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No.1
- 回答日時:
障害年金や遺族年金が非課税なのは、所得税法および国民年金法・厚生年金保険法に規定があるためです。
所得税法では、恩給のうちの傷病・死亡による給付と見なして、課税ができないと規定しています。
また、国民年金法・厚生年金保険法では、老齢年金を除いて課税することができないと規定しています。
これらの規定は、社会政策的見地(福祉的見地)の下、古くから規定されているもので、いわば歴史的な背景があって非課税だとされている、と言えばよいでしょう。
明治20年(1887年)に所得税法が規定されたときより、戦争被害の補償金として支給される恩給のうち、その恩給が、傷病を負ったことや死亡に至ったことを理由として支給される種類であったときは、その給付金額は非課税となっています。
同年に出版された「所得税法 詳解」(今村長善 著)の中で、「救恤(きゅうじゅつ:困っている人に見舞いの金品などを与えて救うこと)」の趣旨を有するがゆえに非課税とする、という旨が記されています。
一方、厚生年金保険法は労働者年金保険法(昭和17年(1942年))が前身なのですが、ここで、「老齢年金は所得税にいう退職金に類する給付である」ために非課税扱いにはできない、と定めています(昭和23年(1948年)出版の「改正厚生年金保険法 解説」(厚生省保険局厚生年金保険課 編)中に記されています。)。
ということで、以上のようなことを総合し、恩給の考えを引き継いで、傷病を負ったことや死亡に至ったことを理由として支給される給付、すなわち、障害年金および遺族年金を非課税とし、老齢年金には課税することとしています。
早い話が、過去に日本が行なった数々の戦争の影をいまも引きずっている、ということになるわけです。
社会政策的見地(福祉的見地)を考えた上でこのようになっている、という歴史的経過を考えると、コロナ禍による財源不足の折であっても、このような福祉的見地の重要性はますます高まることが予想されます。
このため、たとえ財源不足であるとしても、障害年金や遺族年金を課税対象とするようなことは、まず考えられないと思われます。
ただし、障害年金については、認定基準などの適用を厳格化してゆくなどの方法によって、給付対象となる幅を狭めてゆくことが考えられる、とは思います。
また、いわゆる20歳前障害による障害基礎年金における所得制限の基準額を改正することで、同様に幅を狭めてゆく、ということも考えられるとも思います。
つまり、何らかの形で給付対象の幅を狭めて支出を抑える、といった可能性はあるでしょう。
個人的にあれこれ推察するぶんには、それはかまわないと思います。
しかし、これは、所得税でいう課税・非課税とは別物になるので、その点はくれぐれも混同してはいけないと思いますし、また、政府の考え方をはじめとする社会的政策の流れがどのように変化してゆくのか、ということを常に認識しておく必要もあるでしょう。
要は、歴史的な背景なども踏まえた正しい知識を身につけないと、個人的な推察に振り回され、必要以上の不安や不信にさいなまされかねません。
そこだけは十分に注意して、年金に対する正しい知識・理解を育てていってほしいと強く願います。
この回答へのお礼
お礼日時:2021/07/29 21:06
本当に詳しく教えていただきありがとうございます。回答者さまが賢過ぎて私の能力では少しついていけませんでしたが、まさかそんな法律があったことも大昔の考え方にならって作られていることも知りませんでした。ここで質問する前に少しは勉強するべきですね。表面的なことだけではなく基礎の基礎から学び直します。
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