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巻き数Nのコイルの自己インダクタンスの問題です。磁束から求めるのですが、自己インダクタンスがコイルの巻き数の2乗に比例することの説明がどの本も不明確なのです。今までの教えてgooの相談を調べましたが、符号の決め方問題のみでした。私としては、それよりも、コイルの巻き数の2乗になる点を明確に説明してほしいのです。
ある本には、「あるループへ作る磁束はコイルの巻き数Nに比例する。だから貫く磁束は巻き数Nの2乗に比例すると」ありますが、いきなり「貫く」と言われてもよくわかりません。

A 回答 (5件)

なぜか、という問題に関しては皆さんが答えてらっしゃるので現実の話をしましょう。


きっかりと自乗に比例するのは磁気漏れが全くない場合に限ります。
磁気漏れがある実際のコイルを実測してみますと自乗ではなく、細長いコイルでは1.6乗から1.8乗に比例。磁器漏れの少ない構造のコイルで1.9乗ないし2乗未満に比例しています。
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>> 教えてgooの検索では符号の決め方問題のみでした。巻数の2乗になる点を明確に説明してほしい。 ある本には「ループへ作る磁束は巻数Nに比例する だから貫く磁束は巻数Nの2乗と」ありますが「貫く」と言われてもよくわかりません。 説明がどの本も不明確です。<<


1.
 正統な電磁気本を見れば必ず載ってることなんで要点を記します;
2乗の成因は「電流同士に力が働く」という現象の、『同士ゆえ』と『閉ループ積分ゆえ』の相乗効果?です。 下記の定番な図式に於いて

 i1            i2
 │            │
 ┃ds1── r ─→ds2┃
 │            │

ds1がds2から受ける力dFは
  dF = (ds1の電流)×(ds2が張る磁場B)
    = i1ds1×( (μ/4π)×r/|r|^3 )
ベクトル三重積ゆえ内積に書けて
    = (μ/4π)i1i2/|r|^3 ((ds1・r)ds2-(ds1・ds2)r)
『閉ループ積分』の場合は(ds1・r)の項がゼロに。←ここが肝その1です。
    = -(μ/4π)i1i2 (ds1・ds2)r/|r|^3
で、
この力の成因が 何かのポテンシャルエネルギ U による
  F = ∂エネルギ/∂変位
だと見なした U は、
  U = -(μ/4π)i1i2 ∫∫(ds1・ds2)/|r|
この式の電流以外全部を
   = -Li1i2
としたLがインダクタンスの定義です。
『閉ループ』だとベクトル三重積が∫∫(ds1・ds2)だけになる所が肝です。こう書けるのは「導線が巻いてある」場合に限る。コイル特有のこと、ということです。



2.
 電流がIでN巻きのコイル;これを 1巻の単ループ N個に分断し、個々に電流源Iを付けます。1個の単コイル上の ds1 が力を受ける相手は
  ∫∫(ds1・ds2)
のds2ですが、これは自分自身のループを含めて N 個ありますね。 ゆえに前記の単ループの N 倍の力を受けます。
←ここが肝その2です。

 N個のds2からの磁場Bがすべて押し寄せますが、遠い立場同士では途中で漏れる(磁束がループを描いて引き返してしまう)ので受ける力はちょっと少な目です。力の元のポテンシャル(磁場エネ)がちょっと少な目。

 この漏れ(途中引き返し)が無いものとすれば、
単ループがN個あって「個々の磁場エネは 孤独な場合のN倍」ゆえ、全エネは Nの2乗となります。それを担う係数Lは、ゆえに「孤独な場合のN^2倍」に。



3.
 以上をまとめると、
その1:閉ループでは ベクタ三重積が 単項の内積になる。
その2:その内積の相手がN個居るので、エネは孤独な場合のN倍になる。
その3:N倍になったのがN個あるゆえ、全体では N^2倍。
その4:実際は遠い相手同士は磁場が全部は届かないので、現実はN^2より少なめ。



4.余談
 電気回路の技術書などでよくあるインダクタンスの導入は「電流の変化は電圧を生んで e=-Ldi/dt‥」のように、何かただの換算係数のような登場のさせかたですね。 なのに、まるで「係長のコネで入った新人ですと紹介されたのに、実は社長の息子だった」みたいに いつの間にか主役になるので、こいつは何者だと釈然としない人は多いかもです。
 巻数についても「電流から磁界に変わる所でN、磁界が電圧に変わる所でまたN」と駅の乗り換え改札のような「2回通るから成り行き上そうなった」のような「お話」を、電子技術分野では微分の式で語り、強電分野では微積分を陽に出さない交流理論の言葉で語って済ましてることが多いようで。これがお気に召さないわけですねw


 「ひと巻きの閉ループ導線の電磁誘導」を解くとループの面積に比例することから演繹して「コイルはラセン階段である。床面積は連続してN倍ある」
http://linuxenvy.com/bprentice/RotatingGifs/Stai …
という、折衷的な説明もあります。
 
 

この回答への補足

図書館で古い本を見ていましたら、熊谷寛夫、荒川泰二、電磁気学、朝倉物理学講座5,(朝倉書店、5版、昭和41年)のpage156になんとラセンの絵が描いて自己インダクタンスが説明されていました。しかも、わかりやすい、相互インダクタンスを先に説明してから、その後でこのラセン図を出しています。わからせる努力をしてあるよい本だと感じました。
同時に、Telescope氏は物理を本当の意味で知りつくした凄い先生にちがいないとも思いました。

補足日時:2006/01/29 21:57
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この回答へのお礼

うーん、凄い。予想を超えた名解説です。なぜ、わかりにくいか?という点にも答えられています。このような解答をいただける[教えてgoo]というものの力、醍醐味を感じます。らせん階段はダイナミック映像で綺麗でした。必見の値打ちがあると思います。

お礼日時:2006/01/26 20:59

なんで2乗か、一乗つまり巻数比例のほうが自然に思える、不思議だ。

計算すればそうなるというよりも、腑に落ちる理解をしたいということでしょうか。
でしたら、良い着眼だと思いますよ。
そういうことだとしまして、計算式のほうは#1,#2様のご回答にまかせ、「なぜなんだろう」という観点に立ってちょっと付記します。

2乗だというのはある前提があります。N個の輪っかがぎっしり「同じ位置に」配置されているという前提です。現実のコイルではこういう配置はできず、輪っかの間隔が輪っかの直径に比べて無視できないほどにあくと、2乗まで行きません。
そして、輪っかの間隔がかなりあいて、直径Φの輪っかが間隔Φで並んでいるようなコイルのインダクタンスは、輪っかの数の自乗よりも一乗に近い値になります。
輪っかが十分離れれば(輪っかを結ぶ線のインダクタンスは無視して)一乗ですが、これは自然ですよね。だって、回路でもコイルを2個直列接続すればインダクタンスは足し算ですもの(近接配置すると足し算から少しずれますが)。

輪っかが近くなると互いに影響を及ぼし合うわけです。影響を及ぼす程度は輪っか1が作る磁束が近くの輪っか2を貫通する量の程度です。
輪っか同士が離れれば輪っか1が作る磁束のごく一部しか輪っか1へ行かない。0%のときはインダクタンスはそれぞれの足し算つまり巻数比例。

輪っかを密着すればほぼ100%の磁束が隣を貫通する、隣の輪っかだけでなくその隣にもさらにその次の輪っかにもずっと。この状況ではそれぞれの輪っかは独立ではない、影響を緊密に及ぼしあっている。このときインダクタンスは巻数の1乗ではあり得ないはずだ、と思えませんか?インダクタンスって元をただせば外部から侵入する磁束への反応(電磁誘導)の程度を定める量として解き起こされていたわけですから。

もし上記のように輪っか同士の影響があるから1乗ではないということに納得していただいたとしても、ではなぜ2乗かという話になりそうですね。でもここは式に頼らずわかりやすい説明をすることは私にはできそうもありません。
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この回答へのお礼

明解でわかりやすい説明ありがとうございました。私がほしかった、式を越えて、腑に落ちる解説がこれだと感じました。

お礼日時:2006/01/26 20:54

自己インダクタンスは 鎖交磁束/電流 です



で、鎖交磁束はコイルの磁束*巻数
磁束は磁束密度に比例
磁束密度は起磁力に比例
起磁力は巻数*コイルの電流
結果、鎖交磁束は巻数の2乗と巻き線電流に比例し
自己インダクタンスは巻数の二乗に比例する
となります。
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今晩は。


巻き数Nのコイルに流れる変化する電流(交流電流)iによって作られる磁力線の束が磁束ですが、この磁束をφで示すと、φは交流電流iに比例しコイルの巻き数Nに比例するので次式で示されます。
   φ=kNi
いまコイルLに交流電流iが流れて、変化する磁束φが生じたとすると、このコイルL自身にも自分の作る変化する磁束φ(=kNi)が貫く(なぜなら交流電流のため磁束は常に変化しています)ので、コイル自身にその磁束の変化を妨げるような電圧―これをvとする―が発生します。これはコイルLの巻き数Nに比例しますので次式で表されます。
 v=N*dφ/dt=k*N^2*di/dt これは次式のようにも示せます。  v=L*di/dt  ここで L=kN^2 これが自己誘導係数(自己インダクタンス)です。 以上より自己インダクタンスがコイルの巻き数Nの2乗に比例する事が解ります。
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