No.1ベストアンサー
- 回答日時:
イスラム文化と言いましても、とても幅広く、もう少し細かくしないと、何について回答したらよいのか分かりません。
最低限、イスラム教で規定される文化なのか、イスラム地域の歴史的文化なのか、イスラム教が普及している地域の文化なのかを、示していただきませんと、何について解答すればよいのか判断できません。
日本において誤解されているのは、イスラム地域の文化・風習と、イスラム教で規定する文化・風俗を、混同しているという事です。
たとえば、イスラムの文化で、「女性が顔を隠す」というものが有りますが、あれは、イスラム発祥の地サウジアラビア周辺の習慣で、イスラム教の文化ではありません。
そのため、イランのような国においても、顔を隠さない人がたくさんいます。
イスラム教のコーランでは、信者がしなければならない事、してはならない事を沢山規定しています。
しかし、それよりも重要なのは、コーランをどのように解釈するかなのです。
イスラム教徒は、酒を飲まない人が多いのですが、酒を飲む人もいますし、飲んでも問題にされない人もいます。
酒を飲む飲まないは、その人が属する集団での規定なのです。
酒を飲んではならないと規定した集団に属しているのに飲んだ場合は、集団の規定により処罰されますが、飲んでも良いとしている集団では、飲酒したからしいって、何らかの処分を受ける事はありません。
イスラム教は、大きく6つの集団に分けられます。
スンニ派のファナフィー派
スンニ派のシャーフィイー派
スンニ派のマーリク派
スンニ派のハンバリー派(ワッハーブ派)
シーア派の十二イマーム派
その他シーア派系諸派
ファナフィー派は、最も戒律がゆるく、コーランを自由に解釈します。
ワッハーブ派は、極めて厳格に解釈しようとします。
飲酒の例として、コーランには、「飲酒をすると礼拝を忘れたりするので、飲まないほうが良い」とあります。
これをゆるく解釈すると、「泥酔するほど飲まなければ良い」となります。
一方厳格に解釈すると、「礼拝を忘れる事があるので、絶対に飲んではならない」とするグループもあるということです。
公いった事が、長い間に文化として定着したため、イスラム世界と一口に言っても、多様化された世界ができあがっています。
この回答への補足
早速のご回答ありがとうございます、
イスラムについて体系的に学んだことも無く、地域や歴史と言った分野で、質問内容を限定することが私にはできません。
ですので、この建築物はとても素晴らしい、こうこうこういったものなんです、とか、歴史上のこの事件は、こうこう、こういう点で、重要だよ、など、単発で良いので、答えていただければ幸いです。(たくさん在ると思いますが)
>飲酒の例として、コーランには、「飲酒をすると礼拝を忘れたりするので、飲まないほうが良い」とあります。
この、明快な意味を訴えている一文で、どうやったら幾つもの解釈が出てくるのか、よく分からないのですが、原文では、いくつも意味を持つものでしょうか。
緩く解釈している方は、飲んでいるから、良くはない、し、
厳格な解釈の方では、飲むなと言ってはいないのに、、、と、
私などは思います。
No.6
- 回答日時:
トリビア的なことであれば、
(1)昔は詩人が力を持っていて、イスラーム教が急激に拡大したのは、コーランの詩的センスに敵う者がおらず、そのために「神の御業」と信じられたから、というのがあります。
参考文献:小杉泰『イスラームとは何か』講談社現代新書 1994
(2)日本に本格的にイスラームが訪れたのは明治初期になりますが、当時日本は豚肉を食べず、また勤勉である等様々な点がイスラームの教えに似ていると、ムスリム(イスラーム教徒)は感じていたらしいです。
参考文献:佐々木良昭『ジハードとテロリズム』PHP新書 2004
ちょっと真面目なものであれば、
イスラーム社会は平等です(教義としては、、)。
だから現在においても宗教学者はいても、宗教を統括するような組織は存在していません。
信者であれば皆等しくその恩恵にあずかるということです。
そのために、同胞意識がとても高いです。
例えば(悪い例えですが)ムスリムの多くが今だテロリズムを支援するのは、テロリストがイスラームのためにそうせざるを得ないと考えるからです。
また、他宗教(キリスト教やユダヤ教)に寛容で、エルサレムが宗教の対立なく平和に統治されたのは、イスラーム(オスマン朝)による統治の時だけだったようです。
ちなみに、9.11テロ以降のイスラーム脅威論についての学生論文を私は書いています。
主張しておきたいこととして、
「イスラーム自体が内在的に破壊を引き起こす要因を含んでいるわけではないということ」。
現在のイスラーム問題(宗派争いは別として)、
それは世俗ナショナリズム(ブッシュの言ってことと簡単に考えていればいいです)によるイスラームに対する宗教的な侵攻があって生じているもので、その結果生じているものです。
また、イスラームの欠点として政教分離が出来ていないことが挙げられますが、
アメリカだってやっていません。
そもそも政教分離を厳格に適応してるのは日本が主であり、
(っていうより、日本の宗教って何なのだろう???)
例えばアメリカであれば、
政治が宗教に加担することを禁止しても、
宗教が政治に加担することを禁止してはいません。
つまり、宗教が政治を司ることも、理論的にはアメリカでは可能です。
とりあえず、どんな宗教であろうと、まずは同じ「人間」です。
殺されたら嫌だし、殺すのも嫌です。
誰だってシアワセに生きたい。
この点が、最近世界で忘れられているような気がします。
と、、アツくなって長く答えてしまい、スミマセン。。。
いえいえ、ご回答いただけることが、ありがたいことです(^^;
イスラムに厚い方と、狂信的な場合とではぜんぜん意味が違うなぁと、ご回答を聞いて思いました。
狂信的な場合は、どの宗教にもありえますし、また、宗教以外にも、そのようなものを感じることはあります。
逆に、どの世界宗教も、平和を述べている点で共通しています。
結局、宗教では治まりきらなかった人の宿業とも言える性が、戦争をずっと起こしてきているのではないだろうか、と、私は考えています。
イスラムを知る事は、イスラムだけにとどまらない。知識というのは繋がっていくから面白いものでもあり、同時に、一つの知識に、深い意味を考えれるようになるものなのですね。
ありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
ずばり。
ギリシア・ローマ時代の哲学や科学を継承したのがイスラム文化だった、ということが一番の売りです。西洋が中世のころ、キリスト教の細かい教義や魔女狩りとか迷信とか、いろいろ非科学的なことが蔓延していたわけですが、イスラム文化はその当時ギリシア文明から学んだ哲学、科学を発展させて天文学や数学の発展を進めました。数学をアルジェブラというけど、それはもともとアラビア語で、アラビア世界で発展したからなのです。ヨーロッパは、あとからイスラム文化を通じてギリシア文明を学び、それがルネッサンスに繋がったというわけ。へぇ~、そうなんだ、と思いました(^^。
明快に答えてくださり、大変ありがとうございます。
イスラムには、とても理知的な印象を感じていましたが、そういうわけでもあったのですね。
No.4
- 回答日時:
>素晴らしいと思うイスラム建築
あまりイスラム建築は知らないのですが、有名なものとして、
インドのタージマハル
トルコのブルーモスク
あたりでしょうか。
写真で見てすばらしいと思ったのが、サウジアラビアのメディナにある預言者モスクです。
サウジアラビアには、普通の日本人は、入国できませんから、今後もまず見る事はできないでしょう。
実際に見たものでは、ウズベキスタンのサマルカンドにありますレギスタン広場とそれを囲む3つのメドレッセ(イスラム神学校)
ブハラのナデイール・ディヴァンギ・メドレッセを、ラビハウズの先から見た光景も、印象深いものがありました。
1番の補足で
>どうやったら幾つもの解釈が出てくるのか、よく分からない
と言っておられますが、解釈は、時代とともに変わります。
ムハンマドが生きていた時は、ムハンマドに聞けばよいのですが、死んだ後は、聞くことができません。
キリスト教においても、いくつかの解釈が出てしまった場合、公会議で、正当を決めました。
シーア派の場合、ムハンマドの後継者であるイマームが判断し、後継イマームが居なくなってしまってからは、イスラム法学者が判断する事になっていますので、解釈の相違は認められません。(そのため、ホメイニ師の解釈が、イランで正当とされました)
しかし、スンニ派には、スンニ派を束ねる宗教指導者はおりません。
そのため、イスラム法を、どのように解釈すべきかが、問題となりました。
イスラム法には、コーラン、スンナ(イスラム初期指導者達の教えや慣習)、イジューマ(地域共同体の合意)、キャース(類推)があります。
特にキャースの扱いで、イスラム法の解釈基準が異なります。
スンニ派の人々は、公認4法学派のいずれに属してもかまわない事になっていますが、実質は、地域ごとに根をはるいずれかの法学派に属します。
4法学派のうち、特に問題となるのは、ハンバリー派(ワッハーブ派)で、ムハンマドの時代を理想とし、そこから少しでも外れる行為を、堕落と考え、キャースを一切認めない立場に立っています。
現在のイスラム原理主義勢力は、このハンバリー派の考え方にたっています。
一方キャースを自由に解釈するのが、ファナフィー派です。
コーランに記載されていな事、あやふやな事は、キャースとして比較的自由に解釈します。
キャースは、個人や地域ごとに解釈に幅を持たせていますから、「それでもイスラム?」と思われる解釈も許されます。
飲酒す、女性のミニスカートなどが許されるのも、ファナフィー派の解釈の仕方によるものです。
シャーフィイー派は、コーラン、スンナ、イジューマ、キャースの順にイスラム法を当てはめる考え方で、マーリク派は、コーランとスンナを重視し、その後イジューマを当てはめます。キャースは、最低限度のみ用いる考え方です。
大変参考になるご回答を頂、ありがとうごうございます(^^。
イスラム法が、コーランだけではない、スンナ、イジューマ、キャースというものでも成り立っているということが、特に自分の固定観念、イスラム教=コーラン、を崩し、より幅の広い認識を得るきっかけになりました。
いくつも解釈が存在することで、法としてのバランスを保とうとしているのかもしれないな、とも思いました。
貴重な知識に触れることができ、大変うれしく思っております。
タージマハル、ブルーモスク、レギスタン広場、私の心象風景に、透かすように被さっています。
イスラムのことは知らないけれど、世界はこの、心象風景のようにつながっているのかもしれません。
自分に、日本のことをどれだけ知っているのかと尋ねれば、首を傾げなければならないのですから。
No.2
- 回答日時:
1番です。
イスラム建築に関しては、何が素晴らしいかは、見た人によって異なりますので、写真集などをご覧になってください。
イスラムにおいて重要な事件
622年 ヒジユラ ムハンマドがメッカを追われメディナへ逃れる。 イスラム暦元年
632年 ムハンマドの死。アブーバルク初代カリフとなる。
656年 3代カリフ、ウスマーンがアリー支持者により暗殺されアリーが4代目カリフとなる。首都を、現在のイラクのクーファに遷都
657年ウスマーンの出身のウマイア家のムアウイア(シリア総督)とアリー(カリフ)との間で内戦となる。(スイッフィーンの戦い)
イスラム最初の分派ワハーリジュ派が生まれる。(アリーがムアウイアと和平交渉をしたのに抗議し、アリーにカリフの資格が無いとし、分派)
660年ムアウイアが、カリフを宣言(ウマイア朝の成立)
661年アリーと対立していたワハーリジュ派により、アリー暗殺される。(ワハーリジュ派は、ムアウイアの暗殺も実行しようとするが失敗)
680年 カルバラの戦い アリーの子フセインとムアウイアの子ヤズィードの戦い。フセインは破れ、そこで殺され、カルバラは、シーア派の聖地となる。
これ以後、フセイン支持者が、シーア派となる。
732年 ツール・ポアチエの戦い
エマイア朝軍が、フランク王国のカール・マルテルに破れ、西方への進出が止まる。
750年 アブル・アッバースが、シーア派と手を組みウマイア家を滅ぼしアッバース朝成立。
その後シーア派を弾圧。
751年 タラスの戦い
唐軍に勝利するも、東方への進出が止まる。
756年 後ウマイア朝成立
現在のスペインにウマイア家の一族が設立。イスラム世界始めての分裂国家成立
762年 アッバース朝の首都としてバクダート建設開始
969年 ファティマ朝のエジプト支配 970年カイロ建設
1096年 第一回十字軍
1147年 第2回十字軍
1258年 アッバース朝モンゴルに破れ滅亡、イル汗国成立
1453年 オスマン・トルコのコンスタンティノープル占領 ビザンツ帝国(東ローマ帝国)滅亡
1492年 グラナダ陥落 イベリア半島のイスラム勢力消滅
1502年 サファビー朝成立 シーア派を国教とする。
1526年 オスマン・トルコがウィーン攻撃(1532年再度攻撃するも敗退)
同年 ムガール帝国成立
1571年 レパントの海戦 トルコ海軍キリスト教徒海軍に敗北
1923年 トルコ共和国成立
1948年 イスラエル共和国成立(中東戦争)
1978年 イラン・イスラム革命
1990年 イラク軍クエート侵攻 湾岸戦争
サイド回答ありがとうございます。
もし宜しければ、例えば、nacamさんが素晴らしいと思うイスラム建築についても、ご解答下さればとも思います。
頂いた年表風の回答から、イスラムの壮大な歴史が垣間見られます。
もう一つの世界を感じるようです。
どうもありがとうございました(^^
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