
2*2*2の立方格子上に並んだ電子に対して全通りのエネルギー(固有値)を求めて分配関数を作り、比熱の温度依存性を求めるようなプログラムを作ったら、画像のようなグラフが出てきました。位置とスピンには周期境界条件を使っています。使ったモデルはイジングモデルとハイゼンベルグモデルで、外部磁場は0としています。イジングモデルを緑の線で、ハイゼンベルグモデルを赤い線でプロットしました。
ハイゼンベルグモデルがイジングモデルと違って2次相転移(比熱の発散)を起こさないためにピークが緩やかなのかな、と思ったのですが、だとすると相転移を起こさない理由がわかりません。また、ハイゼンベルグモデルのピークがイジングモデルよりも高温寄りにずれている理由もわからないので、どちらかわかる方がいらっしゃったら教えていただけると幸いです。

No.2ベストアンサー
- 回答日時:
スピン間相互作用を -J S_i・S_j の形に書くことにして
2次元正方格子イジングモデルでは T_c/J ≒ 0.57,
ハイゼンベルグモデルでは T_c/J = 0
3次元単純立方格子イジングモデルでは T_c/J ≒ 0.75,
ハイゼンベルグモデルでは T_c/J ≒ 0.61
です.
ハイゼンベルグモデルの方が秩序が起こりにくいので,
同じ格子で見て T_c/J が小さくなっているのは自然です.
計算結果とは逆になっていますが,理由はすぐにはちょっとわかりません.
2×2×2の8スピンが小さすぎるのかも知れません.
この系だと周期的境界条件と開放境界条件の違いはちょうど J を倍にすることに
なってしまいます.
計算のチェックも必要ですかね.
2スピンは簡単に手でできます.
4スピンはトータルの磁化で分類すれば6×6の行列になり,
さらに対称性で分類できますから,これも手で解けるでしょう.
> イジングモデルの方がパラメータの変化に対して敏感なようです。
イジングモデルはz成分1つしかないのに対して
ハイゼンベルグモデルはx,y,zの3成分あります.
ごく単純に考えれば,磁場はz成分にのみ関係しますから,
イジングモデルの方が磁場が効きやすいように思えます.
ただし,3成分は独立でなくて交換関係がありますから,
いつでもそんなに単純かどうかはわかりませんね.
ありがとうございます。
なるほど、秩序が起こりにくいからハイゼンベルグの方が転移温度が低いんですね。
計算のチェックは数値計算の誤差がいけないのかモデルがいけないのかのチェックですね。4スピンでも結構大変ですね・・・。2スピンではmathematicaで書いてみましたが、イジングのピークの方が高温寄りでした。4スピンだとどうなるのかはこれから計算すれば分かりますが、小さすぎる系だとそういう問題が起きるのですね。
No.1
- 回答日時:
> ハイゼンベルグモデルがイジングモデルと違って2次相転移(比熱の発散)を起こさないために
単純立方格子上のハイゼンベルグモデルもイジングモデルも有限温度相転移を起こします.
ハイゼンベルグモデルの方が転移温度が低いです.
2次元正方格子の場合と混同されているのでは?
イジングモデルでは8個のスピンに任意に↑と↓を配置したものは固有状態になりますが,
ハイゼンベルグモデルでは固有状態にはなりません.
2個のスピンで考えてみれば明らかで,
J S_1・S_2 (S はベクトル演算子なので本当は太字)の固有値は
E = J/4 (対応する固有状態3つ,いわゆるトリプレット)と
E=-(3/4)J (対応する固有状態1つ,いわゆるシングレット)です.
↑↓という状態は固有状態ではありませんので,イジングモデルと同じような計算はできません.
スピン8個なら,2^8 = 256 状態ありますから,
256×256 の行列の固有値をすべて求めることになります.
よく用いられるのはハウスホルダー法ですが,
そこらへんは大丈夫なのでしょうね.
度々ありがとうございます。
Heisenbergモデルではハミルトニアンの非対角成分が0でないから固有状態がイジングモデルと違うということは多分理解できています。ハミルトニアンから全てのエネルギー固有値を求めて分配関数Zを計算し、公式
内部エネルギーU=-∂(lnZ)/∂β (β:逆温度)
比熱c=(1/N)∂U/∂T (T:温度)
に当てはめて計算しました。しかし、ハイゼンベルグモデルの方が転移温度が低いということは、そもそもこのグラフは間違っているということでしょうか。だとしたら、2*2*2の周期境界条件のせいなのでしょうか・・・。
(
ちなみにハミルトニアンの対角化は、
http://pc-physics.com/taikakuka.html
このサイトのプログラムをそのまま使ってやりました(早く結果を出したかったので)。このサイトがなんという名前の方法を使っているのか知らないのですが、ハウスホルダー法ではないような気がします・・・。
)
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比熱の温度依存性だけでなく磁化の温度依存性・磁場依存性も書いてみました。これらの共通点として、どうやらキュリー温度に対応する温度や磁場=0のような相転移の起こるところの周辺で、イジングモデルの方がパラメータの変化に対して敏感なようです。