病理学実習で行った最も有名で、1番popularなHE染色についてなのですが…
(1)今回実習で行ったのは、カラッチのヘマトキシリンだったのですが、他には、どんな種類が存在しますか?
(2)カラッチのヘマトキシリンを作ったときに、いろいろな物を加えました。それで、ナノですが、ヘマトキシリン液についての原理を知れば、入れた物質の役割が分かるのではないかと考えました。そこで、質問です!!ヘマトキシリン液の原理って、何ですか?
(3)染色には、退行性と進行性があり、退行性の染色液には、”分別”と言う操作が、必要って、文献に書いてあったのですが…分別には、どんな種類の薬品を使うのですか? 実習では、0.25%塩酸を用いました。
(4)試薬が、良ければ、色出しの操作は、不要みたいなのですが、色出しって、何なのですか?色出しには、どんな試薬が、使われているのですか?
だれでも良いので、こんな馬鹿な私に教えて下さい。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
実習の時に質問すりゃぁいいのに…ま、病理医にはわからんか。
私の場合普段はマイヤーの処方を薄い切片用にアレンジした「ダブ
ルマイヤー」を常用していますが、必要ならカラッチやギルも調整
します。ハリスは水銀を使うからパス。ワイゲルトの鉄ヘマトキシ
レンはHE染色用ではありません。
処方の基本は、「色素」+「酸化剤」+「媒染剤」です。酸化剤には
ヨウ素酸ナトリウムを常用します。これで無色のヘマトキシレンが
ヘマティン色素になります。媒染剤は金属イオンを添加して色ラッ
クを形成させ組織との結合を強くするもので、ミョウバンを使うと
青紫になります。ここで鉄を使うと茶褐色っぽい色になりますね。
最後に安定剤として抱水クロラールやグリセリンを混ぜて完了。色
ラックが正に帯電しているため、負に帯電するリン酸基やカルボキ
シル基と結合しやすいわけです。
分別ですが、上記の理屈で染まるからにはpHの影響ってモノを受け
るわけで、pHが4くらいだと結構なにもかも染まってくるんです。こ
れを、染めた後で塩酸アルコールなどでpHを下げて、リン酸基のと
ころだけ残してカルボキシル基のところを脱色してやるのが「分
別」という作業です。全体を染めてから要らないところを抜くから
「退行性染色」。逆に最初っから酸を加えてpH2とかの染色液を作
り、リン酸基リッチのところしか染まらないようにしたのが「進行
性染色」。カラッチが退行性染色の代表で、マイヤーが進行性染色
の代表です。
色出しってのは、ヘマトキシレンで染色した後でしばらく流水で洗
うステップですが、これはpHを上げています。すると水素イオンが
色ラックに干渉し難くなり、赤褐色から安定した青紫色になって、
褪色もしなくなります。
以上、藍染めと全く同じだよっていう話でした。
No.3
- 回答日時:
うろ覚えで書いたので、とんでもない間違いをしていました。
ヘマトキシリン:塩基性色素
エオシン:酸性色素
で、好塩基性、好酸性というのは染色される方の性質で、
好塩基性:塩基性色素に良く染まる。マイナスチャージを持つもの(核酸など)
好酸性:酸性色素に良く染まるもの。プラスチャージをもつもの。
でした。ヘマトキシリンはプラスにチャージしていて、マイナスチャージの標的と親和して染めるですね。ヒストンはむしろ好酸性ですから、ヘマトキシリンは核酸を染めているでした。
学生のころから、よくこんがらがってあべこべにしていたんですよね。
専門家さんが登場してくれてよかった。
No.1
- 回答日時:
(1)ヘマトキシリンのバリエーションだけでいいですか。
手元の教科書には、デラフィールドのヘマトキシリン
エールリッヒのヘマトキシリン
ハリスのヘマトキシリン
メイヤー・ヘムアラム染色液
ハイデンハインの鉄ヘマトキシリン
ワイゲルトの鉄ヘマトキシリン
があげられています。
古い本ですので、今ではあまり使われないものがあったり、新しい種類は入っていないかもしれません(カラッチの、というのは初めて知りました)。
少なくとも、デラフィールドとかメイヤーのなんかは現役で活躍していると思いますが。
(2)組織染色法は、伝統工芸の染め物と一緒で、試行錯誤の末にあみ出されたものです。理屈はよくわからないけれどこうしたらうまく染まった、入れたもののうち何が効いていて、何は実は意味ない、なんてこともはっきりとは解明されていないのです。
とはいえ、これだけは覚えておくといいでしょう。
タンパク質はそれぞれ固有の等電点をもちます。そのため、中性付近(染色環境中)でプラスにチャージする塩基性タンパク質とマイナスにチャージする酸性タンパク質が出てきます。一方、染色剤にはヘマトキシリンのような好塩基性のものと、エオシンのような好酸性のものがあり、静電気力で引き合って、それぞれプラスチャージのタンパク質、マイナスチャージのタンパク質にくっつきます。ヘマトキシリンだと核が良く染まったと思いますが、これはヒストンなど核タンパク質は塩基性が強いからです。
(3)分別という語は初めて効きましたが「弁色」というやつで、どちらもdifferentiationの訳語ですね。
弁色は簡単に言うと色抜きです。最初に濃く強く染色してから弁色して、その色素と結合力の弱いタンパク質の染色を落としバックグラウンドを下げるのです。弁色剤には水(つまり水洗)、アルコール、酸などが使われます。ヘマトキシリンでも薄い溶液で長時間かけて染色すれば弁色がいらず(つまり進行性染色)むしろきれいに染まります。
(4)「色出し」という術語は効いたことないですが(ますます伝統工芸っぽい)、なんとなく想像つきます。色素によっては粉を溶かしただけでは染色が良くなく、一工夫加える場合があります。ヘマトキシリンだとミョウバンなどの金属塩を加えることが多いです。ナスの色止めと同じで錯体が色を鮮やかに安定化させます。また、作りたてより、半年くらい熟成させてから使ったほうがいい色が出るとも言います(いよいよ伝統工芸)。
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