カテゴリが物理学か天文学か迷ったのですが、大気圏再突入について興味があったので質問させていただきます。
ここでいろんな人の質問をみて、以下については理解できました。
・シャトル等が周回軌道を維持するためにマッハ20以上でかっとんでいること、
・大気圏に再突入する際は、少しだけ減速して軌道離脱すること、
・減速しすぎると突入角度がつきすぎて燃え尽きたり急激ななGで乗員が潰れちゃうこと、
・極超音速で大気圏に突入するため高度70kmあたりで空力加熱で火だるまになること、
そこで新たに質問なのですが、
(1)必要な燃料等を軌道上で補給できるとして、軌道離脱の際に乗員が死なない程度のGで水平方向の速度を落とそうとした場合、大気圏に突入する前(大気の影響を受ける前)にどの程度の速度まで落とせるでしょうか。
(2)打ち上げに関してですが、重力に逆らって周回軌道に打ち上げることと、周回軌道を維持する速度を得ることでは、どちらが燃料を必要としているのでしょうか? (言い方を変えると、(1)のような水平方向の減速に必要な燃料がどれくらいになるかが知りたい)
(3)無人で補助ロケットを周回軌道に上げておき、軌道上でシャトルにドッキンクできれば、(1)のようにして再突入時の空力加熱を軽減して危険を軽減できないものでしょうか?(補助ロケットの打ち上げコストで乗員の安全を買うイメージ)
以上、意見よろしくお願いします。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
大雑把に言えば、通常のロケットの第一弾エンジンは、ペイロードを高いところまで運ぶために、第二段エンジンはそこで軌道速度を得るために使われます。
したがって、第二段ロケットだけを軌道上でドッキングできれば、ほとんど減速させることができるのではないかと推測されます。
ですから(1)への回答としては、私も若干自信がありませんが、加熱の問題がない程度まで減速できると思われます。
(2)ですが、通常は重力に逆らってペイロードを持ち上げるほうが圧倒的に燃料を消費します。これは、重力方向の加速は、もたもたしているとどんどん地球に引き寄せられるため、燃費よりも馬力を要求されるためです。水平方向の加速であれば、多少時間がかかってもよいので、燃費を重視できます。
ですから、通常第一弾エンジンには燃費が悪くて馬力が大きいものに加えて、固体ロケットブースターが補助として使われます。また、ノズルの開口面積にも工夫がされていて、第二段ロケットのほうが圧倒的に効率が改善されます。
(3)確かにそうかもしれませんね。ただコストの意識はNASAの判断でしょうね。いまのところ、どんなに安いロケットでも10億円は下りません。第一弾の上に、上昇用と減速用のふたつの第二段ロケットをつけて飛ばすコストは50億円を見積もっても足りないかもしれません。
あと参考までになんですが、大気突入のシミュレーションであれば、大学1年生くらいの知識でもできると思いますよ。地球大気が高度に対してどのように分布しているのかだけ調べてこれれば、たぶんご自身でも検討可能だと思われます。
回答ありがとうございます。
当方の質問内容に一番沿った回答をして頂けた気がします。
主旨は機体が十分に耐えられる温度まで加熱を抑えることですので、それに必要な程度の減速が出来ればよい訳です。乗員の安全が50億円で安いか高いかは分かりませんが(^-^;)
あとは再突入でのダメージが軽減すれば機体の寿命も少し延びるかもしれませんね。
当方は理系的な思考は出来るつもりですが、航空や物理には全く素人なので、いろいろ調べて勉強したいと思います。
No.6
- 回答日時:
まだ締めきられていないようですので。
最終的な結論は数値的な検討も必要でしょうから、おそらくここでは明確にはならないかと思いますが、論点はおそらく以下のようになるかと思います。
・空気の猛烈な圧縮による過熱が速度に対してどの程度発生するか。
進入角が深くなれば、浅く侵入するときに比べて急激に大気が厚くなるので、十分減速する前に非常に多くの大気を圧縮し、その結果高熱が発生します。
もし軌道上で対地速度をゼロにできたとすると、その後は重力に引かれて落下を始めます。大気圏突入時に達する速度がそれほど大きくなければ、大気が急激に厚くなっても発熱はより小さいかもしれません。
(極端な例では、高度400kmから自由落下するときに到達する速度は、マッハ8程度になると思います。落下いっても、第一宇宙速度よりは小さくなりますね。)
実際には地表まで降りてきてから減速することになるかと思いますが、これらを数値的に比較して、有効かどうか判断することになります。
・逆噴射が可能かどうか
流体力学的には、逆流する外気体はエンジン直前で急激な減速を受け、それにより圧力が上がります。エンジンは流線型ではないので、その圧力は確かに大きくなるでしょう。
しかしロケットの推力はこの圧力でなく、排出される気体の反作用によるものですから、それほど推力に違いはないのではないかと思います。
ただし、ノズル開口端での圧力バランスによっては確かに逆流が発生し、エンジン内で流れが乱れる可能性も否定できません。その場合は、逆噴射は不可能になる場合もあるかと思います。
回答ありがとうございます。
本格的に検討するとなると、大気の濃度からエンジン出力と重量の計算などなど、非線形の計算がいっぱい必要な感じですね。
素人には難しそうです。(物理も得意ぢゃ無いですし)
自由落下だと4~5分で高度70kmあたりまで落ちてきそうですが、周回している状態だと遠心力があるのでもう少し時間かかるはずですよね。
仮に2Gの逆噴射を5分間維持できれば、マッハ23はマッハ3くらいまで減速できる計算になると思います。この速度なら燃えるほどの加熱はないと思います。(あまり自信ないですが)
その後は大気の圧力が無視出来ないので逆噴射は停止し、空気抵抗に備えることになるでしょうか。
燃料は爆発しないように使い切ったほうが良いかもしれませんね。
No.5
- 回答日時:
ANo.1です。
> 水平方向の減速だけなら打ち上げに匹敵する燃料は不要みたいですね。
「水平方向の減速」=「高度の低下」です。おわかりとは思いますが,念のため。衛星は
なぜ地球周回軌道上で「浮いている」と思いますか?地球の引力と地球の引力を振り払お
うとする力(遠心力)が均衡しているからです。第1宇宙速度というのはご存じですか?
v=SQRT(GM/r)
v:物体の水平速度(第1宇宙速度)
G:万有引力定数
M:惑星の質量
r:惑星の半径
これは,地表すれすれを「落ちる」事なく周回するための速度です。宇宙空間では,その
軌道を維持する速度が決まりますから,水平速度を落とせば必ず高度が落ちます。ただし,
この第1宇宙速度も,地球の場合は秒速約8kmの速度になります。つまり,水平速度を
殺してしまえば「墜落」してしまいます。
# ドッキングが難しいのは,こういう事情もある
> 員が乗っている物体が燃えない程度に加熱を抑えられればと思った次第です。
他の方も書かれていますが,むしろブースターを使うことによる信頼性の低下の方が
大きいと思います。また,加速の時とは逆に,減速の時には進行方向にロケットエンジンを
向けるわけですから,エンジンには打ち上げ時の倍以上の圧力がかかることになります(燃焼
気体を噴出しようとする力に加え,エンジンに流れ込もうとする気体の力が加わる)。ですか
ら,逆噴射は現実的ではありません。
仮に宇宙空間だけで逆噴射をしていたとしても,今度は突入角度が深くなり,不測の事態
(ロケットが故障するなど)が発生してしまったら燃え尽きてしまうことになります。
結局,今の降り方が現実的に一番安全と言うことではないでしょうか。
もっとも,大気のない天体,月などでは逆噴射しか減速方法がないので,やってますけ
どね。
> 水平速度を殺してしまえば「墜落」してしまいます。
もちろん落ちてくるのは理解してます。いきなり速度ゼロじゃないので
遠心力が働いて、自由落下よりは高度を下げるのに時間がかかるかな。
大気の影響を受ける高度まで落ちてくる前に、燃えない速度まで減速しておく必要がありますね。
> エンジンには打ち上げ時の倍以上の圧力がかかることになります(燃焼
> 気体を噴出しようとする力に加え,エンジンに流れ込もうとする気体の力が加わる)。
逆噴射は大気の影響が小さい高度に限ることになるでしょうね。
それなら流れ込む気体の圧力も無視できるはず。
2Gの逆噴射を5分ほど維持出来れば、空力加熱が起こる高度に落ちてくる前に十分に減速できそうですが・・・
って、これに必要な燃料は相当量になりそうですね^^;
No.3
- 回答日時:
1.物体が衛星になる最低の水平速度が8km/秒と言われていますから、逆に降りて来るときにはそれ以下に減速する必要があり、現に衛星が帰還するときには逆噴射を行なってその速度まで下げます。
2.重力に逆らって速度を増すには速度エネルギーとポテンシャルエネルギーを必要とし、特に後者が大変大きいのです。また上昇時はこれを大気中で行なわなければならないためにそのロスが大きいので、上がってからの速度調整に較べれば上昇するときの燃料が遙かに沢山必要です。上がってしまえば質量が軽くなっている上、空気がないので少量の燃料で速度調節が可能です。
3.確かに図体が大きくなれば空気から受ける力が大きいのですが、質量が増えた分だけ減速には大きな力が必要になる勘定で、大きくすることは無益です。逆に小さい方が単位質量当たりの表面積が大きくなりますから摩擦面が多いだけ減速効果が高いのです。ですから人間を5階の高さから落せば確実に死にますが、蟻を同じ高さから落しても足を折ることさえないですよね。ですから帰還するときは軽くて小さい方がいいのです。
回答ありがとうございます。
3の補助ロケットは、逆噴射して減速する目的で考えました。軌道上で補助ロケットを装着し、高度70kmあたりまでに少しでも速度を落とし、そのあとは補助ロケットを分離して本体だけ帰ってくるとか。
所詮素人考えですけど(^ー^A)
No.2
- 回答日時:
シャトルの写真を見てください。
メインエンジンが3機ありますが。自前で燃料は持っていないので、打ち上げ後は重りです。
そのそばに小さいノズルが2つありますが。これが軌道移動/帰還用エンジンです。
シャトルの燃料タンク自体が、この小型エンジン用しかありませんので。軌道上で燃料を補給できるということに意味はありません。
仮にの話として。減速して大気圏突入を考えるとしても。そのための燃料/エンジンを打ち上げるコストを考えると、莫大なものです。「打ち上げロケットと同等のシステムを」「使わないままで」「別のロケットを使って打ち上げる」必要があるわけですから。
また、「使用前ににメンテを受けられないロケット」を使うことになる危険性を考えると、安全性にのメリットがどれほどあるかも疑問です。
現状のシステムは、これはこれで低コストを狙ったものなのです。
回答ありがとうございます。
質問でシャトルと書きましたが、NASAのを指したつもりじゃなくて、再突入する一般的な乗り物という意味で使わせていただきました。
減速は、速度をゼロにする必要は無いですよね。1300℃に達すると言われている機体の表面温度が半分になるだけでも、安全性がずいぶん違うと思うのです。
減速用の補助ロケットは、性能を妥協すれば試験無しで使う場合の危険性も抑えられるかなと(再利用可能な補助ロケットって方法も)。
もちろん当方は素人考えですので、本職の方々が一番よい方法を選んでいるのだとは思っていますが。
No.1
- 回答日時:
A1.ほとんど落とせないでしょう
打ち上げロケットのサイズと軌道上の衛星のサイズを考えてみてください。減速に燃料を
使おうと思うと,打ち上げ時に匹敵する燃料が必要です。
A2.打ち上げです
A1でも書いたとおり,打ち上げに必要なエネルギーはかなり必要です。しかし,衛星
軌道上はほぼ真空ですから,軌道維持にはそれほど燃料を必要としません。「ほぼ真空」
と書いたとおり,多少は抵抗があるので,その減速分を補う必要はありますけれど。
A3.エネルギー消費を考えると現実的ではありません
そうでなくてもロケットは金食い虫です。確かに理屈上は可能のように見えますが,衛星
軌道上に資材を運んで,それを組み立て,諸々の性能テストを行った上で取り付けるわけ
ですから。資材の打ち上げだけで,既に無駄が生じます。
回答ありがとうございます。
A1, A2に関しては、他のかたの意見も見た感じでは、水平方向の減速だけなら打ち上げに匹敵する燃料は不要みたいですね。
A3に関しては、目的は再突入時の危険回避なので速度をゼロまで落とす必要はなく、乗員が乗っている物体が燃えない程度に加熱を抑えられればと思った次第です。その程度であればロケットの出力を妥協してコストを抑え、信頼性も得られるかなと。
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