
No.1ベストアンサー
- 回答日時:
店舗との売買契約で購入した「保証書」の法的性質については、実ははっきりしないところがあります。
なぜかというと・・・民法の規定には、561条から570条に売買契約の売主の担保責任を定めた規定がありますが、これらは任意規定なので、当事者間でこれとは別の特約をすることは可能です(572条参照)。ただ、「特約」というためには、当事者の「合意」が必要であるところ、メーカー発行の保証書は、メーカーの一方的意思によりその内容が決められるものなので、「合意」にはあたらず、民法上の売主の担保責任に関する特約とは解することが出来ないからです。
結局、保証書の内容は、一定期間の無償修理などの、一種のサービスを約束する一方的債務負担行為、と解するのが妥当、と考えられます。
まあ、細かいことを突っつくとこうなんですが、要するに、「保証書」の内容は、メーカーが勝手に決めるもので、民法の条文上の根拠があるもんじゃないんですね。新聞の訪問勧誘でとりあえず3ヶ月契約すると、欲しいと言ってないのに大量にサービスで洗剤をくれたりとか、そういうのと法律的には同視出来るんじゃないでしょうか。
それで、やっと民法の話になるんですが、民法上の担保責任は、570条・566条に根拠があります。ただ、さっき書いたとおりこれは任意規定なので、特約で排除できます。だから、この投稿の場合、中古品の売買契約をするにあたって、「担保責任はナシね」とか、まあそんな法律用語使うやつもいないでしょうが、個人売買とかで、「あとから文句はいいっこなしな、お互い」なんていう場合、これは担保責任排除の黙示の特約、などと解釈することも可能なんですね。こういう事情があると、そもそも何も言えない可能性もありますね。
それで、格別の特約がない場合、やっと570条・566条の適用が問題になります。そして、担保責任の規定により損害賠償の請求をする場合、「隠れた瑕疵」、つまり、取引上要求される一般的な注意では発見できない(いわゆる、買主が善意無過失である場合の)欠陥について、「その存在を知ってから」1年以内に、売主に対して、請求権を行使する意思を表明しなければなりません。これは、売主に対して具体的に欠陥の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明して、請求する損害額の根拠を示すなどして、売主の担保責任を問う意思を明確に告げることで足り、裁判を1年以内に起こす必要はありません(最高裁判例平成4年10月20日、民集46-7-1129)。そして、この権利行使の意思が1年以内に表明されれば、損害賠償請求権は、「引渡時から」10年(民法167条1項)の消滅時効の期間内は行使出来ます(最高裁判例平成13年11月27日、民集55-6-1311)。
分かりました?特に、起算点がどこか、っていうのが大事なポイントですね。「1年」は、「気付いてから」数えます。「購入の日から」じゃないです。でも、「1年以内に意思表示」したら、「買ってから」10年は請求可能です。それと、平成13年の判例によると、「気付いた」のが「買ってから」10年後だった場合、さすがに売主がかわいそうなのでもう何も言えないってことです。
この回答へのお礼
お礼日時:2005/03/03 16:29
ありがとうございます.
非常に有用なこの上ないアドバイスです
丁寧で分かりやすかったです
私のような一般消費者は、こういうことをきちんと理解してから購入しなければいけませんね
よく、反省しています
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