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コンデンサーや抵抗の材質違いの方が音質面での影響力は大きいとは思いますが、
ネットワーク用のコイルも構造により音質的なキャラクターはあるのでしょうか?

1)コア付きと空芯の音質的な違い
2)線材の太さによる音質的な違い
2)銅箔のキャラクター
3)裸線のキャラクター
4)リッツ線のキャラクター
5)どのタイプもエポキシ充填すると制振効果があるのでしょうか?

プラモデル感覚で自作SPを作りたいと思います。
ご教授お願い致します。

A 回答 (3件)

>ネットワーク用のコイルも構造により音質的なキャラクターはあるのでしょうか?



線材や構造にこだわるのも大切ですが、それ以前に適切なネットワーク設計ができるかどうか
の方が音質へのインパクトは甚大でしょう。

(A)ドライバー実測特性を織り込み済みの、綿密なシミュレーションを行ったネットワークと、
(B)「クロスオーバー周波数」+「役に立たない公称インピーダンス」から、単なる計算だけで
数字を弾き出したクロスオーバー
とでは、音質に大きな隔たりができます。

よってもって(A)が実施されることを大前提として、それぞれのタイプについて
言及してみると、、、

>1)コア付きと空芯の音質的な違い

コアーインダクタと一括りにしようとしても、その設計やコストはピンからキリまであります。
それでもあえて、概要として言えることは、
・コア材は大なり小なりヒステリシス特性を持っており、信号を加えたときの線形性に
 劣るインダクタになる。コアサイズが小さければ飽和しやすい。
・同じ導線を用いた場合は、エアコア(空芯)に比べてDCR(直列純抵抗)が低くなるので
 エンクロージャー設計に影響をおよぼしにくい。

上記をもう少し分かりやすく言うと、コアーインダクタは
●大入力で歪みやすい
 →しかし、磁性体に優れたものを使用したりコアボリュームを稼げばこの辺りの問題を軽微に
  することは可能。つまり、全てはコスト次第。

●直列抵抗が低いので、スピーカーの低域特性が設計値どおりになる。
 →しかし、エアコアを使っても、マトモなスピーカーの設計屋さんならば、インダクタが持っている
  DCRを折り込み済みでエンクロージャー設計/ネットワーク設計を行うので、それも問題に
  なりにくい。

ちょっと想像しにくいかも知れませんが、インダクタのDCRは、設計上無視してはいけない要素
です。インダクタのDCRが(だいたいどの位になるか)先に決まらないと、ネットワークの
設計はできないんです。
もう一度分かりやすく言い直します。

●使用するインダクタ次第で、スピーカーの箱の設計さえ変わってしまいます。
 →設計を変えればほぼ問題なくできます。
 →ただし、それはそんなに深刻なレベルではありませんので再設計しなくてもOK。

対して、エアコア・インダクタの得失を書けば、ちょうどコア型の逆になるわけです。
●大入力でも磁気歪みが生じにくい。
●概してDCRが大きくなるので、低域特性が設計値より変化してしまう。
●DCRが大きいために、クロスオーバー特性にも悪影響がある。

 →繰り返しますが、そのDCRも盛り込み済みでスピーカー/ネットワーク設計すれば
  ほぼ問題なくすることは可能です。

しかし、上記は「概論」にしか過ぎないわけです。
・コア・インダクタでも金を掛ければいくらでもいいものは出来ますし
・エアコア・インダクタでも金を掛ければDCRがほとんどないものは出来ます

例として、DCRのほとんど無いエアコア型も、ハイエンドのスピーカーには使用例があります。
それらは体躯が巨大で、そのお値段はそれこそ、発音するドライバーと同等か、あるいはそれ以上
のものも売られています。

以上、そこそこの値段でネットワークを構成したいのであれば、下記を念頭に置いて設計すれば
良いでしょう。

●クロスが500Hzを下回るような、ウーファー用の大きめのインダクタは:
 DCRが大きくなるのを避け、コストを抑えるために、「コア型」で済ます。
●クロスが1kHz以上の、ミッドレンジ以上に使う小さなインダクタは:
 できるだけ歪みを避けるためにエアコア型を使う。
●どちらを使う場合でも、インダクタのDCRは無視しない。ネットワーク設計時にインダクタの
 持つDCRも設計値に加えて設計を行う。
●できればエンクロージャーの設計時にも、そのDCRの値を使う。

>2)線材の太さによる音質的な違い

上記のとおり、太ければ太いほど、DCRを小さくできます。
ということは、”箱の設計時にそれを想定していない設計をしてしまったのであれば”:
 ・細ければ、低域が盛り上がって豊かになります。
 ・太ければ、低域は引き締まって力強くなります。

上記は質問者様の想像とは逆かも知れません。しかし音圧周波数特性上は間違いなくそうなります。

いっぺんエアコアインダクターをほどいてみるといいかも知れません。
高額なスピーカーケーブルを切り詰めて使うのが馬鹿馬鹿しくなるほど長いです。

しょぼいエアコアインダクターは、確かにDCRが0.5Ω以上もあるものも珍しくありません。
でも、0.5Ωで低音が盛り上がるといったって、それは+コンマ数dBの微弱なものですので
ほぼ問題ないと言ってもいいでしょう。聴感上は若干の差は感じられるかも知れませんが、
ダンピングファクターが半分になると言ったって、数値的な影響はその程度です。


>2)銅箔のキャラクター

フォイル・インダクタの狙いは「断面積を稼いで高周波特性を良くする」ことでは無いでしょう。
ただ、100kHz付近を扱うスーパートゥイーターなどでは若干の効果はあるのかも知れません。

インダクタで問題となるのは「高い周波数が通ってしまう」ことです。その原因になるのが、
線間のストレーキャパシタンスです。フォイル型のメリットは、そのストレーをコントロール
しやすくなることにあると思います。
すなわち、フォイルの間に挟み込む誘電体に性能のよいものを使って、LCR線路を計算どおりに形成し、
所定の性能を得やすくなるのが最大のメリットと思います。
また、単線を巻いたものに比べると「ガラ巻き」が生じにくく、特性が安定するのと自己振動を
抑えられることもメリットのひとつでしょう。

DCRの特性は、フォイルのサイズによります。高いだけあってDCRは低めですが、中には比較的DCRが
大きいものもあるので注意が必要です。
物凄く高価なドライバーを使用するのであれば、釣り合い的に使用してもいいかも知れません。

最近は、高額アンプの終段フィルター用にもよく見かけるようになりました。
(そういう所では高周波特性も要求されます)

>3)裸線のキャラクター

インダクタに”裸線”が用いられることはありません。”エナメル絶縁された単線”の事でしょうか?
上記と逆で、ガラ巻きが生じやすく振動しやすいです。
また、ストレーが読みきれないので、高域の漏れ加減は何とも言えません。

ただ、そんなに神経質になるほど性能が悪いわけではないです。
ずいぶんと大ざっぱな作りではありますが、低周波用としてはこんなものでも性能は十分と言えます。

>4)リッツ線のキャラクター

私自身は安いスピーカーを除き、概してこれを使用しています。
リッツがどうこうというより、物凄く太い(DCRの低い)エアコアとなると、現存はこれしか選択肢
が無いのです。
ただし一個数万円するものなので、簡単に手出しはできません。勝負コイル、とでも言うんでしょうか。
細いリッツ線タイプもありますが、あまりメリットは感じないので細いのであれば単線でもいいのでは
無いでしょうか。

リッツについてはここ↓が参考になりますか。高周波領域でのお話ですが。
http://www.mogami.com/puzzle/pzl-21.html
どうですか?あまりメリットは感じないのでは無いでしょうか。

>5)どのタイプもエポキシ充填すると制振効果があるのでしょうか?

ありますが、コア入と3)以外はやらなくてもいいでしょう。

最後に繰り返しになりますが、重要なのは「適切なスピーカー設計を行うこと」。
インダクタにどんなものを使うかなんていうのは、そのずっと先の話です。

金を掛けられるのであれば、出来るだけでかくて線が太くてDCRの低いエアコアを使う。
簡単な回答としてはこれになるでしょうか。
体躯が大きければそれだけDCRは低いものですし、コアインダクタの場合も概して磁気飽和特性が良好で
高性能と言えるでしょう。
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この回答へのお礼

とても分かりやすく噛み砕いてアドバイス頂き有り難うございます。
会社の同僚数人とそれぞれ自作SPを手がけてみようということになり、
「設計らしきもの」に基づきパーツ選択で思案しておりました。
皆さんのアドバイスで思案すべきポイントが全くズレていること認識しました。
頂戴したアドバイスを参考にしつつ最初に立ち戻ってやり直します。

お礼日時:2008/04/10 19:09

 ANo.1様が詳細に説明されているので、それ以外の事項に付いて回答します。


@先ずなぜネットワークを使うのでしょうか?
 理由は当然スピーカーを低音用、中音用、高音用、に分けて使う必要があるからですね。
@それでは、どの周波数で分けるのでしょうか?
 スピーカーの周波数特性によって分ける事になりますね。
@その周波数にネットワークをどうやって合わせますか?
 コイルのインダクタンスとコンデンサーの容量から高域遮断周波数や低域遮断周波数を計算で求める必要が有りますね。
@実際に作ったネットワークが設計通りに出来ていますか?
 電気的計測器(低周波発信機、低周波歪率計、交流電圧計)等を使って実際に測定して見る必要があります。
 コンデンサーやコイルの構造も重要ですが、先ずスピーカーシステムの特性をどの様に設計するか、又それをどの様に検証するかに付いても考慮する必要が有ります、その上で必要な材料の選択をして下さい。
 私も50年位前にこの様な事をしました、頑張ってトライして下さい。
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この回答へのお礼

ご丁寧なアドバイス有り難うございます。
測定器以前の問題ですし、拝借できる環境には恵まれておりますので、
基本に立ち戻って最初からもう一度始めます。
プラモデル感覚ですので残念ながら所有の計測用の機器は十分とはいえませんが、
勤務先に無響整流化された空洞実験ブースと数種類のスペクトル・アナライザーがあり、
そちらを使わせてもらう予定でした。

お礼日時:2008/04/10 19:03

私も詳しいわけではありませんから、勉強不足から重要な問題を見落としている可能性もありますが...



1) および 2)
「コア入りであるか空心であるか」ということ、あるいは導体がフォイル状であることが、直ちに音質に直結するということはないでしょう。むしろ、電気的、磁気的にどのような特性を持っており、正しく使われているかどうかの方が問題です(ともすると空心コイル至上主義的な言い方をする人もいますが、空心コイルは空心コイルで大きな問題があります)。

具体的には、導体断面積が大きい方が直流抵抗(DCR)が小さくなります。通常、半導体アンプの出力インピーダンスは1以下(多くは0.1未満と予想される)ですから、ダンピングファクタ(DF)は10~100程度あります。しかし、コイルの抵抗成分が0.1オームあれば、それだけでDFが半分に落ち、劇的に劣化します。したがって、特にウーファーやスコーカーにシリーズで入るコイルは、太く、短いものが適しています。

その意味で、コア入りコイルのメリットがあります。コアがあることで磁束密度が上がるため、巻き数を減らすことができ、結果的にDCRを下げることができます。

また、空心コイルは磁束密度が低い=磁束漏えいが大きいので、相互に干渉しやすくなります。直角になるように配置し、距離を離すことで多少はマシになりますが、コア入りコイルを使えばさらに効果的です。この意味でも、空心コイルよりコア入りコイルの方が優れているといえます。

もちろん、コア入りコイルの場合は周波数特性や磁気飽和、ヒステリシスなどの問題もあるので(といいつつ、この点についてはよく理解していないのですが)、けっきょくはケースバイケース、適材適所ということになるでしょう。その解決方法として、フォイルタイプのもの、コアの素材の工夫、トロイダル型のものなどがあります。

フォイルタイプのコイルは、タイトに巻き上げられるので、導体断面積の割に小型化できるというのが触れ込みです(表皮効果の減少を謳うものもありますが、それは高周波の話なので、オーディオ帯域でどの程度影響があるのかは?で、ちょっと眉唾な気がします)。が、実際には普通の空心コイルの方が小型だったりすることもあるので、これもまた難儀な話ではあります。

3) 裸の銅線を巻くとショートしますが...? ちょっと質問の意図が分かりません。

4) リッツ線を巻いたコイルもありますが、これも高周波では影響が出るにせよ、オーディオ帯域での効能は?です。DCRも特別低いわけではなさそうです。

5) はい。

なお、参考リンクのページが非常に有意義だと思います(運営者である志賀氏は磁石の専門家です)。

参考URL:http://www38.tok2.com/home/shigaarch/OldBBS/28ne …
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この回答へのお礼

ご丁寧なアドバイス有り難うございます。
「設計らしきもの」から導いた数値でパーツを選ぶ段階になり、
構造や素材の傾向が知りたくて質問させて頂きました。
回答者の皆さんのご指摘によりいかに勉強不足か再認識しております。
3)裸線のキャラクター…回答者No.3の方のご指摘通りです。
エナメル被覆の単線と裸線の区別がつかないレベルでお恥ずかしい限りです。
コイル以前に基礎知識の確認に立ち戻って始めます。

お礼日時:2008/04/10 18:47

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