つい先日塩野七生さんのローマ人の物語の最新刊を読んでいて、ふと疑問に思ったのですが
コンスタンティヌス大帝の時代の彫像(でいいのかな?素人なので)とアウグストゥス帝やユリウス・カエサルの肖像と比べると明かに下手くそな出来映えだと思いました。
これ以外にも技術の衰退は他にもあって中近東の優れた彫金技術というか冶金技術が衰退した理由は皮肉にも増えた需要に対して供給するべく森林資源の伐採で砂漠化が進み、それによって却って供給量が減少した為技術の継承がしにくくなった為だとは聞いた事がありました。
個人的には偶像崇拝を禁じたユダヤ教から派生したキリスト教の普及で古代ローマの造形技術がそうなったのかな?とも思いますが実際にはどんな説があるのか教えて頂ければと思います。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
こんにちは。
西洋美術史の一般論では、「古代ローマ末期は芸術衰退期」とされています。
その原因はご推察のとおり、キリスト教の普及です。
偶像崇拝と関係するかもしれませんが、非常に観念的なキリスト教の精神世界が、現世的で人間的なものに価値を置く古典古代の精神世界にとってかわっていくためです。
実在するヒーロー(=たとえばアウグストゥス)に至高の価値を見いだし表現するか、見えない神という観念的な存在にそれを求めるか、によって当然芸術は変容します。
前者では写実性の中に崇高さを求めますし、後者は「意味」が重要ですから記号的になったり装飾的な傾向が強くなります。
ローマ分裂後はキリスト教の世界が主流になりますよね。それが中世の始まりであり、古代ローマとは全く異質のビザンチン芸術のスタートとなります。
コンスタンティヌスの頃はまだローマの伝統が残っていますが、すでに中世に向かって古典古代の社会が崩壊しつつあるとも言え、移行期の皇帝の彫像にも変化が出てきているように私も感じます。写生はするけど、その中に人間の尊厳を表現するモチベーションがもはや前ほど感じられないというか・・・。かなり私見ですが。
他の要因としてはもちろん、経済の衰退とそれに起因する皇帝の政治力低下も、要因としてははずせないでしょう。
この時期のに比べると、最盛期のカエサルやアウグストゥスの彫刻は、非常に古典的な芸術性が高いと思います。
御回答有難うございます。
一つの国家が失われる時には人命や政府の他にも文化さえも失われるんですね・・・必然とは云え少し物悲しい気もします。
神々の見守る「古代」から主の支配する「中世」への移行といったところでしょうか?あまり西洋史には疎かったのですが、今後の楽しみが増してきました。
No.4
- 回答日時:
東京芸大日本画出身で、数十年に一人というデッサン力の持ち主として回答します。
造形感覚というのは血統で左右されると考えています。すなわち、セム系のヨセフの子孫が具象のデッサン力で抜きん出ていて、それでイスラエル王朝と思われるエジプトの古王国の美術レベルが高いのです。
具象のデッサン力というのは、(エジプトの宰相だった)ヨセフによる古代エジプトの古王国が始まりで、それが出エジプトでパレスティナに至り、前10世紀のイスラエルの崩壊で地中海諸国や東洋に枝分かれしたのです。
ノアの子供でいうと、ヤフェト(白人の祖)の子孫は合理的な抽象に強く、ハム(黒人の祖)の子孫は自由な表現に強いと考えられます。これは、血液型のOとBに対応し、セム系はA型の特質が発揮される具象に強いのです。その中でも、ヨセフの子孫がデッサン力で群を抜き、そのために、ギリシャ、イタリア、スペインなどの、ヨセフの子孫が散った先で、具象における芸術の花が開いたのです。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、母方にイスラエルの血が入っていると僕は考えています。ピカソは、スペインの国名が「別れたヨセフの子孫」ですから、イスラエルの血は絶対に受け継いでいます。古代ギリシャの美術も、古代ローマの美術も、古代イスラエル崩壊後に発展したことが見落とされてきたのです。
古代ローマ美術の衰退は、イスラエルの滅亡と関係しているかもしれません。ただし、資料が少なくて証明には至りませんが。最後に、聖書の神聖キュビト尺を保持するイスラエル直系子孫の日本人が、運慶のように具象に強いのは当然です。
No.3
- 回答日時:
塩野女史の著書を見ていて考えたとのことなので、挿絵の彫像からの質問と想像します。
間違っていたらごめんなさい。
芸術は見る人により評価が変わるものです。 その時代の流行も影響しましょう。 しかしなにより造形を造り出す人の技量に依存します。
またいわゆるパトロンの財力、審美眼も無視できません。
ローマの後世は経済力が衰え始めたころです。 当然芸術も衰退期にさしかかる事は想像されます。
しかしご指摘のような事はもしありとすれば芸術家の技量に属する問題でしょう。
それを感じる感じないは個々人の問題です。
御回答有難うございます。
芸術家の力量と後援者の力量。それと後世の人間の価値観(この場合は私ですね)の相違と言った所でしょうか?
確かにそうかもしれませんね。私自身は絵画で例えると写真のようなリアルな描き方が好みだったりします。その為の視野の狭窄に陥っていたかもしれません。この事は私自身の戒めでもあるので謙虚に受け止めつつ歴史に親しんでいきたいです。
No.2
- 回答日時:
先日NHKの番組で観たのですが、ローマ帝国の衰退は財政の崩壊が原因だとか。
領土の拡大にともない増え過ぎた兵士の給料が払えなくなって、兵士に逃げられたらしいです。当然、芸術や技術に対するコストカットが、芸術の質に影響を与えたことも考えられるのでは。
No.1
- 回答日時:
真実を表現するのにどうしたらいいのか?
ということではないかと。
つまり、見えるままの姿が真実なんだという考えと、見えないものまで表現に組み込まないと真実ではないという考え。前者を写実主義、後者を印象主義(ここでの勝手な定義ですが)とすると、古代は写実主義で、その後の時代が印象主義。現代が写実主義とすると、現代から視ると古代の写実主義は技術があるように見えて、中世の印象主義は技術がないように見える。
中国史で言えば、秦の始皇帝の兵馬俑は、写実主義で、前漢の時代の兵馬俑は印象主義となります。秦の始皇帝の方が現代の感覚からすると技術的に上となります。
実際に技術がどうだったのかわかりませんが、技術を支える生産力(近似的には、国民数)で言うと、前漢の方が大きいので、技術的には前漢>秦、けど、見た目では 前漢<秦 となります。
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