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今、臨床心理の本を読んでいるのですが、海外生活がながくどうも日本語が微妙に理解できません。
自分なりに色々調べたのですが、たとえば、クライアントを多水準的にアセスメントする、とは、色々な水準で検査するという意味でいいのでしょうか?心理学関連の方、ご返答よろしくお願いいたします。

A 回答 (1件)

心理士で、大学の教員です。



臨床心理場面における多水準的なアセスメントでは、クライエントの心理・行動に関して、次のような水準アセスメントを行います。

水準A 生活空間内でのcontext:クライエントが、その生活空間の中ではどのように生きているか。家庭、近隣(地域)、学校あるいは職場での、社会的に公然とした立場や身分、役割についての比較的客観的な記述。

水準B 生活史上のエピソード:現在の生き方にさまざまに影響している生活史における重要な事実やエピソード。心理力動論的アプローチでは、乳幼児期の心的外傷が思春期以降の精神障害に影響すると考えますから、この水準の記述が重視されます。それ以外の立場では、現在に中心が置かれることが多いですから、この水準にはあまり触れません。

水準C 意識的な自己像:クライエントが、自分について意識的に気づき、知っている自己像。面接、質問紙法のパーソナリティ検査、文章完成法などへの反応や回答から明らかにされます。ただし、社会的に望ましい方向に反応歪曲が生じることがありますので、注意が必要です。また、クライエント自身は気づいていても、他人には伝えようとはしない面もあり得ます。こういう側面については、投影法の心理検査を使うメリットもあります。

水準D 私的・象徴的コミュニケーション:無意識的、前意識的な内面についての情報で、クライエント自身が気づいていない面での情報をいいます。これらは、きわめて私的なもので、象徴的なものに置き換えられて伝えられます。心理力動論的アプローチで重視される情報。

概略、以上のように、一人のクライエントのパーソナリティを多面的多水準的に記述することを「多水準的にアセスメントするとご理解になればよろしいでしょう。

参考文献:
1.岡堂哲雄(1994):心理テスト-人間性の謎への挑戦.講談社(現代新書).
2.小笠原昭彦・松本真理子(2003):心理テスト査定論.岡堂哲雄(編)臨床心理査定学(臨床心理学全書2),誠信書房,pp.236-240.
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この回答へのお礼

まさに、神様が見ていたのでしょうか?昨日も徹夜で勉強していました。そして今メールをあけてみると、とても分かりやすいお答えが
教授から頂けるとは大変感謝しています。気軽に人に聞いてはいけないと思いつつ、でも日本語がうまく理解できない、困っていたのです。でも今日とてもわかりやすく、説得力のあるお答え頂いてとても感謝しています。きっとお忙しいのにありがとうございます。気持ちとしては授業料払いたい位ですが、ネット上での事支払い先がわからないので、心からのありがとうございます、しか言えないのが少しひっかります。勉強がやっと先にすすめます、ありがとうございました。

お礼日時:2011/04/22 11:49

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