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No.2
- 回答日時:
カントは『人倫の形而上学』のなかで、法と道徳の対立関係に焦点をあて、そこから「法」の概念を道徳概念から区別することを通して、法の本質を明らかにしていきます。
法も道徳もともに特定の行為を命令し、あるいは禁止します。
それが外的な強制であるにしても、自分が自分に対してなす内的な強制であっても、「この命令があるから従わなければならない」と、その人の行為は強制され、その命令に拘束される「義務」の概念が生じます。
道徳規範であれ、法律であれ、従うべき「命令」は、客観的必然的なものとして提示されていなければなりませんし(義務の客観的根拠)、またその「命令」にどうして従わなければならないか、という根拠(動機)が明らかにされていなければなりません。このふたつを備えて、その「命令」は人びとを拘束する義務を課すものとなっています。つまり広義の「法」というのは、客観的な義務法則としては道徳と区別されえません。
では、法と道徳はどこで袂を分かつのか。
広義の法と道徳は、行為者の主観的動機のありかたによって区別されます。
ここで出て来るのが「適法性」と「道徳性」という動機による両者の区別です。
「適法性」というのは、その行為がどのような動機であろうと、法則と行為が合致しているかどうか、ということです。それに対して「道徳性」というのは、その法則が拠ってたつ義務の理念が、同時に行為の動機であるような行為(カントの定言命法「汝の意志の格率が普遍的法則となりうるように行為せよ」)が法則と合致しているかどうか、ということです。
すなわち「適法性」「道徳性」という動機の問題によって「法」と「道徳」が分かれるがゆえに、「法」は強制することが可能な外的行為といえるし、法則からの義務そのものが動機となっている「道徳」は、「意志」の自律性のみを要求するがゆえに、義務以外の目的(格率)を許さないのです。
カントはこんな例をあげています。
「契約は遵守されなければならない」という自然法の原則は、ひとつの法的法則といえます。そこに、「自分の人生が幸福であるように、常に最大の利益が得られるように行為しよう」という信条を持っている人がいるとします。
その人は、暴力による脅迫などの肉体的苦痛や、快楽への誘惑といった感性的動機だけから、この信条に基づいて行為しました。けれどもそれは、カントの言う「動物的意志―感覚的にのみ規定せられうる選択意志」からの強制であって、もしこれをその人が継続して行ったとしたら、法そのものが成り立たなくなってしまうでしょう。
けれども法律の側は、この人の格率を棄てさせ、その代わりに「契約は遵守されなければならない」という法そのものを自らの格率とすること、すなわち格率と法則への同化までは要求してはいません。法義務の要求することは、この法則を履行することを、最大の利益が得られるための必要条件として、格率の中に取り入れなさい、というところまでです。法は、義務として行為によって遂行されるかぎり、どのような格率が動機となっていても、問題とはされないのです。
カントはこの広義の法のほかに狭義の法(「道徳的なものをまじえない法」)を規定しています。ここでは動機の面だけでなく、客観的にも倫理法則には属さない仮言命法としての法です。
つまり、カントの法概念というのは、(うまく図として反映できていればいいのですが)以下のような構図になっているといえます。
道徳性
|
広義の法――――狭義の法
|
適法性
以上簡単ですが。
No.1
- 回答日時:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%80%AB% …
『法論』 (Rechtslehre)
『法論』においては、個人の自由の実践的使用を普遍的な法則に基づいて可能にする法の普遍的原理が展開される。
『法論』は大きく私法と公法とに区分され、私法においては自然状態における人間(自然人)の生得的な権利と法(自然権と自然法、いずれも Naturrecht )が、公法においては国家状態における法(国家法、国際法、世界市民法)が扱われている。
カントは、全ての人間の自由に対する生得的な権利を要請する。彼の見解によれば、個人の個人的自由の使用を「普遍的な法則に従った全ての人の自由」との調和のうちにもたらすことは権利問題である。
国家法は国家的秩序の設立に役立つが、そこにおいて主権者―それは人民であるが―は全ての国家公民の自由と平等を保障する。自由の法則に従って国家が機能するために不可欠な前提は、権力分立である。
世界市民法は人民の共同的な共生を戦争の防止のために規制する。カントは「あらゆる民族が交流できるある種の普遍的法則に関してあらゆる民族の統合が可能な場合、この権利を世界市民権(ius cosmopoliticum)と呼ぶ」と定義し、「例えまで友好的ではないにせよ、効力をもった相互的関係にありうる地上の全ての民族に例外なく妥当しうる平和的共同体の理性的理念、世界市民法は博愛的ではなく法的原理である。」と主張した。この理論は「永遠平和のために」に引き継がれ、国際連合憲章や世界人権宣言はこの「法論」と次の「徳論」の影響を受けている。
『法論』 (Rechtslehre)
『法論』においては、個人の自由の実践的使用を普遍的な法則に基づいて可能にする法の普遍的原理が展開される。
『法論』は大きく私法と公法とに区分され、私法においては自然状態における人間(自然人)の生得的な権利と法(自然権と自然法、いずれも Naturrecht )が、公法においては国家状態における法(国家法、国際法、世界市民法)が扱われている。
カントは、全ての人間の自由に対する生得的な権利を要請する。彼の見解によれば、個人の個人的自由の使用を「普遍的な法則に従った全ての人の自由」との調和のうちにもたらすことは権利問題である。
国家法は国家的秩序の設立に役立つが、そこにおいて主権者―それは人民であるが―は全ての国家公民の自由と平等を保障する。自由の法則に従って国家が機能するために不可欠な前提は、権力分立である。
世界市民法は人民の共同的な共生を戦争の防止のために規制する。カントは「あらゆる民族が交流できるある種の普遍的法則に関してあらゆる民族の統合が可能な場合、この権利を世界市民権(ius cosmopoliticum)と呼ぶ」と定義し、「例えまで友好的ではないにせよ、効力をもった相互的関係にありうる地上の全ての民族に例外なく妥当しうる平和的共同体の理性的理念、世界市民法は博愛的ではなく法的原理である。」と主張した。この理論は「永遠平和のために」に引き継がれ、国際連合憲章や世界人権宣言はこの「法論」と次の「徳論」の影響を受けている。
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