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以下のリンクの「風流相生づくし」の「稲穂に蛍」という浮世絵の中に出てくる女性が手に持っているものが何で、何をしているところなのかわかりません。教えてください。
http://www.mfa.org/collections/object/rice-stalk …

A 回答 (3件)

江戸時代は太平が続いて文化は爛熟を極めました。

浮世絵も「ひねり」が利いています。前出の国貞の3つの作品で、それを見ていきましょう。
まず、「竹にすずめ」について。
http://www.mfa.org/collections/object/bamboo-and …

着物の柄は、「鎌」(かま)、「輪」(丸い輪)、ひらがなの「ぬ」をあしらったものです。併せると「構わぬ」となりますね。一種の判じ物で、当時流行した柄だそうです。これらの浮世絵は最新モード(mode、流行)や評判の美人を色鮮やかに刷って、現代でいうならファッション雑誌のようなところがありました。
しかしながら、この女性は懐に猫を入れて、かまっていますね。「構わぬ」と「構う」のひねりが利いています。
また、女性と猫と言えば、「竹に雀」のように相性がいいでしょう。そういう組み合わせをシリーズにしたのが、この「相生尽(あいおいづくし)」なのです。

次に、「月に時鳥(ホトトギス)」について。
http://www.mfa.org/collections/object/moon-and-c …

この組み合わせは、百人一首の「ほととぎす……」という句を覚えてないと、分からないかも知れません。でも、覚えてなくても大丈夫なんです。着物の柄に目を転じると、コウモリですね。月に蝙蝠なら、相性のよさは誰でも分かります。
「それなら最初から『月に蝙蝠』のモチーフ(題材)にしといたら」と思うかもしれませんが、そこが「ひねり」の利いているところでしょう。
コウモリの柄は、何代目かの団十郎が着物にちりばめて流行したそうです。また、この絵の「格子(こうし)に蝙蝠」という組み合わせも当時流行し、やはり出どころは芝居からだそうです。
昔も今も、美人さんと流行の柄とは、相性のいい組み合わせですね。また、ホトトギスといえば初夏で、女性は右手の布で汗をぬぐっています。左手には「鏡入れ」らしきものを持っていて、外出中の姿と分かります。

最後に「稲穂に蛍」について。
http://www.mfa.org/collections/object/rice-stalk …

この絵はご質問者のおっしゃるように、並んだ道具から見ると、お茶をいれようとしている感じです。しかし、女性の髪をご覧ください。大ぶりな簪(かんざし)や櫛で髪を飾っていることからも分かるように、花柳界の人か、あるいは素人女だとしても「お盛んな」人でしょう。
そして、花柳界やその周辺では、「茶」は忌み言葉です。「お茶を挽(ひ)く」という成句があるからです。わざわざ「上がり花」などと言い換えていました。また、茶道が女性の習い事となったのは明治以降のことで、御一新前は男性のたしなみでした。
つまり、堅気の婦女が炊事(すいじ)の一つとして行うならともかく、あだっぽい(艶っぽい)女に言わせるならば、「お茶をいれるなんて、女中さんか、売れてない妓(こ)にさせとけばいいのよ」となったでしょう。
そこで、国貞は「ひねり」を利かせて化粧道具を配した、というのが私の回答です。美人さんと相性がいいのは、お茶をいれることではなく、メイキャップに現(うつつ)を抜かすことなのです。鉄瓶・急須・湯呑・煎茶碗と並ぶお茶の道具を尻目に、紅板(べにいた)の紅色が鮮やかです。
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この回答へのお礼

詳しくありがとうございます!

お礼日時:2015/04/02 08:53

女性が手に持っているのは紅板(べにいた)かも知れません。

今で言うリップパレットのようなものです。鉄瓶の湯を少し注(さ)して紅を溶こうとしているのではないでしょうか。
江戸時代にも口紅の流行色はあったそうです。純度の高い紅を塗り重ねると玉虫色の耀きを帯びると言います。ただし紅は高価だったので、もっと経済的に、墨を塗った上に紅を塗ると緑色っぽく見えたとか、いろいろ工夫を凝らしたようです。現代の女子も、リップパレットで何色かを混ぜてオリジナルのカラーを作ったりしますね。

作者の歌川国貞は、役者絵や美人画を得意とした人です。この浮世絵は「新版風流相生(あいおい)尽くし」というシリーズの一つで、英語でいうとファッショナブルなペアリング、つまりおしゃれな、相性のいい組み合わせということです。
絵の遠景の「稲穂に蛍」とは、梅に鶯、松に鶴、紅葉に鹿、竹に雀、柳に燕のように、「取り合わせのよいたとえ」でしょう。この「相生尽くし」のシリーズでも、「竹に雀」、「月に時鳥」などが用いられているようです。

国貞初代 「新板風流相生尽 卯春 竹にすずめ」 - 山田書店美術部
http://www.yamada-shoten.com/onlinestore/detail. …
国貞初代 「新板風流相生尽 卯春 月に時鳥」 - 山田書店美術部
http://www.yamada-shoten.com/onlinestore/detail. …

月とホトトギスのペアリング(pairing)については、小倉百人一首の81番目、後徳大寺左大臣の
ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば ただ有明(ありあけ)の 月ぞ残れる
が有名です。
稲穂とホタルのペアリングについては、種類にもよりますがホタルの幼虫は水田で成長し、稲穂の成長に合わせるかのように成虫となって、その後も水田のあたりを飛んでいたりします。
また、この絵の近景は、美人さんと化粧道具のペアリングでしょう。美人さんと取り合わせがいいのは、調理用具などよりも化粧道具だろうと思われます。昔も今も、きれいどころたちはおしゃれに命をかけています。
まあ私は素人で専門知識はないのですが、この回答が丸っきり間違いだったとしても、「珍説としては面白いんじゃないの」と御笑覧くだされば幸いです……。
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この回答へのお礼

大変詳しくありがとうございます。
湯のみなどが置かれた周囲の状況からやはりお茶の支度かな、という気がしないでもないのですが、四角い道具の中が色違いになっているので口紅というのもアリかもしれませんね。

お礼日時:2015/03/31 20:14

湯を沸かしてるので、ほうろくでお茶の葉を炒ってるのでしょう



https://www.google.co.jp/search?q=%E3%81%BB%E3%8 …
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この回答へのお礼

ありがとうございます。
お茶の道具が周囲にあるので、確かに茶の用意をしているところかな、と思うのですが、ほうろくは、四角型もあるのでしょうか?

お礼日時:2015/03/31 20:04

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