No.1ベストアンサー
- 回答日時:
「DNAの定量」であれば、主目的は「DNAの資料中の存在量を計測すること」です。
「定量すること」が目的でなければ、その試料の「物性自体を知ること」が目的かも知れません。
(物性を知って何をしたいかは、研究目的によります)
分光光度計で定量する場合は、波長260nmの光照射の他に、
波長230nm(ペプチドやTris、EDTAなど)や、
波長320nm(その他のバッファー成分など)の光照射も実施して吸光度を計測し、
波長260nmによる吸光度から算出した核酸濃度を補正します。
そのようにして得られた「核酸の存在量」が分かることで、
ある遺伝子と別の遺伝子との存在量の比率を求めたり、
実験条件の異なるサンプル間で遺伝子の存在量を比べたりします。
複数サンプル間で存在量を比べることで、
・条件①に比べて条件②では、なぜ存在量が変動するのか、
・古い計測実験と比べて今回の計測実験は上手くいっているのか、
・同じ実験条件で計測したサンプル間でデータのバラツキはどの程度か、
といった疑問を解消するための手がかりにします。
(計測結果が常に正しいとは限らないので、あくまでも「手がかり」です)
丁寧にご回答くださり、感謝いたします!
じっくり読ませていただきました。非常にわかりやすかったです。
●存在量で物性が変わるんですね!想像していませんでした。どのように変わるのか気になるところです。
●またそもそも、核酸の定量って何だろう?と思えてきました。
>そのようにして得られた「核酸の存在量」が分かることで、ある遺伝子と別の遺伝子との存在量の比率を求めたり、
とありますが、核酸は構造?の違いによって区別されるということでしょうか?(配列の違いによってDNAは区別されるの?手法によってはできるのか?)
分光光度計で定量する場合は、中身の違いは無視し「核酸」として定量するということでしょうか。
と疑問はどんどん湧いてきます。
簡単な資料を読んだだけですが、とても面白い分野だなぁと思いました。
ありがとうございました^^
No.2
- 回答日時:
連投失礼します。
DNAを含む生体物質の立体構造と機能を研究する分野として、
「構造生物学」という領域があるので、書籍を探してみると良いかもです。
>●存在量で物性が変わるんですね!想像していませんでした。どのように変わるのか気になるところです。
「吸光度」自体も物理的な性質の一つなので、核酸濃度の増減で吸光度という物性が変わっている、と言えます。
核酸以外だと、ネバネバした物質を水に溶かすと、溶解濃度に応じて粘性という物性が変わりますし、
塩化ナトリウムを水に溶かすと「しょっぱさ」が変わります(物性とは呼ばないかもですが笑)。
>核酸は構造?の違いによって区別されるということでしょうか?(配列の違いによってDNAは区別されるの?手法によってはできるのか?)
核酸の構造分類はいくつかパターンが知られています。
・一次構造: 塩基配列の並び方です。遺伝子の種類は塩基配列の違いとして記述されています。
・二次構造: DNAもRNAも、鎖1本で「らせん構造」を作りますが、DNAは鎖どうしで「二重らせん構造」を作ります。
DNAの溶液の温度を上げると「二重らせん」が解離して1本のらせん構造だけになるのですが、
一次構造が変わると「融解温度」(解離に必要な温度、物性)が変わります。
・三次構造: DNAだと「二重らせん」の1本の長い鎖がさらにねじれたり、折れ曲がったりします。
・四次構造: 三次構造を持った別の鎖どうしが複数くっ付き合って、ダマを作ったりします。
>分光光度計で定量する場合は、中身の違いは無視し「核酸」として定量するということでしょうか。
分光光度計だと、混合液の細かい成分(ATGCの割合など)は無視して核酸全体の「見かけ上の濃度」が計測されます。
厳密には各塩基(ATGC)で吸光度が違うのですが、吸収波長が僅差なので区別が難しいです。
理想的な分光光度計が在るとすると、Aが100個、Tが100個、Gが200個、Cが200個、のように数えてくれるかもしれません。
分光光度計以外の計測方法だと、DNA鎖の端っこから塩基を1個1個、ATGCのどれなのか読み取って数えていき、
サンプル溶液中にどんな種類のDNA分子がどのくらいの量で存在するか、計測する方法も普及しています。
「DNAシークエンシング」「塩基配列決定」などで調べてみてください。
向学心お大事にしてくださいませ。
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