No.49
- 回答日時:
#44の続きです。
5.「自発性のある動詞」について
「刑法上で、人間の自発的な意思のあらわれとしての身体の動作、または動作をしない状態。民法上は法律行為。」(小学館「国語大辞典」)
この「自発的な意思のあらわれ」を帯び得る動詞といったイメージを念頭に入れて使っています。
6.コロケーションと重言について
語と語の結びつきが特定の語彙を構成していく、その特定の縁語関係(コロケーション)には様々なレベルがあるとされています。名詞に「~する」もしくは「~をする」を付けて合成語にする場合でも、更には特定の動詞と組みわせる場合にも、その名詞の含意を考慮しいたずらな重言的表現は避けるべきでしょう。
「行為」という名詞の場合は「行為する」「行為をする」のままでは曖昧ですが「行為を敢えてする」「行為を始める/やってのける/つぐなう」とか、「行為に及ぶ/出る/走る」などとは親和性が高いでしょう。
同様に「犯行」の場合も「犯行する」「犯行をする」だけでは不自然で、「犯行を重ねる/くらます/認める」や「犯行に及ぶ/踏み切る/走る/かかわる」などが挙げられます。
由緒来歴のある故事成句や、結合して独自の意味あいとなる慣用句ではその用法の正誤・可否が辞書などでしかるべく確認できやすいのですが、連語の結合性の緩めな縁語関係では一般的な辞書には記述が乏しいこともありコロケーションの当否や「はずれ具合」が不分明な場合が多くなりがちです。(参考:三省堂「てにをは辞典」)
重複表現については、報道のように公共性の高い立場に立ったものとして「誤りやすい慣用句」(「朝日新聞の用語の手引き」)のように相当の厳密性が求められます。
「×犯罪を犯す→○罪を犯す」
一方、日常会話レベルでは、次のような考え方ももっともな思いがします。
「類語を反復することで相手にそのことを強調しよう、そのことを印象づけようとするのではないか。べつに云いますと、似かよった意味の言葉を並べてその意味の滞空時間を長引かせようとするのではないか。もうひとつ、語呂の良さ、云いやすさをつくりだすために、意味の似かよった言葉をならべるときもあるのではないでしょうか。「後悔するなよ」と云うより、「あとで後悔するなよ」と云うほうが調子が整って云いやすいと思うからです。──という次第で、筆者は重複表現をまちがいだとは考えておりません。いやむしろ、会話の中へもっと盛んに取り入れて。意味をしっかり相手に伝えるべきだと思っています。」(朝日文庫「井上ひさしの日本語相談」の「「一番最初」「いま現在」は間違いか」の項)
7.「犯す」という動詞のコロケーションについて
1)過(あやま)ちを犯す…宗教的規範や道徳に背き、精神性の側面の高い罪業をなす。
「われら、いかなる罪を犯して、かく、悲しき目を見るらむ」(「源氏物語 明石」)
「天の益人等が過ち犯しけむ雑々の罪事は…」(「祝詞・六月晦大祓」)
このように、「罪を犯す」「過ちを犯す」といった、犯す行為の内容を補語として取る形の用い方は、和語として古くから使われており、今でも一番人口に膾炙した縁語関係だと思います。
2)犯法…法を犯す…法律に背いたことをする、法を破る行為をする。
この「犯科」「犯法」「犯禁」など、中国での出典も明らかな熟語なのですが、それだけにどうしても改まりすぎるきらいがあるのか、近頃の日常生活では漢文訓読調交じりでの「法を犯す」以外はあまり接しません。
一般には「掟に背く」という古風な言い方から、「規則を破る」とか「校則を無視する」、さらには「ルールに違反する」といった”翻訳調”に至るまで、でしょうか。
3)犯罪を犯す、違反を犯す
「犯罪を~」とした縁語では「~起こす/構成する/実行する/やってのける」といった調子で、いかにも第三者的であったり俗語的なものになりやすく、といって「犯罪(を)する」とも言えず、「犯罪を為す」や「犯罪に走る」もしっくり来ず、はっきりと「自発的な意思のあらわれ」を帯び得る動詞としては、つい「犯罪を犯す」といった重複的ミスを犯したくなります。修辞学でいう「冗語法」としての強調用法とみて、これは今では許容範囲なっているでしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%97%E8%AA%9E
一般的には「違反する」とサ変動詞にして使うのが普通ですが、文章の流れで「違反を~」と主格に立てた言い方では「~取り締まる/摘発する」といった繋がりはあっても、当人の「自発的な意思のあらわれ」を帯び得る動詞がなかなか探せません。そこで明確化を目的にした場合にその構文上の一部として「違反を犯す」という言葉が挿入されていても違和は感じないでしょう。
http://rules.rjq.jp/tensu.html
「そりゃ友達だから応援は惜しまないけど、さすがに選挙違反を犯すってわけにはいかないだろう。」
このように「違反」に特定の新しい情報が加われば、その時点で「余分な重複表現」であることが薄れ、強調手法を加味した自然な会話表現になるのではないでしょうか。「店を開店する」→「新たにブティックの店を開店したい」のように、です。
>「を」という助詞が曲者なのでしょうか。
「(水で)お湯を沸かす」「(磨いだコメで)ご飯を炊く」といった用法については次の記述が分かりやすいでしょう。
格助詞「を」は、「他動的意味をもつ動詞に対して、その動作・作用を受けるもの、その作用によって作り出される目的語を明確に示す。」(「広辞苑」)
この回答への補足
この回答のお礼文を一部、訂正します。
「犯罪を犯す」は人口に膾炙していないっていう異口同音は古式ゆかしいと捉えるべきなのでしょうか。
>『重複表現については、報道のように公共性の高い立場に立ったものとして「誤りやすい慣用句」(「朝日新聞の用語の手引き」)のように相当の厳密性が求められます。
「×犯罪を犯す→○罪を犯す」』
そうですか。「朝日新聞の用語の手引き」までお持ちなのですか。
恐れ入りました。
活字命ですし、記事は、著作権など、将来の会社の資産として残るものですからですね、君子危うきに近寄らずなのでしょうね。誤報はしても誤用はするな、みたいな格言があったりして。
>『このように、「罪を犯す」「過ちを犯す」といった、犯す行為の内容を補語として取る形の用い方は、和語として古くから使われており、今でも一番人口に膾炙した縁語関係だと思います。』
膾炙してないっていう異口同音は歴史と乖離していますかね。
お世辞ではなく、自習する上で大変参考になっております。言語や辞書や専門家についての私の認識が変わってきました。少しは考えらるようになりました。引き続き勉強して行きたいと思います。本当にありがとうございます。
No.46
- 回答日時:
要するに「名詞+する の形で構成される動詞化する名詞」のことでしょ。
「体言化した動詞」英語の動名詞と変わらない。動名詞は現在分詞であり「~すること」です。この程度の事なら中学生や高校生でも知っている。それを大袈裟な表現をしているだけで張り子の虎と同じ。権威主義では相手を納得させることなど到底不可能なこともこれまでの人生経験からお判りでしょう。この概念によるならば「違反」は「違反する」が動作性名詞として成り立っていると説明されます。そして件の「違反を犯す」は「違反することを犯す」となります。
表現としてはオカシナものとなる。が一方「違反」には「何に違反するのか」との「何に」が「文言」として明示されていないものの「違反」という行為自体が既に「規則に抵触する」との認識を前提として含んでいることから、認識過程としては「違反行為をはたらいた」との理解も成り立ちうる。それゆえ「言葉の機能」に即して考えるなら「違反(行為)を犯す」もシチュエーション次第で使われ得る、とも話させていただいた次第です。単に文法解析を披露しただけでは説明になるとは限りません。
「お茶する」と同様です。「お茶を飲みながら会話をする」行為が省略されただけです。大学の研究室で見られる「飯行こか?」は時としてリクルーティングの意味も含みます。これは話し手と聞き手の間に認識が共有されていることを前提とする会話だから成り立つ。つまりシチュエーション次第といえる現象です。「お茶する」も本来の「お茶を飲んで一息入れる」から「茶飲み話をする」「茶話会」へと変化してゆき、それの行き着いた結果が「お茶する」となっただけ、でも「お茶を飲む」本来の形は残されている。
結末がはっきりとしているテレビドラマのようなスタイルに終止しても意味はありません。「結果に至るプロセス」がしっかりした論理構造を有することで結論を正当なモノとして提起できるのではありませんか?。
「違反する」それとも「お茶する」
この考え方は面白いですね。
「お茶にする」が原形ですよね。
「お茶」の意味だけではなく、文法的にも違う文になっていくのでしょうか。
柔軟な着眼点についてのご回答ありがとうございました。
No.44
- 回答日時:
#37です。
「能を以て不能に問い、多きを以て寡なきに問い、有れども無きが若く、実つれども虚しきが若く、犯されて校(むく)いず。」(「論語 泰伯」)
「才能が有るのに無いものにたずね、知識ゆたかであるのに乏しいものにたずね、有っても無いように、充実していてもからっぽのように、害を受けてもしかえしをしない。」(金谷治「岩波文庫版」訳)
この「犯而不校(おかさるるもこうせず)」では、他人の領域に侵入し相手の不為益な害を及ぼすという意味からして、「犯」の持つ多様性あるいは多義性ということでしょうか。
とまれ、補足での問い合わせ事項について、箇条で触れてみたいと思います。
1.辞書の時代性と記述の有効性
私の場合は「万葉集辞典」「古語大辞典」、「邦訳日葡辞書」、「江戸語の辞典」、明治期の「言海」、大正期の「大字典」、昭和初期の「齋藤和英大辞典」など、その時代ごとの日本語への導入案内辞書を頼りに多角的にその語彙の変遷を辿るように心がけています。つまりは何より学習本位のスタンスで居ますから、現代の一巻の辞書での記載の有無にこだわる意識はありません。
ただ、次のような意見は十分説得力があると思います。
「近ごろ一部で盛んに用いられている語法を、既成事実だから仕方がないという立場で事後承認したものですが、この語法の時代性も、社会的階層性も、なんら辞書の説明には反映していませんから、すでにしてこの語義は普遍性をもったものとして辞書のお墨付きを得たことになります。」(朝日文庫「大岡信の日本語相談」の「辞書も「一定の」誤用は認めます」の項より)
2.サ変動詞と重言性の相関
動作性の名詞に「する」を付けてサ変動詞として用いるやり方は至極便利ですが、その名詞としての語義を残したままの動作性を明確にするには、「~を行う」という言葉を足して動作名詞のチェックをするという「井上式反応測定法」があります。(朝日文庫「井上ひさしの日本語相談」の「「動作名詞」が決め手のサ変動詞化」の項)
これを反転させて読み取れば、サ変動詞をより明確化させるには「…行う」といった「…する」よりも一層行為性の濃い動詞を付加するということに繋がるのではないでしょうか。そして、その濃さからして、「違反する」→「違反を行う」→「違反を犯す」という明確化の連鎖が求められるケースがあり得るということでしょう。
これについては後の6.にて検討を続けます。
3.犯罪+行為
これは、既に触れておりますが、「3.修飾の関係」での「犯罪(ハンザイ:犯法した罪)」が本義で、それが後に動詞化して「4.改めての補足の関係」での「補語を取る動詞としての」「犯罪(ハンザイ:犯法した、その罪にふれる)」という二重の意味が混在する語意となっています。つまり「法を犯したという罪」であり、そのような「罪を犯す行為」でもあるという名詞と動詞の語義の混在性です。したがって「犯罪を行う」が認められるなら、この場合の「犯罪」は動作名詞であり、その濃さを強めれば「犯罪を犯す」という表現も決して「悪しき重言」として単純に退け得ないのではないでしょうか。一方、これは動詞なのだとみる観点だけからすれば、「犯行を犯す」の類の明らかな重言なのだと感じてしまわれるものでしょう。
4.違反する
出典の「後漢書」では、「違反」は「違戻(いれい)」とも遣われ「たがえもとること」の意とされます。(講談社「大字典」)
教文に、ひいては約束や相手の意志に「違え悖る応対」という広い意味があり、その中でも掟に背くものは「違憲」、法律に「違え悖る応対」をした場合には「違犯:法規を犯すこと」など、実に多くの「違…」の熟語が存在しますので、「違反する」だけでは、それが掟は法規を犯し罪となるかは詳らかにはできず、曖昧ゾーンにあると思われます。そもそも「イハン」は「違叛」とも表すという説(「学研漢和大字典」)や、「違反」は別儀で「イヘン」と読み「契約を履行しないこと」の意味との指摘(「広辞苑」)もあり、当用漢字規制時代の煽りで一層「ゆれ」が齎されてしまっていますが、とにかく「違反する」だけでは罪を犯す「違憲」「違犯」であるかは未詳のままなのだとはいえるでしょう。上司の指示に「違反する」「違背する」レベルもあるでしょうから。
長文になっていますので、まずはここまでで、5以下は日を改めて、と。
ご教授ありがとうございます。
さまざまな本からの引用をご紹介いただきまして大変勉強になっています。これらの本は、kine-oreさんがすべてお持ちで、ページを繰ってお調べいただいたということでしょうか?感服している次第です。今回の掘り起こした物というよりもまず記憶に残っていたということでしょうか。勉強する者にとっての励みにしたいと思います。
【1】「4.改めての補足の関係」は一般的な文法上の区分なのでしょうか、回答者さんの説なのでしょうか。「改めての補足の関係」が文法の教科書用語であれば、この機会に教科書用語の一つとしてぜひ暗記して置きたいのです。今後の参考にする上で、すべての説明において、どこからどこまでが誰の見解なのかを聞き手である私の方としても明確にしながら勉強して行きたいので、宜しくお願いします。
【2】(No.37)「4.改めての補足の関係」について浅学の私は今一つ理解できていないままです。その構造について一般的な形というのでしょうか、私がこの関係を応用できるような関係式を説明していただけませんでしょうか。
例に挙げられた「犯罪(ハンザイ:犯法した、その罪にふれる)」ですが、これは「罪」だけでいいものを、「犯法」の意味の「犯」を付けたということでしょうか。「修飾」ではなく、「補足」ということですよね。「補足」というといろんな補足があると思うので、「補足」より限定的な「内容説明」としてはいけませんか。その方が整理がつきやすいと思うのです。
【3】(1.について)>「その時代ごとの日本語への導入案内辞書を頼りに多角的にその語彙の変遷を辿るように心がけています。つまりは何より学習本位のスタンスで居ますから、現代の一巻の辞書での記載の有無にこだわる意識はありません。」
お心掛けは書家を尊敬せずにはいられなくさせる内容です。願わくは私もそうありたいと思います。
「有無にこだわる意識はない」ということですが、多くの辞書に記載があった場合や、「一巻の辞書」にも記載が無かった場合、回答者さんとしては、その状況をどう参考にされるのでしょうか。
【4】(1.について)質問者さんの説ではない物を聞くのも恐縮なのですが、引用の「辞書も「一定の」誤用は認めます」の項についてですが、次の部分がよく分かりません。
>「この語法の時代性も、社会的階層性も、なんら辞書の説明には反映していませんから」
これを受けて、その辞書の判断では「語義に普遍性がある」としています。「反映していない」という否定の条件だけで(つまり普遍的な条件がないまま)、どうして普遍性が出るのかが分りません。
【5】(2.について)>「「~を行う」という言葉を足して動作名詞のチェックをする」
ですが、具体的にどうやるのでしょうか。私も付ける動詞に困った時は「行う」を付けてはいますが、チェックになるというのが分りません。たとえば「愛」はサ変名詞ですよね。「愛を行う」はおかしいですから、「行う」を足して使えるならば、問題なしということで、上手く使えなくても、サ変名詞ではないとは言えないのですよね。問題あり(使えない)を調べるテストではないのですよね。
【6】(2.について)>「サ変動詞をより明確化させるには」
サ変動詞は「~する」でそれ以外にありませんよね。「違反を行う」にサ変”動詞”はありませんよね。
「サ変動詞を明確化」とは、「サ変名詞の動詞性を明確化」ということになるでしょうか。
【7】(2.について)
語法のマナーとして「~する」のサ変動詞を減らした方が良いというのがあるのでしょうか。そのサ変名詞を残しながら、そのマナーを守ろうとして、サ変名詞を用いながらも、サ変動詞化しないという結果になるということでしょうか。それはマナーを天秤にかけた場合、冗長を避けるマナーを踏み外しかねませんでしょうか。つまりマナーというものが危険防止のため配慮をまとめたものであるとすれば安全性を損なうアベコベなマナーになります。
【8】(3.について)これはこれまでの体系的なご説明をよしとすれば、「犯罪を犯す」についての正論の結論として採択したくなります。もう少し勉強させていただきたく思います。ありがとうございます。しかし今回学ばせていただいて思うのですが、言語というのは数学と違って、剛柔の二面性がありますね。私は、言語問題の是非について、多数決的に処理したり、井上さん的に柔を強調したりしない方が、個人的に今回のような新天地的な発見があっていいと考えます。いかがでしょうか。No.37の岩波書店の説明文で私が納得してしまったら何も成長しなかったし、何の感動もなく、今後、これに関して考えるのを止めるだけになります。
ただどうしても話が抽象的になってきますね(笑)
【9】(4.について)これが今回の主題なのですが、違反の意味が実は、はっきりしていないというご説明でよろしいでしょうか。
長文乱文で申し訳ありません。
気長にお付き合いいただきたいです。今後もご教授して戴ければ幸いです。ありがとうございました。
No.43
- 回答日時:
たびたび申し訳ありません、#6及び42です。
「覚える」との感覚機能との関連でみるならば「不快感を覚える」「揺動感を感じる」などを日常の中で使ってしまうケースもありますが、感覚は知覚であると同時に認識でもありうると思われます。「違和感を感じる」と「違和感を覚える」では認識としての位相に違いはあるのでしょうか。個人的には位相がないとも思われます。また別に「くどい」などの印象もあるとは言えません。こうした点では「文法よりも言語としての本質が優先される」ことに目を向けることもアリかなとも思えます。
この回答への補足
「感覚を覚える」についてのレスありがとうございます。
他の回答者さんもご意見ください。
既出回答者への反論ではなく、反対の意見の説明を論じていただければと思います。
お示しの「動揺感を感じる」は「動揺感を覚える」ではなくてですか。「動揺感を感じる」が良くて「不快感を感じる」はダメというご意見でしょうか。その理由が機能面に由来するということでしょうか。
私的には「不快でした」「不快感を覚えました」ですね。
「不快を感じる」は使いますか。
「○○感を覚える」と「○○感覚」は生理学的にも論理的にも交換するのは難しい関係にあるような気がします。既出回答で刑法の特徴が述べられていましたが、字そのものもさることながら、和語に直した際の論理性は、前と後の異なる用語の内容をそれぞれ正確に把握できているかにも関りますね。専門用語の払い下げ問題とでも呼びましょうか。いわゆる素人が日常語にするリスクを犯したのですかね。和語に直すのはリスクがありますよ。というか言葉が混乱してしまうのでしょうかね。科学用語と日常用語をちゃんぽんにした文のように。
使用者ごとの知識体系の違いが影響するでしょうね。しかし使用者任せだと語法の真偽を問える一般法則がないことになりますよね。
もちろん私としては日本語としてどうかの説明を中心に求めています。
間違いや学問的に不適当な言葉遣いがありましたら遠慮なくご指摘ください。勉強になりますので。
とても参考になっています。例外を除く質問者同様、私も質問しているのは、本当に分からないからです。
ご指摘のように英語など外国の問題はあります。なるほど★「舞を舞う」も繰り返しですね。舞の字義が「漢語+和語」ですね。今後はキmチの発音問題など朝鮮語の影響力も出てくるでしょう。
言語に限りませんが回答者TANUHACHIさんの実直な親切さが随所で活かされています。
「外国人に日本語の作文を直されて」
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6985860.html
作文と作為には因縁があります。外国人が質問者当人で、回答者の口を借りて、人身口撃を達成すれば、ペナルティーを貰うのは、親切なあなた呑みです。量を量るどころか、謀られましたね。外国の質問者に踊らされたのです。外人は回答者TANUHACHIdanceを楽しんで誉めてつかわした。世界的にもそういう根性の文化は特定されます。真贋を問うまでもなくあれは質問ではありません。差別というのは悪い言葉でも悪い事でもありません。それに悪いというレッテルを貼って日本語を一つ使い物にならなくした連中が日本語を騙るのを止めさせるべきでしょう。
TANUHACHIさんは漢字を多用されますね。その訳を自己申告されたので納得しました。読みずらいと思っていましたから(笑)メールの場合、手書きとは違って、漢字表記を選ぶ習慣があれば、変換機能で仮名のチェックも出来ます。読み辛いにならいないと読みづらいではありませんからね。しかし相手は漢字教養を強要されます。手書きの時、漢字は画数が多いから崩さないと大変ですね。
短縮式の若者言葉に対して日本人は言葉を短縮するのが好きなんて理由付けがされていましたが、その圧縮された言葉を解凍(展開)する時に元の語義データが失われるのでしょうね。漢字の使用は、文字数を少なく出来る事と語意を特定する事と文章を読み易くする事に効果を発揮すると思います。
★「数を数える」これもなるほどです。ジズラのみならず。おとまでにています。こういうばあいにしんぶんやしょうせつではしゅっぱんしゃは数をかぞえるとするけいこうがここじゅうすうねんけんちょにみられるとおもいます。かいとうしゃさんとははんたいにかんじをさけるけいこうがしゅりゅうになっていることをどうおもいますか。「数を数える」は「かぞえる」の当て字に「数」をあてたのが不用意だったのではありませんかね。削除要請ではなく「漢字を充てる」は「充てる」でいいのでしょうか。漢字で埋め尽くしていく文意にはなると思いますが。
「あてる」も「はかる」もいい言葉なんですが漢字表記を考えると不安感に苛まれます。
「動作性名詞」なるお題目を挙げるだけなら小学生でも出来ます。それは説明と言いませんね。題目だけあげて説明が続かないのは贋物です。何一つ説明できない証です。ググッただけでまとめることさえできないみのほどしまづのかいめいゆかいはんにはてつついすべきでしょう。
快刀ありがとうございました。
No.42
- 回答日時:
#6です。
文法の問題に関しては残念ながら知識を持ち合わせていませんので、質問者様の問い掛けに十分なレスポンスをお返しできませんが、ここまでの議論を見ていて「認識と認識を表現する過程での言語表現のあり方」の問題であるかのような気がしています。漢語としての「反則」に送り字を附した表現が「(規)則に反す」であるならば逆に「違反を犯す」を漢語で表記した場合にどうなるか。少なくとも「違反」だけでは送り字を充てることは困難でしょう。もしここに送り字を充てるならば何らかの形で対象を記す必要があることになります。
しかし「違反」という表現の内部に「規則」なり「規律」といったそこに前提が含まれると理解するなら、それを表記としては「省略」することが認識上では「内包させる」ことと同義となり言語表現としての機能を発揮しているとも理解出来るでしょう。
つまり「違反」の表記は既に「違反行為」として認識されているのであり、「違反行為をはたらいた」「違反行為をした」ことと認識の上では同じ事になります。
しかしながらこれは「ほれ見なさい」「素養のある日本人なら」などと頑固な老人がしたり顔で自慢げに我田引水的な論理のすり替えをしているのとは本質的に異なります。結論が一見同じであってもそこに至るプロセスに矛盾があるのですから、「ほれ見なさい」などの言葉には真贋を問うほどの価値もありません。
百歩譲って「動作性名詞」なる概念が確立されているならばその根拠を示さないことには理解もされないでしょう。同時に「多勢が使っているから正しい」などの論理も実際には説得力としての根拠があるか否かも不明のままです。年寄りの頑固さにも困ったモノです。
ここで一つ思い浮かんだのは「数を数える」「音を聴く」の表現です。「動作性名詞」ならば「動詞」の中にその具体的な行為を示す文字があるはずです。この様な表現に敢えて目的語を累ねるには「伝える側の何らかの意図」が内在しているとも考え得るとするのは早計でしょうか?。「数える」「聴く」には何れもその行為が別に表記されています。「量を量る」とはいっても「量を数える」などとは言いません。「着物を着る」「服を着る」なども同様です。「テレビをみる」もモノとしてのテレビ装置を見るのではなく、テレビで放送されている番組を観るとの意味であることに異論があるかと問われれば疑問の余地はありません。
これはあくまでも個人の見解ですのでお気に障れば削除を要請していただきたいのですが、僕は出来うる限り漢字を充てる表記を心掛けています。同じ「みる」であっても「見る」「観る」「視る」「覧る」「診る」「看る」などシチュエーションにより使用される文字も異なる性質を有していることに起因します。現在の文法学は明治維新以後にもたらされた言語学とりわけても英語学の影響を多大に受けてもいます。そのため英語表現にみられる“dancing”などは「舞を舞う」などの重複を伴う表現になってしまう可能性もあるでしょう。これも「ダンスする」や「踊る」で意味は伝わりますが、歌舞伎で或シーンを観ていた外国の観客に隣の友人が“dancing on the seashore”として伝えた光景を和訳するなら「波打ち際でダンスをしている」「波打ち際で舞を舞う」では明らかに異質なものを感じてしまいます。欧米の人間にとって波打ち際で踊るのはフラダンスやポリネシアンダンスなどのイメージがあり、波打ち際で能のようなスタイルの舞踊をすることは想定にはあるかといえば疑問です。
ご回答ありがとうございます。
ご指摘のように外国語との兼ね合いはポイントでしょうね。
「舞を舞う」はどうしょうもないですね。マの音まで重複します。舞以外を舞う可能性があるからでしょうね。
外国語(漢語)から多義性を日本人が度外視しているというのが姿勢が日本語の論理面を弱くしていると思います。
TANUHACHIさんは漢字を多用されますね。その訳を自己申告されたので納得しました。読みずらいと思っていましたから(笑)メールの場合、手書きとは違って、漢字表記を選ぶ習慣があれば、変換機能で仮名のチェックも出来ます。読み辛いにならいないと読みづらいではありませんからね。しかし相手は漢字教養を強要されます。手書きの時、漢字は画数が多いから崩さないと大変ですね。漢字の使用は、文字数を少なく出来る事と語意が特定する事と文章を読み易くする事に効果を発揮すると思います。
★短縮式の若者言葉に対して日本人は言葉を短縮するのが好きなんて理由付けがされていましたが、その圧縮された言葉を解凍(展開)する時に元の語義データが失われるのでしょうね。
★「数を数える」これもなるほどです。ジズラのみならず。おとまでにています。こういうばあいにしんぶんやしょうせつではしゅっぱんしゃは数をかぞえるとするけいこうがここじゅうすうねんけんちょにみられるとおもいます。かいとうしゃさんとははんたいにかんじをさけるけいこうがしゅりゅうになっていることをどうおもいますか。「数を数える」は「かぞえる」の当て字に「数」をあてたのが不用意だったのではありませんかね。「漢字を充てる」は「充てる」でいいのでしょうか。漢字で埋め尽くしていく文意にはなると思いますが。
「あてる」も「はかる」もいい言葉なんですが漢字表記を考えると不安感に苛まれます。
★漢字に注目すると重複がたくさんあるんですね。勉強になりました。
No.41
- 回答日時:
#35です。
>★「食事を召す」「被害を被る」の他にありませんかね。
たとえば「感覚を覚える」はやはり宜しくないでしょうか。「○○感を覚える」ですからね。どうでしょう。
:
「何となく妙な感覚を覚える」などですね。
いいんじゃないでしょうか。個人的には抵抗ありません。
あと、
「注射を射す」「旅行に行く」「平均に均す」なども可能だと思うのですがどうでしょうね。
たしかに重言表現なのでしょうが、
「注射をする」「旅行をする」「平均をとる」とは明らかに異なるニュアンスが表現されていると思います。
たとえば、「旅行に行く」は、「旅行というものに行く」というニュアンスを表現したい場合に使われるのではないか、と推測します。
「旅行という本質的性格に関連させた表現」と考えても良いでしょう。
「旅行する場合には事前に宿を予約するようにしている」は重言ではありませんが、こうした本質的性格に関連させているというニュアンスはありません。
あくまで、「一行動としての旅行」というニュアンスでしょう。
それに対して、
「旅行に行く場合には事前に宿を予約するようにしている」の場合は、
「旅行【という楽しい本質を持っているもの】に行く場合は~」というニュアンスを表現できると思います。
この場合の「本質」はおっしゃるところの「概念」とほぼ同義と捉えることが可能であろう、ということは先に申し上げていたと思います。
>「違反を犯す」を否定する人もいますが、否定できないと言えるだけの正当性がありますかね。
:
そうですね。
私の場合はあくまで個人的な感覚で回答していますので、忸怩たる思いはありますが、学術的根拠に基づく証明は難しそうです。
感覚を覚えるは認可おりましたか。
「注射を射す」「旅行に行く」「平均に均す」は見事ですね。まったく気づきませんでした。
この三つを検討しただけでも個別の事情が大きいような気がします。それだと体系的な学問にはなりにくいですね。ちょうど生物学や医学がそれらの応用の説明に無力になるように、文法が現実の用語を説明できないのです。
ご説明の方がなんとも分かりにくいですが。
>『たとえば、「旅行に行く」は、「旅行というものに行く」というニュアンスを表現したい場合に使われるのではないか、と推測します。』
「旅行」は「旅」ですね。タビだと足袋(タビ)履いて三度笠になってしまいそうで、トレンディーな旅や業務としての旅を差別化するための造語は、一文字では熟語にならず、「行」をつけて、旅行となって、「旅行する」で留めておけばいいものを、「旅に行く」の構文に舞い戻り、「旅行に行く」と平気な顔で重言している、いうなれば親のこと子知らずになったように思います。もちろん歴史的に和語「旅する」と漢語「旅行」のどちらが先なのかは知りませんがね。
★「旅行」も「規則違反する」と同じように「海外旅行する」になりえますね。しかし「海外旅する」と言えない、そう思うのはなぜなんでしょうか。
サ変名詞「旅行」が、サ変名詞「旅(する)」と同じに棚に並んでしまった。好きな方を使える時、あっさりしている旅行を選んで、旅行に行くとなる。「旅行」が一般化し、「旅」の方が特殊な用語になってしまった。
いずれにせよ「旅行に行く」は使いますねえ。こんな重言を使っていたのですね。日本語やれやれです。そんなことは気になりませんか?和語で、「旅に行く」では旅情がでて仕舞って扱いにくいのでしょうかね。ある意味、和語の心を取って置きにし、守っているとも言えますね。なんだかんだでただただ無批判に重言やむなしですかね。
★漢熟語(漢語の熟語)を使おうとするから生じる問題ですよね。整合性よりも機能性を優先したということになるでしょうか。そうなると言語は本質的に論理的でないということですね。どうでしょう。国語にうるさい先生やネットの誤用叩きなどは、言語は論理的だという大義名分でなされているものだと思いますが。
No.40
- 回答日時:
Ano,32です。
ほれ、「違反を犯す」なんて誰も言わんでしょ。
「違反」と言う名詞には動作が内蔵されているってことを知らんのかな。
そういう類のものを動作性名詞って言うんだよ。
それに「犯す」なんて動詞をさらにのっけたら、くどくておかしいだろ。
それくらいのことがわからんかなぁ。
No.47までの協力的な回答者さん、ありがとうございます。
★No.37さんによると「違反を犯す」なんて例が(三省堂「新明解国語辞典第3版」)に載っているのですよ。
なら、のっけから「動作性名詞」って言うんだよ、と組み換えてみました。
国語には精通されているとのことですが、
>「Ano,32です。」は英語ですか。
今後の投稿人生に支障はないと思いますが、こういう作業は私にとって健全ではありません。
No.38
- 回答日時:
No10&31です。
質問者様からいただいた補足の中のご質問にお答えします。
>個人的には、規則を破るを使うというのは、なるほどです。しかし役所の文言には採用されないでしょうからね。破るが文学的だからでしょうか。
そもそも役所の文言に「規則」と言う言葉はあまり出てこないように思います。
役所が取り扱う規則は「法律」「法令」「条例」「規定」など別の言葉で言い表されているのが一般的かと思います。
ですので、この部分についてはコメントを差し控えます。
>規則に反するはどうでしょう。規則に違反するや規則違反するはダメでしょうか。
いいと思いますよ。
私も場合によっては使うでしょう。
>★「犯罪を犯す」はよく耳にすると思うのですが、違いますか。違和感がありますか。私は違和感は少なくて、(字面上)論理的くどいさを考えてしまいます。
この点に関しては、たぶん私の感覚は質問者様のものと同じかと思います。
私も「犯」と言う字が2度出てくるのでくどさを感じます。
そのくどさ、つまり「同じことを2度言わなくてもいいのになあ」という感覚を「違和感」と表現しました。
この回答への補足
No.38さんまでの協力的回答者様に感謝申し上げます。
この現象については、「○○違反を犯す」の用例の普及がまずあって、その一般型として「違反を犯す」の用例を生んだと憶測します。
私が命名しますと、この現象名は「断頭式一般化」です。「断頭式一般化の重言問題」です。
同じ事を4回言っても飽き足らない詐欺師が、なぜか異様に外国語の重言を敵視するという漫才の症例もあります。
「併合豊臣秀吉」の恨みでありませんが、ハンにはいつまでも再犯する業の深さがあるようです。
間違いなく断言できる真実は、日本語は日本人に利益をもたらす日本人の文化です。ハングル言語とは似ても非なるものです。
「違反を犯す」は日本人のための国文法を犯していると言えるでしょうか。
ご回答ありがとうございます。
「法律を破る」も「法令を破る」もたぶん役所で使いませんよね。コメントを要求するものではありません。
「犯罪を犯す」は字面がくどいのですね。新聞など文書で使われますかね。
そう言われれば違和感を感じる、否、違和感を覚えるというのとは、注意していない時の語感はまた違いますよね。気にならなかった時の感覚は。
たまたま私は「違反を犯す」を使おうとした際、未然に、気になってしまったのです。そして、これまで気にしていなかったんだと思いました。
No.37
- 回答日時:
A)は大方の国語・漢和辞書に載せられている標準用法ですが、一方、B)の用例を挙げている手元の辞書では、少な目ですが次の引用のように記載されています。
「違反を犯す」「選挙違反を犯す」(三省堂「新明解国語辞典第3版」)
「交通(選挙)違反を犯す」(小学館「現代国語例解辞典」)
まず、「犯」という漢語の繋がり方についての幾つかの構造の交差があるように思えます。
1.補足の関係…掟や定めた枠などを意味する名詞に対し、<無視し、破る>意味の「犯(ハン)す」として、目的語をとる動詞として上に置かれる。
犯令(ハンレイ:命令にさからう)、犯法(ハンポウ:掟を無視する)、犯則(ハンソク:規則をやぶる)
2.並列の関係…対等または対立の組み合わせ。
違犯(イハン/イボン:背く+破る)、犯触(ハンショク:破る+おかす)
3.修飾の関係…「(犯令)した」の形で連体形をとり形容詞的に名詞を修飾する。
犯人(ハンニン:犯則した人)、犯罪(ハンザイ:犯法した罪)
4.改めての補足の関係…並列や修飾の関係から<ふれる、抵触する>意味での「犯(おか)す」として、補語を取る動詞としての使用。
犯罪(ハンザイ:犯法した、その罪にふれる)、違犯(イハン/イボン:違反(イヘン/イハン)した、その罪にふれる)
このように、本来は「A) 規則を犯す。」のように規則や法律を「犯(はん)す」という<無視し、破る>意味での用法だったのでしょうが、並列の「違犯」や形容の「犯人」などの用法を経て、あたかも「犯した罪」として形容だった「犯罪」が同時に「罪を犯す/法に触れること」という使われ方も成立したように、それはさらに「犯罪を犯す」という用例となり、更にはその犯罪の種類別に「~違反を犯す」という、きわめて広義的な意味合いをもつに至ったものでしょう。
これには漢語の繋がり方の多様性だけでなく、「おかす」という同訓の「侵す」「冒す」との語意の融和や混淆もまた考えられます。おまけに文章語と会話語とのズレもあって、「違反(イヘン/イハン)を犯す=違犯」というようケースのように、「ハン」という音が「反(叛)」と混同をきたしやすい面もあるのでしょうか。
気を配りたいことは、漢語の熟語は、それ自体に解釈多様性を秘めており、それだけに漢文訓読には古来さまざまな用法が交差する通りですが、それを「…をする」更には「する」を付けてサ変動詞化させた場合、会話語としては容易で便利ですが、改まった言い回しが必要な場合や文章語では「犯罪行為(犯行)する」とは言えず、また「違反する」では遵法性の有無の視点が軽微に流れてしまいかねないという側面もあるでしょう。
ちなみに、明治期の辞書「言海」では「違反」という字はなく類語は「違背」であり、「違犯」は「ヰボン:法度ヲタガヘオカスコト」とあり、この場合には「違背する」なら「違背を犯す」で法度破りだとの明確性が出せそうですが、「違犯(ヰボン)を犯す」と用いたら当時の用法としては重言と見做されるのではないでしょうか。
今日的な用語用法としては、重言風の”稚拙さ”よりも、徒な「漢熟語のサ変名詞化」を避け且つ表現の明確性を得る場合において、あえて「犯罪行為(犯行)する」→「犯罪を犯す」に、「違反する」→「違反を犯す」もしくは「違犯をする」という表現が求められてくる事情も考えられます。
あるいはそうすれば当然罰せられるべき「(犯罪行為を)おこなう」という実行行為を強調・確認する意味での、「…する」より確かな自発性のある動詞としての「…を犯す」の用法としての「犯罪を犯す」「違反を犯す」という言い方が生まれており、それが社会的に「ゆれ」ているとみられるのでしょう。
「たとえば、「犯罪を犯す」という言い方は、まったく問題のない表現である。語源はどうであれ、現在の使用意識としては、「犯罪」は「罪を犯す」という意味の複合語だという意識は希薄であり、全体がひとかたまりの語として意識されている。したがって「犯(す)」」がダブっていても、重言とは言えない」(岩波書店「日本語使い方考え方辞典」)
この回答への補足
お手数をお掛けして恐縮です。
1.庶民的な新明解国語辞典ならではなんでしょうかね。Aのような定番の例を除けば、辞書ごとの引用が共通していない言葉の方が多いと把握しておいて宜しいでしょうか。つまり多くの引用はせいぜいどれか辞書一つにのみ見つかるようなものだと。ですから新明解しか乗せていたなかったことをもって実際の使用頻度も低いと見なすのは間違いであり、どれか一つの辞書に乗っている時点で日本語として十分に認知され普及していると考えて構いませんよね。
2.違反はサ変名詞だが、違反行為はサ変名詞ではないのですよね。成り得ない理由は4字だからでしょうか。行為がついているからではないでしょうか。行為の付加はサ変動詞の名詞化と表現できるような気がするのですが。サ変名詞になるならないかはどう決まるのでしょうか。違反は動作(~する)の意味(=行為)が含まれていないから「する」を付加できる、つまり
意味が「~行為」であるものは成らないとして宜しいでしょうか。犯罪の意味は行為のようのです。
3.私の手持ちの辞書では、犯罪とは刑罰の対象になる行為。犯行とは犯罪行為とあります。すると意味上で、「行為」が重複します。つまり、犯行とは、犯罪行為の略であり、直訳的には、刑罰の対象になる行為の行為になります。犯罪行為と犯罪の違いはなんのでしょうか。犯罪行為も犯罪もサ変動詞にならないのでしょうか。
4.ご意見は、公的な場でのサ変名詞の使用を避けるのではなく、サ変名詞でない名詞のサ変動詞化を避けるという意味でしょうか。
あらたまった文言ではサ変動詞を避けるべきなのでしょうか?サ変動詞にしたがる傾向がむしろ高いように思うのですが。規則を破るよりも違反するが採用されるように思います。そのサ変動詞「違反する」を使わない理由がよく分かりません。
5.kine-oreさんのご推論としては、サ変名詞でない熟語のサ変動詞化を図りたい時に、「する」の意味を持つ適当な動詞をあてがった結果ということでしょうか。サ変動詞として認められない「犯罪行為する」からの変遷はそれで納得できます。しかし「犯行する」や「違反する」はサ変動詞として成立していますよね。これを「犯行を犯す」にするのはサ変動詞化を避けた言い換えですよね。その理由が「自発性のある動詞」とのご説明ですが、「自発性のある動詞」とは回答者さんの表現でしょうか。どのような意味になりますか。
6.「日本語使い方考え方辞典」によれば、「犯罪を犯す」はまったく問題ないのですよね。その説明に従って、ダブっていない「違反を犯す」はそれこそまったく問題ないとして宜しいでしょうか。
しかしながら「違反する」は言いますが「犯罪する」とは使われないように思うのです。
つまり「犯罪」はサ変名詞ではない。一方「違反する」はサ変名詞ですから事情が違ってきます。「犯罪を犯す」と「違反を犯す」は説明が異なってくると思うのです。
7.以上、「違反を犯す」にはサ変名詞やサ変動詞の理由は使えないように思いますがどうでしょうか。
まとまっていませんが、投稿を優先しました。よろしくお願いします。
多くの資料を丁寧にご紹介くださり、大変参考になります。
私は権威志向はないのですが、岩波書店「日本語使い方考え方辞典」の引用は、本当にありがとうございました。
★「ダブっても重言とは言えない」という主張は通用するのですね。これは専門家の間でも通用しているのでしょうかね。この文責者の独善ではなく。
ほぼ同じ議題についての専門家の落としどころが分かるとは思ってもいませんでした。
kine-oreさんのお蔭です。
No.35
- 回答日時:
#33です。
補足を拝見しましたので続投させていただきます。
>「は」と「を」の差はどうなるんでしょう。
:
投稿前にも一応考えてみたのですが、意味の重複という点では同じなので特に論点がずれるとは思いません。
また、
「お食事を召し上がりますか(食べますか)」
でも、
「お腹が空いているでしょうから何か食べますか」
という意味ではなく、
「通常セットになっているお食事というものがまだ召し上がれますがどうなさいますか」
といったニュアンスで言ったと解釈することに、そう無理はないと思われます。
・食事をする→食事の中身に着目している→食べるという行為をする。
・食事を召し上がる(食べる)→「宿にはつきものの食事というもの」として捉えている→「宿にはつきものの食事というもの」に対して、食べる(召し上がる)という行為を実行する。
こういった違いでしょうか。
たしかにややこしい説明ですね。
>また、多義性の影響もあるかもしれませんね。
:
そうですね。「召し上がる」ではなく「召す」の場合はそうかもしれません。
ただ、これは他の例の場合も同じことが言えそうに思うので、同類項として取り上げることに特に支障はないように思う次第です。
この回答への補足
★No.38さんまでの常識ある回答者さんありがとうございます。
hakobuluさんのような回答者ばかりだったら快適な質問サイトになるでしょう。愉快犯的会員は全員の迷惑です。いろんな意味で、他の回答者をパクっているだけです。国語に興味ないのに国語カテに投稿するのはいけませんね。
★「食事を召す」「被害を被る」の他にありませんかね。
たとえば「感覚を覚える」はやはり宜しくないでしょうか。「○○感を覚える」ですからね。どうでしょう。
正当性の説明ではなく、原因についてになりますが、日本人の好きな短縮に関係してそうな気がしてきました。短縮暴走の申し子かもしれません。
「違反を犯す」を否定する人もいますが、否定できないと言えるだけの正当性がありますかね。質問の解決はそれ次第です。
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