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プレート沈み込み帯において,付加作用やアンダープレーティングによって過去のプレート境界断層が陸上付加体において観察できるので,付加体の研究がさかんに行われていると文献で目にしました。その文献には,メリットのひとつとして掘削ではなかなか届かない地震発生帯を直接観察できることが述べられています。しかし、プレート境界浅部が観察できるのなら納得がいきますが,ある程度深部の地震発生帯が地上に露出するまでの経緯が理解できないでいます。よろしければ理解の助けになるような説明を頂きたいです。よろしくお願いします。

A 回答 (1件)

Iamappleさんは相当に詳しく調べたがる方のようです。

その質問文に惹かれて、ネットで検索してみました。調べたのは、深部にあった岩体が地表に上昇し露出したものであると判定するロジック、そのような挙動を起こすメカニズムの説明です。
四国三波川帯・瀬場地域の研究の経緯・研究史
⇒ https://www.gsj.jp/data/bulletin/56_03_05.pdf
2010年の論文
⇒ http://ci.nii.ac.jp/els/110007730254.pdf?id=ART0 …

⇒ http://www.riko.shimane-u.ac.jp/web/public/docto …
このP2~3(5~6/25)「①110~185Ma:久万ナップと秩父累帯北帯が,110-185Maに変成作用のピークに達した.秩父累帯北帯の全岩40Ar/39Ar年代は,秩父累帯北帯が地質年代学的に,いくつかに区分が出来ることを示し,少なくとも110Ma,120-140Ma,215Maのユニットを含んでおり,久万ナップもピークの変成作用の年代が145Maと見積もられるものと,185Maと見積もられる2つのユニットを含んでいる.②140Ma:別子ナップや御荷鉾緑色岩帯の源岩である深海性堆積物及び海山が,久万ナップ及び秩父累帯の下位に沈みこみ開始.③100Ma:別子ナップや御荷鉾緑色岩帯の源岩である深海性堆積物が,久万ナップ及び秩父累帯の下位に,地下30㎞まで沈み込み,90-100Maのとき,変成作用のピークに達した(藍閃片岩相~緑レン石-角閃岩相).これによりアンダープレーティングによる構造的な上昇が起こり,久万ナップの全てのユニットは,構造的に上昇移動する.また,大歩危ナップの原岩が沈み込みを開始する.④75Ma~85Ma:大歩危ナップが変成作用のピークとなり,別子ナップは(おそらく久万ナップも)大歩危ナップの構造上上位になる.アンダープレーティングによる構造的な上昇が起こり,久万ナップと別子ナップ(御荷鉾帯含む)は,構造的に上昇移動する.⑤75Ma:クラ-太平洋プレートの海嶺が沈みこむことにより,海洋スラブの沈み込みが停止した.⑥60-65Ma:中央構造線における左横ずれ成分の構造運動があり,沈み込みの停止で海洋スラブによる付加体圧縮の解放等により付加体全体の隆起が起こり,地質帯とほぼ平行な高角度の正断層が形成され,現在の状況となった」 「本論文で取り扱った三波川変成帯,毛原層,御荷鉾帯はいずれも低温高圧型の変成作用を受けており,このような変成岩の形成は海洋プレートの大陸プレートの下への沈み込み(サブダクション)によって形成されたと考えられる.サブダクションによって海底に堆積していた堆積物が最大で地下およそ30 kmにまで引きずり込まれ,そのような深所(すなわち高圧条件下)で低温高圧型の変成作用を受けた.低温高圧型変成岩の形成場から地表への上昇のプロセスについては,これまで種々のモデルがあるが定説はない.本論文では,海洋プレートのサブダクションによる高圧変成岩の形成に引き続き,新たな堆積物の沈み込みによるアンダープレーティング,おそらく海嶺の沈み込みに伴うウェッジ・エクスツルージョン,そして地殻の伸長に伴う正断層活動が引き続いて起こる,というテクトニック・プロセスによって四国中央部から紀伊半島東部までの低温高圧型変成岩の上昇を説明することが可能であることを示した.」

P9(12/25)「れらの変成岩には第1、第2そして第3高圧変成作用イベントの3つの異なる変成イベントが識別された.第1高圧変成作用イベントはざくろ石の核部の包有物として示され,ピーク変成作用条件は温度530-590°C,圧力19-22 kbarのエクロジャイト相条件である.第2高圧変成作用イベントは緑れん石角閃岩相からエクロジャイト相に至る昇温期変成作用を経て,エクロジャイト相のピーク変成作用条件に至る.ピーク変成条件は温度630-680°C,圧力20-22 kbarが見積もられた.第2高圧変成作用イベントの降温期変成作用の初期はほぼ定温状態で圧力が急減するisothermal depression型であり,8-12 kbarにまで急激に減圧する.第3高圧変成作用イベントは,エクロジャイトの片理を切って発達する角閃石脈を構成する鉱物によって定義される.昇温期変成作用は藍閃石の安定領域からバロワ閃石の安定領域である緑れん石角閃岩相野変成条件(温度540-600°C,圧力6.5-8 kbar)に至るもので,これはエクロジャイト岩体周囲に分布する通常の三波川変成岩の昇温期変成作用と対比される.また,一部の変成岩には第1高圧変成作用イベントにさきがけて,角閃岩相の高温型変成作用イベント(precursor metamorphic event)の存在が認められた.本論文ではこれらの変成イベントが,三波川変成帯を形成したサブダクション帯のテクトニックイベントに対応させられた.すなわちprecursor変成作用イベントはサブダクションの始まりにおいて沈み込んだ堆積物が熱いウエッジマントルと接触することによる変成作用で,その後サブダクションが継続することによりウエッジマントルは冷却され、低温高圧型の変成作用がおこって第1及び第2高圧変成作用イベントのエクロジャイト相変成作用がおこったと考えられる.その後,エクロジャイト岩体は付加体の浅部にまで一度上昇し,通常の三波川変成岩中に貫入した.エクロジャイト岩体は三波川変成岩とともに付加体内で沈み込み,緑れん石角閃岩相の三波川昇温期変成作用を受けた後,地表にまで上昇した.既存の報告よりエクロジャイト相変成作用は89±0.6 Ma,第3高圧変成作用イベントの降温期変成作用時期が90-100 Maとされており,これらの複数の変成作用イベントが90-100 Ma頃に短期間に起こったことを示している.この90-100 Maの時期は海洋プレートが年間20-30 cmの高速で日本列島に対して高角で斜め沈み込み(highly oblique subduction)をしていた時期と一致し,この沈み込みが短期間のエクロジャイト岩体の沈み込みと上昇のくり返しを引き起こしたと考えられた」

挙動を起こすメカニズムの説明は見つけられませんでしたが、海洋性プレート上部に含まれていた水分が岩石成分と化学反応し(比重にも影響を与えたでしょうが)膨張による強烈な圧力を発生させ、爆発的な?上昇方向の力を造りだしたのが原因ではないでしょうか。

こんな説明もあります。
http://sgulrep.sgu.ac.jp/dspace/bitstream/10742/ …
「高知県の奥津メランジュ中でシュードタキライトが見つかっている(Ikesawa et al., 2003)。剪断部にシュードタキライトがある。剪断部を埋めている脈の沈殿鉱物の中の水とメタンの液体包有物から,温度150〜250°C,深度5〜6kmで形成されたものであることがわかっている
(Hashimoto et al., 2002,2003; Matsumura et al., 2003; Sakaguchi,2001)。低温であるが,このような温度条件でも岩石の溶融が起こることが確認されている。」
序列外スラスト帯の形成の形成で、低温高圧型変成岩の形成場から地表への上昇がおきたとも言えるのでしょうか。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1 …
間隙水が問題なのかもしれません。

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光にも速度があり、太陽光が地球に到達するのに時間が掛かるというのも、実感的に理解しがたい面があります。いくつかの観測の検討から、あちこちの恒星で光って見える光は、同時に光ったものではなく、バラバラのひどく時間差があるときに光ったものだと、考えるしかないのではないでしょうか。 5-10kmもの深部からでも、その岩体が地表に上昇しているものがあると考えるしかないということなのでしょう。
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この回答へのお礼

丁寧な回答ありがとうございます。理解するのに時間がかかって返事遅くなってしまってすいませんでした、といっても理解はまだ半分くらいといったところでしょうか。実際に地中を観察することは不可能であるのにかかわらず、丁寧な観察によってここまでのことがわかることに大変驚きました。もう一度調べながら詳しく読んで理解を進めたいと思います。本当にありがとうございます。

お礼日時:2016/01/16 14:27

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