口腔粘膜の組織(頬粘膜)を使用して免疫染色(ABC法、DAB・ヘマトキシリンによる対比染色)を行っているのですが、染色結果の理解に悩んでいます。以下内容についてどなたかご教授いただけないでしょうか?
IFN-γを染色すると、一般的に上皮下の浸潤リンパ球が染まります。しかし時々上皮の角化細胞のしかも核に染まっていることがあります。基底層から有棘層にかけて染まっています。これはDABが強すぎるためでしょうか?
サイトカインは細胞から分泌されるタンパクであるため、細胞内の核に染まらないのではと考えるのですが、この考えは正しいですか?
リンパ球のみならず角化細胞も分泌するIL-22や23についても上皮における染色部位がわかる方は教えていただけないでしょうか?
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
サイトカインの免疫染色は基本的には信頼性が低いです。
サイトカインはすぐ分泌されてしまいますので。高生産を行っている細胞を組織で捕らえることができれば稀にサイトカインを細胞質内に染色することもできます。角化細胞も染まるならサイトカインは細胞質に見えるはずですが、角化細胞はIL-22やIL-23は分泌しないか、してもごく少量、免疫染色で検出できるレベルではないと思います。サイトカインを高生産しているのはやはり血液由来細胞なので、捕らえることができるとしたら、樹状細胞やマクロファージからのIL-23とT細胞やInnate lymphoid(NK22細胞やLTi)からのIL-22でしょうが、それでもよほどの炎症状態でないと細胞質内にIL23やIL22はたまらないでしょうね。核がサイトカイン抗体で染まっているならその染色は失敗です。非特異的に染色されてしまっています。
染色がうまくサイトカイン特異的にできているのかどうかはコントロールを置いて確認する必要があります。もっともよいコントロールはマウスならノックアウトマウスを使用することです。IFNgノックアウトマウスにも染色陽性になるならその抗体はもう捨てなければなりません(残念ながらいい加減なカンパニーがかなり存在するので、そういったノックアウトマウスにも染まる抗体はたくさんあります)。ヒトであればサイトカインに対する抗体がモノクローナル抗体であることを確認して、そのクローンと同じIgGを購入してネガティブコントロールとして使用してみてください。
非特異染色を減らすには、ブロッキングの方法を工夫することで、たとえばVector laboratoriesのAvidin Biotin blocking試薬を使って見ることです。それから一次抗体の濃度を減らすこと、そういったことが非特異的染色を防ぐ方法です。
抗体はいいものを選んで使ってみてください。ポリクローナルな抗体は信頼できませんし、免疫染色には”antigen retrieval"といって熱処理などを行うことがありますが、この処理のせいで全く違う蛋白が染まることがよくあるのです。antigen retrievalで陽性になったからといって、本当にその物質が染まっているかも確認せずに売りに出すとんでもないカンパニーがあるのです。
ご連絡遅くなり申し訳ありません。濃度も含め、再検討しているところですが、ご指摘いただきましたように、非特異的染色になっているようです。抗体もモノクロが存在しなかったため、ポリクロを使用しています。
blocking 試薬は使用しており、ペルオキシダーゼ除去も行っています。それぞれの条件をもう一度見直し、トライしてみます。ありがとうございます。
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