っていれば、A口座の解約について考慮してくれるかもしません。もっとも、考慮するのであって、成年後見人がA口座を解約することを妨げるものではありません。ご回答をいただき有難うございます。
後見人が入ったときに、先生より母上よりからの遺言書の件を持ち出されました。
後見人の先生からの説明は、母上に何かあったときにスムーズに行うことができるからとのことでした。
当時、友人の弁護士の先生に相談したところ今の段階では後見人の仕事以外となるので、遺言書の有無はプライベートのことでもあるので言う必要がないとのことでした。
当方以外に兄・姉がおりますので、当初は二人が遺言書のことを気にしていたのかとも思います。
ただ、後見人の先生が入ってからは母は認知症とのことで後見人を裁判所にて依頼したわけですから、ほかの二人は遺言書を母に書かせることはできなかったと思います。昨年から少々法律が変わったようですが、いずれにしても当方を外してはできないかと思っております。
兄・姉が後見人をつけて窓口になっており、当方は無視の状態です。
当分の間は、ほっておきます。
母の遺言書は当方あてでもあったので・・・
アドバイスをいただきまたこと、とても勉強になりました。
No.2
- 回答日時:
自筆の遺言書はだれかが保管しておく必要があります。
質問者さんでも構わないです。御承知とは思いますが、もし母上に万一のことがあったときには、自分たちですぐに開封しないで、家庭裁判所で検認の手続きをなさってください。
なお、母上が認知症などでなければ、自筆の遺言書を破棄して、今からでも公証役場で公正証書遺言書に作成し直すことも可能です。公証人に母上の入居されている施設まで出張してもらえる制度があります。
幾度も、ご回答をいただき有難うございます。
保管の件ですが、当方でも可能とのこと。
ホッと一安心しました。
開封に関しては、家庭裁判所の検認ですよね。
それは承知しておりました。
私事ですが、父がなくなりその後、実家の近くに越してきた際に母の仕事・面倒を10数年間つづけともに生きてきました。ほかの兄・姉は、世話になった人が母の世話をするのは当然のことと言い。好き勝手放題。母が忘れぽっくなった際には、母の財産を当方が勝手にしているかのごとく後見人をつけました。
今現在母は施設におります。認知もあります。
当方は、父の代からお世話になっている会計士の先生としてきたわけですから正当法でしてきたつもりです。
どこにでもある話しですが、母はそんなことを見てきて当方のことを心配をしていたことだと思います。
そんなこともあり、当方にいろいろなことを委ねたのかと思います。
少々、質問の趣旨から外れてしまいましたこと申し訳ございませんでした。
アドバイスをいただき有難うございました。
取り急ぎ、お礼まで。
No.1
- 回答日時:
自筆遺言書の保管制度のことでしょうか。
全国の法務局で、今年の7月10日から保管制度が始まります。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html
http://www.moj.go.jp/content/001310420.pdf
ただ気になるのは、母上に後見人を付けられたとのことですが、この制度では遺言書を書いた本人が法務局に必ず出向く必要があります。それが可能ならとても便利な制度だと思います。
迅速のご回答をいただき有難うございます。
母は3年前に後見人がつき、その後はケガをしてしまい現在は施設に入居しております。
遺言書の作成はその前だったと思います。当方がそのまま保管していても問題がないでしょうか?
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