譲渡担保について、動産の所有権を譲渡担保した場合、その設定者が第三者に当該動産を譲渡すると、所有権的構成・担保権的構成のいずれによったとしても、
即時取得の要件がみたされているときは、当該第三者は譲渡担保権の負担のない所有権を取得する
っと司法書士過去問H4-9枝5(Wセミナー解説)にあります。
この解説で、所有権的構成は担保権者に所有権が移転し、設定者は無権利者なので、第三者が即時取得することは理解できますが、担保権的構成を取ると、設定者に所有権が帰属するとしているので、第三者が即時取得することできないと思うのですが、なぜ出来ると解説に書かれているのですか??
解説間違ってませんか?
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
実務的には担保的構成をとりますが、即時取得の趣旨は94条2項類推適用と同様の外観法理であり、第三者保護の見地から192条適用ないし類推適用によって所有権を取得すると簡潔に考えてしまいます。
ただ、勉強を進める上では躓くこともあると思いますしそのようないい加減さは認められないのもわかります。
そこで条文や要件にこだわって説明してみました。
参考になさってみてください。
まず、即時取得(192条)の要件を確認します。
1、動産であること
2、取引により占有を承継すること
3、無権利者または無権限者からの取得であること
4、平穏、公然、善意、無過失に占有を取得したこと
あなたの質問では3が問題となります。
3の要件をより具体的書くと、
イ、当該動産を処分する権限のないものから承継取得すること
ロ、前主に占有があること
となります。
以上を前提に譲渡担保権の担保的構成を考えて見ましょう。
確かに、同構成によれば所有権は担保権設定者に帰属します。
それゆえ、所有権者である以上無権利者ではなく3に当たらないようにも思えます。
しかし、そもそも担保的構成は動産抵当の趣旨を徹底するものであり、設定者は所有権は有するものの目的物の使用。収益に際して、抵当権設定者と同様に担保を毀損しない義務を負います。この趣旨は137条2項に表れています。参照してみてください。その意味で、譲渡担保権設定者は当該動産の保存維持義務を負担しているといえるのです。
加えて譲渡担保権は抵当権と異なり公示が不十分であり、担保賢者保護の観点から保存維持義務はより広い範囲となります。
すなわち、勝手に譲渡担保権設定者が譲渡とすることはかかる義務違反であり、譲渡担保権設定者には譲渡権限がないと解するのです。
以上のように解すれば設定者に譲渡権限がない以上、イの処分権限のない者からの承継取得の要件も満たすことになります。
このように考えればすっきりするかと考えます。
ただ、このような理論展開より、結論を覚える方が大切かと考えます。
ありがとうございます。
もともと譲渡担保は判例で認められているものに加え、その性質を導き出した譲渡担保権の担保的構成と即時取得を絡めることは無理があるのでしょうか。出題されるとすると見解問題かな・・・。
結論を覚えておきます。助かりました。
No.3
- 回答日時:
失礼、ご質問を誤解していたようです。
No.2の方のご説明で完璧で、譲渡担保の設定がされた時点で
所有権は完全な所有権ではなくなった(処分できる権利が引かれた形態に変形した)と考え
よって所有権移転につき無権利と解すれば良いかと思います。
一見、都合の良い解釈にも見えますが、
「なぜ即時取得の要件には、条文にない『無権限者から』が挙げられているか」
を突き詰めて趣旨を導くと、制度として妥当な解釈であることがわかります。
No.1
- 回答日時:
その問題自体は知りませんが
即時取得の要件に、外観上の原所有者が真の所有者であることは求められていません。
要するに「新たに取得する者」が平穏公然なんちゃらの要件を満たせば、「元々持っていた者」が誰であれ即時取得できます。
もちろんこれは動産の話なので、不動産では94条2項などが絡み、要件が異なります。
判例で認められている譲渡担保の法的構成は
(1)所有権的構成⇒担保権者に所有権が移転し、設定者は無権利者
(2)担保権的構成⇒設定者に所有権が帰属したまま
(1)を取ると設定者は所有権につき無権利者であり、即時取得の要件は満たすと思いますが、
(2)を取ると設定者は所有権を持っており、即時取得要件である無権利者からの取得に該当しなくなると思います。
(2)の構成の場合の説明がつかないと思うですが、この点どう解釈するのですか?
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