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物理化学の教科書の表をみると、水の誘電率は温度があがる減少するらしいのですが、どうして減少するのですか?

温度上昇によって誘電率が減少すると、クーロンの法則からイオンの間の相互作用が大きくなるから、電解質を溶解する際に溶解しにくくなってしまい、温度と溶解度の関係に矛盾するのではないかと考えているのですが。

A 回答 (1件)

水の誘電率の値を最初にうまく説明したのは Kirkwood です.J. Chem. Phys., 11, 175 (1943)


結論からいうと,水素結合で1個の水分子の回りに特定の配置 (いわゆる4面体配置) で別の水分子が存在し,その相互作用によって水自体の分極が増強される (双極子モーメントが大きくなる) 効果を,Kirkwood の液体誘電体の理論に適用することで水の誘電率はほぼ説明できます.
温度依存性は,このときの「分子間の距離」と「最近接分子数」という概念に影響し,分子運動が大きくなると平均的な分子間距離が大きくなり (要するに膨張するということ),また構造の乱れによって結果的に近接分子数が増え,誘起電場が等方化する効果が現われ,それらの結果,誘起される双極子モーメント増加が温度とともに小さくなることによって説明されます.

電解質の溶解度については,誘電率変化のほかに,イオンが溶解することによるエントロピー増加や水和状態の変化についても考える必要があり,とくにエントロピー項が大きく効いて誘電率現象の効果を打ち消してしまうのだろうと思います.
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