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大学受験の参考書を見ると、日本とアメリカの、議院内閣制と大統領制について、次のように述べられています。
【日本】
●内閣は国会に対して連帯して責任を負う。
【アメリカ】
●大統領は議会に対して、政治責任を負わない。

その解説として、次のようにあります。
【日本】
●内閣は国会の中から生まれる。
 (内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名される。国務大臣の過半数は国会議員でなければならない。)
●内閣は国会の信任のもとに存続する。
 (衆議院で内閣不信任の議決[または信任案の否決]をしたとき→内閣は10日以内に衆議院を解散するか総辞職。)
【アメリカ】
●議会は大統領不信任の議決をすることができない。
●大統領も議会を解散する権限を持たない。

これらの、「責任を負う」「責任を負わない」の意味が、何度読んでもよく理解できません。「責任」とは、ここではどういう意味なのでしょうか。要は、アメリカでは、大統領も議会も、お互いに、「相手のことは知らんよ」といってもよい、ということなのでしょうか。日本は、内閣と国会が、お互いに気を使いあいながら政治をしなければならない、ということなのでしょうか。


それともう一つ、日本の地方自治においては、アメリカの大統領制と似た仕組みで、国政とは違っています。なぜ、日本では、国政と地方自治で違っているのでしょうか。国政は、国全体の大事なことを決めるので、より慎重にならなければならない、ということなのでしょうか。
(国民投票で総理大臣を決めると、ヒトラーやナポレオンのような人、例えば、大阪市の橋下徹元市長のような、人気投票で総理大臣が決まってしまうことを防ぐ意味なのでしょうか)

よろしくお願い致します。

A 回答 (3件)

内閣が国会に対して負う政治責任というのは単純に


きちんと国会の議決のとおりにお仕事(政治)をしますよ、
ということです。

加えて、その参考書に書いてあるとおりに
解散権を責任に含めるという説(均衡本質説といいます)もあります。
この場合はお互いに責任を負っている、つまり
相手が悪いと考えたら、自分も解散で損をするというわけですね。



じゃあ、アメリカはどうなの?というと
大統領の権限に「(法案条項ごとの)拒否権」や
「法案の上書きの権利」があるので、議会が決めたとおりに
必ずしも政治をする必要がありません。
もちろん権利があるとはいえ乱発し過ぎると、議会に反発されて
法案が作れなくなり、結局は政治が止まってしまうので
まったく気を使わなければ国政が立ち行かなくなる
でしょうけれどね。




ではなんで地方自治と国政で制度が違うの?というと、
日本の場合は、まず順番を見てみるとわかりやすいかもしれません。

明治4年(1871年) 廃藩置県
明治11年(1878年) 地方議会関連法令制定
明治22年(1898年) 大日方帝国憲法発布(ちなみに内閣の規定はありません。)
昭和21年(1946年) 地方制度改正(公選制の導入)
昭和22年(1947年) 日本国憲法と地方自治法が施行


まず廃藩置県によって行政の長が任命されるようになり、
そのあとに議会ができました。
次に、GHQの指示で知事を任命制ではなく、公選制に変え、
最後に、日本国憲法98条の規定によって
日本国憲法に反する法令は廃止
日本国憲法に反しない法令は存続となりました。

夢を壊すような話でもうしわけないのですが、
明確な意図があったというよりは、そもそも行政の長が先に居たので、
単純にこれを引き継いでいるだけ、というわけです。



余談ですが、ナポレオンはクーデターで第一執政となってから、
自らを皇帝とする選挙を行い、またヒトラーもヒンデンブルグ
大統領から首相に任命され、ヒンデンブルグ大統領の死後に
大統領の権限のみを兼務した(総統となった)だけなので、
実はどちらも権力者への権力を追認する選挙しかしてないですよ。


こういった選挙で反対するのは公権力の取り締まりがあるので
難しいでしょうけれど、現代のように選挙時の介入が無いのであれば
マスコミさんがよく言うような、選挙による独裁者の誕生を主張するのは
そもそもナンセンスだし無責任過ぎるし、選挙民をバカにし過ぎだと思うのです。

少なくとも現状の匿名選挙に票の操作や介入が無い限り、
それこそ我々は首長に対して任命した責任を負う、
のではないでしょうか。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

>内閣が国会に対して負う政治責任というのは単純に
> きちんと国会の議決のとおりにお仕事(政治)をしますよ、
>ということです。

「政治をする」、という事の意味が、よく分かっていません。
「国会に法案を提出して、審議・可決を経て法律として成立させる」というところまでは分かるのですが、肝心の「政治をする」、言い換えれば「行政権を執行する」とは、具体的にどのような作業なのでしょうか。

最初のここが理解できないので、ここで詰まってしまいます。お礼が遅くなりまして申し訳ありませんでしたが、これをご覧であれば、wiz0621様にもう一度お答え頂きたいです。

お礼日時:2016/03/14 00:11

A NO.1です。

補足への回答として、
行政ってなんじゃい?というお話です。


行政というのは、実はしっかり定義しようとしても
実はかなり曖昧な規定でして、一般的には
ざっくりと、司法と立法以外のすべてを指している
と考えられています。(控除説といいます。)


なぜこういう考え方をするかというと、もともとは、
現代民主主義の成立過程で、君主が有していた司法権と
立法権がまず議会と裁判所に移譲され、その後に残りの部分が
完全に民主化されていったという歴史的経緯があるため、
それを後追いで言い訳・・・ゲフン!
国家の権利が正当であることの証明のために、
時代ごとに現実に合わせ習合・理論化し、法体系を改善していったわけです。


日本ではさらに積極的定義にチャレンジしてる学者さんたちも
いるのですが、こういった定義の設定には現実との間に
矛盾が無いか、さらに検証が必要になって面倒なので、
この意味でもやはり控除説が一般的です。




ざっくりし過ぎ?で気持ち悪いかもしれないので、
より具体的にはどんなお仕事かを見ていくと、
国や時代ごとに少しずつ異なるので、あくまで現代の日本の場合
憲法73条に書いてある以下の内容は確実に
内閣のお仕事(政治)ですね。


※以下要約です。

一  法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二  外交関係を処理すること。
三  条約を締結すること。
四  法律の定める基準に従い、官吏に関する事務を掌理すること。
五  予算を作成して国会に提出すること。
六  この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。
七  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
上記7種に加えて、その他一般行政事務


さらに具体的にはというと、
憲法73条の4番目のきまりがあるので、内閣の運営は内閣法、
予算は財政法、安全保障については国家安全保障会議設置法、
といった具合にお仕事ごとに、詳細を法律をかならず決めています。
(もっと具体的には政令、施行規則、通達といった形でやり方も決めています。)

さらに詳細を!ということであれば、あとは法律をひとつひとつ
めくるしかなくなっちゃいますね。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。非常によく分かります。
「控除説」ですか。wiz0621様は、政治学とか法学を専攻なさっていたのですか? 私は理系で、ほとんどそういう行政・法律・経済分野はど素人なのです。

挙げて頂いた憲法73条のうち、
「法律を誠実に執行し」
「その他一般行政事務」
あたりが、行政業務の核に該当しそうですね。よく勉強しておきます。

また、参考書でよく勉強しておきます。ありがとうございました。

お礼日時:2016/03/17 02:54

「責任」とは、ここではどういう意味なのでしょうか。


    ↑
政治的責任を負う、ということです。
具体的な内容は次のようなものです。
・内閣の行為の違法性、妥当性について、国会の批判を受け
答弁する義務。
・場合によっては閣僚などが辞職する。
・場合によっては解散か総辞職するか、選択を迫られる。


アメリカでは、大統領も議会も、お互いに、「相手のことは知らんよ」
といってもよい、ということなのでしょうか。
    ↑
権力分立原理の態様が日本と米国とは異なる
ということです。
米国は、権力分立に忠実なわけです。
日本の議院内閣制は、議会と内閣が共同、協力関係に
近くなる、ということで権力分立原理が修正されて
いるわけです。


日本は、内閣と国会が、お互いに気を使いあいながら政治を
しなければならない、ということなのでしょうか。
    ↑
米国のように独立、対立的でなく、協力、共同
関係だ、ということです。
米国と異なり、国民が同質的で、露骨な対立を
嫌う日本人には議院内閣制が適合しやすいだろう
ということです。


なぜ、日本では、国政と地方自治で違っているのでしょうか。
国政は、国全体の大事なことを決めるので、より慎重にならなければならない、
ということなのでしょうか。
      ↑
中央政治においては、日本は英国にならって
議院内閣制を採用しました。
これは天皇の存在が大きいと言われています。
大統領制にすると、天皇とどっちが偉いのだとか
天皇の意義が薄れたりします。
だから、英国でも議院内閣制を採用しているのです。

これに対して、地方が大統領制を採用したのは
米国のホームルール制に倣ったものです。
押しつけられた、とも言えますが。
戦前は中央官僚が知事をやっていましたが、それ
は民主的でない、ホームルールに反するという
ことになりました。

地方は規模が小さいから、大統領制の方が
中央からの独立性が強くなるし、
より地方の民意を反映しやすくなり、きめの細かい
行政が可能になるだろう、ということです。


(国民投票で総理大臣を決めると、ヒトラーやナポレオンのような人、
例えば、大阪市の橋下徹元市長のような、人気投票で総理大臣が
決まってしまうことを防ぐ意味なのでしょうか)
    ↑
そういう点を指摘して反対する学者も
おります。
たとえば、トランプ氏のような人が、簡単に国家の頂点に
立てるような制度には問題がある、ということです。
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この回答へのお礼

お礼が遅くなり申し訳ありませんでした。平易な表現によるご回答、よく理解できました。ありがとうございました。

お礼日時:2016/03/14 00:14

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