硫酸バリウムや硫酸鉛は水に溶けないで、硫酸ナトリウムや硫酸銅は水に溶けると習いました。その違いの理由はナトリウムイオンよりもバリウムイオンの方が硫酸イオンと仲がいいと説明されましたが、いまいち詳しい説明とは思われませんでした。どなたか理論的な説明をしていただきませんでしょうか。

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A 回答 (6件)

はじめまして,mitokonguratanさん!



硫酸塩の水に対する溶解性は,私が高校3年生のときに,自由課題でいろいろと調べたことがありました.
ただし,溶解反応の解析というのは,通常の反応の解析に比べてはるかに難しいので,あくまで一般論のみを紹介します.なお,Na2SO4の場合は,Na+とSO42-のイオン価数が違うため,比較しにくいので省略させてください.


塩の溶解性を判断するパラメーターとして,溶解熱というものがあります.そして,この溶解熱を細かく分類すると,

 (1) 結晶の格子エネルギー:ΔHとします
 (2) 溶媒和エネルギー(水和エネルギー):ΔQとします

の2種類があります.つまり,(1)は結晶を切り離すのに必要なエネルギーで,(2)は水和によって得られる安定化エネルギーです.ということは,ΔH≪ΔQならば,結晶は溶解しやすく,ΔH>ΔQであれば,結晶は溶解しにくいと予想できますよね.
ところが,イオンの価数が高いほど,あるいはイオン半径が小さいほど,格子エネルギーも水和エネルギーもともに大きくなるので,ΔHとΔQのどちらが大きくなるのかが予想しにくくなります.硫酸塩は,まさにその典型です.では,以下ではそれらを定量的に考察しましょう!

-----------------------------------------------------------------------
格子エネルギーΔHはイオン間の距離に反比例ことが知られています.つまり,

 (3)  ΔH ∝ 1/{r(+) + r(-)}

と書けます.ここで,r(+)は陽イオンのイオン半径,r(-)は陰イオンの半径です.

一方,水和エネルギーΔQは,それぞれのイオン半径の逆数の和に比例することが知られています.つまり,

 (4)  ΔQ ∝ 1/r(+) + 1/r(-)

となります.

もし,一方のイオン半径が小さければ,水和エネルギーは大きくなります.しかし,格子エネルギーのほうでは,小さいほうの値があまり影響を与えず,格子エネルギーはそれほど大きくなりません.
例えば,陽イオン半径が1.0Å,陰イオン半径が0.1Åだったとすると,ΔH : ΔQ = 0.9 : 11と,明らかに水和エネルギーの寄与が大きくなりますね.
したがって,イオン半径比が大きいほど(両方のイオン半径の差が大きいほど),水和エネルギーの寄与が大きくなって,溶解しやすくなります.

一方,イオン半径が共に小さいと,格子エネルギーも水和エネルギーも大きくなって,溶解熱はそれほど変化しません.例えば,陽イオン,陰イオン半径が共に1.0Åだったとすると,ΔH : ΔQ = 0.5 : 2 と,格子エネルギーの寄与も大きくなってきます.
したがって,イオン半径が同じくらいだと,格子エネルギーの寄与も大きくなり,溶解しにくくなるという傾向がうかがえます.


以上の理論をもとにして,硫酸塩の溶解性を考えてみましょう.ここで,各イオン半径のだいたいを下に示します(単位はÅ).

   SO42- : 2.0
   Cu2+ : 0.71
   Ba2+ : 1.36
   Pb2+ : 1.43

このことから,硫酸イオンと半径が近いPbやBaとの硫酸塩は溶解しにくく,半径に差が見られるCuは溶解しやすいという相対論が成り立ちます.

------------------------------------------------------
もう1つ余談を.おなじアルカリ土類金属で比較すると,

   Be2+ : 0.27
   Mg2+ : 0.72
   Ca2+ : 1.00
   Sr2+ : 1.16
   Ba2+ : 1.36

となり,BeSO4とMgSO4は水溶性,CaSO4は微溶性,SrSO4とBaSO4は難溶性であると説明できます.(高校では,そう教わったと思いますよ)


とまあ,難しいものですが,「決め手は両者の半径比」というのが一般論のようです.
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この回答へのお礼

塩の溶解性の判断には、溶解熱、結晶の格子エネルギーも関係するとは初めて知りました。とても奥の深い内容だったことに驚いています。

お礼日時:2002/03/11 17:18

rei00 です。

どなたか御呼びになったでしょうか?

 この御質問は UP された直後に拝見したんですが,「理論的に」がどの程度の事を指しておられるのかが分からず,考えない事にしていました(いや,考えても解らなかったという方が正確・・・)。

 しかし,私よりもこう言った事(無機化学,分析化学,理論化学,物理化学・・・)に詳しそうな方々の回答を拝見して,玉砕覚悟で私の第一印象に基づく意見を書いてみたくなりました。といっても,半分以上は私の発想ではなく,次の本の記述に基づきます。

「高校化学とっておき勉強法」(講談社ブル-バックス B1356)大川貴史,講談社,2002年

 この中にハロゲン化銀(AgX)とハロゲン化カルシウム(CaX2)の水に対する溶解性について,電気陰性度の差に基づいた説明があります。

 それぞれの溶解性と電気陰性度の差は,
  AgF(2.1):溶ける。
  AgCl(1.1), AgBr(0.9), AgI(0.6):溶けない。
  CaF2(3.0):溶けない。
  CaCl2(2.0), CaBr2(1.8), CaI2(1.5):溶ける。
  ()内は電気陰性度の差。

 ここで,「電気陰性度の差が大きい ⇒ 強いイオン結合」,「電気陰性度の差が小さい ⇒ 強い共有結合」となるため,水によるイオンへの解離が起らず「溶けない」。一方,両者の中間の場合,水によってイオンへの解離が起って「溶ける」。

 これと同じ事を考えてみます。各金属イオンの電気陰性度は,Be (1.5), Mg (1.2), Ca (1.0), Sr (1.0), Ba (0.9), Pb (1.9), Cu (1.9), Na (0.9), O (3.5) です(ポ-リングの値です)。したがって,各金属と酸素との電気陰性度の差は,Be (2.0), Mg (2.3), Ca (2.5), Sr (2.5), Ba (2.6), Pb (1.6), Cu (1.6), Na (2.6) となります。

 これで一応,アルカリ土類金属の Be, Mg, Ca, Sr, Ba については,イオン結合性が強い Ca, Sr, Ba の塩が難熔性である事は理解できます(モットモ,2.3 と 2.5 の差がどれ程の意味があるかは疑問ですが)。つまり,塩としての結合が強すぎて水で引き離せないわけです。

 同時に,上の説明に従えば,Pb や Cu の塩は共有結合性が強いため,やはり水で引き離されず,難熔性になります。

 残った問題は「Na などのアルカリ金属の塩が何故可溶性か」です。これについては,私の推測だけですが,次の様に考えました。例として Na 塩と Ca 塩を用います。

 極論ですが,Na 塩は「Na-O-SO2-O-Na」の形のイオン対の集まりと考える事ができます。一方,Ca 塩は「・・・-O-Ca-O-SO2-O-Ca-O-・・・」の形でイオン対を作っている状態(ポリマ-様構造?)と考えられます。したがって,Na 塩は「Na-O-SO2-O-Na」の形で水に溶けることも可能ですが,Ca 塩は不可能で不溶性になると考えられます。

 いかがでしょうか。「理論的な説明」になっていない様な気が強くしますが,この様に考えれば,炭酸塩やリン酸塩が不溶性の塩を作り,硝酸塩などが不溶性の塩を作らないのも理解できます。
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この回答へのお礼

「高校化学とっておき勉強法」是非呼んでみたいと思います。本だけでは知り得ない考え方も伺えて大変ありがたいです。それができるのも教えてgooならではですね。

お礼日時:2002/05/08 18:46

エントロピーとエンタルピーの違いを忘れているので.言葉の定義は間違っています。



固体が水に溶ける場合は.固体を構築しているイオン(有機物はここでは除外)が.水と反応して(水和して).バラバラになることです。
ここで.固体のまま結合した状態から.水和して.バラバラになる時に.固体表面からイオンが水の中に移動します(例外がありますが省略)。このイオンが移動するエネルギーがたくさん必要か.少しですむか.ということが.可溶性・なんよう性を決める一つの因子です。3の方との違いは.固体表面の状態に限ったないようです。平衡状態に達しない状態での可溶性・なんよう性の話しです。

もう一つは.水の中でバラバラを保つためには.イオンの周りを水で囲む必要があります。この水がバラバラにする力と.イオン同士が固まって結合しようとするちからの状態の違いでとけたり溶けなかったりします。この話しが.3の方の内容です。条件としては.固体と液体の部分は平衡に達していることです。ただ.実際には.その他に.多核錯体形成とか.活量係数とか.イオン強度とか.いろいろな因子が混ざってくるので.はっきり言えばわかりません。
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この回答へのお礼

この問題に関わる様々な因子のご指摘、ありがとうございます。もっと化学の知識を増やして、指摘された因子を調べたいと思います。

お礼日時:2002/05/08 18:41

このご質問を拝見し、化学屋のくせに「理論的に説明」できない自分に


気づかされ、唸っております。ここは自戒も込めて「経験者・自信なし」
で、実用的?なアドバイスをさせていただこうと思います。

質問者さまがお聞きになった「Na+よりBa++のほうがSO4--と仲がいい」
を認めてしまいましょう。「Na+はSO4--とイオン対を形成して析出するより、
水分子に囲まれて漂っているほうがエネルギー的に有利」「Ba++はBaSO4
として析出する方が有利」などと説明すれば、少し理論的っぽくなるかも
しれません。『それは何故?』と問われると苦しいのですが・・。

その溶解/析出のバランスを「平衡」の理論で扱ったのが、#1の方の回答
にある「溶解度積」です。便覧に載っている溶解度積は理論値ではなく
測定値ですから、お尋ねの『理由』は解決しないかもしれませんが、この扱い
によって、様々な現象を上手く説明でき、応用範囲も広いです。#2の方の
「難容性塩を作る場合の目安」は、暗記を楽にしてくれるでしょう。

1+1=2を数学的に厳密に証明するのは難しいとか(自信なし)。
でも、1+1=2を認めてしまうと、いろんな計算ができますね。
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この回答へのお礼

[1+1=2を数学的に厳密に証明するのは難しいとか(自信なし)。でも、1+1=2を認めてしまうと、いろんな計算ができますね。] のたとえはいいですね。勉強についての一つのほうほうなのですね。ありがとうございます。

お礼日時:2002/05/08 18:39

こんばんは


理論的に説明しようとすると、なかなか大変です。
まず一般的に言えることは、アルカリ金属、ハロゲンのように1価のイオンとなる物質は難溶性の塩とはなりません。アルカリ土類金属類は硫酸塩と難溶性の塩を形成しますが、周期律表の下の方ほど、難溶性になります。
陰イオン(酸類)注目すると、先程述べたハロゲン酸と硝酸は難溶性塩とはならず、リン酸はカルシュウムやマグネシュウムと難溶性の塩を形成します。
弱酸である炭酸もアルカリ土類金属と難溶性の塩を形成します。
シュウ酸、酢酸、クエン酸などの有機酸は重金属とは錯塩や副塩を形成するのでなかなか簡単ではありません。
以上色々書きましたが、
1.イオン化傾向の強い強酸や強塩基の塩類は難溶性となららない。
2.弱酸や弱塩基は反応する相手の性質により、難溶性の塩類を形成することがある。
ということでしょうか。
イオン化傾向が強いのは、独立心の強い息子の様なもので、沈殿となっていつまでも仲良くはしてくれない。・・・?
rei000先生あたりに見解を伺いたいところですが。
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この回答へのお礼

無期酸と有機酸とでも塩類の溶け方に違いがあり、考え方も異なることが分かりました。「錯塩、副塩」について調べてみようと思います。

お礼日時:2002/03/11 17:15

 あまり理論的な説明は出来ないのですが、各種イオンの組み合わせには「溶解度積」というものが存在します。

Na+やK+に比べてBa2+やCa2+は難溶性で溶解度積が小さくなります。従って硫酸との組み合わせの塩がより難溶性となります。しかし、まったく溶解しない訳では無く無限大に近く希釈すれば溶解はします。
 また、共通イオンの効果で塩濃度が濃くなると単独では溶解する物質でも沈殿を生じる場合があります。染料のナトリウム塩は塩化ナトリウムを飽和まで加えて析出させて取り出します(塩析という操作です)。
下記URLあるいはそこの周辺のURLなどが参考になれば幸いです。

http://chemserv.b-ed.smz.u-tokai.ac.jp/chemilab/ …
http://chemserv.b-ed.smz.u-tokai.ac.jp/chemilab/ …

参考URL:http://chemserv.b-ed.smz.u-tokai.ac.jp/chemilab/ …
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この回答へのお礼

簡単に説明できないものですね。共通イオンの効果などの影響もあることが知れて勉強になりました。

お礼日時:2002/03/11 17:09

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 1) MgSO4 + Na2CO3 → MgCO3↓ + Na2SO4
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まず、炭酸水素ナトリウムについては、

 1) MgSO4 + NaHCO3 → MgCO3↓ + NaHSO4
 2) MgSO4 + 2NaHCO3 → MgCO3↓ + Na2SO4 + H2O + CO2↑

という2つの式が書けます。
但し、NaHSO4が生じると液性は酸性になるため、未反応のまま溶けているNaHCO3の分解(NaHCO3+NaHSO4→Na2SO4+H2O+CO2↑)が起きますので、実質的には「2)」に集約されます。
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推測で申し訳ありませんが・・・

チオシアン酸ナトリウム水溶液の液性は弱アルカリだと思いますので、
銅イオンを含む水溶液に添加した場合、一部が水酸化物となり、水相に
留まる可能性が生じます。
それでは「定量」には支障がありますので、「(4)0.01M硝酸」はそれを防ぐ
為のpH調整として加えているのではないでしょうか。


残るのは「(2)10%硝酸カリウム」ですが・・・もしかしたら、チオシアン酸
イオンへの配位子交換を速やかに行わせるため、かもしれません。

どういうことかというと・・・

例えば検体がキレート剤を含んでいた場合、キレート剤は複数の原子で
銅イオンに配位しているため、なかなかチオシアン酸イオンへの配位子が
交換しない可能性が考えられます。
このとき、配位力が弱い配位子が多量にあれば、競争によって一時的に
キレートが外れる可能性は高くなります。
一方、一旦銅(I)イオンにチオシアン酸イオンが配位すると、生じた錯体は
有機相への溶解度が高いためにそちらに移動し、水相に留まる硝酸イオン
やキレート剤との再結合を免れることができます。

このため、キレート剤とチオシアン酸イオンだけで競争するのに比べ、
別の弱い配位子が存在した方が、銅(I)イオンが有機相に取り込まれる
のが早くなる可能性がある、という推測です。

 *今回の実験の検体にキレート剤が含まれているとは思いませんが、
  例えば実際の工場排水の水質検査などになれば、そういったものが
  共存する場合もあり得るので、「定量方法」としてはそれらの存在を
  前提とした手順になっている必要があるわけです。

推測で申し訳ありませんが・・・

チオシアン酸ナトリウム水溶液の液性は弱アルカリだと思いますので、
銅イオンを含む水溶液に添加した場合、一部が水酸化物となり、水相に
留まる可能性が生じます。
それでは「定量」には支障がありますので、「(4)0.01M硝酸」はそれを防ぐ
為のpH調整として加えているのではないでしょうか。


残るのは「(2)10%硝酸カリウム」ですが・・・もしかしたら、チオシアン酸
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