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受領遅滞の項目の、学説のところでややこしいところがあるのですが、

法廷責任説では、すべてが弁済の効果=受領遅滞で、債務不履行責任説では、「債務者の注意義務の軽減」、「危険負担の債権者主義」「増加費用の債権者負担」だけ受領遅滞の効果である。

とあるのですが、これはどういうことですか。特に、何故債務不履行説だけ上記3つの項目が受領遅滞とかで明言されるようになるのでしょう。この文章だと、法廷責任説は、すべてが受領遅滞概念になるということですか?どなたかわかりやすく教えて下さい。混乱しています。

A 回答 (2件)

法定責任説とは「債権者に受領義務なし。

従って債権者遅滞は義務違反=債務不履行責任を負わない」という説ですね。これは、債権者が自分の権利を行使したり免除したり放棄するのが自由だからという考え方に立っているからで、特約や慣習がない限り債権者に受領義務はないという考え方になり、従って債権者遅滞の本質は債務者を債務不履行責任から免除するだけだ、というものになります。
 換言すると、債務者が履行遅滞で受ける不利益を債務者にではなく債権者に負わせることで法が特に認めた責任だ、というわけです。そして法が特に認めた責任の源泉を信義則に求めるわけです。
 この説に従うと、債権者には一般的な受領義務はないが、債務者を救済するため、双務契約では受領遅滞の債権者は同時に自分の反対債務の履行遅滞にあることが考えられるから、債権者遅滞=自分の債務の不履行の結果として債務者が受ける保護は、あなたが書いている通り、債権者による増加費用の負担、注意義務の軽、危険負担の移転、の三つになります。契約解除権と損害賠償請求権の保護を受けられない、ということになります。
 法定責任説は、492条の提供の効果と413条の受領遅滞(債権者遅滞)の効果を同一視しているため上のような結論になるわけです。

債務不履行説
 この説は、受領遅滞の本質を債務不履行と考えます。考え方の基礎として、413条が債権の効力を定めた第一節にあるのに対し、492条、493条が債権の消滅を定めた第五節にあること。双務契約では互いに債務の本旨に従った履行をする場合にも相手方の協力を必用とすることが多いこと、というのがその理由です。
 この説は、受領遅滞の成立には故意・過失、その他責に帰すべき事由を必要とするため、提供の効果と受領遅滞の効果は違ってきて、債務の内容を提供すれば、これが受領されて債務が消滅しない限り提供の効果が発生し、債権者が故意・過失、その他の事由で提供を受領しない時に受領遅滞が発生し、両者の効果が共存することになります。
 受領遅滞の効果の内容としては法定責任説の三つ(増加費用の債権者負担。注意義務を善良な管理者のそれから自己のものと同一レベルへの軽減、危険負担の移転)です。理由として、この三つの効果は、債権者が受領しないことがその責に帰すべき事由に基づくことから生ずるものだからだ、としています。
 ところが、この説は提供の効果と受領遅滞の効果を別と見、共存するとしますから、さらに次の二つが債務者を保護する権利として考えられています。
 一つは、債権者が受領可能なら期間を定めて受領を催告した上で、また受領不能なら直ちに契約を解除出来ること。
 二つは、増加費用のほか受領遅滞で生じた損害賠償も請求出来るとすること。

 両説の違いの元は、413条が「遅滞の責任を負う」としか書いていないため、法定責任説のように条文に忠実に限定的に解釈するか、法定責任説の信義則は当然だが、債権債務は対立する当事者の協力によらなければ完成しないものだから債権者にも信義則が要求する程度において給付の実現に協力する法律上の義務があると考えるか、というものだと言えます。

 さて、危険負担の移転ですが、これについて説明しますと、受領遅滞が生じている間に債務者側に履行不能が生じた場合どのように解決すべきかということで、受領遅滞が不可抗力に基づく場合にも、なお債権者の責に帰すべき履行不能とすべきである、ということです。
 換言すると、危険負担の債務者主義が採られていた場合に、債権者が受領遅滞したら危険も債権者に移転し、以後、債務者が履行不能になっても債務者は反対給付請求権を行使出来る、という「物」についての危険ではなく「対価」についての危険、即ち対価危険です。
 
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。非常に良くわかりました。

お礼日時:2012/03/07 20:35

 債務不履行説では、受領遅滞の要件として、債権者の帰責事由(故意、過失)を必要としているところがポイントです。


 債務者が弁済期に特定物である商品を債権者に引き渡そうと弁済の提供をしようとしたところ、債権者は、その責めに帰すことができない事由により、その商品を受領することができなかったという事例で考えてみます。
 債務不履行説の場合、本事例では債権者の帰責性がない以上、たとえば、「債務者は債務不履行による損害賠償の責任を負わない。」という効果を、受領遅滞の効果として説明することはできません。かといって、債権者の帰責性がないから、債務者は債務不履行による責任を負うという結論は明らかに不合理ですから、債務者が債務不履行の責任を逃れるのは、弁済提供の効果とするしかありません。
 それでは、注意義務の軽減はどうでしょうか。債務者は、その商品の保管について善管注意義務を負っているわけですが、本件でその注意義務が軽減されるかが問題となります。この点、債務不履行説では、注意義務の軽減といった債権者に不利益が生じうる重大な効果は、債権者に帰責性がある場合に認めるべきだという考えが根底にあります。ですから、債務不履行説では、注意義務の軽減の根拠を、帰責性を要件としない弁済の提供の効果に求めることはできないので、受領遅滞だけによる効果としています。
 「危険負担の債権者主義」(特定物の引渡し債務なので、そもそも、最初から債権者主義の適用があるのではないかという疑問が生じると思いますが、特約で債権者主義を排除した場合等を念頭に考えると良いでしょう。)や「増加費用の債権者負担」も同様に考えるわけです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。とても参考になりました。

お礼日時:2012/03/07 20:34

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