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あるドラマで「あなたに受けた恩だけは忘れちゃいないよ。今日はそれを返すためにきた」というセリフがありました。
そこで考えてみたのですが「あなたに受けた恩」というのは、話し手が相手から受けた恩という意味です。つまり「あなたから受けた恩」ということですね。これについては、そのドラマを見た時点では何となくすんなり理解できました。
そこでふと考えたのですが、「これは彼に受けたものです」という文もあり得ることになります。しかしこりにはどうしても違和感をおぼえます。
これは私の考えすぎであって、「これは彼から受けたものです」という意味の正しい表現なのでしょうか。それとも「恩」と「もの」とでは、違いがあるということでしょうか。あるいはそもそも「あなたに受けた恩」が誤用であって、「あなたから受けた恩」とするべきだったのでしょうか。
そのあたりで混乱していますので、ご説明いただきたく存じます。

A 回答 (9件)

1.「あなたに受けた恩」



この「に」は、【 一 ⑦ 動作・作用の起こるみなもとを表す。】という用法に該当しますし、誤用ではありません。
http://www.excite.co.jp/world/j_dictionary/ITEM- …
おっしゃるとおり、
「あなたから受けた恩」と言っても良いですが、この「から」は、【1 動作・作用の起点を表す。㋐空間的起点、出所を示す。】という用法に該当します。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/45491/meaning/m1u …
そのため、「に」を使うよりは、「あなた⇒私」という、【行為のベクトル】が強く示されているでしょう。
さらに言うなら、「あなたが私に [ 向けて ] 授けてくれた恩」といったニュアンスであるため、恩そのものよりも、「あなたが私に向けてしてくれたこと」という意図が強い表現。
一方、「あなたに受けた恩」の場合は、恩、それ自体に比重のかかった表現だと思います。
・あなたに対しての感謝なら「あなたから」。
・恩自体に対しての感謝なら「あなたに」。
厳密に分類する必要はないかもしれませんが、私たちは、無意識的にこうした使い分けをしているような気がします。

2.「これは彼に受けたものです」

この文単独だと、たしかに違和感がありますね。
理由は2つありそうです。
この「受ける」は、【2 差し出されたものを自分の方に取り入れる。手に収め入れる。もらう。「杯を―・ける」「賞を―・ける」「援助を―・ける」】という意味になると思います。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/18366/meaning/m1u …
この場合、「これは彼(王貞治氏)に受けたもの(ボール)です」という表現が可能か、というと、やはり不自然になるでしょう。
この場合の「受ける」の対象は抽象名詞である必要があるからではないか、と思います。(検証してませんので自信は75%程度です。反証があるかもしれませんので、もしございましたら教えていただけると助かります)
「これは彼(王貞治氏)にもらったもの(ボール)です」とするのが自然でしょう。
これが、第一の理由です。
では、王さんに恩のある選手が、「これは彼(王貞治氏)にもらったもの(恩)です」と言うのはどうでしょうか。
「受ける」と「恩」(という抽象名詞)の相性については問題ないでしょうから、理屈としては自然な表現になるはずです。
ただ、「恩」という抽象名詞に対して「これ」という指示代名詞を使っていることが違和感の原因になる可能性はあると思います。
つまり、「これ」と指すことが可能な恩の内容が、あらかじめ示されている状況なら、この表現も可能でしょう。
これが第二の理由。
結論として、「これは彼に受けたものです」は、極めて限定された状況でなら自然な表現になる。
特に典拠も持たない個人的見解ですが、このように思います。
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この回答へのお礼

いつも詳しいご回答、ありがとうございます。
かなり正鵠をついた内容だと思えます。
無理にとは言いませんが、下の質問にもコメントいただけますでしょうか。個人的には殆ど解決している感じですが、多数の方のご意見をいただいた方がいいと思いますので。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9146629.html

お礼日時:2016/01/11 02:58

wikipediaの記事の引用


恩(おん)とは、他の人<から>与えられた恵み、いつくしみのこと(出典:大辞林)。
恩返し - 誰か<から>受けた恩を直接その人に返すこと。
恩送り - 誰か<から>受けた恩を直接その人に返すのではなく、別の人に送ること。
 言葉を知っている人が書くとこうなります。
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No.7の方が「本題とは直接関係はないでしょうが」おっしゃっていますが、そういうものでもありません。

「靑空文庫」は中身が古い(どんなに新しいものでも50年以上前の作品)し、一応文章の書き手が書いたものですから、古い使用法になっているのは仕方がありません。それに比べると「KOTONOHA」はもっと近い時代をも含んでいます。(2000年を中心とする数年間)
対象は、書籍・新聞・雑誌・広報・白書・教科書・広報・韻文・yahooのブログなど・法律・国会議事録ということですから、現代生活に近いものと考えていいでしょう。それでも検索結果は「青空文庫」とそれほど違わなかったので、安心していたのですが、「ネット検索」の結果を見て驚きました。ネット上の記事はどんな人たちが書いているのか、得体の知れないものにぶつかった感じでした。
 なぜこうなったかですが、ある種の錯覚が人びとの言語感覚を変えていると思います。「あなたに恩を受ける」というのは、「あなたに教えられた」「あなたにいただいた(もらった)」とという表現(これは最初の方の回答に書きました)とシンクロしてしまった。いや、シンクロじゃなくて混合してしまったと考えます。言葉はそういう風に変化していいものだと思います。その一方で、わたしを含めて一部の人が、辞書など楯にして「その使い方は違う」と批判するのは、これもあって当然のことと理解しています。
 さしあたって質問者には、こういう状況だと言っておくしか無いようです。
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この回答へのお礼

丁寧な分析とご回答、ありがとうございました。

お礼日時:2016/01/11 03:03

#5です。


本題とは直接関係はないでしょうが、念のため少し補足したほうが良さそうですね。

単純比較はできませんが、ネット検索では次のようになります。
「あなたから受けた恩」⇒1210件
https://www.google.co.jp/search?q=%22%E3%81%82%E …
「あなたに受けた恩」⇒13,000件
https://www.google.co.jp/search?q=%22%E3%81%82%E …
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この回答へのお礼

「あなたに受けた恩」の方が使用例が多かったのですか。
これは少し意外でした。

お礼日時:2016/01/11 03:02

「あなたに受けた恩」は、本来の文章の形にすれば「あなたに恩を受けた」ですね。

質問者がお考えのように、「あなたから恩を受けた」が普通でしょう。「あなたに」の「に」の用法がよく分かりません。「大辞林」「大辞泉」にある用法として言われたのは、どちらも「用例」から見て「受け身形」の場合の用法です。だから「あなた<に>与え<られ>た恩」なら通用しますが。

 また,長くなって済みませんが、「青空文庫」と「KOTONOHA」で検索したものを書きます。キーワードは「受けた恩」です。 

  「青空文庫」
か王を暗殺したのは、新教徒から受けた恩恵と、彼の種族に対 小栗虫太郎「黒死館殺人事件」
貴たつもりでいるのか、貴様から受けた恩なんか、この通り踏 菊池寛「青木の出京」
日いでも、伏見屋の先祖たちから受けた恩顧は忘れられないと言って 島崎藤村「夜明け前 」
大のだ。が、譲吉が近藤夫人から受けた恩誼が、何んなに大きいかを 菊池寛「大島が出来る話」
○ 鹿子は鹿子でも、その親に、受けた恩義は捨てられぬ。はて困つ 清水紫琴「したゆく水」
のらではあるまいか。私も人から受けた恩のことを考えたり、友人の 横光利一「夜の靴…」
                     
  「KOTONOHA」
養親子関係を維持し,同人から受けた恩愛に背かないことを右贈与に伴う」 平野 裕之
意を払う。第三、息子は父から受けた恩愛に対する感謝のしるしとして毎月  有坂 正孝
  、プリングスハイム教授から受けた恩恵が多大であった。ドイツ的格調と 高橋 巌夫
○ 嗚呼! あのころ、私のおじに受けた恩も忘れて、よくもこの私を、粗末  藤 水名子
し上げます」 八年前の杉村から受けた恩情も含め、尾崎は心から頭を下げ   寺田 敏雄
けた迷惑を忘れては駄目。人から受けた恩は忘れてはならない。でも受けた恨 Yahoo!ブログ
しているという境遇と、ケンから受けた恩を忘れずに東洋医になってケンの健 夜月 桔梗
ことではないと思うが、著書から受けた恩恵・影響は、決して学問の領域にと 仙北谷 晃一
のは要心が必要だ。彼等は人から受けた恩宜はすぐ忘れるが、一旦恥をかかさ  磯貝 元
重んじる関羽は、かつて曹操から受けた恩義を思い、馬首を返すと、部下に   寺尾 善雄
   ○印だけが「に」それでも使う人はあるんですね。
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この回答へのお礼

度重なるご回答と分析、ありがとうございました。

お礼日時:2016/01/11 03:00

No.3です。


 「に」という格助詞は判断に迷うものの一つです。「受ける」は受け身形ではないから紛らわしいと言いましたが、結論ははっきり言っていませんでした。もう少し考えると、授受動詞の一つに、「もらう」というのがあります。この動詞は「彼にもらった本」とも言えますし、また「補助動詞」として「彼に世話をしてもらった」とも言えます。
 「あなたに(助けて)もらった恩義」という言い方なら成立します。このような意味で言ったのかも知れません。それでも、「あなたに受けた恩」という言い方はやはり違和感がありますね。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。それでもドラマを見ていた時は、なんとなく自然に受け止めることができたのも事実です。

お礼日時:2016/01/11 02:53

「に」(10) 受け身・使役の相手・対象を表す。

「犬―かまれた」「巣箱を子供たち―作らせる」「ありがたきもの、舅(しうと)―ほめらるる婿」〈枕・七五〉(「デジタル大辞泉」より)

 この意味で使ったものと思います。しかし、「受ける」は受け身表現ではありません。紛らわしいのは確かですが。
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この回答へのお礼

ご回答、ありがとうございました。受け身というより影響があると考えれば一脈通じそうな気もしますが、どうでしょうか。

お礼日時:2016/01/11 02:51

たぶん 「あなたが受けた恩だけは忘れちゃいけない」と「あなたから受けた恩だけは忘れちゃいない」 がこんがらかっているだけだと思います。


日常会話では、言い間違いが結構ありますが、状況がわかっていれば、否定形と平常文形が誤って使用されても正しく意図に沿って理解されます。動詞が誤ろうが、主体客体が逆転しても、正しく意図に沿って理解されるのが、通常です。 状況理解がうまく出来ないで、言語表現をそのままに理解しようとすると、社会生活、人間関係がおかしくなるのが普通のことと思います。
ドラマの中では、言い違い、こんがらかりを起こさないように、俳優や関係者が気をつけていますが、描きたい人物像を表現するために、わざわざ、おかしな表現の発言を演じることもあり得ます。
「今日はそれを返すためにきた」というと、恨みのようなマイナスを感じます。「お前から受けた仕打ちだけは忘れられない。この恨みは晴らさずにいられない。今日はこの借りを返しにきた。覚悟しろ!」=「お前に受けた仕打ちだけは忘れられない。恨みは返す。さあ覚悟しろ!」=「(皮肉屋さんは)お前に受けた恩を心底ありがたく思ってこれまで生きて来た。今日はその恩をきっちり返させてもらうぜ。ありがたく受取りな」
ドラマの全体がわからないと、どのような演出意図でなされたのかは、想像できません。
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第三者から受けた恩なら、「あなたに受けた恩」と言わず「雷蔵さんから」と言うのが普通。


「に」も「から」も同じ意味の助詞で、「に」でも間違いではないですが、この場合は「から」の方が分かりやすいです。
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この回答へのお礼

ご回答、ありがとうございました。
言われてみてふと気がついたのですが、「そのお金はどうしたの?」という問いに対して「お母さんにもらったんだよ」と「お母さんからもらったんだよ」は、どちらも自然ですよね。
その用法であれば「に」も「から」も同じ意味の助詞だという言い方もできると思います。

お礼日時:2016/01/11 02:47

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