
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
インド・ヨーロッパ系言語では、もともと名詞・代名詞の “素の形” はなく全て格形つまり日本語で言えば助詞のついた形しかありません。
ラテン語「少年」
puer, pueri, puerum, puero
少年が、少年の、少年を、少年に
古英語「石」
stan, stanes, stan, stane
石が、石の、石を、石に
共通する部分として puer-, stan- という形が見えてきて、実はこれが名詞の概念を表す部分ですが、これだけが独立して現れることはありません。語尾のない形がいくつかありますが、ここは語尾なしと考え、「ない語尾」が助詞のようになっていると考えます。初めは何らかの語尾があったのかもしれませんがより古い文献がないため不明です。
現代の英語やラテン語から変化したフランス語やイタリア語の名詞には格語尾はありません。大体において語尾がすり減り「素の部分」だけが残ったと考えていいでしょう。語尾をなくした代わりに語順や前置詞が格の働きを補っています(英語はゲルマン系というグループに属し、ラテン語は今日ロマン系と呼ばれるグループの祖になりました。ただし、英語にはラテン語からの借用語が非常に多くあります)。
名詞は全て格形といっても主格を代表とする習慣がありました。また、文の主語になっておらず、ものの名前として使うときも主格が使われました。主格という意味の nominative とは nomen「名前」というラテン語が語源で直訳すれば「名格」とでもすべきものです。
格形を失った今は名詞はものや人を表すそのものと、文法的関係は語順や前置詞でと感じるのが自然です。名詞が格を表すものを失った以上、格のようなものは名詞以外の部分で感じるものです(それを格と呼んでいいのかは疑問ですが)。
ところがインド・ヨーロッパ系言語の人称代名詞は不思議なものです。
今現在、名詞の格語尾変化が7つほどあるものからフランス語のようにないもの、英語のように無語尾と所有格しかないものなどいろいろありますが、人称代名詞だけは最低でも主格と目的格はあり、名詞のように格変化を欠くものはありません。中には英語の you フランス語の vous のように例外的に主格と目的格が同じになったケースもありますが、多くは異なっています。
人称代名詞は大抵古くから使われているものであり、頻繁に使われるがゆえに、格の数が減ったり多少形が変わったとしても形をとどめやすいこと、また一部の人称代名詞では
古英語一人称単数→現代英語
ic, mec, me → I, me, (me)
ラテン語一人称単数→現代フランス語
ego, me, mihi → je, me, (me)
(いずれも 主格・直接目的格・間接目的格 の順)
と格形に違いがありすぎてすり減ったくらいでは同じにならないケースもあります。ことに一人称単数はインド・ヨーロッパ系言語のほぼ全てで主格とそれ以外の形が大きく変わっています(これは別語源と考えられている)。
英語の you, it フランス語の nous, vous (=we, you複数) のように格変化のないものも結果的にできて不都合なく使われているわけですから、現実に人称代名詞だけが格変化を保存しているとしても、人称代名詞には格変化が絶対必要とは言えないわけです(人称代名詞の所有格は特別な形容詞のようなものなので外してあります。古代の言語から現代語まで人称代名詞の「属格(名詞では所有を表す)」が所有を表すケースは少なく、所有には所有形容詞あるいは所有代名詞が用いられます)。
この回答へのお礼
お礼日時:2010/02/26 22:34
非常に勉強になりました!
インド・ヨーロッパ系言語の説明から丁寧にしていただきまして、ありがとうございます!「素の部分」だけが残ったということで、モヤモヤがすっきり晴れました。
No.2
- 回答日時:
日本語は「格」を助詞で表します。
「が」が主格,「の」が所有格,「を」が目的格。
英語は名詞・代名詞を格変化させます。
I - my - me と変化するわけですが,
日本語に置き換えると I は「私は」とせざるを得ませんが,
I で主格を表わすわけです。
名詞の場合,現代英語では
主語でも目的語でも単語だけで格変化しません。
したがって,I は「私は」だけど,
boy は「男の子」で,「私」はどうなるんだ?
となってしまいます。
しかし,古くは名詞にも格変化があり,ドイツ語などでは今でもそうです。
現代英語では名詞の格変化がなくなり,所有格は 's あるいは of ~で表し,主格と目的格は名詞そのものになりました。
英語の人称代名詞は
話し手が一人称
聞き手が二人称
それ以外は三人称
という関係のみを表し,それらの間柄は関係ありません。
どんな子供でも,大統領でも自分は I,相手は you です。
日本語の「私」「僕」「おまえ」のような相手との間柄は存在しません。
「彼」という日本語は本来,he という英語の訳語として生まれたのですが,いつの間にか「彼氏」を表すことが多くなり,英語の授業では he を「彼」と訳しても,自分の父親や弟を「彼」とは言いにくいです。
「あなた」という日本語は愛する人への呼びかけにはなっても,普通に聞き手のことを「あなたは」なんて言いません。
名前を使って,「田中さんは」と言ったり,主語を省略したりします。
英語の人称代名詞 I, you というのは,真っ白な自分が I,相手が you というだけです。
別の人の話になり,男性一人なら he,女性なら she。
このような話し手・聞き手・それ以外
という関係のみを表すのが人称代名詞です。
このような代名詞が日本語では発達していないということなのです。
逆に英語では一人称は自分を表すだけで,それは人称代名詞なので,それを表す名詞はない。
あと,人称代名詞には格変化が残り,名詞には残っていない,
ということであり,別に代名詞のまま,
I - I's とする文法もありなわけです。
今はそうでないというだけ。
この回答へのお礼
お礼日時:2010/02/26 22:40
なるほど、名詞にも格変化があったんですね!人称代名詞について詳細に説明していただき、理解が深くなりました!
>I - I's とする文法もありなわけです
考え方として外れてないことがわかって一安心です(笑)
ありがとうございました。

No.1
- 回答日時:
一人称の名詞の存在がない、という意味が分からないのですが、
I,my,meのようなものは、文法用語では「人称代名詞」と呼びます。
これ自体が名詞の一種です。
http://www11.plala.or.jp/kaisyu/junior1/daimeisi …
http://eow.alc.co.jp/I/UTF-8/?ref=sa
↓
Iの中に「私は」「私が」のような意味が含まれていると思いますよ。
I like apples. 私はリンゴが好きです。
I will buy it. 私がそれを買うよ。/私はそれを買います。
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