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大学の課題レポートの中にわからない問題があり、調べても解決できそうにないのに、提出期限が迫っているのこともあり質問することにしました。どうかよろしくお願いしますm(_ _)m

「H-C-C-Hにおいて左側のHがαスピンであるとき、スピン-スピン結合している際の右側のHはαスピンとβスピンどちらが安定か。分極機構を用いて説明しなさい。」

αスピンとβスピンの関係がよくわかっていません。そして、何より分極機構がなんなのかよくつかめていません。

内容は物理化学だと思います。

それでは解答も方お待ちしています。よろしくお願いしますm(_ _)m

A 回答 (3件)

1H-NMRの話ですよね。



「ビシナルプロトンの3JHHスピン-スピン結合の符号が正になることを、分極機構により説明しなさい」という課題だと思います。

分極機構に関しては、アトキンス物理化学(下)第6版 の590~591ページに解説があります。591ページの図18・22に「ジェミナルプロトンの2JHHスピン-スピン結合の符号が負になること」の説明があるのですけど、この図の記法を使って3JHHスピン-スピン結合の分極機構を説明すると、

↑┐(左側のHの核スピン)
 │フェルミ
↓┤
 │パウリ(左側のCH結合)
↑┤
 │フント(左側のC原子)
↑┤
 │パウリ(CC結合)
↓┤
 │フント(右側のC原子)
↓┤
 │パウリ(右側のCH結合)
↑┤
 │フェルミ
↓┘(右側のHの核スピン)

のようになります。

アトキンスの教科書を読んで、それでも分からなければ、補足欄でお知らせください。

この回答への補足

回答ありがとうございました。
1H-NMRの話です。

アトキンスは物理化学の定番の参考書ですよね。
早速読んでみましたが、理解に苦しんでいますので、さらなる解説の方よろしくお願いしますm(_ _)m

補足日時:2008/01/30 00:38
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> 1H-NMRの話です。



ですよね。それなら、No.1さんのいう分極は『電気分極』のことですので、NMRのスピン-スピン結合とは関係ないと思います。
 この問題における分極とは、共有結合に使われている電子対の『スピン分極』のことです。スピン分極ということばも、いろいろな分野で違った意味で用いられていて厄介なのですけど(例えばウィキペディア日本語版「スピン偏極」の例1~3は、今の話とほとんど関係ないです)、ここでは、有機ラジカルのESRの電子スピン密度の話で出てくるモノのことです。
 
また、問題文中にあるスピンとは、水素の『原子核』のスピン(以下、核スピン)のことです。αスピンとは、外部磁場と同じ方向を向いている核スピンのことで、上向きの矢印記号(↑)で表します。βスピンとは、外部磁場と逆方向を向いている核スピンのことで、下向きの矢印記号(↓)で表します。
 ちょっと紛らわしいのですけど、以下で述べるように、『スピン分極』するのは、共有結合中の電子のスピン(以下、電子スピン)です。電子スピンにもαスピンとβスピンがあって、核スピンと同様にαスピンを↑でβスピンを↓で表します。

さらに注意しないといけないのは、アトキンスの「共有結合を介したスピン-スピン結合」を説明しているページ中で、単に「結合」とだけ書いているところがあるのですけど、これが「スピン-スピン結合」の略だったり、「共有結合」の略だったりして、統一されていないことです。これは coupling という単語と bond という単語に同じ訳語を当ててしまった訳者のミスでしょう。

では、これらを踏まえて、アトキンスの590~591ページを段落ごとに読んでいきましょう。

第1段落:スピン-スピン結合は……
 この小節では、スピン-スピン結合(以下、スピンカップリング)の起源について考察する。

第2段落:スピンの射影が……
{固体NMRの話なので、無視します}

第3段落:液体では……
{第2段落に書いてあることがふつうのNMRでは無視できることが、理由つきで書いてあります。ここも無視していいです}

第4段落:溶液中の分子における……
 1H-NMRにおけるスピンカップリングは、分極機構で説明できる。分極機構では、核スピンどうしのスピンカップリングが共有結合を通じて起こる、と考える。一番簡単なのは、ただ一つの共有結合だけが関与する、1JHHの場合である。このスピンカップリングの記号1JHHは、下付き文字のHHが、水素原子核どうしのスピンカップリングであることを示しており、上付き文字の1が、水素原子核がただ1個の共有結合を介して結ばれていることを示している(図18・20)。このスピンカップリングの起源は、一個の水素原子だけを考えた場合、核スピンと1s軌道の電子スピンが反平行になっている(核スピンと電子スピンの向きが互いに逆向きになっている:核スピンがαなら電子スピンはβ、核スピンがβなら電子スピンはα)ときの方が、核スピンと1s軌道の電子スピンが平行になっている(核スピンと電子スピンの向きが同じ向きを向いている:核スピンがαなら電子スピンもα、核スピンがβなら電子スピンもβ)ときよりも安定である、という事実である。この1s軌道の電子スピンと水素原子核スピンとのカップリングは、『フェルミの接触相互作用』によるものである(電子スピンと核スピンの間の双極子相互作用は全く関係がないので考える必要はない)。つぎの「根拠」に示してあるのはその場しのぎの説明なので、読む必要はない。ここでは、1s軌道の電子スピンと水素原子核スピンが反平行になっている方が、エネルギー的に有利であることを、実験事実として受け入れればよい。

根拠18・2:フェルミの接触相互作用を絵で説明すると……
 s電子は(p電子やd電子とちがって)原子核に触ることができるので、原子核スピンと特別な相互作用をすることができる。言い出しっぺは、たぶんフェルミさん。

第5段落に入る前に、共有結合についておさらいします。
 ここでは、分子軌道法で考えるよりも原子価結合法で考えたほうが分かりやすいです。つまり原子が1個ずつ電子を出しあって電子対をつくり、この電子対を二つの原子が共有していると考えます。大事なことは、『共有される電子対の電子スピンの向きは互いに逆向きになっている』ということです。一方の原子の原子軌道に入っている電子のスピンが上向きのαスピンなら、他方の原子の原子軌道に入っている電子のスピンは必ず下向きのβスピンになります。
 それほど広く受け入れられている表記法ではないのですけど、分極機構の説明図では、電子対の電子のスピンが逆向きになることを『パウリの排他原理』にちなんで、「パウリ」と表記しています。

第5段落:もしがαであると……
図18・20の左側の水素原子をXとすると、Xの核スピンが上向きのαスピンなら、Xの1s軌道に入っている電子のスピンが下向きのβスピンのときの方が、電子スピンが上向きのαスピンのときよりも、エネルギー的に安定である(第4段落の最後で述べたことから)。Xの1s軌道に入っている電子がβスピンなら、共有結合している相手側のYの1s軌道に入っている電子スピンは、上で述べた電子対の性質から、上向きのαスピンになる。Yの核スピンは、Yの1s軌道の電子スピンと反平行になった方がエネルギー的に都合がよいから、Yの1s軌道の電子スピンがαなら、Yの核スピンは下向きになる方が、上向きになるよりもエネルギーが低くなる。もしXの核スピンが下向きのβスピンのときは、これと反対のことが起こる。つまり、今度は、Yの核スピンが上向きのαスピンのときの方が、より低いエネルギーをもつことになる。いいかえると、核スピンと共有結合に使われる電子(のスピン)の接触相互作用の結果として、図18・20の水素分子の場合では、Xの核スピンがαスピンなら、Yの核スピンはβスピンになる方が安定になる。

第6段落:たとえば、H―C―Hの場合のような……
次に、HX―C―HYの場合のような2JHHスピンカップリング(上付き文字の2は、水素原子核HXとHYが2個の共有結合を介して結ばれていることを示している)のときには、C原子のsp3混成軌道がどのように働くかを考える必要がある。この場合は(図18・22)、Xの核スピンがαスピンなら、Xの1s電子はβスピンになるから、Xの1s軌道と結合しているCのsp3混成軌道の電子スピンは上向きのαスピンになる。Cの四つのsp3混成軌道にはそれぞれひとつずつ、合計四つの電子が入っているが、『フントの規則』によれば、Cのsp3混成軌道に入っている四つの電子のスピンの向きは全部同じ向きになるから、Yの1s軌道と結合しているCのsp3混成軌道の電子スピンも上向きのαスピンになる。その結果、Yの1s電子はβスピンになり、したがって、Yの核スピンはαスピンになる方が、βスピンになるよりも安定になる。(以下略)

第7段落:フェルミの接触相互作用による……
{13C-NMRなどの場合は、もっとむずかしい話になるとのこと。無視です}

これでどうでしょう。

分かりにくいところ、納得がいかないところ、間違っているように思われるところがあれば教えてください。
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この回答へのお礼

わざわざありがとうございます。
すごく参考になりましたm(_ _)m
何となくではありますが、理解できたような気がします!

お礼日時:2008/02/05 22:01

こんばんは。



分極機構とは、原子-原子結合において、どちらかがプラスの電荷になる。どちらかがマイナスの電荷になる現象を言います。

この問題におけるスピンとは、水素原子における電子のスピンを表しています。

こんなことをヒントにして、検索してみれば、論文が出てきますよ。

多分、この辺りが参考になるでしょう。
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002022976/

では。
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この回答へのお礼

わざわざありがとうございますm(_ _)m

いろいろと文献を探してみます。。

お礼日時:2008/01/30 00:38

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