
コッククロフト回路を組むに当たって、
全ての段で同じ静電容量のコンデンサーを使うのと、
段数が上がっていくにつれて、徐々にコンデンサーの静電容量を減らしていくようにするのとでは、違いは出るでしょうか?
段数が上位になってくるにつれて、流れる電荷は少なくなって来るそうなので、
初段とn段目で同じ静電容量のコンデンサーを使っても、n段目のコンデンサーはすぐにフルチャージされず(電圧が極みに達しない)、複数回の充電が必要になると思います。
初段にxマイクロファラッドのコンデンサを使う場合、
二段目はx/2、三段目x/3、四段目x/4、五段目x/5…の容量で済みますよね?
ですから、全ての段で同じ容量のコンデンサーを使うより、
段数が増すごとに容量を逓減させていった方が、コッククロフト回路の高出力・高効率化ができるかな等と考えたのですが、これは間違っていますか?
前者と後者では、回路の能力は結局変わりませんか?
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
googoo12さん
一つ謝らなければならないことがあります。
前回回答で、「2^nの容量があって初めてバランスがとれることになります」と書きましたが、これは正しくは「2^(n-1)」です。
つまり、(例えば)4段のコッククロフト回路において、初段のコンデンサは、最終段のコンデンサの8倍の容量があって初めてバランスがとれる」という論理です。
(・・・8倍にしなければならない、というわけではありません。この論理を採用するかどうかは、コストパーフォーマンス(費用効果)で判断して決定されるでしょう)
わたしの論理を裏付けるために簡単な実験をしてみました。
実験回路:(半波方式)コッククロフト回路
回路構成:4段
電源電圧:7.03Vrms
(0,6,12,18,24Vタップ付き/定格6Aのトランスの0-6V端子を使用))
負荷 : 200mA定電流負荷
使用コンデンサ:全段2,000μF
観測方法:
最初、全2,000μFで出力電圧(DC及びリプル電圧測定)および各段のリプル電圧測定、次に別に用意した1,000μFのコンデンサを逐次各段に付加し(単独)、C両端のDC電圧およびリプル、および出力電圧を観測する。
(1)全段2,000μF時
C容量 出力DC リプル
(μF) (V) (Vp-p)
C1 2,000 6.67 3.6
C2 2,000 12.53 2.8
C3 2,000 11.54 1.8
C4 2,000 10.70 1.3
OUT -- 23.22 4.0
(2)1,000μF追加
C容量 出力DC リプル OUT
(μF) (V) (Vp-p) (DC V) (Vp-p)
C1 +1,000 7.10 2.4 25.00 4.0
C2 +1,000 12.87 1.9 24.08 3.0
C3 +1,000 11.75 1.2 23.56 4.0
C4 +1,000 10.74 0.9 23.19 3.6
注 「C1+1,000」とは、C1のみ3,000μFとなり、
他はすべて2,000μFの意。OUTはそのときの出力
(3)評価
C両端のDC増とリプル減 出力のDC増
DC V Vp-p DC V
C1追加 0.43 1.2 1.78
C2追加 0.34 0.9 0.86
C3追加 0.21 0.6 0.34
C4追加 0.04 0.4 -0.03(誤差)
評価 第1段への追加が最も効果が大きい。
(4)参考 出力電流を減らした場合の出力電圧増加と理論値比(*)
出力DC V リプルVp-p DC V理論値比
200mA 23.22 4.0 0.630
100mA 29.56 2.0 0.802
50mA 33.48 0.8 0.909
注 理論値比とは供給電圧7.03Vrmsから得られる最高電圧36.85Vに対する比
7.03x√2x4-0.7x4=36.85V
(5)総合評価
第1段の容量を増やすことが最も効果があり、次いで第2段、3段の順であることが確認された。
ただし、論理的に予想される8倍(最終段比)には遠く及ばない。
この理由は不明。
なお、蛇足であるが初段のCを除くその他のCおよび全ダイオードには、2√2Eの耐電圧が要求されるが、初段Cのみは√2Eでよい。
従ってここに大容量のCを使うことはコスト的にも有利である。
(電圧が低いので安価)
最後に実験画像を添付したいと思います。
初めて載せるのでうまく行くかどうか不明・・・見難いようでしたらご容赦。
なお、C1とC3の両端電圧が同時に観測できるのは、この2つが直列に入っており、オシロのGNDをこの中点に取ることが出来るためです。
(従って位相は逆転しています)

No.4
- 回答日時:
googoo12さん
左側の実験装置画像は下に沈みこんで装置が見えなくなりました。(赤ワクで囲っている場所)
右側のオシロ波形は真ん中からぶった切られました。
(縦軸1目盛りは1Vです。横軸は5msです)
なお、左画像の上側にある定電流負荷装置が0.200Aの表示をしているのですが、よく見えませんね。
失礼しました。
この次はもっと上手にやろうと思います。
No.2
- 回答日時:
概念的には正しいです。
間違っているのは定量的な計算方法です。
n段目のコンデンサに対し、その前段のコンデンサは2倍(回)稼動します。
(倍電圧回路を考えてみてください。前段のコンデンサが2回稼動して、初めて後段のコンデンサが1回動作しますね?)
したがって、n段のコッククロフトであれば、最終段のコンデンサに対し、初段のコンデンサは、2^nの容量があって初めてバランスがとれることになります)
>段数が増すごとに容量を逓減させていった方が、コッククロフト回路の高出力・高効率化ができるかな等と考えたのですが・・・
発想が逆です。(結果的には同じことですが・・・(^_^;))
必要な出力電流および許容リプル(注)から、まず最終段のコンデンサ容量を決定します。
そこから[2^n]の論理で、前段へ戻って行きます。
注 例えばリプルが4Vp-pで出力電流が1Aなら、コンデンサ容量は1000μF etc.
(あくまでも例えです)
「高出力・高効率」という表現もちょっと漠然としていますね。
上記の方法でバランスをとった結果得られるものは、「出力リプルをある値に収めたいとき、合計コンデンサ容量を最小にする方法」です。
リプルが小さくなれば、当然平均電圧(出力電圧)は上がりますので、この結果をもって「高出力・高効率」と言えなくもないですが・・・
ありがとうございます。
概ねはわかりました。
コッククロフト段数を大量に増やす場合、初段のコンデンサには途方もない静電容量を必要とするのですね、
No.1
- 回答日時:
>二段目はx/2、三段目x/3、四段目x/4、五段目x/5…の容量で済みますよね?
立ち上がりは早くなりますが取り出せる電流が減って出力のリップルが大きくなります。
無料の回路シミュレータがあるのでシミュレーションをしたらどうでしょうか。
http://f44.aaa.livedoor.jp/~diymod/index.php?Cir …
http://my.ece.ucsb.edu/bobsclass/2C/Simulation/c …
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