No.3
- 回答日時:
結論からいえば、風船にピンホールなどの大きな穴の不良が無ければ、基本的には膨張して破裂します。
成層圏までは高度が100m上昇すると平均-6.5℃気温が下がる気温減率というものがあり、
理想気体は1℃上昇すると0℃の時の体積の1/273だけ膨張するシャルルの法則というものが
ありますが、
一方で高度の上昇とともに急速に気圧が下がり、地上で気圧が1013Hp(気温15.0℃)であれば、
高度3400mでは、大気圧の約2/3(666.2Hp、-7.1℃)、高度8400mで
約1/3(335.9、-39.6℃)、大気の気温が下がらずに上がり始める成層圏の高度
16000mで約1/10(102.9Hp、-56.5℃)といった具合に大きく気圧が減少します。(標準大気の気圧および気温)
仮に高度3400mであればシャルルの法則から15℃の時の体積の約0.923倍になりますが、
一方で大気が約2/3(約0.667)で言い換えれば元の体積の1.5倍に気体が膨張している
ことになります。(気温の低下を考慮しても1.5×0.923=1.3845倍に膨張)
また高度8400mであればシャルルの法則から15℃の時の体積の約0.81倍になりますが、
一方で大気が約1/3(約0.333)で言い換えれば元の体積の3倍に気体が膨張している
ことになります。(気温の低下を考慮しても3×0.81=2.43倍に膨張)
(長さが倍になると体積が8倍になる相似形の体積比を球体のゴム風船に強引に当てはめると、
直径28cmのゴム風船が体積換算で高度3400mで約31cm、高度8400mで約38cmまで
膨張させた体積になるのかもしれません。)
なお、一般的なゴム風船のゴム膜によって風船内の気体にかかる内圧は破裂寸前のキンキンに
張った状態でも数十Hp程度。
内圧はその分だけ外圧より高いものの、外圧の減少で膨張することにより風船は破裂することに
なります。
ただし、現実には地理、季節や天候、時間帯をはじめとする気温や気圧がこの通りにはなりませんし、
風船に浮力が十分にないことには上昇せず、途中でヘリウムガスが抜けて地上に落ちてしまったり、
直射日光の放射熱による気体の膨張や膜の劣化。降雨や気流による落下や氷、塵埃などの付着、
風船自体のピンホールなどの不良で破裂してしまうことも珍しくありません。
ちなみにゴム風船は上空で必ずスパゲッティ状になるとは限らず、粉々になるにはゴムとしての
弾性限界(ゴム膜を引っ張るのを止めても膜が伸びきった状態ですかね。)に達する必要があると
いいます。
気象庁高層気象台のホームページで公開されている「彙報2005年」の『回収された落下ゾンデに
関する調査』もためになるのでご覧ください。
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