
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
「中間確認の訴え」は、(判決の効力としては)あくまでも独立したひとつの確認の訴えです。
具体的に No.2 さんの例でいうと、(1)著作権侵害を理由とする損害賠償請求訴訟と (2)著作権確認訴訟を併合提起するか、(1)の裁判中に(2)の裁判を追加的に併合提起した上で、(2)の訴訟の判決を先にもらいたいというのが「中間確認の訴え」になります。
「中間確認の訴え」に対する判決は、あくまでも独立した「訴え」に対する判決であり、終局判決です。したがって、通常の判決となんら代わることなく既判力を持ちます。
(「中間確認の訴え」に対して出されるのは、あくまでも「終局判決」であり、「中間判決」ではありません。)
これに対し、中間判決とは、 (1) の訴訟しか提起されていない場合に、裁判の進行上、著作権の有無を先に確定した方が都合がいいと裁判所が考えた時、裁判所の職権で、終局判決に先立って、一定の判断を示す行為です。
「中間判決」は、裁判の進行の必要上されるものにすぎず、当事者の「訴え」に対してなれる終局判決ではありません。したがって、既判力を持たず、その裁判手続きの中でしか法的効力はありません。
No.4
- 回答日時:
先に必要かつ十分なフォローをしていただいているので、もはや蛇足かとも思いますが...
先の例でいくと、当初のXの請求の趣旨は、
「1. Yは、Xに対し、金1000万円および平成19年7月1日から支払済にいたるまで年5分の割合による金員を支払え。
2. 訴訟費用は、Yの負担とする。
3. 第1項についての仮執行宣言。
との判決を求める。」
と記載されます。著作権侵害は不法行為(民法709条)ですから、本訴の訴訟物は、「不法行為に基づく損害賠償請求権1個」です。
判決効の1つである既判力は、主文に包含されるもの(=請求=訴訟物)にしか及びませんから(民訴114条1項)、この「不法行為に基づく損害賠償請求権」についてしか既判力を生じません。
そこで、請求の趣旨を、以下のように書いたとします。
「1. 本件著作物の著作権者は、Xであることを確認する。
2. Yは、Xに対し、金1000万円および平成19年7月1日から支払済にいたるまで年5分の割合による金員を支払え。
3. 訴訟費用は、Yの負担とする。
4. 第1項についての仮執行宣言。
との判決を求める。」
すると、訴訟物は、「著作権者であることの確認」と「損害賠償請求権」の2個となります。既判力の客観的範囲として、もちろん、「著作権者であること」が確定されます。
この、確認に関する部分を、最初から訴訟物とするか(併合提起)、後から追加するか(中間確認の訴え)、の違いです。
中間判決は、訴訟の「一部分」が裁判をするに熟したと裁判所が判断したときに、とりあえずその旨を確定するだけで、終局判決ではありません(中間判決をするかどうかは、訴訟指揮権の一内容)。「訴えに対する裁判所の応答=終局判決」ではないということです。
「訴え」とは、原告の、裁判所に対する、ある訴訟物についての審判要求です。それゆえ、中間確認の「訴え」を起こせば、それに対する応答として、裁判所は「判決」をする義務が生じ、それは訴訟物判断ですから、既判力を生じるということです。
言葉の「定義」をきちんと押さえておけば、それほどややこしい話ではありません。
No.2
- 回答日時:
具体的な事例で考えないと、頭が混乱します。
たとえば、Xが著作権者、Yが著作権侵害者として、XがYに対して損害賠償請求訴訟を提起した場合を考えます。
この場合、訴訟物は、XのYに対する、不法行為に基づく損害賠償請求権なので、判決の既判力は、この権利の存否についてのみ生じます(Xが著作権者であることを確定するものではない)。
著作権侵害に基づく損害賠償請求権は、(1)原告が本件著作物の著作権者であること、(2)被告が原告の著作権を侵害したこと、などが要件事実となりますから、被告としては、そもそも原告が本件著作物の著作権者でない旨の主張((1)を否定)をします。
したがって、前訴において、Xが勝訴した場合でも、後訴において、YがXを被告として「本件著作物の著作権者は、Yである、との確認を求める」との請求を立てた場合、紛争の蒸し返しになるおそれがあります。
そこで、Xとしては、前訴において、「本件著作物の著作権者は、Xである、との確認を求める」旨の中間確認の訴えを提起し、これを阻止することができます。
また、Yは、(1)を認めた上で、Yが独自に創作したものであるとの抗弁をする場合もあります(著作権侵害は依拠性が要件となるので、独自に同じものを創作した場合は侵害にならない。つまり、(2)を否定)。この場合、(1)について紛争が蒸し返されるおそれはありませんが、侵害の有無、損害額、侵害行為と損害との因果関係、などの問題が錯綜しますから、これを整理するために、ひとまず侵害の有無について集中的に審理し、確定することが有益です。
そこで、裁判所としては、中間判決をもって著作権侵害があったことを確定してしまい、残る損害額などの審理に集中できるようにするわけです。
この回答への補足
ありがとうございます。つまり中間確認の訴えにおいて出されるものが中間判決であり、やはりこれは既判力ではないということでいいのでしょうか?
補足日時:2008/06/29 23:03No.1
- 回答日時:
こちらのページをまず見ていただくといいかと思います。
関西大学・栗田-民事訴訟法
中間判決について(1.3の項)
http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/proced …
中間確認の訴えについて(ページの一番下の方)
http://civilpro.law.kansai-u.ac.jp/kurita/proced …
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