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No.6ベストアンサー
- 回答日時:
No.3の参考URLでNo.8の回答を行った者です。
ド・ブロイ波長をご存知ということなので、高校物理程度の知識は
あるものとして説明します。
中性子や原子核でも干渉縞は観測されています。
光子も電子も、原子も、それに地球のような巨大な物さえ本来、波動性と
粒子性の両方を持っています。しかし、以下の理由から質量が大きい
物ほど二重スリット実験で波動性を実験で示すことが難しくなります。
二重スリットで干渉性を示すには、空間的に離れた二つのスリットを
同時に通るということが必要になります。これは波では可能です。ただ、
どんな波でも可能というわけではなく、二つのスリットの両方にまたがる
ほど、空間的に広がった波でなければなりません。高校で習う平面波とい
うものは、無限遠まで広がった波ですが、現実の波はもう少し存在する
領域が限られたものです。これを波束といいます。波束が二つのスリット
をカバーするぐらいまで広がっていることが、干渉縞を見るための一つ
の条件です。
(波束については、
www.phys.aoyama.ac.jp/~w3-furu/
の2004年後期8を見て下さい)
さて、電子や原子といった粒子は、古典物理では、有る時間に存在
する位置がどこか一つに決まっているため、同時に二つのスリットを
通るということは考えられません。しかし、実際には物質は、量子力学
に従っています。量子力学では、重ね合わせの原理といって、一つの
粒子が同時に二つ以上の物理量(ここでは位置)をとることができます。
したがって、二つのスリットをカバーする程度に位置が重ね合わさった
状態にしてやることが、物質物質で干渉をみるための必要条件です。
位置の重ね合わせによる広がり度合いをdelta(x)とすると
delta(x) > スリット間隔
でなければなりません。
ここで、不確定性原理というものが、効いてきます。
位置同様に、粒子の運動量も重ね合わせによる広がりを持ちます。
運動量の重ね合わせによる広がり度合いdelta(p)とすると、
delta(x) × delta(p) ~ 定数
という関係を持ちます。質量をもつ粒子の場合
運動量p=質量m × 速度v
の関係がありますので
delta(x) × delta(v) ~ 定数 / 質量
となります。したがって、質量の大きいものほどdelta(x)を
大きくすることが困難になります。
二重スリット実験では、普通二重スリットの前に、単スリット
を起きます。これは、delta(x)を大きくするためのテクニックで、
幅の狭いスリットを通すことで、局所的にdelta(x)を小さくして
やると、そこでdelta(v)が大きくなります。結果、その後の粒子
の進行方向が広がるために、後方で大きなdelta(x)を得ることが
できます。これが回折の原理です。
しかし回折によりdelta(v)を大きくするには、もともとの波束
よりもdelta(x)を小さくしないと十分広がりません。波束の短い
波というのは、波長の短い波の成分が多い波です。これが波長の
短い波が回折現象を起こしにくい理由です。
また、干渉現象というのは、二つの波の位相が半波長分ずれた時に
弱め合い、一波長ずれた時に強め合います。従って、波長が短くなる
と干渉縞の間隔が非常に狭くなり、空間的に見分けにくくなります。
ちなみに、光でもレーザーのように位相の揃った波の場合干渉縞を観察
しやすいのですが、太陽光のように位相の揃っていない波では干渉縞
は観察しにくくなります。分子などのように沢山の粒子からなる物
では、レーザーのように位相を揃えた波を作ることが難しくなります。
これも、巨大なもので干渉縞を見にくい原因の一つです。
No.7
- 回答日時:
#2です。
#6さんが丁寧に説明されているので、余り言う事はないのですが、地球のdelta(x)が十分広がらなくても、スリット間隔を小さくすれば、原理的には対処可能と思っています。それより難しいのが、#6さんの最後に書いてある「位相を揃える事」です。
例えば超伝導は量子効果の一種ですが、超伝導を保つためには直径数センチの超伝導リングを極低温に維持する必要があります。超伝導リングでは、そこを流れる電子集団の位相が揃っています。
一般に、巨視的量子効果(例えば、地球の二重スリット実験)を観測するためには、物体(粒子集団)の位相を揃える必要があり、そこには大きなエネルギーが必要です。
レーザー発振がそうであり、超伝導では極低温の維持にエネルギーを使います。EPRを確認したアスペの実験は、その精密性のために、ベルの不等式が出てから30年も不可能でした。意味のある結果を得るために周囲を静穏に保つ必要があり、それには相当な注意とエネルギーが必要だったはずです(実験室規模で)。
なので地球規模では、天文学的すぎて不可能かな?、と思えるのです。それが、巨大な実験エネルギーの意味です。
No.4
- 回答日時:
「波」としての性質である回折とかまわりこみなどは, 「対象が波長と同程度かそれより小さい」状況でないと発生しません (厳密にいえば「発生はする」けど観測しにくい). 従って, 波長が短かければ短かいほど「そのような状況」が発生しにくく, 波としての性質は見えなくなっていきます.
で, この「波長が短かいと波としての性質を表しにくい」という現象は, 実は (普段「波」と考えている) 電波でも同じように現れます. 簡単にいうと「周波数が高い (= 波長が短かい) 電波は直進しやすく, まわりこんだりはしない」という現象です. 例えば, 建物の影に隠れると周波数の低い電波はとどきますが, 周波数の高い電波はとどかなくなります. もっと具体的にいうと, 「建物の影に入 (って基地局から見通せなくな) ると携帯電話で通話できない」ということになります.
一応, アマチュア無線なら常識.
No.3
- 回答日時:
回答ありがとうございます。
リンク先ではチョコボールという巨大な粒子についての話ですが、
大きさが原子レベルで質量が巨大な粒子の場合はどうなるのでしょうか?
またリンク先のANo.8の回答にて
>波長が短くなるとこの回折効果が小さくなるために、実際に干渉がおこるように十分な距離を稼がなければなりません。また、波長が短いと干渉縞の間隔が短くなりますので、それぞれの次数の干渉を識別できるようにするのも大変なことです。
この部分がいまいち納得できません。
回折効果を表す簡単な式が載っているサイトなど教えていただけると幸いです。
No.2
- 回答日時:
>質量の大きな物体は粒子性だけを示し、波動性がほとんど現れないと聞いたのですが、なぜでしょうか?
理由は今もってわかっていないと思います。ただし、どの程度、波動性がほとんど現れないかの計算方法はわかっています。この辺が、わかりにくいところですよね。
>たとえば二重スリットの実験などで、電子は干渉縞を作り波動性を持つことが確認できますが、中性子や原子核のような大きな質量を持つ粒子だと干渉縞は現れないのでしょうか?
現れます。というか「現れるはずです」。ただし、その結果を得るためには、巨大な実験エネルギーが必要です。なので今までは、行われていないと思います(というか、できていません)。今後に関しても、ちょっと疑問です。でも、そこ事に関しては、皆な信じています。多数の状況証拠によってです。それが、まともな物理理論だと思います。
回答ありがとうございます。
>現れます。というか「現れるはずです」。ただし、その結果を得るた
めには、巨大な実験エネルギーが必要です。
どうして巨大な実験エネルギーが必要なのでしょうか?
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