
最近、平行平板電極構成のプラズマCVD装置を使用する機会がありました。アース電極側に基板を設置し、対向電極にはマッチングボックスを介してRF電源(13.56MHz)を接続した、よく見る構成です。
装置の一部は自作で改造されており、マッチングボックスとRF電源は、廃棄したスパッタ装置からの流用だと聞きました。
そこで気になったのですが、スパッタ装置のマッチングボックスであれば、まず間違いなくターゲット側に自己バイアスを乗せるためにブロッキングコンデンサーが入っているはずです。
プラズマCVD装置にそのまま使うと、対向電極に自己バイアスが乗り、陰極材料(ステンレスでした)がスパッタされて不純物として膜に入り込むのではないかと考えました。
今回の目的ではそれほど不純物に対して神経質になる必要がありませんし、通常スパッタに使う電力密度に比べると1桁小さいパワーしか入れていません。(普通、平行平板型のプラズマCVDではあまり大きなパワーは投入しないようです。)
ですから、あまり気にする必要はないのかもしれませんが、どうにもひっかかりを感じます。
装置の管理者に尋ねましたが、あまり明確な返事が返ってきませんでしたので、この場を借りて質問させて頂きます。
このような構成のRFプラズマCVD装置の場合、対向電極のスパッタ効果、あるいはそれに伴う不純物混入に対して、通常どのような対処をなされているのでしょうか?
ちなみに仲間内で話した結果、(論拠が明確でない、単なる)意見として
1.必要以上のパワーを投入しないようにすれば、陰極のスパッタは無視できるレベルで抑えられるではないか。
2.不純物に敏感な仕事をする場合には、あきらめて違うタイプのプラズマCVD装置を使う。
3.ブロッキングコンデンサーが直列に入らない構成のマッチング回路を使用する。
などが出てきました。
是非、詳しい方に妥当な対処法を教えて頂きたく思っております。よろしくお願いいたします。
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
再度tanceです。
わざわざブロッキングコンデンサを入れているマッチングボックスも
あるかとは思いますが、普通は自然にバリコンが直流カットの働きを
します。バイアスが要らないときは、インダクタが手っ取り早いでしょう。
もともと、マッチングボックスは電極~チェンバの静電容量を想定して
設計されているので、例えばインダクタで容量と共振させたりすると、
想定が狂ってしまいます。
そこで、インダクタはあっても無いような高い高周波インピーダンスを
持つ必要があります。いわゆるチョークコイルです。大雑把に言って
13.56MHzの1/3以下の共振を持つインダクタを使えば、おそらく
マッチングボックスの調整範囲に入ると思います。
ここで、重要な注意があります。インダクタンスは直列にすると足され
ますが、必要なインダクタンスが無いからと言って、決して複数の
インダクタンスを直列にしないでください。複雑な直並列共振が
思わぬところに生じて、高周波をショートする危険があります。
ありがとうございます。お礼が遅れて申し訳ありませんでした。
お話の内容は理解できました。ただ、現状でマッチング回路を改造したり、設計したりということを計画しているわけではないのです。
どちらかというと、このような方法で自己バイアスを抑制することによってプラズマ状態や放電電圧がどのように変化するのか?しないのか?ということに対する知見がいただきたいです。
No.1
- 回答日時:
専門家ではないので間違っているかもしれませんが、何かの参考とか
ヒントにでもなればと思い回答しました。
セルフバイアスが生じないようにするにはマッチングボックスの出力と
GNDとの間にコイルを入れると良いです。当然、電気的なマッチング条件が
変わるので、マッチング可能範囲などに不都合がないかは確認が必要です。
どんなコイルを使うべきかは、かなり具体的な条件がないと何とも
言えません。
また、プラズマCVDはおそらく圧力が高いと思うので、たたき出された
電極材料は基板まで届かない、なんていうことはないでしょうか。
セルフバイアスの生じる条件のひとつに電極面積の差があると思っています。
これは私の個人的な見解なので、間違っている可能性がありますが、
チェンバ自体がGNDから浮いていて、平行平板電極が同じ面積
だとすると、自己バイアスは生じないと思います。
どちらの電極がマイナスになるかはどこで決まるのでしょう。
小さい方の電極がマイナスになるのではないかと思っています。
答えになっていなくて済みません。
ありがとうございます。近場に本当の意味での専門家がいないため、参考になります。
コイルを入れる方式は、質問の最後に書いた第3案に近いアプローチですね。ブロッキングコンデンサーをなくすのではなく、Lでバイパスしてしまうということなのでしょう。自分でマッチング回路を設計したことがないのでよくわかりませんが、原理的にはどちらのやり方でも整合はとれるのだろうと思います。量的な見積もりは私にはできませんが、自己バイアスはかなり低減できるはずですね。ただ、そのような変更がプラズマにどう影響するのかしないのかが(素人の悲しさで、)見当つきません。
プラズマCVDの運用圧力域が、スパッタなどで用いられる圧力よりもかなり高いのは事実です。当然基板への到達確率はかなり低くなります。しかし、到達確率が0になることはないでしょうから、スパッタが起これば不純物濃度も厳密に0にはならないように思います。もちろん、実質的に問題にならないレベルまで低下するということは、使用圧力によってはあるかもしれませんね。
面積比は確かに大きな要素ですが、プラズマを使用する装置でチェンバがGNDから浮いているという装置構成はかなり特殊だと思います。たいていはチェンバおよび平行電極の一方がGNDに落ちているのが普通で、電源接続された側の電極が負に自己バイアスされるというのは、多くの装置に対して成立するのではないでしょうか?
ちなみに、お考えの構成で電極面積が同じ場合、自己バイアスは生じないのでなく、両電極の自己バイアスが等しくなるというのが表現としてより正しいように思いました。
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