この人頭いいなと思ったエピソード

今紫外線のLEDと青のLED2つを使って実験をしているのですが、光そのものの強さを比較したいのにそれぞれμWとmcdで表示して合って困っています。どうにかして2つを同じ単位に揃えて比較する方法はないでしょうか?ちなみに1400μWと460mcdです。

A 回答 (3件)

元・LED開発エンジニアです。


後で詳しい計算方法を書きますが、まず結果だけ以下に書いておきます。用語などの意味は後の説明に書いてあります。

【青色LEDのワット数】
青色LEDの明るさ(光度)が 460 mcdで、発光波長が 470nm とした場合で考えます。
460mcd というのは正面光度 I0 を表わしますが、このLEDの放射角特性が Lmabertain と仮定すると、式(4)から、全光束 F [lm] は
   F = π*I0 = 1.45 [lm]
になります。発光スペクトルの広がりが無視すると、波長 470nm の青色光の視感度 683*V(λ)は、資料 [1] によれば 62.1 [lm/W] なので、放射強度 P [W] は
   P = F/{ 683*V(λ) } = 1.45/62.1 = 0.0233 [W] = 23.3 [mW]
となります。厳密な計算をするには、LEDの放射特性と発光スペクトルが必要ですが、簡易計算ではこうなります。


【詳しい説明】
以下に詳しい説明を書きますが、資料 [1] にも同じようなことが書かれています。この単位の話は結構ややこしいのですがしっかり理解してください。

ワット(W )はLEDが出している光強度(放射強度)の単位です。これは全方向の総和なので、LEDの放射角特性(配光特性)には無関係です。LEDにE [W] の電力を入れて、P [W] の光が出てきたとき、そのLEDの発光効率(量子効率)は P/E になります( P/E は0~1)。

カンデラ(cd)とは、ある微小立体角の範囲を通る光束(単位はルーメン:lm)のことで、LEDの放射角特性によって、cd数(一般に正面光度を表わす)は変わります。つまり W は放射エネルギー/時間の単位ですが、 cd は放射角特性によって変わる量であってW数と直結するものではありません(まだ分からないと思いますが以下で説明します)

【光度と光束の関係】
光度 I [cd] は次式で定義されます。
   I = dF/dΩ --- (1)
F が光束 [lm]、Ωが立体角 [sr] です。光束の正確な意味は後で説明しますが、W に視感度をかけたものと思ってください。光束値が同じなら色が違っても同じ明るさに見えるということです。つまり、光束とは視感度が加味されたワット数というイメージを持ってください。

一方、光度とは、ある微小立体角を貫通する光束の量です(カンデラ値に4πをかければワットとなるわけではありません)。式(1)を書き直すと
  dF = I dΩ
  → F = ∫I dΩ
なので、光度を立体角 Ω で積分したのが、ある角度範囲(ある立体角)を通る光束の量ということになります。全ての方向での光束値(LEDが出している全光束)は、積分範囲を全立体角 4*π としたもの
  F(all) = ∫[Ω = 0 → 4*π ] I dΩ
になります。この全光束 F(all) というのが、上述したように、ワット数に視感度をかけたものに相当します。

もし、光度 I が放射角によらず一定(どの方向から見ても同じ明るさ)で、その値を I0 [cd] とすれば、全光束は
   F(all) = ∫[Ω = 0 → 4*π ] I0 dΩ = 4*π*I0 --- (2)
となります。カンデラ値に4π をかけたのは、等方光源の場合に限れば、光束値になります(ワットではありません)。例えば光度 1cd の等方光源から出ている全光束は 4*π = 12.57 [lm] になります。

光度 I が放射角に依存する場合、正面方向からの出射角 θ と方位角 φ の関数として I ( θ, φ ) で表わせば、全光束は
   F(all) = ∫[ Ω = 0 → 4*π ] I ( θ, φ ) dΩ
       = ∫[ θ = 0 → π ] ∫[ φ = 0 → 2*π ] I ( θ, φ ) *sin(θ) dθ dφ ---(3)
となります(この式の導出は省略しますが、半径 r の球面上の微小面積 dS が r^2*sin(θ) dθ dφ となることから dΩ = dS/r^2 =sin(θ) dθ dφ となります)。もしLambertian光源ならば I ( θ, φ ) = I0*cos(θ) なので、全光束は
  F(all) = ∫[ θ = 0 → π ] ∫[ φ = 0 → 2*π ] I ( θ, φ ) *sin(θ) dθ dφ
      = π*I0
  → I0 = F(all)/π --- (4)
となります。この式で I0 はθ = 0 (正面)での光度に相当します。例えば全光束が 1 [lm] のLambertian光源の正面光度 は 1/π = 0.318 [cd] になります。

等方光源の場合、式(2)から
   I0 = F(all)/( 4*π ) --- (5)
ですので、式(4)と式(5)を比較すれば、全光束 F(all) が同じであっても、放射角特性が違えば正面光度(カンデラ数)は異なることが分かります。市販のLEDの放射角特性 I ( θ, φ ) は等方でもLambertianでもないので、全光束と正面光度の関係は単純な式では表わされませんが、放射角特性が分かれば式(3)で計算できます(近似的に I ( θ, φ ) を回転楕円体とみなせば解析的な関係式が得られます)。

【光束と放射強度(W)の関係】
光束 F [lm] と光強度(放射強度) P [W] との関係は
   F = 683*∫[λ=380nm→780nm ] V(λ)*P(λ) dλ
で定義されます。λ は波長 [m] です。V(λ) は比視感度で、波長 555nm(黄緑色)での値が 1 になっている、人間の目の波長感度を表わすものです。683*V(λ) のことを、「比」をつけない「視感度」ということもあります。P(λ) は放射スペクトルで、これを可視光の全波長範囲で積分したのが放射強度 P [W] になります。冒頭で、「LEDにE [W] の電力を入れて、P [W] の光が出てきたとき・・」と書いた P というのは
   P = ∫[λ=380nm→780nm ] P(λ) dλ
のことを表わしています。

もし、放射スペクトル(発光スペクトル)に広がりがなく、レーザ光のように単色光の場合
   F(単色) = 683*V(λ0)*P --- (6)
となります。例えば、単色光の波長 λ0 が 555nm の場合、V(λ0) = 1 なので、F(555nm) = 683*P [lm] ということになります。P = 1 [W] なら 683 [lm] です。λ0 が 555nm以外の場合はV(λ0) < 1 なので、1 [W] の放射強度であっても 見た目の明るさである光束は683 [lm] より小さくなります。

LEDの効率を表わすパラメータとして lm/W という単位の数字がありますが(白色LEDで 100 lm/W などと表わされる数値です)、これは 1Wの電力を投入したとき、何ルーメンの光束が出てくるという効率を表わすもので、式(6)を変形した
   F/P = 683*V(λ0)
と同じ単位です。つまりこの式は、lm/W 単位で表わされる単色光源の発光効率の理論的な上限を表わしています(したがって、世の中に 683 lm/W を越える発光効率の光源は決して存在しません)。この発光効率は冒頭に書いた量子効率(放射強度/投入電力)と違って、理論的な上限がはっきりしないという欠点はありますが、1Wの電力を入れたときにどれくらいの明るさで見えるかというのが分かるので、照明系のデバイスでよく用いられます。紫外や赤外のLEDなど、視感度がほとんどない発光素子の場合、、lm/W 単位で表わされる発光効率を使うと、数値が小さすぎて逆に効率が分かりにくいので、W単位の放射強度が効率の変わりに使われるのだと思います。

スペクトルに幅のある光源での視感発光効率 η [lm/W] は
  η = F/P = { 683*∫[λ=380nm→780nm ] V(λ)*P(λ) dλ }/{ ∫[λ=380nm→780nm ] P(λ) dλ }
で計算できます( η は 683 lm/W より小さい数値になります)。量子効率εも
  ε = { ∫[λ=380nm→780nm ] P(λ) dλ }/E
で計算できます。E は投入電力 [W] です。ε は 0 から 1 ( 0~100%) の数値範囲になります。紫外や赤外のLEDなど、発光スペクトルが可視光以外の場合は、積分範囲はその発光スペクトルを含む波長範囲とします。

[1] ページの一番下の表 http://www.shinwa-el.co.jp/mailmagazine/44.php
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この回答へのお礼

ご丁寧な回答ありがとうございます☆具体的な値とか計算の仕方まで説明していただいてとても助かります。私にはかなり難しい内容ですけど、じっくり読んで実験に役立てさせていただこうと思います!!ありがとうございました。

お礼日時:2008/01/30 14:45

紫外線の方ががμW、青の方がmcdですね?



カンデラ(cd)は、単位立体角当りのワット数で単位は、W/sr
(srはステラジアンと読みます)
つまり、
LEDの放射が、立体角=4π(平面での360度に相当)であれば、カンデラ値(光度)に4πをかければワットになります。
表と裏があるためLEDの放射が、立体角=2π(平面での180度に相当)であるとすれば、カンデラ値に2πをかければワットになります。

というわけで、青のLEDのカンデラ値を求めるわけですが、波長が何nmであるかの情報が必要です。
視感度曲線(表)において、その波長が人間にとってどれだけ明るく感じるかを表す係数(1以下の値です)を読み取ります。
http://www.cvrl.org/index.htm
http://www.cvrl.org/lumindex.htm
カンデラ値をこの係数で割れば、ワットになります。



当方、紫外線と可視光とでLEDの比較をしたことはありませんので、どこか不十分なことがありましたらすみません。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます☆確かに紫外線と可視光なので簡単にはいかないかもしれないけど、いろいろ参考にしてがんばってみます!!ありがとうございました♪

お礼日時:2008/01/30 14:36

cd の定義を wikipedia で見ると, 「分光視感度効率曲線」とかいうので感度を補正してから定義に入れれば W から cd

に変換できそうな気がします. とはいっても W は全出力なので, 「どのくらいの範囲に広がるのか」が与えられないと変換できませんが.
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この回答へのお礼

ご親切な回答どうもありがとうございます☆早めに知りたい内容だったのでとても助かります♪これからTacosanの情報を参考に頑張って変換してみます。ありがとうございました。

お礼日時:2008/01/23 15:52

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