No.4ベストアンサー
- 回答日時:
質問者さんはおそらく高校生の方だと思うのですが、カントの業績についてはすでに「調べ」はついていますか?
いまのわたしたちは、カント、というと哲学の人、ニュートンというと、自然科学の人、文系と理系、まったく別々のものだと考えていますが、ニュートンやカントの前の時代にあたるデカルトのころは、同じものでした(デカルトは哲学者でありながら数学者でもありました)。そうして時代が進むにつれ、それが徐々に分かれていった、という経緯があります。
カントは当時、華々しい成功をおさめつつあった数学と自然科学に基づいて、自分の形而上学(哲学)を打ちたてようとしたわけです。
彼の二大著作とされる『純粋理性批判』と『実践理性批判』という本は、何が書いてあるかを見ると、「我が上なる星きらめく天空とわが内なる道徳法則」のつながりがわかってきます。
『純粋理性批判』というのは、わたしたちがふだん見ているはずの「もの」とは何か、そうしてわたしたちはどうしてそれがその「もの」だとわかるのか、実際に、どんなふうに、どんなプロセスを経て「わかって」いくのか、が書いてある本です。そのなかには、わたしたちが「知る」ことのできることと、できないことも書いてあります。
つまり、これはわたしたちが「わかる」という仕組みを解き明かそうとする、理論的な本です。
『実践理性批判』というのは、人はいかに行動すべきか、正しい行動とはどんなものか、と書いてある本です。正しい行動の基礎は「義務」(日常で使う「義務感」みたいなのとはちょっとちがいますが)にある、とするもので、最近の倫理学の世界では、ちょっと、はやらなくなってきているのですが、重要な本であることには変わりはありません。
こちらは実践面を受け持っています。
「我が上なる星きらめく天空」をどうしてわたしたちはそこにあると知ることができるのか。
カントは、“星がそこにあるからだ”、とは考えません。
わたしたちの内に、それを受けとる能力(感性)があり、それを星であると認識する能力(悟性)があるからだ、とするのです。
人間の内にある悟性が、空間や時間、因果関係といった形式(考え方の枠組み)によって、「星」という対象を構成する。この形式はあらゆる人に先天的に共通に備わっているから、あらゆる人が「星」を同じものとして認識できるのである。
さらに人間には理性の働きがある。理性とは、この人間の認識をもとに、比較や推論をしていく能力のことです。理性は、認識を拡げるものではなく、体系的統一を与えるものとしてある。
さらに人間の認識ではなく、行為(実践)ということに考えを移していくとき、「正しい行動」ということを考えていくときにこの理性の働きは、重要になってきます。
カントは道徳の根底に、「いつどこでもみんなの決まりになるとよい、と思えるような基準にしたがってふるまうべきだ」とか、「ほかの人を常に目的そのものとしてあつかうべきで、なにかの手段としてだけあつかってはならない」といったルールがあると考えます。
そういうルールをもとに、道徳は、人間が経験から割り出した「こうしたときにはこうしたほうがよい」というものではなく、この理性が「しなさい」と命じるものである、と考えるのです。
つまり、「我が上なる星きらめく天空とわが内なる道徳法則」というのは、カントがあきらかにした人間の認識のありようと、その認識に基づく実践について、端的にまとめたものであるといえます。
> 「万有引力のリンゴ」と「知恵の木の実のリンゴ」
でいったい何をその先生がおっしゃろうとしたのか、わたしにははっきりとはわかりませんが(少なくともわたしはこういうメタファーは初めて見ました)、その箇所をおおざっぱに説明すると、そういうことになるかと思います。
No.3
- 回答日時:
お邪魔します。
最初に確認ですが、ニュートンと林檎、アダムとイブの知恵の実としての林檎の二つの逸話に関してはご存知ですよね。
星きらめく天空と道徳法則を比喩的にニュートンの「万有引力のリンゴ」と「知恵の木の実のリンゴ」と表現したのではないでしょうか。
以下は、逸話は知っているが、その比喩の繋がりが理解しがたい、と言う前提で説明してみます。
ところで、問題の文章は「実践理性批判」結びの4頁ほどの文章です、それを読んで、その後の解説の16で問題の文章について解説してあります。ですから、この部分を読まれるのが手っ取り早いのですが。
とりあえず大雑把に比喩の繋がりを説明してみます。
先に、簡単な道徳法則。
結びの文章では、第二のものは「叡智者としての私の価値を、私の人格性を通じて無限に高揚するするのである。」とか最後の方で「知慧の教えに通じる狭き門である」と表現しているように、自身に内在する道徳法則を、理解するのは難しい、そのため知恵が必要だといっています。その辺りからの比喩だと理解すればよいのではないでしょうか
星きらめく天空と「万有引力のリンゴ」の繋がりですが
これも、結びの文章に「第一のものは・・空間・・無際限な時間に達するのである。」と表現されているように、外的世界全体のことを対象としています。ここでは繋がりは直接解り難いですが、
カントは別の文章で
「自然はすでにケプラーを育てあげ、惑星が離心的な軌道で運行していることを示す予想外の法則を発見させた。そしてすでにニュートンを育てあげ、この法則を一般的な自然の原因から説明させたではないか。」
『世界市民と言う視点からみた普遍史の理念』
要するに、外的世界の全体がは自然の法則に従って事から、「万有引力のリンゴ」の比喩が出てきたのではと推察いたします。あまり聞きなれない比喩ですが、何処かの解説書に有ったのかも知れませんね。
この回答は、比喩の繋がりについてだけ回答しています。
「外なる自然法則」と「内なる自然法則」この部分は私には解りませんので、専門家にお願いしましょう。
なお、岩波文庫の解説では
理性は一つしかないのに、二通りの使用法がある、即ち、内と外、に重点を置いています。
ちなみに、現代は、量子力学の時代であり、心の先験性も疑問が出ていますが、野暮な事は書きません。
No.2
- 回答日時:
頭上に広がる宇宙と心の中の宇宙といっているのです。
この双方の宇宙は同じものということですね。つまり、天文学者が望遠鏡の観測で探求しようとする天空に広がる宇宙は、哲学者が見つめる心の宇宙と同じものであるといいたいのです。ギリシャ哲学から始まる西洋哲学のみではカント先生の哲学の意味は到底理解できません、東洋の仏教思想を学んではじめてカント先生の偉大さがわかるのですね。
No.1
- 回答日時:
すみません,哲学は全くの素人ですので,このコメントをきっかけにほかの方のコメントが出ることをお祈りして,コメントさせていただきます。
おそらく,西洋哲学では,何が「在る」のか,なにが確実なのかというのがずっと論議されてきているのだと思われます。そこで,ギリシャからずーっといろいろ論議されていて,その後,肉を飲み込みたがらなかったカントが出てきて,まったく人間の思惟から離れた自然法則とそれから自己の内にある道徳法則,これは「在る」のではないか,ということを言いたかったのではないかと思うのです。
カントがそう言ってくれたので,外と内があれこれと論議されて,科学と実存がどうのこうのみたいになってくるのかと思われます。
まったくの素人判断です。どなたかの適切なコメントを待ちますので,申し訳ございません。
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