プロが教えるわが家の防犯対策術!

一旦抽象化してから思考し、最後に具体化する。そういうプロセスで導かれる数学あるいは算数に関することで何かわかりやすい例はありますか?

A 回答 (3件)

例えば、データ解析の事例を考えてみるとよいでしょう。


コンピュータにデータを読み込ませて、数学的な取り扱いをした上で、今度は人間がデータから何か意味のあるものを得るわけです。

コンピュータにデータを与えることによって、自然現象をシミュレートさせることもありますが、その場合は微分方程式を使うことになると思うので、今回は置いておきます。

データ解析といえば、線形代数が登場しますね。非線形だと人間が取り扱いにくいので、線形代数で考えられそうな事例に人間が追い込みます。勿論、線形代数で考えることが本質的であるような事例に限られます。
データを線形代数の行列で扱えるように、まず人間が対応させます。次に、行列データをコンピュータを読み込ませて、何か計算させます。するとコンピュータが人間にとって意味のある結果を出します。

以上の議論は勿論、コンピュータではなく人間が想定していることです。コンピュータは単純な計算だけしています。
コンピュータは行列データに対して、離散フーリエ変換や特異値分解、離散コサイン変換、主成分分析などの計算をします。
これらの概念は、線形代数から導かれていることはお気づきですね。コンピュータやデータ解析特有の概念ではありません。

つまり、まずは線形代数で概念を抽象化し行列を特異値分解したり、固有空間で議論できるようにしたりするように人間が行います。次にコンピュータがそれらの抽象化された概念を具体的なデータとして扱います。その後、さらに人間がコンピュータから出た結果に意味付けを行い、再び抽象化し直します。
なぜ、再度抽象化するかは考えてみれば分かることです。コンピュータは抽象化された概念を扱えないため、一度具体化しないといけないのですね。その後抽象化するのは、具体的な行列データは数字の集まりですので、今度は人間が読み取れないですね。人間が行列データを読み取りやすいようにするためなのです。

ただし、線形代数で抽象化した段階が最も抽象度は高いです。数字ではなく、数学的な性質のみで議論できるので。
具体的な行列データである数字を交えた時点で、抽象度は何段階も失われています。
ではどうやって抽象性が保存されているか確認するかというと、コンピュータに行列データを可視化させます。そこで問題ないと人間が判断すれば、抽象性が保存できていると確認できます。
ではどのような抽象性が保存されているかというと、線形性です。線形代数で扱っているのですから、当然ですね。
線形性が線形変換のもとでは、保存されることは確認するまでもなく当然ですが、具体的なデータを扱うものは勿論、確認します。
今回は暗に行列データを画像データとして、話を進めました。つまり行列データである画像データに対して、離散フーリエ変換をした結果、行列データである画像データが画像データでなくなってしまったら、実験にエラーが起こっていることになりますね。行列データである画像データに、変更を加えていないからです。

念のため、以上の議論で気をつけるべき点があります。行列データである画像データに対し、離散フーリエ変換をしたのち、逆離散フーリエ変換をしないと画像データにはなりません。画像データそのものは無事ですが、コンピュータでの扱い上は、別のデータ扱いなので。
離散フーリエ変換などの線形変換を行列データである画像データに対して行う理由は、線形変換後の空間の方が行列データである画像データについて議論しやすいためです。

納得していただけたでしょうか。
    • good
    • 1

No.1の補足です。



線形代数で扱われる概念のうち、線形性にしか触れませんでしたね。
離散フーリエ変換や離散コサイン変換、主成分分析、特異値分解(直交変換のうちには入らないという方もいらっしゃるかもしれません)など、No.1で挙げたような変換を直交変換とよびます。

これらの変換は、線形空間の元であるベクトルの直交性により導かれる概念です。
正確には、線形性というよりは直交性により、行列データである画像データが保存されます。無論、直交性は線形性より導かれます。
行列データである画像データを直交変換(例えば、離散フーリエ変換)すると、見た目の上では画像データが変化します。しかし、No.1で申し上げた通り、逆直交変換(例えば、逆離散フーリエ変換)をすると元通りの行列データである画像データに戻ります。これは、可逆性が保存されているからなのですが、可逆性は線形性によって保証されています。
行列データである画像データをいかにベクトルとして見なすか、という議論をしておくことは大事ですが今回は触れないでおきます。これ以上は、主に画像処理研究者の領分に入るためです。

抽象化してから最後に具体化する、というプロセスに適った回答か分かりませんが、一例は示せたかと考えます。

ご健闘をお祈り致します。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ご健闘をのお言葉 まさに!

お礼日時:2021/07/27 20:17

No.1とNo.2の補足です。



データ解析を例に説明しましたが、信号処理にも該当する話です。
要は、線形代数を応用できる領域の話ならば、今回の例は全て成立します。

途中で分かりやすい具体例として画像処理を持ち出しましたが、一連の議論は、画像処理の文脈でなくとも成立することを強調しておきます。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

理解 咀嚼してからお礼する。
この主義で いままで どれほどのご回があたしのおれいもれとなったのだろうか、、、かっこ いか座号

お礼日時:2021/07/27 20:16

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!