
題字の如くなのですが、プラスミドの大量調製が思いのほかうまくいきません。培養の際の培地を500mlないし1lで大腸菌を増やしているのですが、大腸菌自体はばかばか増えるのに、そこから得られるプラスミドが10μgくらいしかありません。low-copy plasmidかとも疑い、培地の量をかえてトライもしてみましたが、こちらでもうまくいかないんです。
培地には抗生物質を添加しているので、プラスミドを持たない大腸菌が急増するということは考えにくいですし、やはり細胞内でのコピー数が少ないと考えています。
このようなプラスミドの収量を上げるには、どうすれば良いでしょうか?具体的な数字で表すと、100μgは取れるといいのですが。
何か工夫すべき点がありましたら、ご教授願います。
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
まず、プラスミドの骨格は何でしょうか。
low-copyかどうかは普通は疑うのではなく調べるものです。
プラスミドのoriが何由来なのかを調べれば大体のコピー数と収量がわかります。
http://www.promega.co.jp/cat/technical/17-q.html
P1 phage由来のPACベクターに大きいインサートが入っていれば1l培養しても10ugしか取れないということはあります。
それと、1mlで培養した時にはどのくらい取れるのでしょうか。
たいてい少量のスケールで精製したもののほうがml当たりの収量はいいです。
大量培養した時にもそこから1mlとってちゃんと増えていることを確認したほうがいいかとおもいます。
実際の大量調整の時にはどの方法を使ってどのスケールでやっているのでしょうか。
アルカリSDS法かその変法のキットを使っていると思いますが、
ちゃんとリシスしているのか誰かわかる人に確認してもらったほうがいいと思います。
大腸菌が壊れていなければプラスミドは出てこないでペレットとして捨てられることになります。
抗生物質の濃度は適当なのでしょうか。場合によっては2倍くらいにしたほうが収量がよくなることがあります。
もしかりにlow-copyのプラスミドならば
途中でクロラムフェニコールを加えることにより大腸菌の増殖を止めてコピー数を増やすことができることがありますが、
コピー数が少ないプラスミドをわざわざ使っている時には、コピー数が増えると組換えを起こすようなインサートが入っていることがあるので
事前に調べておく必要があります。
この回答への補足
使用しているプラスミドはpact5Cという全長約6kbのもので、そこに小さい場合は約2kb、大きい場合は約5kbのインサートを組み込んでいます。
通常のスモールスケールは3mlの系で行い、大体1μl当たり0.5μgから1μgくらいの収量があります。
大量培養の際も、スモールスケールの場合も同じQIAGENのplasmid kitを使用しています。スモールスケールの場合はmini kit、大量培養の際はmaxi kitを用います。抗生物質の濃度は、50μg/mlで統一しています。
No.4
- 回答日時:
>スモールスケールの場合、大腸菌液3mlの系で1μl当たり0.5μgから1μg位の収量になります。
なので、40~50本やれば100μgは取れると思います。
では、ごく当たり前の収量ですね。
ということは、比例的にスケールアップできていないということですね。多分、培養条件が不適切なのだと思います。
ラージスケールで12~16時間培養というのも長すぎるのではないでしょうか。教科書的には、6から8時間で、プラスミド精製にもって行けるようにしたほうが良いように思います(たとえば、朝からboostをはじめて夕方収穫する)。たとえmaxまで殖えて定常状態になっていなくても、その辺でとめておいたほうが良いと思います。
500~1000 mLの培養に、種が100 uLというのは少なすぎるような。ふつう、定常状態までふやした培養液を、1/100から少なくとも1/1000の体積で加えますが。
それで改善しないようだったら、私は、3 mL培養を4、50本やって、それをプールしてプラスミド精製するほうが現実的だと思います。
細胞溶解がうまくいっていないことが判明したため、ここを改善したところ、200μg程度の収量を得ることができました。
培養条件については、普段あまり考えずに培養を行ってしまっているので、もう一度培養条件がそれぞれ適切かどうか検討してみます。
いつも丁寧なアドバイス、ありがとうございます。
No.3
- 回答日時:
small scaleでは充分に取れてますか?
もしそうなら、small scaleで20~30本やれば100 ugくらい取れるのでは?
培養時間が長くなると死ぬ菌が出てきたり、抗生物質が分解されてきてプラスミドをもっていない菌が増えてきたりして、見かけの菌の増え具合とプラスミドの収量が一致しないことがあります。large scaleの場合、短時間で増やすため、2段階、3段階でboostしてやる必要がありますが、その辺の配慮は?
この回答への補足
スモールスケールの場合、大腸菌液3mlの系で1μl当たり0.5μgから1μg位の収量になります。
なので、40~50本やれば100μgは取れると思います。
大量培養の場合、培養時間は12~16時間に設定しており、抗生物質添加済み培地100mlに対し、あらかじめスモールスケール(3ml)で培養した菌液のうち100μlを加えています。あとは、上記の時間になるまで振盪培養装置にかけておきます。
従って、2段階、3段階でのboostはやっていないことになるかと思います。
No.2
- 回答日時:
追加で、
もしあなたの操作にまったく問題がなく、1l当たり10ugしか取れないプラスミドなのでしたら、
10l以上増やして
(一度には増やせないでしょうから少しずつ培養してアルカリSDS法でイソプロ沈のペレットの状態にしてためておいて)
超遠心で精製するときれいなプラスミドが取れます。
前にPAC、BACを扱っていた時には8l位そうしていました。
もちろんそれほどきれいなプラスミドが必要でないのでしたら全部まとめてフェノクロ、エタ沈でもいいのですが。
あなたの操作に問題がなくても、
共通で使っている抗生物質が濃度が間違っていたり、
誰かが日なたに数日おいていたりして効かない可能性もあります。
新しく抗生物質を作って試したことはありますか。
抗生物質を新しく作り直して、試したことはありませんが、その後細胞溶解の時点で細胞がうまく溶解していなかったことが判明しました。
改善したところ、200μg程度の収量を得ることができました。
いろいろなアドバイスをありがとうございました。
お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!
似たような質問が見つかりました
- 生物学 シャトルベクターの大腸菌への形質転換 1 2022/07/02 23:19
- 生物学 大腸菌とプラスミド 1 2022/07/04 01:40
- 生物学 【 生基 DNAの複製 】 問題 窒素の同位体15N(窒素14Nより重い)のみを窒素源として含む培地 2 2022/10/08 16:33
- ガーデニング・家庭菜園 トマト栽培 窒素過剰か獅子頭になる 1 2023/04/18 17:23
- 生物学 腸内細菌をバイオテクノロジーで! 腸内細菌(フローラ)と免疫力との関係が指摘されてから久しく、相変わ 2 2022/07/17 09:04
- 医学 【医学】ゆで卵は本当に体に良いのでしょうか? ゆで卵を食べると腐敗ガスが発生してお 4 2023/06/16 08:38
- 地球科学 地球温暖化について 8 2022/08/01 11:56
- 呼吸器・消化器・循環器の病気 腸活するぞと意気込んて、内科で貰ってるビオフェルミン、ザガードコーワ、ガセリ菌サプリ、プラズマ乳酸菌 1 2023/02/10 18:18
- 生物学 エルクマンの法則では、大型動物は餌を多く摂取しなければない、ということは考慮されているのですか? 5 2023/03/25 14:54
- オーラルケア・ホワイトニング・歯科矯正 歯科治療で抗生物質を4日間服用するにあたり、 2 2022/08/17 03:42
おすすめ情報
デイリーランキングこのカテゴリの人気デイリーQ&Aランキング
マンスリーランキングこのカテゴリの人気マンスリーQ&Aランキング
-
PCRについて
-
サテライトコロニー?について
-
大腸菌の世代時間について
-
DNAの抽出でsolution I・II・II...
-
エタ沈後のペレットを確実に溶...
-
アンピシリン入り寒天培地の作成
-
大腸菌のグリセロールストック
-
コロニーが現れない
-
寒天培地の保存期間について
-
大腸菌のグリセロールストック...
-
大腸菌のフリーズストック
-
シングルコピープラスミド
-
線画培養の意味(コロニーと線...
-
クロラムフェニコールの大腸菌...
-
抗生物質について
-
T4ファージについて
-
LBプレートの扱いについて
-
pENTRベクター。コロニーPCRが...
-
細菌の世代時間の求め方
-
電気泳動でバンドが出ない理由...
おすすめ情報