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1828年にフリードリヒ・ヴェーラーがシアン酸アンモニウム水溶液を加熱すると尿素が生じることを発見し、無機物から有機物を人工的に作り出せるという当時としては革命的な発見をした、と教科書にあります。
 しかし、以下は Wikipedia からの検索ですが
シアン酸アンモニウム → アンモニアとシアン酸の反応で作る
シアン酸 → シアヌル酸を不活性ガス下で加熱して発生させる
シアヌル酸 → 尿素を加熱すれば得られる
とあります。以上をまとめると、シアン酸アンモニウム自体が尿素から作られるものなので、ヴェーラーの発見は、有機物を人工的に合成したと大騒ぎするようなことではなかったようにも思われます。
 そこで質問ですが
(1) この当時、シアン酸を尿素からでなく完全な無機物だけ(水, 炭酸ガス, アンモニアなど)から合成することができたのでしょうか。
次に、上記の無機合成が当時は不可能だったのであれば
(2) この当時、シアン酸アンモニウムは無機物と考えられていたということですが、無機物と有機物を分けるはっきりした境界が定義されていたのでしょうか。
次に、無機有機のはっきりとした定義づけがなくて単に習慣的に分けられていたのなら
(3) ヴェーラーの発見があったとき、「それならシアン酸アンモニウムを無機物ではなく有機物と見直そう」 ということにならなかったのはなぜでしょうか?

A 回答 (2件)

(1)可能だった。

しかしこの事実はヴェーラーの時代には見落とされていた。「当時、シアン酸塩のもとのシアン化カリウムは動物の血液や角などを用いてつくられる黄血塩K4Fe(CN)6を原料としていた」とのこと。

(2)この当時、生物の体内に宿る「生命力」が生物の体内で生成される物質を支配すると信じられていた(生気論)。
 “有機物は動植物の体内で存在し、人工的につくることのできない物質である”グレン(1797).

ということで、ある意味で今よりもはっきりした境界がありました:元素(今風にいえば単体)は無機物。生命力なしで無機物からつくれるものが無機物で、生命力なしでは無機物からつくれないものが有機物。有機物から人工的につくられるものは、それが無機物からつくれるものであれば無機物、そうでなければ有機物。

(3)「ヴェーラーは、彼の尿素合成は無機物からの合成ではないという一部の人々の主張を認め、あえて生気論の考えを否定しようとはしなかった」らしいので、「それならシアン酸アンモニウムを無機物ではなく有機物と見直そう」という動きが一部の人々の間にはあったんじゃないかなと思います。

参考文献:竹林松二 “尿素の合成と生気論:ヴェーラーの尿素合成は生気論を打ち破ったか(化学史・常識のウソ)” 化学と教育 35, 332-336 (1987).
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001826568
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。たいへん良くわかりました。感謝いたします。

お礼日時:2015/01/01 14:54

現在その話は高校レベルのバカ話になっています。


だって現在の定義では有機化合物は炭素間結合を持つことが大原則(なお最近は
訳の分からない元素とつなぐから余り意味が無い)

尿素に炭素間結合は無いから無機物だ。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。今回の質問で知りたいのは、ヴェーラーの発見に際しての当時の学会の考え方です。
 有機物と無機物に関する現代の定義は分かっているつもりです、つまり、炭素を含む化合物のうち,いくつかの例外(二酸化炭素とか炭酸塩とか)を除いたものが有機物で、その例外というのは単に「そう決めたから無機物とみなす」というようなことです。なお、有機化合物は「炭素間結合」を持つ、ということには疑問があります。たとえばメタノールや尿素は有機化合物、というのが一般的な見方であると思います。

お礼日時:2014/12/31 14:55

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