No.63ベストアンサー
- 回答日時:
#62の補足事項に応じて、です。
1.新聞社・報道機関のスタイルブックについて
“正しい日本語”を標榜して校閲部を設け、校正ハンドブックを以て記者の“拠り所”を明記する、この「朝日新聞の用語の手引き」の例もあれば、片や校正部こそあれ“正しい日本語”の判断は行わないとして、オックスフォードを始めとする外国の辞書作りのような「用例主義」に徹する某出版社のスタンスもあります。何れにせよ結局は「読みやすく、分かりやすく、通じやすい文章」を目指してはいるのでしょうが、そのスタイルの堅固対軟弱、あるいは固陋対柔軟の如何はまた受取り手のスタンスとも係わりましょう。
ですから、自分には伝統の重さ・大切さに拠る語義・範例主義を課し、他人様には今日的応用に富んだ用例主義を─その両面からの視点を以て言葉の用法のゆれや変遷を学ぶことができれば、と。
2.漢熟語に関わるコロケーションの難しさ
この手引きの「誤りやすい慣用句」では、狭い意味での慣用句だけでなく通常の連語関係も含めたあれこれを載せています。
1)慣用句…一般には用いることが稀な特定の語句が含まれていたり、語句同士の繋がりが表層のそれとは別の意味を帯びたりして、しかもその表現は固定されており、勝手な変化は許されない。「道草を食う」は「道草を食べる/いただく」では誤用となる。「咽喉から手が出る」「顔が広い」など身体を指す語が多用されている点も見逃せません。
2)連語関係…特に親和性の高い語同士の組み合わせに、一定まではいかないが幾通りかの制約が存在します。特に漢熟語と漢単語動詞との組み合わせでは結びつきの強弱だけでなく、語義の重複や混合また重層に代換など表現の正用から誤用まで濃淡さまざまなレベルが生じてしまい、その用法の可否判断には大きく時代差や個人差が現れることになります。
3)一般の自立した語句の文法上での関係
係り結びがらみの「全然」「てっきり」「いまいち」といった副詞類の選択、「荒げる」「おさがわせ」など動詞の語形の誤り、「たにんごと」「しょたいけん」など漢字の未熟といった、さまざまな誤用やゆれが起こっています。
3.朝日新聞版「誤りやすい慣用句」の具体的点検
1.「×犯罪を犯す →○罪を犯す
※重言である。刑法でも「罪を犯す」とあり「犯罪を犯す」という言葉はない。」
・「犯罪を犯す」は「犯」という単語が2度使われている、そして刑法では用例がないという理由です。では「法を犯す」、その結果再び「罪を犯す」といえるのか。それこそ一番の重言ではないのか、については何の分析もない。ここではただ用例主義に化している。
そもそも、漢単語「おかす」の多義性は極めて難解なのだと思われます。
原義:人間としての基本的な禁忌をおかす。
触(ふれる/おかす)…おきてを犯す。また、こわいものにあたって、害を受ける。
触犯…禁じられている事柄を犯す。犯触。
触穢(しょくえ)…禁忌すべき物事に関係して、からだなどがけれること。
干(ほす/おかす)…障害を越えて突き進む。
干犯…法律や、人の権利・領土などをおかす。
姦/奸(よこしま/おかす)…道理を犯す行い。悪事。また、その悪事を犯した人。
姦軌…道理にそむいている。また、そのような人。
冒(おおう/おかす)…上にかぶる。またおおいかぶったものを押しのける。
冒犯…おかす。押しのけてすすむ。しのぐ。
冒禁…禁令をやぶる。
ざっと見ても「おかす」の漢語はどの場合に何を当てたら順当なのか、まだまだ不明な箇所が多いので、単に重言と切り捨てがたい学習課題が残っている次第です。
2.「×車の轍(わだち) →○わだち(「車の」は重言)」
・「わだち」はそのまま「輪立」すなわち車輪の通った跡でしかなく、だからこそ「車轍(しゃてつ)」という熟語もあるがこれも「車輪の通った跡」でしかなく、どんな車両の「車輪」なのかには及んでいない。鉄道の、飛行機の、自動車の、馬車の、荷車のといった修飾は欠かせないのだから、少なくとも「その車の轍」は必要な用法である。
車両とその付属でしかない車輪とを「車」の字で混同して重言と思い込んだとしか思えない。ここでは用例主義を用いてもおらず、「語義」での誤解を犯して(冒して)ないだろうか。
3.「×平均アベレージ
※「平均」か「アベレージ」かどちらか一つでよい。両方同じ意味だから重言である」
・「平均」の意味では頭音に強拍があり、強拍が3音目の方は「水準」の意味となるので、前後の流れやアクセントも考慮しないと単純に重言では片付けられない。
4.「×思いがけないハプニング
※「ハプニング」は「思いがけない出来事」の意味だから重言となる。」
・”happening”は「毎日の出来事(everyday happenings )」のように出来事一般、せいぜい偶発事であり、ただ大文字” Happening ”のみは、1959年ニューヨークでアラン・カプロウが仕掛けた「ハプニング・ショー」に始まる市民巻き込み型演劇ムーブメントが起こったことから、一時代「予測不能」の意味を付加した過去があるに過ぎない。その後は”hap”と遣っており、”happening”ではむしろ俗語で麻薬を意味する場合もある。「思いがけない~」なら”event”こそ原子炉の偶発的な機能停止の出来事を指すし、そもそも「椿事」であれば”accident”の方であろう。
5.「×射程距離に入る →○射程内に入る
※「程」は「距離」の意」
・「程」は一定の長さや道のりを指すから射程で、その銃砲の到達有効性能を表わすが、一方「距離」は二つの地点間の長さを表わすとともに、へだたり程度の意味もある。「双方の主張にはなお距離がある」など。ターゲットがその銃の性能射程に入ったかどうかの、隔たりとしての距離を計測して、結果として正確な「射程距離」がはじき出されるのである。測距儀や着弾スコープで「射程」を測ってはいない、もちろん射程性能を前提としたターゲットとの隔たり度合いとしての距離を測っているのある。
だから、だから「射程距離」が重言ではなく、「射程距離に入る」はもちろん「射程内に入る」も表現があいまいで、「射程圏内に入る」と普通にはいうだろう。風向きと風力、ターゲットとの高低差などを踏まえて射程距離を概算するもので、ターゲットとの隔たり具合を単に「射程」などと誰がいうだろう。もちろん重言ではない。
6.「×数珠つなぎになった車に次々と飛び火しながら引火していった
※「次々と引火する」のを「飛び火」という。重言である。」
・例文がお粗末すぎるのですが、単に「数珠つなぎになった車」群であれば、それは大渋滞での形容レベルでしょう。相次ぐ車両同士の多重衝突事故の場合では「数珠つなぎ」どころか、クラッシュの連続でガソリンタンクから燃料がこぼれ出したり、漏れて気化状態になっての熱による引火が一般的に想定されよう。「飛び火」は火の粉が舞う状態であり、材木など積載したトラックでもなければ普通には生じない。電気系統からのショートから火花が生じたとしてもこれはスパークであって「飛び火」とは呼ばない。この記述が不自然なのであって、引火と飛び火は重言ではありえない。
以上、同「手引き」に掲載されたおおよその重言に触れてみました。
何が正しく、どれが間違いなのかを云々する以前に、まずは分かりやすい文章を書こうという意思が前提にあって、漢熟語の語義の多様性やコロケーションの難しさを自覚して謙虚に学習を心がけることが何よりだと思っております。
>『以上、同「手引き」に掲載されたおおよその重言に触れてみました。
>何が正しく、どれが間違いなのかを云々する以前に、まずは分かりやすい文章を書こうという意思が前提にあって、漢熟語の語義の多様性やコロケーションの難しさを自覚して謙虚に学習を心がけることが何よりだと思っております。』
とても勉強になりました。非常に勉強家の回答者さんがそうおっしゃるのですから首肯いたします。
今後ともよろしくお願いします。
No.65
- 回答日時:
#64です。
>「違反を犯す」は「違反」と「犯す」の意味の差が少ないのです。「旅行に行く」のように同じ要素を持つ繰り返しというよりも、ほぼ同じ言葉を繰り返しているのです。
:
なるほど。
言われてみればたしかにそうかもしれませんね。
大変勉強になります。
ただ、教養が無いと言われても、わたしはどうしても「違反を犯す」に違和感を覚えないんですよね。^^;
ちょっと違うかもしれませんが、「一夜漬けを漬ける」を考えてみました。
この場合、(通常は[一夜漬けにする]なのでしょうが、)「一夜漬けする」という動詞も可能だと思うのですが、このように動詞的に「一夜漬け」を捉える感覚があると、どうも不自然に感じます。
しかし、「一夜づけ」という名称の漬物を常時食べているような場合、名詞扱いが身に付いていて不自然には感じないような気がします。
お言葉に甘えて、勝手に自分の考えをまとめさせていただくと、
「というもの」といった本質的な(あるいはおっしゃるところの概念的な)要素が表面化するようなシチュエーションにおいては、重言と思えるものであっても、その不自然さを軽減したり、むしろ適切表現となり得る。
そういったシチュエーションにおいては、結果目的語という動詞的な働きを超えて名詞化された状態と無意識下で認識されている。
のようになりそうです。
あとは、質問者さんとみなさんとの遣り取りで勉強させていただこうと思います。
ありがとうございました。
私には鑑賞能力すらありませんが、歳時記の更新など楽しみにしています。
今回は、お蔭さまで、楽しく勉強することができました。議論が偏向しないで済みました。非常に感謝しております。
お世話になりっ放しですが、今後ともよろしくお付き合い下さい。大変ありがとうございました。
No.64
- 回答日時:
#61です。
お返事が遅くなり失礼いたしました。
>「違反を犯す」の重言的違和感については、「反」の意味を繰り返して、表に戻る感じがするからなのですが、いかがでしょうか。結果目的語の観点からお願いしたいのですが。
:
ご質問文でもおっしゃっているように、
違反に反する→違反をしない
という意味になってしまうのではないか、ということですね。
私としては述べてきましたように、シチュエーション次第で不自然にはならないと思っているので(逆に言うと、不自然なシチュエーションも当然ある、という立場です)、
不自然ではないシチュエーションであっても不自然に感じるとすれば、案外語感の問題なのかもしれない、と思ったりもします。
音として、ハン・ハンの繰り返しになっているので。
注射を射す、旅行に行くなども不自然と感じない方は多いと思われますが、仮に、
注射をしゃする、旅行にこうする などといった発音になっていれば違和感を覚える方は増えるような気もします。
この回答への補足
No.64までの真摯的な回答者さんにお礼申し上げます。ありがとうございます。
hakobuluさんが失礼であった事は一度もありません。お気楽にどうぞ。
お返事の義務も強要もありませんので、互いの知識向上がすべてと致しましょう。
「違反を犯す」は「旅行に行く」とはちょっと違いまして、それが「旅行に行く」に違和感を感じない理由になると思います。「旅行」は「旅に行くこと」であり、続く「行く」は、それだけではどこに行くのかが不明です。両者は等しい意味内容ではありません。
「違反を犯す」は「違反」と「犯す」の意味の差が少ないのです。「旅行に行く」のように同じ要素を持つ繰り返しというよりも、ほぼ同じ言葉を繰り返しているのです。それが引っ掛かるのだと思います。
「注射」は「打つ」ですよね。これには重言性を感じ難いですね。
No.62
- 回答日時:
#59です。
>もちろん重言の構文が異なりますが(後者はサ名詞が後にくる、馬から落馬した型です)。
1.重言の度合い
そもそも戯れ歌「昔の武士の侍」のパターンも幾つかありますが、基本的には漢熟語の音読みと訓読みでの重複表現を連続させていますので、分離すれば2つの文章になります。
<古(いにしえ)の昔の武士(ブシ)の武士(もののふ)が、山の中の山中で馬から落ちて落馬して、女の婦人に助けられ顔を赤らめ赤面し、家(うち)に帰って帰宅して仏の前の仏前で、短(みじ)か刀(かたな)の短刀で腹掻き切って切腹した。>
A.漢語体
「古(いにしえ)の武士(ブシ)が、山中で落馬して、婦人に助けられ赤面し、帰宅して仏前で、短刀で切腹した。」
B.和文体
「昔の武士(もののふ)が、山の中で馬から落ちて、女に助けられ顔を赤らめ、家(うち)に帰って仏の前で、短(みじ)か刀(かたな)で腹掻き切った。」
このように、二傾向の文章を混在させた形での重文では、このような和漢語体だけでなく、矛盾表現重複や頭音重複遊びもよくあります。
「雨の激しい月夜の昼間、一人息子の三人姉妹、山に登って川流れ、大慌てで悠然と、焼け死にながら生還した。」
「四郎の尻(しっぺ)に虱(しらみ)が四匹、しっかりしがみついて白くなって死んでた。」
とまれ、これが単に「馬から落馬」の程度であれば、新情報を加え、助詞の格に気を付ければ撞着は免れます。
「どの馬<で>落馬したの(どの馬<から>落ちたの)」「落馬したのはその黒い馬さ」「あの黒い馬のせいで落馬したんだ」
「いにしえの昔」の場合でも、万葉の頃の「去にし辺」は経験を超えた遠い過去を示し、「むかし」の方は話者の経験した過去の時点や時期の事柄を「思う」ことを意味するという点からすれば、「昔といっても私の過去ではなく、それよりずっと以前の…」を指しており、その点では「いにしえの昔」も「むかしむかし」も決して単純な重言ではなく「たんと昔」の慣用表現なのだとも見做せます。
逆に「武士(ぶし)の侍(さむらい)」という言い方ではその相違点がむしろ気になるところ、「武士(ブシ)の武士(もののふ)」ならばそのまま重言で笑えます。
重言でも漢字で書いたものと耳で聞いただけでは、その過誤のレベルにも自ずから大きな差異があってもおかしくないし、また時代と共に許容範囲にズレが生じてくるのも尤もでしょう。
湯たんぽ(湯湯婆)、覚悟の自殺、戦後以来、離発着、諸刃のやいば、波紋を投げる、話題を集める、視点を向ける、取り敢えずの応急処置、ぐっすり熟睡、慎重に熟慮、突然の卒倒、台風の被害を蒙る。
これらを通して考えてみると、自己の言い方や文章表現や、またプロの文章では気になるところは辞書で確かめて、その漢熟語に習得しようと心がける、一方相手の会話表現はもちろんネット書き込み程度では大らかに受け止める、というスタンスでありたいものです。
2.漢熟語と動詞での縁語の度合い
1)<ニ格>を取るサ変自動詞…単に事実を陳述。
「~に違反した」…用言の対象を限定で修飾する。
2)<ノ格><デ格>を取るサ変自動詞(統語的)…事実表明に含みが入っている。
「~の違反をした」…体言の手段や事由を限定で連体修飾する。
「~で違反をした」…体言の手段や事由を限定で連用修飾する。
3)粗野ないし俗な表現で他動詞化させ、違反の結果としての科罰への意識)
「~で違反しちまった」
「~で違反をやっちまった」
「~で違反をやらかした」
4)一般的な他動詞による違反の結果としての罪責の所在の確認
「私が~の違反行為をしてしまった」
「私は~で違反行為をやってしまった」
「わたしは~で違反を犯した」
この「~違反行為を…」がいささか長く言いにくくもあり、代わりの他動詞もどうやら見つかりにくいため、結局「犯した」という言い方が手取り早くも止むを得なくもある事情が見えてきます。
違反は「違犯」ではないので、そのままの重言ではないともいえますが、文章上で気になる場合は「をおかす」と漢字を避ける手もあります。
スポーツ場面で「もう一度反則をおかすと退場だぞ」「あの選手はルール違反をおかしてペナルティボックスにいます」など、ペナルティがらみなので違反や反則の責任の所在を明らかにするために「おかす」という表現をとることで明解性を伝えたいのではないでしょうか。
また、「犯罪」という漢熟語は、動作のない抽象名詞として「的」を付ければ形容動詞化するだけに、そこには「犯」の動詞的意味は希薄となり、あくまでも「法の規定を破ることで刑罰規定の対象となる罪」と捉えれば「犯罪を犯す」もまた「罪を犯す」と同義に近いでしょう。
この回答への補足
重言は慣用句になってしまえば仕方ないと落着させられるかもしれませんが、
No.49でご紹介して頂きました「誤りやすい慣用句」について、
これは「慣用句ではないもの」も収録されているのでしょうか。つまり慣用句みたいに使われているがそんな慣用句はないという事例ですね。
それとも「罪を犯す」は慣用句なのでしょうか。
★「罪を犯す」が「犯罪を犯す」という難のある句の原形である、原形を堅守できなかった、ただそれだけの事件ということでしょうか。
厳密にはこの新聞社の手引きが正しいと考えるべきでしょうか。違反を犯すは使いそうになっても止める方が正統なのでしょうか。この手引きの存在に引っ掛かります。ご紹介くださり感謝しております。
私も時間をかけながら言語学方面の論文など掻い摘んでいるところなのですが、回答者さんのお示しになられた用語や観点のわけがようやく見えるようになってきました。
お示しの誤用例ですが、話題を集める、は話題を探すなら良いのでしょうか。波紋を投げかけるは聞きますし、戦後以来は私も強引に使う事がありました。終戦以来ですかね。
これらは使いたい漢熟語があってその誘惑に論理力が負けたのだと思います。
★A★「違反を犯す」の議論も、論点は「犯す」の方ではなく、どうしても入れたい単語「違反」の採用にあるのではないでしょうか。
「違反を犯す」と同じ構造をしているもので有名な句がありますでしょうか。
「違反する」=「犯す」になりえると思うのですが、同等の関係にある漢熟語を、和語が結果目的語にする例です。
「規則に違反する」と「規則を犯す」のように同じ意味になるものです。
★B★「違反を犯す」これは何に違反するかを厳密に表現できない苦肉の策なのかもしれません。難の規則を犯しているとは一言で言えないから、う~ん、「違反を犯す」です。(しょうがないじゃん的な説明が妥当なのでは?)
同じ言葉を並べて曖昧文をそう見えないように整形しているのです。どうでしょう。
多彩な用語を挙げて下さり、自習に役立ちます。私は権威主義ではないので用語に説得力を認めないのですが、勉強と思考の整理には大変有用です。貴重なご教示ありがとうございます。
No.61
- 回答日時:
#60です。
前回の最終行、
・俳句についてお尋ねがありましたが、これは専ら鑑賞専門です。
はどのようにお感じになられたでしょうか。
これは副詞的な重言でしょうが、基本的には、
・俳句についてお尋ねがありましたが、これは鑑賞専門です。
あるいは、
・俳句についてお尋ねがありましたが、これは専ら鑑賞の対象となっております。
などとすべきでしょう。
ここでの「専門」は「もっぱら関心を向けている事柄」という意味になります。
「限られた分野の学問や職業にもっぱら従事すること」という意味もありますが、いずれにしても、「専ら専門です」が自然な場面を思い浮かべるのは難しいようです。
これは、重言という要素は無論あるわけですが、それよりも、「専門ということ」「専門の本質」「専門の概念」ということについて述べるようなシチュエーションに私たちは出会う機会がほとんどないからではないでしょうか。
しかし、可能性として全くないとも言えないような気はしています。
ご質問の内容からは、やや横道に逸れてしまったような気もしますが、重言の不自然さ、あるいは自然な重言ということに関して、構造としては基本的に同一なのかもしれません。
この回答への補足
面白いです。
日本人は、漢語と和語の牛飯にしないと旨いと感じない味覚なのでしょう。肉だけかぶりついていられない。肉肉肉という食べ方の日本人が増えている感じもしますが、私は肉飯飯ですね。
「専ら」を最初につけたくなりますね。「ちょっ」とした味付け、カレーに福神漬けみたいな。舌が漢語のスパイスに鈍くて、漢語だけでは十分伝わらないのかもしれません。またお口直しがいるとか。
我々は漢字の字義をほとんど考えずに、極論すれば当て字に近い音感でしか理解出来ないかもしれません。
いろいろ調べているところですが、日本語はどうも論理的じゃないような感じがしてきました。
俳句は文語的だから、私は鑑賞すらできないのです。現代語でないと分りません。ですから鑑賞できるのがすごいという意味で書きました。
鑑賞もそうですが、論理的に判断しない場合は、シチュエーション(←忌)次第というか、その人の脳ミソの感じ方次第になりますよね。実際、語感はそうなのですが。
日本人はナーナー過ぎますね。
「自衛隊は憲法違反を犯している」
「違反を犯す」の重言的違和感については、「反」の意味を繰り返して、表に戻る感じがするからなのですが、いかがでしょうか。結果目的語の観点からお願いしたいのですが。
本当に、いろいろとありがとうございます。
No.60
- 回答日時:
#58です。
時名詞という言葉があるのですね。色々と勉強になることが多いスレです。
>また「違反を犯す」の結果目的語についてはどう思われますか。
:
結果目的語というものは他の方のお陰で初めて知ったので、少し検索してみましたが、
・湯を沸かす
・穴を掘る
などが良く例に挙げられているようですね。
変化した後の状態を目的語としてとる場合で、元々そういった名詞があるわけではなく、動詞及び文脈によってそのように呼ばれる場合がある、ということなのでしょう。
沸かした結果として湯が出き、掘った結果として穴が出来る。
に倣えば、
「犯した結果として違反(という事象)が形成される」
という解釈も可能でしょうから、結果目的語ととらえることは可能なように感じます。(文法的にどうなのかはわかりませんが)
辞書に忠実に整理すると、
・湯を沸かす→「水を煮えたたせて熱くしたもの」+「熱を加えて水などを熱くする。また、煮えたたせる。」
・穴を掘る→「深くえぐりとられた所。くぼんだ所。」+「地面に穴をあける」
・違反を犯す→「法規・協定・契約などにそむくこと」+「 法律・規則・倫理などに反した行為をする。」
といった名詞+動詞の構造。
>重言は動詞性の重複というよりも意味の重複になると思うのです。部分的にでも重複を嫌うものだと思うのです。
:
とおっしゃるのはそのとおりだと思います。
そして、示唆されているように、結果目的語であるというだけで重言の免罪符になるとは思えません。
ただ、全てのシチュエーションにおいて重言が嫌われるとも思いません。
・湯を沸かす
・穴を掘る
が自然な表現と認定されているのは、結果目的語という名称が与えられているからということだけではなく、ほとんどが重言をむしろ必要とするシチュエーションで使われる場合が多いからではないでしょうか。
重言にしろ、結果目的語にしろ、その免罪符は、あくまでシチュエーション次第です。
「湯を沸かす」は、あくまで「湯という熱いもの」が必要な場合に限られます。
「カップラーメンを食べるので湯を沸かす」とは言っても、
化学の実験での、
「さあ、では(この)水を沸かすとどうなるか見てみましょう」などというシチュエーションで、(湯を沸かす、が 水を沸かすことと同義だからといって)
「さあ、では湯を沸かすとどうなるか見てみましょう」とはあまり言わないでしょう。
本質と言っても、おっしゃるところの概念と言ってもいいかもしれません。
また、名詞である湯にしても穴にしても、沸かす・掘るといった動作性はかなり減衰している(話し手なり聞き手の意識から後退しかけている)と捉えることができるように思われます。
この意味で重言は可能になるが、たとえ結果目的語であっても、必ずしも全てのシチュエーションで可能になるとは限らない、ということです。
「(そこにある)お湯を(さらに)沸かす」の場合は結果目的語ではなく通常の目的語となるでしょうし、また同時に重言ともならないですし、極めて稀ではありますが問題のない表現でしょう。
これも含めてシチュエーションの問題です。
シチェエーションついでにというか、骨休めにお伺いしますが、質問者さんは「あげいも(揚げいも)」をご存知でしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%92% …
一応、(一部のでしょうが)北海道名物と言われています。
あげいもの製造と販売をしている店員が、明らかに揚げいもというものを知らなそうな道外からの観光客に販促しています。
「今、とてもおいしい揚げいもを揚げていますが、いかがですか」
これは、観光客の「揚げいもって何?」という質問を予想しての無意識的な表現です。
「揚げいもという商品」「たぶん、はじめて聞く名前だと思うのですが、揚げいも というもの」というニュアンスです。具体的な個別の商品を指しているわけではありません。
一方、販売員同士では、
「今日はわたしが揚げいもを揚げる係だったね」よりも、
「今日はわたしが揚げいもを作る係だったね」のほうが確率の高い会話内容ではないでしょうか。
揚げいもというものを熟知している者にとっては、くどく感じられる不適切な表現として受け止められることと思います。
俳句についてお尋ねがありましたが、これは専ら鑑賞専門です。
こちらこそ勉強になっています。ありがとうございます。
日本語は使用者ごとに拡張性が違ってくるのですね。自然言語とは結局通じるかどうか、伝達が最上の正義なのでしょうね。人や時代によって意味が保存されなければそれはそれで支障がありますが。
No.59
- 回答日時:
#44への回答です。
あれこれの辞書類など、開いたまま足元に撒き散らし状態で、いちいち当たりながら掘り起しています。
[1]
「4.改めて…」については私の言い回しです。これは、「1.補足の関係」において上に述語(他動詞)で下に目的語(事物の名)が来る一番基本的な関係に限定して分かりやすくしたため、その他の「補足の関係」を「4.改めて…」として仕訳した次第です。
こちらは述語(自動詞)+補語(内容や事情の説明語)の関係などを意識しています。(上が目的語で下が述語の関係は女犯くらいなので省きました。)
犯法について、そのまま法を犯す(目的語+他動詞)ですが実は、法に背く(補語+自動詞)ともみなしうるのか。犯罪は、罪を犯す(目的語+他動詞)なのか犯した罪(形容語+名詞)のどちらが主か。このような視角から動詞は「犯す」なのに、「法を犯す」「罪を犯す」「過ちを犯す」の役割の違いが説明できるのではないかと考えた次第です。
なお、漢語が二字以上の熟語となった場合の基本構成の分類については、大方の漢和辞典の付録部に簡潔にまとめられています。
[2]
補足は補足説明ですから、「限定的な「内容説明」」で結構です。ただ他動詞の取る内容は目的語で、自動詞などの取る内容は説明語といった位置づけ上での差異の認識は必要でしょうが。
[3]
多くの辞書に記載があっても、その出所は一緒の源泉からの孫引き同士でしかなかったりしますから、必要な場合は別角度の記述を見つけるまで他の辞書を探し続けます。
今回の場合でも、それが「新明解」や「現代国語例解」ですし、実は悩んだ例としては小学館「国語大辞典」において「おかす」の項で「法を侵す」「過ちを犯す」と記載されていたことです。「犯す」といえば何よりなのが「過ち」という精神的負い目や自己責任意識なのではないかと感じた事の個人的裏付けでもあります。
部下が「ミスしました」とサ変名詞でフツーに躱そうとすると、「この程度のミスはニ度と犯すんじゃないぞ」と自覚を促すパターンです。
国語辞書に記載がない場合では、まずコロケーション辞典で用例確認します。
【違反】─が 絶えない。増える。経る。 ─を 犯す。摘発する。取り締まる。 ─に 問われる。 ─違反 重い。軽い。交通。明白な。…」(三省堂「てにをは辞典」)
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/dicts/ja/t …
そこに記載があれば、用例辞典や類語辞典などにもあたります。それでも見当たらないものはとりあえず誤用の可能性が高いとしてお蔵入りします。もちろんこの調べを通して得た知識において納得が行かなければ、幾つの辞書に凡例があるものでも避けます。
[4]
これは引用が短いのでわかりにくいのですが、完全に逆説的言い方になっています。
この続きには「こういう場合には、何らかの注記(たとえば本来の語義からは越脱した誤用であるむねの)が必要なところだと、私は思います」とあります。新傾向を載せるにせよ載せないにせよ、とかく日本の辞書作成の「えらぶった曖昧さ」は困ったものだということでしょうか。
[5]
このくだりは、半ば冗談交じりの記述でもあるので、ちょうどこの10月1日付の新刊として出版社を遷して発売されたばかりですから、立ち読みでもいかがでしょう。
http://www.shinchosha.co.jp/book/116831/
[6]
漢語には「天地人」のような事物を表わす名詞と、「往来/去就」といった動作語、「大小/強弱」という形状を表わす形容語といった区分がありますが、その実、「同一の語が名詞としても、動作語・形容語としても用いられ、簡単には区別し得ないところに中国語の著しい特色がある。…ただし、意味・用法が異なるに従って、アクセント、すなわち四声(平・上・去・入)の違いが生じることもある」(角川小辞典「日本の漢語」)ということです。
名詞に「する」を付けてサ変動詞化する(違反する)。「をする/行う/起こす」などをつけて統語的に動詞化する(犯罪を起こす)。また「的」をつけて動詞性を強める(犯罪的)。
これらのやり方は動作性名詞だけでなく、どれとでも簡単に動詞風にすることができる(青春する/主婦する/朝シャンする)ので、逆に言えば簡単に「する」が取れて「サ変名詞」に化しもします。このサ変名詞化したことで、もはや当初の名詞は今や別物に「変色」しているのではないか。
それはつまり、その語が持っていた特有のコロケーションが崩れてしまったため、その特有の意味を恢復させ、明確化させるために、あえてその名詞に含まれている語意を動詞で付加し意味の明確化を果たすために、あえて重言性の稚拙さを選んででも…というケースが、特に演説や会話語ではよくあることです。
「そりゃ大変だ。ただちに皆を集めて鳩首談義しよう!」「ホント、本当なんです!二度と再び万引きは犯しませんからどうかご容赦ご勘弁お願いします。」
[7]
語法のマナーとは多岐に及ぶため漠然としすぎて難しいですね。
まず基本となる文章作法では、論旨の明解性とコロケーションの遣いこなしが大切でしょうから辞書などで誤用を避ける努力は欠かせないでしょう。会話では相手次第ですから、適度の敬語の遣いこなしこそが第一で、あとは説得性と親和性次第でしょう。
サ変動詞が頻繁に現れるのはむしろ、新聞記事やTV報道レポートなどで、とりわけ見出しには名詞のサ変活用部を切り取った体言止めが多いので、意味の蝋化現象が頻繁に見られるでしょう(「ヤンチャする」「暴行する」)。いずれにせよサ変名詞は簡単で便利なだけに、その結合性が弱く蝋化を来たしやすいので、「テニヲハ」の遣いまわしがもっと見直されても良いのではないでしょうか。
[8]
私の個人的な意識では「犯す」という言葉は「あやまちを犯す」がもっとも親和性が高く、それ以外では、「法に背く」「規則を破る」「犯罪(名詞のみ使用)」「犯行に及ぶ」「違反する」といった表現などが自然に思えます。
[9]
そう思います。違犯・違叛・違背といった熟語が消えて違反一本化したことで、それらの意味合いまで含めて多用された結果、個人レベルでの約束違反、また組織の意志・命令違反や業界の協定違反かられっきとした犯罪行為や法律違反まで、余りに広範な意味負担が掛り、そのためそれらの構文上の縁語関係までちぐはぐになり、その用法解釈においてどんどん個人差・世代差が拡大しつつということではないでしょうか。
この回答への補足
向学心に感服しています。圧倒されましたし、その中で優しいご指導を受けて、反省もしております。英語関連の本は必要に迫られて持っていても日本語関連の本を所蔵している人は多くないような気がするのです。国文学科からの因縁のようなものでしょうか。私はそういう読書をしてこなかった事を気付かされました。どうして日本語関連の所蔵家になられたのでしょうか。ご自身ではどう思われます。「>[5]井上ひさしの日本語相談」のご紹介ありがとうございます。これがもうお買い求めになられて手元にあると言うことでしょうか。日本語相談シリーズで著者によって議論が分かれたりもするのでしょうか。
回答者さんはタバコも酒もやらず本(国語関連)を迷わず買う感じですか。私は前々から、スポーツの類をマスコミや政治家や政府が振興する愚民化運動を全廃して、とりあえずは国語の趣味を広げるべきだと思っているのです。スポーツは野心の教育と馬車馬の育成です。国語は論理的な国民作りになります。
No.58の閑話休題以降に書いている議論ですが、私に対してご教授して頂けないでしょうか。よろしくお願いします。
kine-oreさんの本回答に関しても、前回答に関しても、精読中です。
(No.49の7-3)
>C「そりゃ友達だから応援は惜しまないけど、さすがに選挙違反を犯すってわけにはいかないだろう。」
この例文をサ変動詞化すると
・D「そりゃ友達だから応援は惜しまないけど、さすがに選挙違反するってわけにはいかないだろう。」
違いが出ますね。どうでしょう。
★また「《ブティックの》店を閉店した」は面白いですね。どういうことなんでしょう??文法的な説明は存在せず、心理的問題ですかね。国文法はやれやれですね。
(No.3の補足)の最後の引用文は、いきなり「違反を犯す」から始まります。
>「違反を犯すことがないよう、自分の行動を再点検してみましょう」
どうでしょうか。「違反を犯す」はヘンであるというご意見も寄せられていますが。「店を閉店した」とはまた違いますよね。もちろん重言の構文が異なりますが(後者はサ名詞が後にくる、馬から落馬した型です)。
>「[5]
このくだりは、半ば冗談交じりの記述でもあるので、ちょうどこの10月1日付の新刊として出版社を遷して発売されたばかりですから、立ち読みでもいかがでしょう。」
ご紹介、ありがとうございます。読みました。「朝シャンする」の話ですね。
No.58
- 回答日時:
#50です。
浅学非才の思いつきに応じてくださり恐縮です。^^;
>違反を犯すについてそのような形で検討するとどうなるのでしょう。
:
そうですね。
違反は、「反し違える」の名詞形でしょうが、名詞形になった段階で動作性は薄まっていると思われます。
わかりやすい例で言うと、
「君、違反するなよ」
と
「君、違反をしてはいけないよ」
と言うのでは、明らかに前者のほうが強い表現でしょう。
違反という言葉の成り立ちについては知りませんが、少なくとも動詞と名詞の作用という点ではそのように言えると思われます。
また、薄まったということは守備範囲が広まったということも言えるでしょう。
「違反を犯す」に関して、「違反をしたという個別の具体的な行為」に近いものへの言及ではなく、「違反というもの自体 / 違反という言葉が示しているところの本質」について述べる際に適切な表現ではないか、ということはすでに述べてきたところですが、おっしゃっていたところの「概念」という解釈が適用されるにふさわしい熟語であることも含め、「守備範囲の広がり」はひとつの理由となり得るようにも感じられます。
守備範囲の広さは、しばしば内容の濃さに反比例するでしょうから、それを補うために、「違反」という名詞の守備範囲の利点は温存しつつ本来の動詞としての役割を強調すべく「犯す」が再登場する。
ということになると思います。
温存するのは、むろん、その本質・概念について述べるためですから、そういったシチュエーションでこそ適切なのであって、それ以外では不自然な印象を与えることになるでしょう。
hakobuluさんは着眼点が良いし、明るくて助かります。
国語にご興味が強いのでしょうか。現在のプロフィールに嗜好の違いが表れているのですが、自己紹介にご掲載の俳句は一つして私には分りません(^^)俳句をおやりになるのですか。
私は俳句よりも狂歌もどきです。パロディ調ですが、その軽い言葉のパッチワークから、わたくしの深い道徳観を読み起してもらえるとは限りません。
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6995670.html
「名詞」
どうも日本語では名詞がなおざりにされているのでしょうかね。リンク先では、一見、長い文章で説明されているようですが、名詞の一般分類について全然説明していません。特殊例しか説明していないのです。余談ですが、以下に「時詞・時名詞」という特殊例もあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E8%A9%9E
次は、時名詞ですよね。
「路線バスの「次止まります」について」
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6987252.html
閑話休題。No.57のお礼における私の議論やこれまでの質問内に見られる質問に何かお考えがありましたら私に対してご指摘・ご教授をして頂きければ有り難いです。
ご例示された、
>「君、違反するなよ」
>と
>「君、違反をしてはいけないよ」
の違いはまさに(サ変動詞を作る)動詞性名詞と普通の名詞の対比になると思います。
また「違反を犯す」の結果目的語についてはどう思われますか。
動詞性の重複による重言は無くせたとしても、重言は動詞性の重複というよりも意味の重複になると思うのです。部分的にでも重複を嫌うものだと思うのです。
しかしながら、結局、結果目的語ということで、重言議論を決断した方が良いのでしょうか。
これまでは重言になっているが、認められている例をご教示していただきましたが。
逆に、結果目的語を使った重言でそれは認められない重言という文を例示はしてもらえませんでしょうか。
本件に対する結果目的語の観点をゆっくりで構いませんのでご教授をお願いできませんでしょうか。
No.57
- 回答日時:
12です。
これ自体も投稿するか迷ったのですが、この御質問へはこれでお終いにしようと思います。
勝手で申し訳ありません。
動作性名詞というのは動作を表す名詞なのですが、例えば解答という言葉は、「問題等に
答えること」という動作性名詞である場合もありますが、「解答を答える」での「解答」は、
「答えそのもの」を表す抽象名詞です。
先の回答では「動詞の結果」と簡単に書きましたが、もう少し詳しく書くと、「違反を犯す」の
場合の「違反」は、動作よりも「法律や規則等を違えたことによって生じた結果、状態等」を
表す抽象名詞である結果目的語である、と考えられます。
「ルール違反を犯す」等のように、違反を形容する言葉が付くと、抽象名詞として
より認識しやすくなるので、「違反を犯す」はダメと言う人でも、許容しやすいという現象が
起きるのではないでしょうか。
要するに、「違反を犯す」は、「答えを答える」のように重言ではないということです。
私は、何の条件もない場合には「違反を犯す」を使いませんが、それは重言とは関係無く、
ただ、「犯す」という言葉が、普段使いをするにはやや大げさな感じがするのに加えて、
「違反する」という、使いやすい言葉があるからというだけのことです。
硬い感じの文にしたかったり、悪いことをするというニュアンスを強調したいときなどであれば、
別に気にすることなく使うと思います。
それから、主語の主観を忖度する必要性は感じません。
普通の人なら違反を「目的」にしないというだけで、反社会的な人であれば違反を目的に何か
するかもしれませんし、普通の人でも否定形で、違反を「犯さない目的」にできますので。
なるほどと思いました。このご指摘は詰めていきたいと思います。boko10choさんに回答を強請するものでも反旗を翻すものでもありません。協力的なご回答大変ありがとうございました。
印象と違って、結果目的語は多いのでしょうかね。思いつきですが、結果目的語にしない場合は、遵守を犯す?「犯す」も、結果目的語しかとらない動詞ではありませんよね。それがややこしいです。
>「「ルール違反を犯す」等のように、違反を形容する言葉が付くと、抽象名詞として
より認識しやすくなるので、「違反を犯す」はダメと言う人でも、許容しやすいという現象が
起きるのではないでしょうか。」
修飾による心変わりについては、そういう分析が正しいように思います。ただ抽象名詞と動作性名詞というのは共通することがないのでしょうか。説明の為に動作性がないという意味で「抽象名詞」を使われたのでしょうか。それとは別に一般的に抽象名詞とはそういうものなのでしょうか。
★「違反を犯す」に重言を感じるのは、動作ではなく、論理矛盾についてですよね。
たとえば否定を二回重ねたらマズイだろうという。抽象的だから、結果目的語だから論理的にも重ならないということでしょうか。お湯を沸かしても、穴を掘っても、論理的に矛盾していないと思うのですよ。お湯を沸かせますし、最後は「お湯を沸かしている」状態になりますし。私としては、それらの結果目的語と「違反を犯す」を分けようとする議論をしているですが、拘泥している無駄とも、直感的に正しい取捨とも、感じるところなのです。
>「硬い感じの文にしたかったり、悪いことをするというニュアンスを強調したいときなどであれば、
別に気にすることなく使うと思います。」
分りました。そういう回答が助かります。回答者さんは公的な文書にも使うということですね。
No.50
- 回答日時:
#41です。
>いずれにせよ「旅行に行く」は使いますねえ。こんな重言を使っていたのですね。日本語やれやれです。そんなことは気になりませんか?
>、旅行となって、「旅行する」で留めておけばいいものを、「旅に行く」の構文に舞い戻り、「旅行に行く」と平気な顔で重言している、いうなれば親のこと子知らずになったように思います。
>>★漢熟語(漢語の熟語)を使おうとするから生じる問題ですよね。整合性よりも機能性を優先したということになるでしょうか。そうなると言語は本質的に論理的でないということですね。
:
やはり「重言」というのは悪として誕生した熟語のようですね。
まあ、わたしも基本的に違和感を覚えるという点では同感ですが。
ただ、重言が生じるには生じるなりの理由があるのだと思います。
むろん、誤用というのも多いでしょうが、果たして本当にそれだけだろうか、という検証を行なうことは無駄ではないでしょう。
今更ですが辞書で確認してみると、
・同じ意味の語を重ねた言い方。「豌豆豆(えんどうまめ)」「半紙の紙」「馬から落馬する」など。じゅうごん。
となっています。
重言の生まれる背景として、単なる無知・勘違いという以外に、自然に湧き出る心理というものが作用している場合も多いような気がします。
その心理をどのように捉え評価するか、ということになるのでしょう。
その正当性を認めれば論理的と言えるでしょうし、正当性がないとか、あっても定まった基準として明示できないとなれば論理的でない、ということになるのでしょう。
「旅行=旅に行くこと」として、本当にイコール記号で結べるものだろうか、と考えてみたいと思います。
「旅行」は動詞的意味を持つ名詞ではあり、動詞性名詞などと呼ばれるらしいですが、この「的」「性」が示すように、動詞としての機能を「旅に行くこと」などと同じように明確に持っているわけではないでしょう。
つまり、「旅行≒旅に行くこと」と捉えるのが自然ではないかと思われます。
「旅行」は、動詞機能の欠落が伴なっているからこそ、動詞的、動作性などといった表現が冠せられているはずです。
この欠落性を補うために、本来の動詞を敢えて復活させることが有効な場合もある。
という可能性に着目するのは論理的とは言えませんかね・・・。
それとも、多少、こじつけめいてきたでしょうか。
「旅行する」は、他の土地へ出掛ける。
「旅行に行く」は、他の土地へ「旅行という(楽しい / 切ない / 気楽な / 心弾む )もの」をしに出掛ける。
このような違いがあり、この使い分けは日本語表現として必要なものではないか、という感想を持ちます。
なるほど。こじつけというか、欠落の証明の仕方ですよね。それは「置いて置くとして」
>「「旅行=旅に行くこと」として、本当にイコール記号で結べるものだろうか、と考えてみたいと思います。」
サ変名詞「旅行」を採用したまま、「旅行する」には欠落している「旅に行くこと」の構造が持つ意味や文体を使おうとしたのでしょうね。
「欠落」と「復活」というように説明目的の断言をしてもらうと、見えて来ますね。
違反を犯すについてそのような形で検討するとどうなるのでしょう。もちろん私なりにも考えてみますが。
その他、この質問内に見られるテーマでご意見等ありましたらどうぞご教授ください。
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