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元本が確定していないのであればその根抵当権の被担保債権は増やすことができます(被担保債権の範囲に属する債権に限りますが,もともとはA債権だけだったとしても,そこにB債権やC債権を新たに加えることもできる)。
これが根抵当権を使用するメリットです。ところが債務者がその被担保債権の返済を滞るような状態になった場合,根抵当権者が保証人から代位弁済を受けようとしても,代位弁済後の債権は根抵当権の被担保債権からは外れてしまいます(保証人と債務者の間の債権になってしまうから)。保証協会のような保証機関は,担保のない債権を得ても一般債権者と同じ扱いになるだけなので,保証協会は代位弁済をしようとは思いません。そこで根抵当権者は,元本確定をさせて根抵当権に随伴性を持たせ,被担保債権を確定根抵当権付きの債権とすることで,保証協会から代位弁済をしてもらいます。
この元本確定登記に設定者の協力が得られるのであればいいのですが,設定者の協力が得られない状況にある場合もあります(設定者=債務者の場合には,返済を滞るような債務者は債権者に非協力的になりますし,そうでない場合でも,競売に付されるリスクが高まるので,やはり協力しないことが多いでしょう)。これでは根抵当権者が困ってしまいますので,民法398条の19第2項ができました。実務で根抵当権の確定請求というと,このパターンがほとんどだと思います。
設定者からの確定請求というと,債務者以外が担保提供している場合がほとんどだと思います。根抵当権が確定していない場合,被担保債権額が変動するので,設定者としては自己の負担がどの程度になるのか不安定なままの状況に置かれます。極度額いっぱいを負担することになるかもしれません。
だから被担保債権を確定させるメリットというのがなきにしもあらずです。被担保債権額が最小の時点で確定させることができれば,競売されたとしても配当後に所有者が受けることができる残金が多くなるかもしれないからです。
ということで元本確定請求は,債務者としてはあまりうれしくないものだったりします。根抵当権のメリットが享受できなくなるわけですから。
債務者が根抵当権の被担保債権を減少させようと思うなら,根抵当権者との取引を控えればいいだけで,確定させる必要はありません。確定請求権をもらうだけのメリットがないんです。
債務者の財産状況が健全で,根抵当権者との関係が良好であれば,なにも確定させる必要はありません。
未確定根抵当権の被担保債権の譲渡については根抵当権の譲渡を併用することで確定させる必要はありません(というかそれが一般的)。
弁済による抹消登記だなんて,登記原因を解除や放棄にしてしまえば,わざわざ金をかけて確定登記を入れるまでもないことになります。
競売や代位弁済が視野に入っていない場合には,元本確定なんてしないのが普通です。
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