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一般的放射線測定器はガンマ線を測定するようですが多くの種類がある放射線のうちガンマ線を測定するのはなぜでしょうか。
 また、ガンマ線とアルファ線、ベータ線等の粒子放射線を同時に測定すると大きな誤差が生じるとあるネットサイトにありましたがガンマ線とベータ線を別個に測定する機器も売っています。
この機器についてはなぜガンマ線とベータ線なのか、ガンマ線のみの測定に比べどのようなメリットがあるのか理解できません。
 以上2点について知識のある方教えていただけたらありがたいです。
よろしくお願いいたします。

A 回答 (2件)

放射性核種が、純粋に「アルファ線だけ」、「ベータ線だけ」を放出することはまずありません。

反応そのものがガンマ線も放出するか、娘核種がガンマ線を出すなどして、「アルファ線とガンマ線」、「ベータ線とガンマ線」が混在した状態になります。従って、混在して(判別できない形で)計測しても、正確なアルファ線、ベータ線の計測はできません。

また、放射線の性質を勉強すれば最初に出て来ると思いますが、
・アルファ線は紙1枚で止まる
・ベータ線は1~2 mm のアルミ板などで止まる(紙は通過する)
・ガンマ線、X線は透過性が高く、人体の奥深くまで到達する(一部は人体を通過する)
という透過性の違いがあります。
つまり、アルファ線、ベータ線は減衰が大きいので、通常の空気中でもかなり減衰します。従って、「空間を飛んで来る放射線」のほとんどは「ガンマ線」と考えてよいです。

上の説明で分かるように、アルファ線、ベータ線を検出するには、「検出器の構造」をうまく作らないと、測定したい放射線が「検出部」まで届きません。


>一般的放射線測定器はガンマ線を測定するようですが多くの種類がある放射線のうちガンマ線を測定するのはなぜでしょうか。

上に書いたように、放射線の検出部(放射線による気体の電離を測定するものであれば「電離ガスを封入した容器」や「シンチレータ」と呼ばれる放射線で発光する物質)を収納した「検出器」が必要ですが、強度を持たせるために「金属のケース」に入れたらベータ線はほとんど届きません。(アルファ線ならさらに届かない)
なので、通常は「ガンマ線しか測れない」のです。
「なぜガンマ線を測定するのか」と言われれば、上に書いたように「アルファ線、ベータ線があれば、必ずガンマ線も存在する」ということ、空気中の減衰を考えると「空間を飛んでいる放射線」のほとんどはガンマ線であること、「一般的な放射線測定器ではガンマ線しか測れない」ということだからです。


>この機器についてはなぜガンマ線とベータ線なのか、ガンマ線のみの測定に比べどのようなメリットがあるのか理解できません。

ベータ線を測りたいのは、「空間を飛んで来る放射線」ではなく、「放射線を出しているもの」はそこにあるとき、「どんな放射線を出しているのか」を知りたいときです。それが「セシウム137」なのか、「コバルト60」なのか、といった。つまり「どれだけ放射線があるか」という「強さ」を知りたいのではなく、「どんな放射性物質か」を知りたい場合が多いです。
ベータ線を正確に測りたければ、障壁のない検出器、例えば「電離ガスを封入した容器」そのものの中に測定対象の試料を置くような構造の検出器にすればよいです。あるいは検出器の『窓』をベータ線の減衰が少ない材質・構造で作った検出器。
その場合にも、上に書いたように「ベータ線とガンマ線の合計」を測定することになります。
ベータ線だけの計測をしたい場合には、「エネルギーの大きさ」や「波形」で弁別してガンマ線を除いてやる必要があります。
あるいは、「強さ」を知りたい場合には、「ベータ線+ガンマ線」の測定と「ガンマ線のみ」の測定を行って、「差し引き」で「ベータ線」を推定するとか。

このように、ベータ線を正確に測定するのは結構難しいです。
でも「ベータ線を正確に測定したい」という場合はありますから、そういった場合には「それ専用」の装置や方法を使って測定することになります。可搬式で手軽に使える「正確なベータ線測定器」というのは、なかなかないと思います。


放射線の計測には、「その場所の放射線の有無、強さ」を知りたい場合(この目的のための計測器を「サーベイメータ」と呼びます)と、放射線を出している物質は何かを知りたい場合(この目的を「核種分析」などと呼びます)とがあります。
世の中の検出器のほとんどが「サーベイメータ」として使われるもので、これは「空間を飛んで来る放射線」としてガンマ線を測ることが多いです。
これに対して「ベータ線」の測定は「核種分析」が目的である場合が多いです。
これらの「目的、用途」によって使い分けているとも言えます。
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この回答へのお礼

yhr2様
 ”放射線の計測には、「その場所の放射線の有無、強さ」を知りたい場合(この目的のための計測器を「サーベイメータ」と呼びます)と、放射線を出している物質は何かを知りたい場合(この目的を「核種分析」などと呼びます)とがあります。”
 この結論にいたる丁寧なご説明で素人の私も深く納得することができました。
教えていたことをふまえて放射線測定器を購入したいと思ます。
 ほんとうにありがとうございました。

お礼日時:2020/03/16 10:31
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この回答へのお礼

グリフォン様
 大変参考になりました。
ありがとうございました。

お礼日時:2020/03/16 10:37

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