初めて質問をさせて頂きます。
1942年4月、日本は空母ホーネットから飛び立ったB-25によって、アメリカ海軍から初の本土爆撃を受ける事になった事件「ドーリットル空襲」を経験したかと思います。
しかしながらこの爆撃、どう考えても日本に大した損害を与えることも出来ないことは事前にわかりきっていることであり、戦略的に実行する価値があったのか、疑問に思えてなりません。
しかも当時、太平洋方面では日本の空母機動部隊が圧倒的に優勢で、日本近海に空母ホーネットで近寄ってくるなど、自殺行為とすら言えると思います。
なぜアメリカ軍はこのようなリスキーな作戦をわざわざ展開し、どのような結果を狙っていたのでしょうか。
ご存知の方がいれば、ご教示宜しくお願いします。
No.9ベストアンサー
- 回答日時:
ドゥーリットル空襲が行われた1942年4月当時は、恐らくアメリカが太平洋戦争開戦後、もっとも苦しかった時期だと思います。
ご存知のように1941年12月の真珠湾攻撃から始まり、マレー沖海戦ではイギリス海軍とチャーチル首相の誇りであった最新鋭戦艦、「プリンス・オブ・ウェールズ」が海軍の九六陸攻と一式陸攻の航空機による攻撃のみで、海の底に沈みました。
作戦行動中の戦艦が、航空機の攻撃で撃沈できるはずがないと言うのが当時の世界中の海軍の共通認識でしたから、この出来事は連合国側に大いに衝撃を与え、国民世論・士気を消沈させるには十分なものであったと推測できます。
十分に戦争準備が出来ないまま対日開戦してしまったアメリカは陸戦でも負け続けていましたから、この時期は国民世論を維持するのに、ルーズベルトはかなりの腐心をしたことでしょう。
そんな中実行されたのがドゥーリットル空襲です。
明らかに目的は、「日本の首都を爆撃した」という実績作りですね。
それと、主導権を持って太平洋中を駆け回っていた日本の空母機動部隊や陸上攻撃機を、日本の国内防衛に割かせたいと言う思惑もあったと思います。
太平洋の要地に対して遊撃的に神出鬼没に現れる日本の空母機動部隊はそれほど大きな脅威でしたが、ここで帝都に脅威を与えておくと、日本海軍のベクトルがやや内向きに向かうのは容易に想像がつきますので、アメリカにとっては攻勢を鈍らせる為にも、大いに効果を期待したことでしょう。
結果として日本はこの爆撃に衝撃を受け、空母の誘出を誘い一気にアメリカの機動部隊を叩くべくMI作戦を実行したわけですが、連戦連勝に明らかに気が緩んでおり策敵を軽視し、まんまとアメリカのフィールドの中で最悪の戦い方をしてしまい、正規空母4隻の喪失と言う結果を招き、海の主導権を失いました。
MI作戦まで青写真の中で描いていたかどうかまでは定かではありませんが、アメリカ軍にとってはまさにドゥーリットル空襲がもたらした、大きな成果だったことでしょう。
元々の主目的は国民と軍の戦意高揚。
副次的にもたらした効果が、日本空母の誘い出しとこれの壊滅とお考え頂ければいいかと思います。
以下、ご参考までに。
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No.8
- 回答日時:
十数機の双発の爆撃機に搭載可能な爆弾の数量を考えても、日本に大きな打撃を与えることができないことはご指摘どおりで、アメリカの指導層も事前にわかっていたでしょう。
しかし、「日本の首都東京を含む主要都市をアメリカ軍機が初めて空爆した」という事実だけで、自らの側の士気を高め、相手側の士気を挫く象徴的な価値が極めて高く、この意味では戦略的に実行する価値が十分あると考えます。陸軍の爆撃機を航空母艦から発進させ、片道飛行で日本列島を通過して爆撃後、中国大陸の飛行場に着陸させるという作戦には様々なリスクがあります。現実にも、中国の海岸に不時着して乗員が死亡したり、日本軍の捕虜になったりもしましたが、日本本土の上空で日本側の対空砲火や航空機の迎撃によって失われた機はありませんでした。また爆撃機を発進させた空母は日本の哨戒船に発見されましたが、追撃を受けることもありませんでしたので、総合的に見ればこの作戦は成功したと言えるのではないでしょうか。
現代の私達は、昭和19年から20年にかけて日本各地が徹底的に空襲され甚大な被害をこうむった「その後の史実」を知っていますので、「そんなに無理をして空爆しなくても…」と思ってしまいますが、この作戦が敢行された昭和17年4月は真珠湾攻撃の後、日本軍が各地で「赫々たる戦果」を挙げ、米軍が守勢に立たされていたころであり、「一矢を報いる」作戦は「流れを変える」精神的な意義が大きかったと考えます。
No.7
- 回答日時:
当時の日本とアメリカの工業力を比べれば、勝敗は戦う前から決まっています。
少なくともルーズベルトを含むアメリカ指導部、ハル長官などは短期決戦になると思っていたのではないでしょうか?
当時のアメリカの世論は日米開戦に否定的でしたから、長期戦は政権基盤が不安定になる危険性をはらんでいます。
少なくとも共和党は日本との戦いに否定的でした。
真珠湾攻撃で、アメリカの世論は反日に一致団結し、日系人は強制収容所に入れられます。
当時の日本人に対する偏見は恐ろしいものがあります。
卑怯者のテロリストのように世論が形成され、マスコミが恐ろしいポスターを多数制作します。
良い日本人は死んだ日本人である。猿やネズミに例えられ、世界中をレイプする日本人などというプロパガンダが既に紙面に登場します。当時のアメリカの新聞では日本の戦闘機は木材と紙でできていて、猿が操縦しているイラストが掲載されていました。
マスコミと大衆を味方に付けて、臨戦態勢を整えた政府は戦争遂行に目処駕がたったのです。
しかし、思ったより日本の軍隊は善戦し、アメリカの戦闘機をバタバタ撃ち落とし、シンガポールを陥落させ、プリンスオフウェールズを撃沈します。アメリカのパイロットはサッチ戦法などの捨て身の戦法で、飛行機を操縦しなければならない状態でした。
このような状況が長く続くと、国民の支持率や兵士の士気が低下します。
アメリカは負ける戦争ができるほど国民の団結力が強くないのです。
当時は今では想像もできないほど、人種偏見が強く、黒人のパイロットはいませんし、
黒人と白人が同じ部隊で戦闘することは稀でした。
肌の色の偏見が少なくなった現在でも、アフガニスタンのような長期戦になると疲弊しやすいのです。
負け続けると士気が低下しやすい組織、
民間企業の販売競争でも、じり貧になると士気が低下しますよね。
シェアを奪われたら、必ず取り返さなければなりません。あなたが営業部長なら、岩をも砕く信念を持って部下を叱咤激励しますよね。それでも業績が伸びなければ、部下から見限られます。
そのような状況の中で、起死回生の一発逆転を狙ったのが ドーリットルの東京空襲作戦でしょう。
ドーリットルは、アメリカでも非常に優秀なパイロットです。(目隠しをして離着陸が可能、)
爆撃機は、最も重要な武装、後部の機銃を外し軽量化 照準機も軽量化(重要目標攻撃ではない)
爆弾には 日本から送られた勲章を着けて落とした.(一種の政治的演出)
何より、危険を顧みない作戦であること、
こういう例は、日本人として良くないのですが、
真珠湾攻撃は 911テロのようなインパクトをアメリカに与えたのでしょう。
宣戦布告もなく攻撃する卑怯者、テロリスト、
昨年首謀者のビンラディンが殺されましたが、長い間の追跡調査が行われたようです。
アメリカが暗号解読により、真珠湾攻撃の立案者であった山本長官を暗殺したのも、当時の彼らの感覚には近いものがあったのではないでしょうか?
今でもハワイのアリゾナ記念館は、広島同様多くの見学者が訪れ、日本の非道を訴え、戦死者を英雄と讃えます。
今でも、アメリカではドーリットルのクルーは英雄です。
http://www.doolittleraider.com/first_joint_actio …
開戦当初、短期決戦になるとアメリカは本当に思っていたのでしょうか?
むしろ、海戦のパラダイムシフトを突き付けられ、それへの対応が遅れていたアメリカは、簡単には終われないと思ったような気がするのですが、いかがでしょうか。
No.6
- 回答日時:
当時、日本の空母で主力と言える大型艦は赤城、加賀、蒼龍、飛龍、瑞鶴、翔鶴の6隻しかありません。
他に小型のものはありましたが、これだけの戦力で太平洋をカバーするには広すぎて無理があります。
くまなく戦闘艦艇を配置できない以上スキだらけになります。
日本の警戒網が手薄な事は船の数や戦力から明らかです。アメリカ艦隊が接近する事は自殺行為ではありません。
アメリカ軍が狙っていたのは精神的なものです。戦果は期待していなかったと思います。
ちなみに日本軍は潜水艦の艦載水上機でアメリカ本土を空襲しています。山火事が起きただけでしたが精神的な効果はあったようです。
No.5
- 回答日時:
>しかしながらこの爆撃、どう考えても日本に大した損害を与えることも出来ないことは事前にわかりきっていることであり、戦略的に実行する価値があったのか、疑問に思えてなりません。
目に見える戦果が欲しいのです。
言わばパフォーマンスであり、戦意高揚の一手段です。
つまり、敵本土に損害を与えたという事実さえあればよく、日本に与えた損害内容はどうでもいいのです。
また、ドーリットル空襲をする事で、その後の日本本土の防備が固くなる事を期待しているとも考えられますが、これはオマケでしょうね。
>しかも当時、太平洋方面では日本の空母機動部隊が圧倒的に優勢で、日本近海に空母ホーネットで近寄ってくるなど、自殺行為とすら言えると思います。
それほど自殺行為というわけではありません。
日本本土の哨戒圏に突入するものの、遠距離で攻撃隊発信その後反転離脱ですから、まず捕まる事はありません。
これを捕まえる為には哨戒機又は哨戒艇による早期発見が不可欠です。
そして発見と同時に日本本土の基地航空隊が攻撃を掛ける必要があり、日機動部隊の迎撃は常識的に考えて間に合いません。
ドーリットル空襲に関して言えば、「太平洋方面では日本の空母機動部隊が圧倒的に優勢で」はあまり関係無く、第16・18任務部隊の警戒している敵戦力は在日本本土の航空部隊なのです。
No.3
- 回答日時:
実際には、当時の東京近辺の兵力はそれほど厚くありません。
海軍は南方作戦に航空機の多くを取られ、東京近辺の哨戒網は結構手薄でした。陸軍にも東京要塞なるものがありましたが、これは首都近辺の施設の総称に過ぎず、戦力は薄弱で司令官は閑職です。だからこそドゥーリットル隊の空襲は成功したのです。トリッキーな作戦ですが、自殺行為とまではいえなかったと思います。それに、日本本土を空襲したとなれば、その事実は国内向けの政治宣伝には有効です。当初の目的は、ほとんどそれに尽きるでしょう。その証拠に、出撃するB-25は機体を軽くして航続距離を伸ばすために、ノルデン爆撃照準器を取り外しています。東京に爆弾を落としてきた、という事実だけが重要だったのです。
他の効果として考えられるのは、この空襲によって日本海軍(というか山本五十六)の注意がミッドウェーに向けられた事です。MI作戦で空母機動部隊をミッドウェー方面に誘引できた事で、南方の連合軍はひと息つけたでしょうし、結果としてですが、ミッドウェー海戦によって主導権を手にする事もできました。
米軍としては、戦略策源地であるハワイの至近にあるミッドウェーは守るに易い場所です。戦前の日本海軍が想定していた漸減撃滅作戦を、逆に米軍側がやれる環境だったわけです。山本五十六は、まんまとつり出された格好になりますが、東京の防備を急に厚くはできない以上、やらざるを得ない状況だったのでしょう。やらなければ、日露戦争時の常陸丸事件のように、批判に晒されると思ったのかも知れません。
参考URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E6%9D%91% …
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