アプリ版:「スタンプのみでお礼する」機能のリリースについて

半導体になる元素はC,Si,Geがありますが、なぜこれらと同じ14属のSn,Pbは半導体にはならないのでしょうか?分かる方いましたらお願いします。

A 回答 (2件)

chiezo2005 さんの説明通りですが、若干(かなり)補足します。



C(ダイヤモンド)やSi、Geなどの単体元素(1種類の元素)からなる結晶では、周期律表の上の元素ほど原子間距離が小さくなるのでバンドギャップエネルギーが大きくなります [1]。同様の傾向は、化合物でも見られます。14族化合物で言えば、Si と Ge の混晶はSi の組成が大きいほどバンドギャップが大きいのですが、同時に Si 組成が大きいほど格子定数が小さくなります。これをベガード則といって、これを利用して格子定数の測定値から混晶の組成を求めるという方法がよく使われています。

ベガード則は同じ族の化合物だけでなく、異なる族のII-VI族( ZnOやZnSeなど )やIII-V族( GaNやGaAsなど )化合物でも成り立ちます。資料 [2] は主な半導体の格子定数とバンドギャップの関係を示したものですが、全体に右下がりになっています。つまり横軸の格子定数が大きいほど縦軸のバンドギャップが小さくなります。III族元素とV族原子がともに周期律表の下にあるInSb は、この表の中で格子定数が最も大きく、バンドギャップは0.25eV程度と半金属になっています。バンドギャップは格子定数だけで決まるわけではないので、同じ格子定数なら同じバンドギャップというわけではないのですが、Si と Ge が直線で結ばれているように、混晶の格子定数とバンドギャップの関係は比例関係にあります。しかし例外もあります。GaIs-InAs系は曲線で結ばれているのでリニアではありませんし、GaAs-AlAs系のように、組成が変わっても格子定数がほとんど変わらない場合もあります。

原子間距離が小さいほどバンドギャップが小さくなるのは、化学結合や半導体物理を学ばれていないと理解が難しいのですが、まず孤立原子を考えます。孤立原子の電子のエネルギーは、水素原子のエネルギーモデルのように、飛び飛びのエネルギー準位になっています [4]。これに対して、結晶のように、複数の原子が規則的に並んでいて、その距離を縮めていくと、準位が広がりを持ってきて、エネルギー的に幅を持った「バンド(帯)」の状態になります。原子間距離が小さいほどバンドが広がっていきますが、バンドが広がってくると、隣接バンド間の間隔(ギャップ)が狭まってくるので、バンド間の間隔(バンドギャップ)が小さくなります。この様子を図示したのが資料 [3] です。このような性質があるため、Sn やPbのように格子定数が小さい物質では、このバンド間の間隔が小さかったり(α-Sn)、重なってしまったり( β-Sn、Pb ) するので、半金属や金属になってしまいます。Ge のバンドギャップが Si より小さいのもこのためです。格子定数が大きいほどバンドギャップが小さくなるというのは、バンドギャップの温度依存(高温ほどバンドギャップが狭くなる)の説明にもなります。物質は高温ほど伸びますが、これは格子定数が大きくなっているからで、このため高温ほどバンドギャップが狭くなるのです。

蛇足ですが、バンドギャップと屈折率にも関係があって、バンドギャップが大きいほど屈折率が小さくなります。ガラスやサファイヤなどバンドギャップが大きいものは屈折率が小さく、バンドギャップの小さいものほど屈折率が大きくなります(したがって光の反射率が高くなる)。この傾向を利用して、バンドギャップの小さい半導体を、バンドギャップの大きい半導体ではさんだダブルヘテロという構造が発光素子では使われています。こうすれば光を内部に閉じ込めることができるので発光効率を高めることができます。

[1] 「3.LCAOによるバンド構造の理解」の部分  http://semicon.kuee.kyoto-u.ac.jp/index.php?%BC% …
[2] 格子定数とバンドギャップの関係 http://www.isl.titech.ac.jp/~munelab/Test05.pdf
[3] 固体のエネルギーバンド (PDFファイル5ページ) http://www.ee.fukui-nct.ac.jp/~yoneda/text/Lectu …
[4] 水素原子のエネルギー準位 (PDFファイル3ページ) 同上
    • good
    • 1
この回答へのお礼

大変丁寧に回答ありがとうございました。金属というと伝導帯に自由電子が沢山あるイメージだったので、これにバンドギャップも関係しているというのは知りませんでした。ただ原子間距離とバンドギャップの関係がまだ理解できていないのでもう少し勉強をしてみようと思います。
 普段は半導体を使う方の仕事をしているので物性はあまり詳しくないのですが、この回答を読んで大分すっきりしました。ありがとうございました。

お礼日時:2007/08/15 17:57

14族の元素は周期律表で下に行くほど,原子半径が大きくなり結晶の原子間距離が長くなってしまいます。

その結果,バンドギャップが小さくなり金属結合的になります。
錫は半導体に分類される場合もあります。なぜなら,錫にはα錫とβ錫があり前者は共有結合,後者は金属結合と2面性があります。
鉛はほとんど共有結合性をしめさないので,金属となります。

ただし,鉛錫テルルのような化合物半導体もあります。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

錫は半導体にも金属にもなり得るんですね。そういえば何かの本に温度によって半導体になったり金属になったりする物質があるってのを読んだ気がします。あれ錫の化合物だったんすかねえ。
回答ありがとうございました。

お礼日時:2007/08/15 17:36

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!