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国際政治学を志すものです。
「ナショナリズム概念の複雑な変化、民族紛争解決の難しさについて考察せよ。」との課題が出ましたが、ナショナリズム概念の複雑な変化とはどういったものをさしているのか、、というか根本的にナショナリズムがわかりません(泣)

どうかわかりやすく教えてください!!お願いします。

A 回答 (5件)

私の専攻のエスニシティの社会学の見地から考えてみます。



ナショナリズムの前提となるのは「民族(race)」「部族(tribe)」ではなく「国民(nation-people)」の集合体を基本とする「国民国家(nationstate)」の成立です。

近代国家の成立はこの国民国家の概念が基本になっており、いくつかの例を挙げると...
(1)日本はアイヌ民族や琉球民族などの先住民族がいたり、幕藩体制で地域ごとに言語・文化が異なっていたが、教育・軍隊編成などさまざまな近代化政策をもとに「天皇」を中心とした「日本国民」の形成を進め、「日本人」という観念(幻想・イメージ)の内面化の形成がすすめられた。
(2)フランスは多民族国家であるが、「自由」「平等」「博愛」の精神のもと「国民化」を進めることで、フランス的な共和制による「フランス人」という観念が生まれた。

こうした国民国家とは、民族や文化の違いを「国民」という観念によって一定の価値観やアイデンティティに均質化することで支えることになります。

しかし「国民国家」は観念(幻想・イメージ)で支えられているものであり、つねに政治的・社会的に揺らいでおり、異なる「国民国家」との差異にその根拠を依拠していることから、外部圧力や内部圧力によって弱まったり強まったりする必然性があるわけです。

ナショナリズムとはその国民性(私は○○人である)という意識が極端に高まった状態で、社会的凝集性が強まっている状態を指すことになります。

しかし、メディアの発達や地球規模の環境問題、価値観の多様性が進むことによって、国家が一定の価値観に基づく国民化を進める従来の方法(教育・軍隊・労働など)が通用しなくなってきたのが現代社会です。それを思想的にはポストモダニズムと言ったり、グローバリズムとも言ったり、立脚点によってその表現は様々です。

いずれにしても、国家が一定の国民として縛る力が弱まった結果、アイデンティティを「○○人」とそれぞれが信じてやまなかったのが胡散臭く感じられてきて(正当性の弱体化)、国家内の「民族」の方にアイデンティティの正当性を求めたりする事態になり、国家としてのまとまりがつなかくなり民族紛争が多発する事態に至っていると言えます。

ロシアがロシアという国家にまとまり切れていない例や、ユーゴスラヴィアが分裂したのはよい例です。

一方でEUのように国家を超えて「ヨーロッパ主義」といったグローバリズムもナショナリズムを超える試みと言えますが、皮肉なことにグローバリズムが高まるほど地域文化にアイデンティティを求める力も高まり、結果として過激な「地域主義」も生まれる結果にもなっています。

結論として、ナショナリズムの源泉である国民国家の力(正当性)の弱体化によって、グローバリズムが進む一方で、民族主義による紛争や地域主義が台頭する複雑な様相を呈するようになっているのが、問題解決の困難さを深めているということではないでしょうか。
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上記の設問の背景として非常に重要なのは、米ソを中心とした冷戦が終わったということですね。


ソ連の崩壊も大きいです。
旧ソ連のロシア以外の国を見ればよくわかりますが、非常に多くの騎馬民族国家があります。それらを無理矢理ソ連や東側諸国という形で統合していたのです。

東西冷戦が終わり、ソ連が解体されたら、多数の民族国家ができました。チェコとスロバキアのように国が民族ごとに分かれたところもありますし、旧ユーゴのように派手な内戦をして民族抗争をおこしたところもあります。
パンドラの箱が開いてしまったという状況ですね。
アフリカでも完全に壊れた国もあります。

民族紛争の解決の難しさは、正義の味方はいないということですね。
どの民族も人口の多い少ないはありますが、絶対的な善悪では語れない。
先進国が介入しても一部地域以外はメリットは無く、デメリットばかりです。
武器は限りなく安く手に入ります。
結局、チンピラを多く雇って、味方以外の人間を多く殺した陣営が勝ちというゲームになってしまっています。

根本的にまずいのは、、、
投票で物事を決めるという民主主義が、多民族が共存する社会では、民族抗争を生む手段になっているということです。
キリスト教系の欧米の平等の概念がアジアやアフリカでは機能していない訳ですから、新たな社会的平等の概念が開発される必要があると思います。
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日本は封建制度から明治維新、大正デモクラシー、軍令政治、GHQによる民主政治と日本人の民族意識が変遷しています。

これは、国際問題、制度(資本主義、社会主義)の違い、他文化の吸収(国際交流)と貿易が原因です。情報の氾濫です。

民族紛争は、どのような国家制度を採りいれるかが争いになっています。大国が資源を確保するために、ある勢力に資金、武器を供与して資源を優先に輸出してくれるようにと、傀儡政権を擁立しようとするのですが、他国も同じことをもくろむので、対立が生じ、内戦へと発展します。武器商人は紛争が長引くほど利益が生じるので、ルートを作って、和平の機運が上がりかけると、それをつぶす工作をします。紛争地の現地人と他国と武器商人の三つ巴で民族紛争解決の難しさが問題になっています。国連が武器密輸するくらいですから。
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「ナショナリズム」を「国民主義」とか「国家主義」とかかんたんに位置づけ出来なくなってきている現状をさすのではないでしょうか。

 旧ユーゴスラビアでは、もともと同じ国内にすむ同じ様な言語を話す同じ人種であっても宗教が異なるだけで、戦争になります。 また、最近のイラクやチェチェンでの紛争をみると単なるアラブ人ではなく、他国のイスラム信者がイスラム戦士として戦地に志願するなど、従来の「国」の枠をを超えた民族主義がわき起こって、それに呼応して各地でいろいろな紛争が発生し、未だに解決されていません。
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この回答への補足

早速の回答ありがとうございます。ただ一つ疑問が。

「民族主義、国民主義、国家主義など訳される。ただし、民族の概念自体がその所属集団によってまちまちであり、ナショナリズムとかならずしも同一ではない。」

というところが『複雑化』ということなのでしょうか?

補足日時:2005/10/16 13:47
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