トリチェリの実験でふと疑問に思ったのですが、長さが760mmに満たないガラス管を用いた場合、大気圧と釣り合うことはできませんよね?この場合、ガラス管には上向きの力が加わわっているのでしょうか?それとも下向きの力が加わわっているのでしょうか?
水銀柱は760mmに達しないので大気圧の方が勝り水銀は上昇しようとするからガラス管は上向きの力が働いている気もしますが、例えばお風呂の中でコップに水を入れ、コップを逆さにして水面から持ち上げようとすると重みを感じることからガラス管には水銀柱分の下向きの力が働いているようにも思えます。
どちらが正しいのでしょうか。どなたか詳しい方がいらっしゃいましたらお教えください。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
コップの中に水があるとしても水銀があるとあるとしてもも同じように扱えるはずですね。
コップ(円筒)の内部に液体が詰まっているとします。断面積をSとします。内部の液体の質量をM、コップの質量をmとします。コップを手で支えているとします。その時の力を上向きにFとします。
大気圧をPoとします。コップの底面には下向きにPoSの力がかかっています。
いまコップの内側底面と液体との間に働いている力の大きさをfとします。この力が問題になっている力です。コップに対してfは上向きに働いているとします。作用・反作用の関係で液体には下向きに働いていることになります。
コップの内部、コップの外の水面と同じ高さのところに上向きにPoSの力がかかっています。(水の場合は水圧と呼ばれているものです。水面から上にある水と下にある水で釣り合いを考え、水面よりも下にある部分についてはコップの内側と外側での釣り合いを考えると出すことができます。)
釣り合いの式は
F+f=PoS+mg (コップ) (1)
PoS=Mg+f (液体) (2)
(左辺を上向き、右辺を下向きに合わせました。)
(PoSがどちらの式にも出てきますが働いている場所が異なります。)
2つの式を足すと
F=Mg+mg (3)
が出てきます。コップの重さと内部の液体の重さの合計の力が必要です。
水銀であろうと水であろうと同じ式です。
コップを引き上げれば液体の量が増えるので重く感じるのです。
外部から変えることができるのはMだけです。他の量はすべて決まっています。
(2)式からfを求めます。
f=PoS-Mg
コップを引き上げるとMgが大きくなっていきます。
初めはM=0ですからf=PoSです。
Mg=PoSのところで0になります。
中の液体がコップを押し上げている力がだんだん小さくなって0になるということです。
この後、力f がどうなるかです。(イ)0のままで続く、、(ロ)向きが逆転して働き続けるののどちらでしょう。
ばねのようなものでつながっているのでしたら縮んでいる状態から伸びている状態に移ることになりますが液体とコップの間ではそういう力の存在を認めることはできません。(ごく短い距離であれば可能かもしれません。)
(イ)が起こるとします。f=0が続くのですから離れてしまいます。間には何もない空間ができることになります。
これが「トリチェリーの真空」と呼ばれているものです。
PoS=Mgのところで実現します。
密度をd、液体の高さをhとすると
Po=dhgです。
(1)でf=0とします。
F=PoS+mgです。
でもこの場合、PoS=MgですからF=Mg+mgになります。
大筋は#3に書かれている内容と同じです。
でも「水圧が変わる」とか「大気圧が変わる」とかの言葉が出てくるとわけがわからなくなります。
変わるのはコップ内の液体の質量だけです。それによってf、Fが変わるのです。
式(3)
F=Mg+mg
は水銀であろうと水であろうと、真空があろうとなかろうと成り立つ式です。
自然な結果です。
中が見えないようにしたガラス管で考えれば真空があるかないかの区別はつかないはずだという考えと一致しています。
式を交えて丁寧に解説していただきありがとうございます。
理解することができました。
F=Mg+mg は確かに腑に落ちる結果ですね。
No.6
- 回答日時:
#3です。
>差に相当する力ということは、場合によっては手の力は下向きにする必要があるということでしょうか。
「下向きの重力」+「下向きの大気圧」は、常に「上向きの水銀からの力」より大きいので、手の力は常に上向きである必要があります。
>減った水圧というのは、すなわちdgh(d:水の密度、g:重力加速度、hコップ内部の水の高さ)でしょうか。
そういうことです。コップの外の水面と同じ高さのところの水圧が大気圧に等しいので、それより高い位置での水圧は大気圧より小さくなる、ということです。ですから、コップの底に加わる水圧は、
大気圧-dgh
となります。コップの底に下向きに加わる大気圧は、コップの高さ程度では水面と同じとみなせるので、コップの底に加わる力は、
下向きに 大気圧×コップの底面積
上向きに (大気圧-dgh)×コップの底面積
となるので、合力は、下向きに dgh×コップの底面積 となります。
h×コップの底面積 は、コップの中の水の体積になるので、それの d倍 は、水の質量であり、それに g をかけたものは、水に働く重力になります。
結論として、コップを水面から持ち上げると、水面から上のコップの中にある水の重さだけ重く感じるわけです。
No.5
- 回答日時:
#4です。
少し補足します。#4では水と水銀を同じように扱いました。
質問者様の混乱は水を考えているときと水銀を考えているときとで力の種類を変えていることから出てきたものです。
水の入ったコップを手に持って考えているのであれば水銀の入ったパイプも手に持って考えないといけないのです。水銀の場合は装置を外部から眺めているだけ、水の場合は実際に手に持って考えているという扱いのアンバランスがイメージの食い違いの生じた理由です。
コップ(ガラス管)の底に大気圧が働いているというのも考察から外してはいけないことです。
大気圧と水圧が打ち消しになっているから考えなくていいというのはコップと水銀を一体で考えるという立場が成り立つ場合です。コップと水銀の間にどういう力が働いているかに疑問を持ったのですから別々のものとして考えるという立場に立っていないといけません。その場合、大気圧と水圧は別物です。働いている場所が異なります。
No.3
- 回答日時:
おもしろいところに目をつけましたね。
まず、最初の
>この場合、ガラス管には上向きの力が加わわっているのでしょうか?それとも下向きの力が加わわっているのでしょうか?
ですが、どこからガラス管に加わる力を考えているのでしょう?
ガラス管に力を加えるものとしては
(1)重力 (2)内側の液体(水銀) (3)ガラスを支えるもの(例えば「手」) (4)空気(大気圧)
の4つが考えられます。そして、実験をしているときにはガラス管は静止していますから、これら4つの合力が 0 になっています。この意味では、「ガラス管に加わる力は上向きでも下向きでもない」となります。
個別に考えると、重力と大気圧は、条件が変わっても変化しないので、残りの2つの力の関係になります。
水銀から受ける力について考えます。
ガラス管の中の水銀が 760mm に満たないとき、ガラス管の外側の水銀の表面に加わる大気圧で押し上げられているので、水銀はガラス管を内側から上向きに押すことになります。つまり、「ガラス管は水銀から上向きの力を受ける」となります。
手の加える力については、ガラス管を支えるには、「下向きの重力」「下向きの大気圧」「上向きの水銀からの力」の差に相当する力を加える必要がある、ということになります。
>風呂の中でコップに水を入れ、コップを逆さにして水面から持ち上げようとすると重みを感じる
この「重み」の正体は、大気圧です。
逆さにしたコップの底が風呂の水面と同じ高さのとき、コップの底に加わる力には、上の空気から加わる下向きの大気圧と、中の水から加わる上向きの水圧の二つです。これに、コップ自体に加わる重力と、支える手の力があります。
ここでは大気圧と水圧は同じになりますから、手の加える力は、コップの重力につりあうだけでいいことになります。(浮力もあるのですが、ここでの話の本筋と関係ないので省略しています。)
コップを引き上げると、持ち上げられたコップの内側の水からの水圧が減りますので、下向きの大気圧の方が相対的に大きくなり、手の加える力を大きくしないとつりあわない、ということになります。
つまり、内側からの水圧が減った分だけ重く感じることになります。
ということで、
>ガラス管には水銀柱分の下向きの力が働いているようにも思えます。
というときの「下向きの力」は、中の水銀から加わる上向きの力が減った分だけ相対的に大きくなった大気圧である、ということになるでしょうか。
丁寧に回答していただきありがとうございます。
2点質問させていただいてもよろしいでしょうか。
1)
>手の加える力については、ガラス管を支えるには、「下向きの重力」「下向きの大気圧」「上向きの水銀からの力」の差に相当する力を加える必要がある、ということになります。
差に相当する力ということは、場合によっては手の力は下向きにする必要があるということでしょうか。
コップの水の場合は持ち上げないといけないので上向きにしないといけないと思いますが。
2)
> コップを引き上げると、持ち上げられたコップの内側の水からの水圧が減ります
減った水圧というのは、すなわちdgh(d:水の密度、g:重力加速度、hコップ内部の水の高さ)でしょうか。
No.2
- 回答日時:
>水銀柱は760mmに達しないので大気圧の方が勝り水銀は上昇しようとするからガラス管は上向きの力が働いている気もしますが
それから、そもそもこの理解は誤りです。
大気圧が勝るから水銀は「降りてこない」と考えるべきであって、ガラス管を内側から押し上げるような「上昇しようとする」力が働くわけではありません。
ご回答ありがとうございます。
次のような理解でよろしいでしょうか。
「水銀が下りてこないのは大気圧が上向きに働いているからだが、それはガラス管を押し上げる力(ガラス管を上昇させる力)とはなっていない。」
No.1
- 回答日時:
ガラス管自体にはどちら向きの力もかかっていません。
もちろん、ガラス管自体に重さがあるので、それにかかる下向きの重力はありますが、ここでの質問の趣旨はこれを除外して考えると言う話ですよね。
質問の内容で、コップが重く感じるのは、あなたの手に下向きの力がかかっているというだけで、コップ自体に水の力や大気の力がかかっているわけではありません。
単にコップを水ごと持ち上げようとしているからあなたの手が重みを感じているというだけのことです。
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