いちばん失敗した人決定戦

安息香酸とp-ブロモ安息香酸の酸性度はどのようになるのでしょうか?共鳴形を考えると、-Brのlone pairが環内に流れ込み電子密度を大きくしてしまうから、結果として-OHのOの電子密度も大きくなりH^+が解離しにくくなるのではないのですか?

A 回答 (2件)

私の手元にある文献によると


安息香酸     pKa=4.2
p-ブロモ安息香酸 pKa=4.0
となっており微妙な差ですけどp-ブロモ安息香酸のほうが強い酸です。

理由としては、電気陰性な臭素原子の効果(電子求引誘起効果)により環内の電子密度が小さくなることに由来するのではないかと思います。ご指摘の共鳴効果についてですが、臭素原子の場合は酸素原子や窒素原子のようには考えられないと思います。といいますのは、臭素は第4周期の元素ですので、炭素ー臭素結合が長く、臭素の非共有電子対が入っている4p軌道とベンゼン環炭素の2p軌道が共鳴できるほど効果的には重なることができないからです。

化合物の酸性度や塩基性度、および反応性を考える上では電子の誘起効果と共鳴効果のバランスを考えるのが重要です。例えばp-フルオロ安息香酸ではpKa=4.1となっており、安息香酸よりは強い酸ですがp-ブロモ安息香酸よりは弱い酸となっています。電子求引誘起効果だけを考えれば、フッ素の電気陰性度は4.0と全元素中最高ですから、p-ブロモ安息香酸よりも強い酸になってもいいような気がしますが、フッ素の場合には臭素とは逆、つまり酸素原子や窒素原子と同様に共鳴効果が重要になってきます。すなわち非共有電子対が2p軌道に入っているため、ベンゼンのπ電子と効果的に重なることができ、環内電子密度の増大につながるのです。電子陰性誘起効果と共鳴効果という相反する効果の差し引きによりこれらの値が決まるという訳です。

p-クロロ安息香酸のpKaデータは手元にありませんが、p-ブロモ安息香酸とp-フルオロ安息香酸のデータをもとに考えれば、これも安息香酸よりは強い酸であることが予想されます。
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この回答へのお礼

共鳴効果と誘起効果の差し引きはどのように考えればいいのか前から疑問に思ってました。軌道の重なりを考えるわけですね。すっきりしました☆ありがとうございました( ̄∧ ̄)(_ _)

お礼日時:2005/11/23 23:23

一般的には、酸が解離した状態の安定性の差を評価するのが良いと思います。


すなわち、p-ブロモ安息香酸の場合には、-COO^-の部分について、カルボキシル基の側が、=C(O^-)2 となり、-Brの側が =Br^+ となるような共鳴形が余分に存在することになり、安息香酸と比較した場合に、このことが解離した状態の「余分の安定化」につながります。
結果的に、p-ブロモ安息香酸の方が解離した状態の安定化が大きいために、強い酸性を示すことになります。
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この回答へのお礼

解離した状態も考えたのですが・・・なぜ質問したようにはならないのか気になったもので。ありがとうございました☆

お礼日時:2005/11/23 23:20

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