かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の翳らひにけり
という、前登志夫の歌があります。この歌の中には、一本の木が存在します。そしてそれを包む明るさがあります。「かなしみ」「翳らひ」はここでは、必要のない言葉なんじゃないか、という考え方も然りです。しかし、次のような解釈も可能です。かなしみというものは、明るさで代弁されるような、つまり何の障害もなく、すべてを見渡して何の汚点も憂いもない、万人がそれを信じて疑わない状況、そうした中にあって、ふと気がついた時に「かなしみ」「翳り」となって心に去来する。誤謬というものが何もないクリアな状況。それは間違いなく正しいことなのか。それをこの歌は提起していると思います。
歌人の永田和宏は次のようにこの歌を読んでいます。
明るい光の中に、一本の木が立っている。少し小高い丘の上にでも立っている木を想像してもいいだろう。光の中で、その木の幹は一瞬黒く翳って見えたのかもしれない。そのとき、にわかに木の存在感だけが現実の景から抜け出したように、なまなまとした実感として感じられた。木がただそこに立っている。孤り立つという寂しさ。明るさの中に黒い翳を孕んで存在しなければならないかなしみ。人間の、そしてもの皆の<存在する>ということそのもののさびしさ、かなしさを詠ったものがこの一首である、と。
この「一本の木」と「一匹狼」に、私は共通したあり方を感じますが、皆様はどのように思われますか。抽象的で申し訳ないですが、ご意見をお願いします。
No.10ベストアンサー
- 回答日時:
素直には、明るいなら明るいと言うべきところを、悲しみを持って来るのは変ですよね。
赤子のような素直さを失っているのでなければこんな取り合わせは出来ません。ここからは喪失感を読み取るべきでしょう。次に、明るさが何故悲しみの原因になるのか?その答えは「一本の木」に求めなさい。よく見れば「翳らひにけり」という様ではないか。ちょっと調べてみましょう。
この「「翳らふ」という動詞は雅語でその意味は以下の通りです。
(1)光がほのめく。ひらめく。ちらちらする。「時雨ゆく雲間に弱き冬の日の―・ひあへず暮るる空かな/風雅(冬)」
(2)姿や幻がちらつく。「ただ今の御姿,まぼろしに―・へば/保元(下・古活字本)」
(3)陰になる。日がかげる。「よられつる野もせの草の―・ひて/新古今(夏)」
この「翳」という漢字は、鳥の羽毛の下の影の意味です。コンクリートの建物の影とは違います。明暗くっきりというわけではありません。
一定の明るい光ゆえに、枝や葉の間やその下辺に幻のように何かの姿のように揺らめく翳。こうとるのが良いのではないでしょうか。
この歌は喪失感と揺らめく翳を主たる素材として作られていると考えるべきものと思います。孤高の人、というには余りにも繊細です。
明るさと悲しみの相関性について
もう少し読み解いてみたいと思います。
悲しみは喪失感から生まれることが
確かに多いです。
悲しいときは心が敏感に繊細になっていて
たとえば、木々の葉の揺らぎによって
分散しながら届いてくる
光の質感にさえ心が震える。
悲しみは明るさとは無縁と思われがちですが
悲しいときはきっと、ものごとの無垢なる
本質的な有り様を通常の時よりも
敏感に感受できるように思います。
この意味で
「明るさはかなしみゆゑにきたりけり」
もまた、真なのではないか。
>一定の明るい光ゆえに、枝や葉の間やその下辺に
幻のように何かの姿のように揺らめく翳
>この「翳」という漢字は、鳥の羽毛の下の影の意味。
コンクリートの建物の影とは違います。
光によって翳が生まれ、翳によって光が際立つという
光と翳との相補性のような関係も浮かんできました。
翳りは明るさの対極にあるようですが
そうではない。明るさが翳りを生むのだ。
翳りが明るさを認識させるのだ。
悲しみは喜びの対極にあって
決して喜びと無縁ではないと思うことができました。
そして、一匹狼にも
光と翳が存在するのかもしれません。
見えている面はハードボイルド的な側面ですが
実は羞らうほど繊細な魂の持ち主でもあると。
強さと弱さが共存した器なのだということも
思い至りました。
No.11
- 回答日時:
№8です。
★ (№8お礼欄) ブラジュさんの言われることは理論的にはわかるような
気がしますが。
☆ と言ってもらったので くどいことは言いません。
ただし 《昼と夜 夕から朝》といった言葉の意味合いについては 調べまし
た。
★ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
しかし、中国語の聖書を見て気がつきました。
朝は「早晨」、夕は「晩上」です。・・・
「早晨」は真夜中から正午までを指します。
「晩上」は、夕方、晩、夜というように、夕方から夜にかけてという意味・・・
だから、・・・夜が来て朝が来るという闇を経由する普通の時間の推移のこと
を言っているんです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
☆ じつは 《昼は 夕となるが 夜へは渡されずに 次の朝を迎える》とい
う見方は アウグスティヌスのものです。請け売りでしたので 語源をしらべ
ました。
まづ
▲ (創世記 1:5) 神は光を昼と名づけ、やみを夜と名づけられた。夕とな
り、また朝となった。第一日である。
☆ の原文は次です。
https://www.blueletterbible.org/kjv/gen/1/1/t_co …
そこでは 語の原義をも提供してくれています。
○ まづ四つの語はそれぞれ異なっています。
・昼:יוֹם yowm
・夜:לַיִל layil
・夕:עֶרֶב `ereb
・朝:בֹּקֶר boqer
さて原義です。
○ 昼:ヨーム ←《熱い・暑い hot 》
https://www.blueletterbible.org/lang/lexicon/lex …
○ 夜:ライル ←לוּל luwl:《折り返す・畳む・曲げる fold back 》
ライル: https://www.blueletterbible.org/lang/lexicon/lex …
ルール: https://www.blueletterbible.org/lang/lexicon/lex …
○ 夕:エレブ 《夕・夜・日の入り evening, night, sunset》
←《布で覆う covering with a texture》
←עָרַב `arab:《夕方になる・暗くなる to become evening, grow dark》
←《組みひも・編んだ髪 braid ; 交換する exchange etc. 》
エレブ: https://www.blueletterbible.org/lang/lexicon/lex …
アラブ: https://www.blueletterbible.org/lang/lexicon/lex …
○ 朝:ボーケル 《朝・夜明け・日の出 morning, break of day,coming of sunrise》
←בָּקַר baqar:《耕す・掘り起こす plough 突然起こる break forth,
調べるなど inspect, admire, care for, consider・・・》
ボーケル: https://www.blueletterbible.org/lang/lexicon/lex …
バーカル: https://www.blueletterbible.org/lang/lexicon/lex …
☆ 《夕・エレブ》には 《夜 night 》という意味もあるようです。
ただ 《日没 sunset 》という意味が基本だとすれば――つまり 《朝 ボーケ
ル》=《夜明け dawn・日の出 sunrise 》との対照として使われているとすれば
―― それは 線としての時間ではなく 点としての時刻を言っているかに見ら
れます。
さらに詳しい研究に俟たねばならないかも知れません。取りあえず こんなとこ
ろとは成りました。
☆ 前登志夫本人が くわしく解説してはいないのですかね 短歌の意味のほう
ですが。
解釈の余地が広く大きいうただと言えましょうが これだという特定の意味とし
て捉えにくい幅ゆれがあるように わたしには映ります。
すごいですね。聖書の原文、興味深いです。
旧約だから古代ヘブライ語になるんですね。
昼yowm、夜layil、夕‘ereb、朝boqer
luwl:折り返す、畳む、曲げる がlayilの原義
`ereb:布で覆う から夕。
`arab :組みひも、編んだ髪、交換する から夕方になる、暗くなる。
baqar:耕す、掘り起こす、突然起こる、調べる がboqerの原義。
なんですね。
wikiで見ますと、ヘブライ語はユダヤ人が
ディアスポラした頃から次第に話されなくなり
二千数百年を経た20世紀になって
現代ヘブライ語が、イスラエルに住むユダヤ人の
日常語として復活したのだと知りました。
ニュースで、日本で文字が使用されるようになったのが
紀元前に遡るかもしれないと言っていました。
言葉、とりわけ文字というのは大切なものだと
あらためて思いました。
さて、短歌ですが。
歌というものは作者の手を離れたら翼を広げて
飛んで行ってしまいます。
ですから、歌はあくまで読み手のものです。
作者の解釈など、あってないものなんです。
No.9
- 回答日時:
お礼ありがとうございます。
>ここでは、一匹狼を提示しましたが個人的には猫が好きです。
人に媚びず、野性を失わない自由奔放な性質がgoodですね。
成程、今の心の状態は猫に共感している。
しかも、「かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の翳らひにけり」にも共感されている。
普段は明るく振舞っているけれどもどこか悲しさを感じている。本心は猫のように生きてみたい。ですか?
少し、現実とのギャップがあるのかも知れませんね。
現実では、人との付き合いが重要ですから、たまに、このサイトで息抜きできればいいですね。
私はこの質問で、映画の殺し屋「レオン」を思い浮かべました。
レオンは地に足のつかない観葉植物を育てていました。
この場合は、心の状態が一致していたのでしょう。
普段は自分で認識できない心の状態が分かるという事は、ありがたいことです。
自分の気持を落ち着かせることができますし、危険な人物を察知することもできます。
認識できないといえば、自分の現在は認識できないですね。
認識した時には過去になります。私達は過去を認識して安心しているのかもしれません。
でも、他人の現在は未来を予測することで、認識できているのかもしれません。だから、他人と共感できるのかもしれません。
他人の事は自分のことよりよく分かる。不思議ですね。
自分を客観的に見ることはできない。
特に自分の現在は認識できない。
なるほど。それは気がつかなかったです。
自分に関しての認識とは、いつも
後からついてくるもの。
そうすると、現在の時点で
自分の未来を予測することは難しい。
望むことはできても、予測はできないことになりますね。
客観的に見るのは、ご回答にあるように
心理テストを使うのも妙案ですね。
「レオン」はwikiで、
子供の頃から殺しをしていたって書いてありましたが、
ISの子どものことが浮かびました。
子供の頃から人を殺すことを学ばされる。
ISは支配地域の子どもたちを戦闘員に仕立て上げました。
子供を将来の重要な人材と位置づけ
洗脳しやすかった。
戦争とは現時点での悲惨だけでなく
未来へ膨大な負の遺産を作る。
多感な時期の洗脳は大人になってからの
人生を決定づけると思います。
彼らが再び過激思想の担い手になることを
どのように防ぐのか。今に始まったわけではなく
中東ではまさに、そのような負の連鎖が
繰り返されてきましたね。
レオンはなぜ幼少の頃に
人を殺すことを覚えたのか知らないですが
良い環境でなかったことは確かですね。
No.8
- 回答日時:
№2です。
★ (№2お礼欄) 明るさの中だけでは生きられないと思います。
昼もあれば夜もなければならない。
人は昼、活動し、夜になれば休みます。
☆ うーむ。世界に昼と夜とは ありますよ。わざわざ言う必要がありますか?
明るさがあれば ふつうその影は出来ています。そうではなくほかの誰かや何
かの影を受けてそこに翳りをこうむることは むろんありますが 必ずしも日
常茶飯事ではないでしょう。
もし仮りに 抜け出せないシガラミの中にいるという場合を考えたとしたら?
――でもその場合には すでに《翳らひをこうむっている》のですから やは
りわざわざそのことが いま起きたと言って触れることもないぢゃないですか。
★ また、喜怒哀楽、喜び、憂い、悲しみ、
苦しみ、楽しみなどのバランスをとることで
精神の安定は図られます。
☆ 違います。精神は ほんとうを言えば 傷つくということはあり得ないの
です。
現象として傷を 自分〔のウソ・イツハリ〕からか・または他人のそれら不法
行為からか負ったとしても その経験事象を超えたところの精神(つまり 霊
性)がすでに同時に存在しそのハタラキを成しているとも見られます。
少なくとも そのように心の傷という現象〔を心が受け取っている側面〕とそ
れを超えた癒やしのチカラという大きな心の庭との二層構造になっているのが
人間性です。
もしこのタテの二層のあいだで仮りに《均衡》を図るのだとしても――ほんと
うは 霊性が傷を癒してくれているはずですが それでも―― 喜怒哀楽とい
ったさまざまな感情のあいだでバランスを保つという考え方は おわりのない
(癒しや和解の来ない)悪無限にある精神であり そのバランス感覚でしかな
いでしょう。
★ 漫才を見て笑ったり、映画を見て泣いたりするのも
感情のバランスを調整するのに役立ちます。
☆ それは 人間の心あるいはつまり人間性を見くびった哲学です。
平ぺったい野原か湿原のように広がる心が そこで渦を巻いてあっちへ行った
り こっちへ戻って来たりするような――たとえば撞球の球のように撞かれて
は動く――人生でしょう。
★ だから、明るさの中に立っている、この「一本の木」の中にも
潜在的な「かなしみ」があり
☆ そうではありません。
人間のチカラ・わたしの能力が ただ相対的なものであって ウソをつき得る
自由度を持った自由意志のもとに生きるそういった社会的動物であり その生
は いかんせん 移ろいゆかざるを得ないものでもあります。
朽ちざるを得ない生き物――というだけのことです。
《涙の谷》だというのなら それは潜在的だというよりは――実際にまだ表に
現われておらず 順調な生を送っていても――すでにその足元には押し寄せて
来ているはずです。つねに です。
なぜなら ひとは 社会的動物として互いに連帯しているからです。
★ 現れてはいないけれども
命あるものの存在としての「かなしみ」が
明るさのゆえに、際立って
立ち上がってきたのだと思います。
☆ 根本的に違います。
▲ ・・・光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼んだ
☆ からと言って・つまり 世界には昼と夜とがあるからと言って その・特
に夜のほうに人が連れて行かれなければならない法は ないでしょう。
▲ 夕となり、また朝となった。第一日である。
▲ 夕となり、また朝となった。第二日である。
▲ ・・・神は見て、良しとされた。 夕となり、また朝となった。第三日であ
る。
▲ ・・・
☆ つまりすべての日が それぞれ《夕となり また朝となった》のです。
――つまり昼が過ぎて 夕とはなるが また朝となる。つまり 夕とは成るが
夜 に は 渡 さ れ ず に 朝となるのです。
この世に夜があることと 人がその夜に渡されることとは 別の問題です。
★ 私も一つには、こんな経験があります。
普段はめったに泣きませんが、ある人を失った時
涙が止まらず、自分の体が溶けてしまうのではないかと
思うほど泣きました。
人間って自分の本当の感情に
案外、鈍感なものじゃないかしら。
☆ なぞを持って お答えにならないお応えですが 次のように・・・。
▲ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1:5 エルサレムの娘たちよ、
わたしは黒い けれども 美しい。
ケダルの天幕のように、ソロモンのとばりのように。
1:6 わたしが日に焼けているがために、
日がわたしを焼いたがために、
わたしを見つめてはならない。
わが母の子らは怒って、わたしにぶどう園を守らせた。
しかし、わたしは自分のぶどう園を守らなかった。
1:7 わが魂の愛する者よ、
あなたはどこで、あなたの群れを養い、
昼の時にどこで、それを休ませるのか、
わたしに告げてください。
どうして、わたしはさまよう者のように、
あなたの仲間の群れのかたわらに、
いなければならないのですか。
・・・
2:7 エルサレムの娘たちよ、
わたしは、かもしかと野の雌じかをさして、
あなたがたに誓い、お願いする、
愛のおのずから起るときまでは、
ことさらに呼び起すことも、
さますこともしないように。
・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人間の営みについて言っています。
人間には活動する時間と休息する時間が必要です。
アドレナリン、ノルアドレナリン。両方の分泌が必要です。
>精神は、ほんとうを言えば傷つくということはあり得ないのです
人間の霊性には、人知を超えた癒しと回復の力が備わっている。
それは承知しています。それでも人間は感情の生き物です。
思わぬことも起こってきます。
感情もそれに伴って変わる。
聖人君子のようにいかないところが
凡人の辛さです。
ブラジュさんの言われることは理論的にはわかるような気がしますが。
私が言いたいことはニュアンス的に少し違います。
>世界には昼と夜とがあるからと言って、その・特に夜のほうに
人が連れていかれなければならない法はないでしょう。
それはそうです。確かに創世記には口語訳、新改訳、新共同訳とも
「朝、夕」と記されています。
しかし、中国語の聖書を見て気がつきました。
朝は「早晨」、夕は「晩上」です。日本語の朝、夕は時間帯としては
結構短いものですが、中国語では「早晨」は真夜中から正午までを指します。
「晩上」は、夕方、晩、夜というように、夕方から夜にかけてという意味なので
日本語の「朝、夕」とは、かなり時間帯が違ってきますね。
夜が含まれます。だから、人間が夜に渡されるか否かの問題はともかく
この「夕があり、朝があった」とは、夜が来て朝が来るという
闇を経由する普通の時間の推移のことを言っているんです。
雅歌ですか。
>愛のおのずから起こるときまでは
ことさらに呼び起こすことも
さますこともしないように
これこそ抽象的で難解だと思いますが
>愛は死のように強く、ねたみはよみのように激しいからです。
これがひとつの理由になっていましょうか。
No.7
- 回答日時:
「一匹狼」ってどんなイメージですか。
ハードボイルド?ゴルゴサーティーン?荒野の用心棒、それとも寅さんですか。「誤謬というものが何もないクリアな状況」を1人生きるオオカミのような人間、でしょうか。発表時は下の句が「一本の樹の羞らふ陰翳(かげり)」だったそうで、この一首からはオオカミのオの字も出てこない気がします。繊細さがふるえているような歌だと思いました。
「一匹狼」のイメージはやはり孤高の人です。
褒められても感謝されても、自惚れることなく
逆に否定されてもけなされても、一人黙々と
自分の信じる道を行く人です。
決して目立つということもなく
見た目は普通の人で、でも心の中には
凡人と違う何かが秘められていて
そのゆえに強い。そのような人物です。
ここまで書いて、私は誰のことを言っているのか
気がつきましたが。
「一本の樹の羞らふ陰翳」だったのですか。
そうなれば、読みも違ってきます。
かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の羞らふ陰翳
翳りに具体が出てきました。
羞らふ、という心が翳りを引き寄せたということですね。
明るさの中で、何が起因になったのか、悲しみが湧いた。
自分であるか他の何かであるか語られていないが
悲しみの原因が、一本の樹である存在に翳りを与えた。
それを「羞らふ」と表現したのでしょうか。
しかし、具体は消えましたが
改作の方が韻律的にすぐれていて、印象に残りますね。
勉強になりました。ありがとうございます。
No.6
- 回答日時:
>「一本の木」と「一匹狼」の相似性
人間は自分の心の状態を他の生命に投影して観ていることが証明されたのかな。
一本の樹の翳は、日の明かりによって映し出された。私の心が悲しいと思うのも楽しさがあるからだ。
一匹狼を観ていると、群れから逸れてさ迷っている私の心のようだ。
とすると、貴方が今観ている世界は、楽しいですか?悲しいですか?
貴方はどんな生き物に共感していますか?
面白いですね。
人がどんな生き物を、どういう風に扱っているかで、人の心の状態が探れますね。
キャラウェイシードのご質問はとても考えさせられるので、私は好きです。
考えさせられますか?
そういえば、私は人を考えさせるのが好きですね。
謎かけみたいなものが。
自分もよく考えているし、疑問があったら
解決するまで落ち着かないし
推理するのも詩歌を読み解くのも好きです。
ここでは、一匹狼を提示しましたが
個人的には猫が好きです。
人に媚びず、野性を失わない
自由奔放な性質がgoodですね。
No.5
- 回答日時:
悲しみの心に光は、眩し過ぎるのです。
嬉しさ、喜びの心を知っているからこそ、悲しみが現れるのです。
一匹狼の悲しみ。
それは孤独感でしょう。
>嬉しさ、喜びの心を知っているからこそ、悲しみが現れる
というのですね。なるほど。
前の方のご回答に
悲しみは悲しみのままで終わらない、と書きましたが
喜びと悲しみはどこか対になっているものかもしれませんね。
喜びがあるから悲しみの翳りが現れ
悲しみがあるから喜びが満ちあふれる、というような。
一匹狼は本気と信念によって
ガンガン前に進むイメージがありますが
やはり、人間は一人になると
弱いものでしょうか。
No.3
- 回答日時:
素浪人月影兵庫(知っているかな?)、木枯し紋次郎、サスケのお父ちゃん、ゴルゴ13…
皆、一匹狼ですね。日本のドラマ・漫画などにはこういうヒーローが多かった気がします。
付和雷同する気質の日本人が憧れた、いわば虚像なんだと思います。男のファンタジーかな?
ですから、本当の「一匹狼」とは、孤独であるとか無口であるとかニヒルであるとかではな
くて、信念に生きようとする人を頼みとしない孤高の人である、というイメージを持ったわけ
です。
その回答を評価してくださり嬉しく思っています。
さて、私は俳句やら短歌などを読むことがあまり得意ではないのですが、私なりにこの歌を
読むと、
明るい心の時にこそ悲しみはやってくる。そして、心に中に深い翳をつくるものである。枯れ
果てた心の人間には翳をつくらない。
いかに翳が深くなっても、明るい心を失わずにいる誇らしい自分を、目の前の一本の木に投影
して読んだ歌なのではないかと思います。
悲しみというものは、言い換えれば
生きる上での妙薬、と言えるかもしれませんね。
>枯れ果てた心の人間には翳をつくらない。
ということは、悲しみは潤いを伴うものです。
「涙と共に種をまくものは喜び叫びながら刈り取るであろう」
という聖書の言葉があります。
悲しみは悲しみのままで終わらない。
必ず喜びの収穫があると言っています。
>いかに翳が深くなっても、明るい心を失わずにいる誇らしい自分
リベンジが来ることを信じて歩む
人間としての矜持だと思います。
「一匹狼」は、なるほど日本人が好んできたヒーローですね。
素浪人月影兵庫ははじめて聞きました。
私が今、思い浮かぶのはアンパンマンでしょうか。
No.2
- 回答日時:
▲ かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の翳らひにけり
☆ 表題の問いかけは 措いて(そのままにして)おいて このうたを
読み解こうとします。
1. 《かなしみがやって来た》んですよね。なぜかはともかく。
2. つまり 《樹に翳りが出来た》。
3. 《翳らひ》のヒ(アヒ)は ① 相互性(合ふ) ② 継続性・
習慣性(経(ふ・へる))を言うと思いますが この《翳る》に添えた
場合は どういう意味になるか?
4. 樹は一本と言っているので ①の意味はないか。②を当てはめた
場合 意味合いとしては《翳り》が 広い範囲でとか強い度合いでと言
っているか?
5. そのような――ともかく大きな――翳りとかなしみが 《明るさ
ゆゑに》起きた。と言う。
6. どういうことを言おうとしているか?
7. もう少し細かいところにこだわるなら 《樹に翳りが出来た》と
は どういうことか?
8. 樹が蔭をつくった・・・のではなく 樹が 何ものかによって・
何ものかの下か後ろになって 翳りに覆われそうになった?
9. それが 《〔おそらくその樹じしんの〕明るさの所為で》生じた?
10. むつかしい! 意味 わかりますかねぇ?
11. 《一点の翳りもなく底抜けにあかるい人間がいて その人は
決して群れることなく・しかも一般に協調性に欠けることもなく生きて
いたら そのあかるさが――なぜか――わざわいして かなり深い翳り
をこうむった。かなしみである》。
――というような解釈になるんですかねぇ?
12. そこにさらに 《けれどもそのかなしみは よくその人物を捉
えてみると むしろ生まれつきのあかるさの勲章であるようだ》とかつ
け添えられましょうか?
13. 《’翳りなる黒い雲の下にあってその雲のあわいから ひとすじ
のひかりさえがにじみ出て来そう》・・・なのかなぁ?
14. 人間賛歌とすれば そんな意味合いになるのですかねぇ。
15. いや 分かりません。作者本人あるいは専門家は どう見てい
るんですかね?
15. 永田和宏による批評は――そしておそらく 質問者さん自身も
―― 《かなしみは あってよいのだ。あってこそ 〈一本の樹〉の存
在が 現実性を帯び むしろ強さを増す》と言っていますか?
16. わたしに――わづかに――分かっている(かなり強く思ってい
る)ことは かなしみは 無くてよい ということです。その点 違い
があるようです。
17. 《かなしみ》は 何々しかねる・つまり修復も和解も不可能と
いう意味に採るからだと思います。
・ゆく(行く)⇒ ゆかし(そばへ行きたい気持ちだ:床しい)
・をく(招く)⇒ をかし(招きたい気持ちだ。→可笑しい)
・なやむ(悩む)⇒なやまし(悩む気持ちだ)
・かぬ・かねる(漢字無し)⇒かなし(何かをしかねる気持ち・何も出
来ないという気持ちだ:悲しい)
明るさの中だけでは生きられないと思います。
昼もあれば夜もなければならない。
人は昼、活動し、夜になれば休みます。
また、喜怒哀楽、喜び、憂い、悲しみ、
苦しみ、楽しみなどのバランスをとることで
精神の安定は図られます。
漫才を見て笑ったり、映画を見て泣いたりするのも
感情のバランスを調整するのに役立ちます。
だから、明るさの中に立っている、この「一本の木」の中にも
潜在的な「かなしみ」があり
現れてはいないけれども
命あるものの存在としての「かなしみ」が
明るさのゆえに、際立って
立ち上がってきたのだと思います。
私も一つには、こんな経験があります。
普段はめったに泣きませんが、ある人を失った時
涙が止まらず、自分の体が溶けてしまうのではないかと
思うほど泣きました。
人間って自分の本当の感情に
案外、鈍感なものじゃないかしら。
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