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普通のサイクロトロンでは光速の近くまで加速されると、
相対論的取り扱いが必要になり
(質量が変わり半径が変わり周期が変わるため)
それ以上は加速できなくなると大学で習いました。

しかし超伝導を使ったサイクロトロンでは光速の20%以上まで加速できるらしいです。
なぜでしょうか?どなたか教えてください。

A 回答 (1件)

おはようございます。



まず、原子番号 Z, 質量 m の粒子が磁場 B で運動する場合、
サイクロトロン周波数 f は、円運動の運動方程式から

 (1)  f = (ZeB)/(2πm)

と書けます。e は素電荷です。
また、相対論的効果から、運動エネルギー T を持つ粒子の質量は

 (2)  m = m0 (1 + T/E)

と書けます。m0 は静止質量、E は静止エネルギーです。
T が大きくなるほど m は大きくなっていき、
f の分母もそれに伴い大きくなっていきますから、
結果として周波数 f は下がっていくことになります。

よって、ちょっと不思議な感じもしますが、
粒子は加速されるほど(エネルギーが高くなるほど)
高周波電圧の加速フェーズから遅れていき、
そのうち減速フェーズに入ってしまいます。
ここが普通のサイクロトロンの限界です。

限界のエネルギーは陽子だとだいたい 20MeV 程度で、
速度にすると光速の 20% くらいです。
ちなみに電子の場合、1MeV たらずで光速の 90% 以上になりますから、
この方式で加速できるエネルギーはもっと低くなります。

さて、ではこの問題を解決するにはどうしたらいいでしょう?
選択肢としては2つあります。

 (A) 高周波電圧の周波数を f の低下に合わせて下げていく
 (B) 磁場を外側に行くほど強くする

(A)は素直に納得できるでしょう。このような方式のサイクロトロンを
『シンクロサイクロトロン』と言います。
これによって数100MeVくらいまで加速できるようになりました。

(B)に関しては(1)式を眺めればわかると思います。
エネルギーが上がるほど m が大きくなるのですから、
それにあわせて B を大きくすれば f を一定に保てるわけです。
また、回転半径もエネルギーとともに大きくなりますから、
結局磁場は外側ほど強くなっていればいいわけです。

ただしこのような形の磁場は粒子を発散させてしまいますので、
粒子の軌道にそって磁場の強弱をつけることでビームを収束させます。
このような方式のサイクロトロンを『AVFサイクロトロン』と言います。


ご質問の文脈から判断しますに、
相対論的効果によるサイクロトロン周波数の変動問題を超伝導が解決した、
という認識を持たれているようですが、それは誤りでしょう。
周波数の問題はこういった技術が解決していったのです。

超伝導の技術が可能にしたことは、
とにかく強力な磁場が作れるようになったこと(超伝導電磁石)、
それから高周波電場の電力効率の向上(超伝導空洞)でしょう。
より効率よく高エネルギーに加速して、
より強い磁場でその粒子を曲げられるようになったわけです。

また、現在の高エネルギー加速器はサイクロではなく
『シンクロトロン』のほうが主流です。
その最大エネルギーたるや、もはや GeV を超えて TeV の領域です。


それぞれの加速器について興味があれば調べてみて下さい。
(私も加速器を使う人間ですが、いわゆる『加速器屋』ではないので
あまり専門的すぎるお話は出来ません^^)
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この回答へのお礼

とてもわかりやすいご説明ありがとうございました!

お礼日時:2012/01/06 04:10

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