No.3
- 回答日時:
「人間」とは「西欧の概念」です。
18~19世紀の国民国家成立以降、市民として、人のあるべき姿でしたね。書物を学び、精神を研鑽耕作し、一人一人が学んだ知識、技術を通して判断、問題処理できる人のこと、これを人間と言います。参考書としては、カントの「啓蒙とは何か」が良いですね。啓蒙とは何か 啓蒙とは何ですかねえ??
啓蒙思想は多いですが 啓蒙とは何かを考えると「一人一人が・・・・これを人間と言います」まで来るのでしょうか。
まあそれはいいとして 書物を学ぶ 今廃れつつある読書や熟読ですが
人間とは市民として人のあるべき姿でしょうね。
我々は市民ですかねえ?市民と言う言葉も今では川崎市民みたいに使われますが 市民革命でしたかねえ 市民であることを勝ち取ったんでしたかねえ
ちょっと記憶が悪いのですが西欧の概念ですよねえ。
じゃあ東洋の概念はどうなるのか?
東洋にはまだ伸びしろが在るのでしょうか?団体性は東洋もありますねえ
日本人とか団体性が強いです。個人主義者は変わり者みたいに思われます。
書物を読まねばなりませんが私は根気がなくなってばらばらと眺めて所々読むとか
最近はググリに頼ってますねえ。
若かったら大学とか行き直したいですが もう還暦なので頭が付いていきませんねえ
経験 考えた経験を活かしているだけです。活きてるのかなあ?
No.1
- 回答日時:
1.リンネのホモ・サピエンス
日常生活における生物呼称は、個別言語やその背景にある個別の文化によって、直観的に把握された境界線によって同類と異類の認定がなされている。そこでドイツの哲学者ユンク(Joachim Jung, 1587-1657)は、そうした日常的な生物呼称とは別に、生物学的な根拠に基づくことによって個別言語に左右されない生物名称を設定した。ここで用いられたのが、ラテン語の属を表す名詞と、種を表す形容詞の組み合わせによる二名法であった。
スウェーデンの植物学者リンネ(Carl von Linné, 1707-78)は、Linné(1735)(『自然の体系』)において、生物の体系的分類法を示した。これは、綱、目、属、種、科と訳される重層的な分類段階を立て分けたものである。また、ユンクの二名法を正式に「学名」として採用し、体系的分類法に基づく普遍的な生物名称として、生物学界で共通して使用することを提唱した。この際に、彼が人間に対して与えた学名が、ホモ・サピエンス(Homo sapiens, 英知人)であった。Homo は名詞「人」、sapiens は形容詞「知恵のある」の意であり、日本語では「知恵ある人」「叡知人」とも訳される。
人間は、他の動物と同じ身体的特徴を多く持っているが、理性によって動物的衝動を自律的に制御できるという特徴を有している。この特徴をもって人間は他の動物と一線を画す、神に似たる存在であるとされたのである。このことが、人間がその文明史の中で暗黙の了解として継承してきた「人間の尊厳」の根拠の一つとなっている。
なお、原義において形容詞sapiensは、名詞Homo(人)を限定的に修飾している。つまり、Homo sapiens は大集合Homo の部分集合ということになる。人類の進化過程において、形質上、現代の人類と異なるとされる諸段階に対して、ホモ・ハビリス(Homo habilis, 器用人)、ホモ・エレクトゥス(Homo erectus, 直立人)などの学名が与えられている。つまり、そうした過去の人類と対立する現在の人類を限定的に示すのがHomo sapiensであり、その場合のsapiensは限定用法である。しかし、現代における共時的な学名として考えれば、人類は1種類しかないので、sapiens は限定用法ではなく叙述用法ということになる。つまり、「人間とはすべて知恵あるものである」、「誰もが知恵をもっている、そういう生き物である人間」というような意味になる。本稿で議論する人間の定義は、すべて現代文明の中に生きる共時的な人類であり、Homo の後に現れる形容詞はすべてこの叙述用法であると前提して、次節以降の議論も進めて参りたい。
話を戻して、形容詞 sapiens の「知恵ある」とはどういうことか。極めて抽象的で直観的な定義のようでもあるので、もう少し精査しておく必要があろう。一つには、言語的知識や数学的計算を含む科学という営みの主体となり得ること。これは近代科学の時代に生きる我々の感覚から言えば、当然のごとく人間の独占的能力であるからわかりやすい。
もう一つは、自分を知り得ること。この解釈では科学という概念と切り離して考えることもできる。自分の顔や姿、名前、さまざまな身体的・人格的属性を自覚的に知り、しかも、自分の名前は某であるとか、自分の身長は何cmだとか、自身に関する知識を記述的に述べることもできる。これも人間の独占的能力と言うべきであろう。
ここで注目したいのは、Linné(1735)初版本において、他の生物に対しては詳細な記述が行われているのに対し、Homo sapiensの記述には”Nosce te ipsum”(ラテン語で「自分自身を知れ」の意)としか書かれていないことである。これは上述の後者の解釈を支持する根拠となるが、前者の解釈も含み込むことで、生物学から人間学を際立たせる論理そのものである。
生物学という理論を考案し、生物に学名を与える営みを行っているのも、当然ながら人間のみである。人間以外の生物は、生物学の対象にはなり得ても主体にはなり得ない。人間のみが、「科学の主体であり対象でもある唯一の生物」なのである。そのことの持つ、質的な特異性そのものが、人間という生物が持つ論理的特異性ということになる。
つまり、人間がいかなる生き物であるのかを記述しようとする時、その結果としてかくかくしかじかの特異な生き物であるという記述を得る以前に、そのような記述行為を自らに向けていること自体が既に論理的特異性を示しているのである。
このような観点から、「知恵ある人」の「知恵」の持つ抽象性を、論理性に変換して人間の定義とするならば、「自らを記述しようとする人」と言い換えるのが妥当であろう。
このことから逆に人間学の特異性を見つめることもできる。人間が生物を記述するのが生物学であるならば、人間が人間を記述するのが人間学である。このように見ると、人間学は、言語が言語を記述するメタ言語のような、メタ的な特異性を有しており、結果として人間学は生物学とは異種の科学となるのである。
2.カントのホモ・フェノメノンとホモ・ヌーメノン
前稿において、近代的な哲学的人間学の原点とも言うべきカント(Immanuel Kant, 1724- 1804)の「現象人と本体人」について言及した。これは、近代科学の成立過程で形成されていったデカルト的物心二元論の潮流のなかで、敢えて人間自身の理性に目を向けた理論であった。
その元になる考えは、Kant(1781/1787)(『純粋理性批判』)に遡る。ここでは、人間が諸対象を直観するときの様式をフェノメノン(現象)とし、諸対象の性質それ自体をヌーメノン(本体)として、すべての対象一般をこの両者に区別し得ると論じた。これは実在と認識との関係を厳しく問うたものである。すべての対象は人間の直観的認識によって捉えられるものであるから、人間は基本的にフェノメノンの世界に生きている。それと同時に、認識を離れた実在という概念も同時に持ち合わせている。それは言語的、理論的に構築される先験的な実在としてのヌーメノンである。この両者の対立は、のちのドイツの論理学者フレーゲ(Gottlob Frege, 1848-1925)が論じた言語の指示対象におけるジン(Sinn)とベドイトゥング(Bedeutung)との関係を想起させるし、その問題の本質は共通していると言えるだろう。
「現象人」とは、ありのままに実際に現れている人間の姿そのものである。つまり、他の動物と同様に具えている自然的欲望を持ち、自らの理性を欲望に従属させる存在として人間である。いっぽう、「本体人」とは、人間とは本来かくあるべき存在であるとされる姿であり、人間にとっての人間自身の倫理的実体である。それは、自らに行動規範を課し、道徳法則を守る主体として、自らの欲望を理性に従属させる存在としての人間である。
この二つの属性のいずれかのみでは人間の定義とはならない。その両方を具えた存在、すなわち端的に言えば、欲望の衝動に動かされながらも、理想や道徳を追求するのが人間であると信じている、その二重性と緊張関係こそが人間の本質であると、カントは主張しているのである。
人間はその欲望ゆえにしばしば犯罪を行う。犯罪を行うのは現象人である。そして、近代的法治国家のもとでは、人間はその理性によって刑罰を制定して犯罪を規制する。法律や刑罰は本体人の所産である。同じ人間が法律を作ったり破ったりする、その緊張関係もまた、現象人と本体人の緊張関係の一つの現れである。
この両者の関係は、言語学者ソシュール(Ferdinand de Saussure, 1857- 1913)が提唱した、言語におけるパロール(parole)とラング(langue)の関係と酷似している。我々が話す言語は、記述的に見れば常に言い間違いや言い淀みや様々な不規則要素に満ちている(パロール)が、同時にこれが正しいという規範的な文法規則(ラング)を頭の中に持っている。そうした規範的な文法を形にしたのが文法書であったり辞書であったりするが、実際にその規範通りに話す人は一人もいないのが実態である。これは、言語における規範性と記述性の緊張関係を論じたものだが、カントの現象人と本体人の関係もほぼこれと等価である。ソシュールのラングにおける文法規則は、カントの本体人における道徳規則に相当する。このように、現象人と本体人の関係とは、人間そのものにおける記述性と規範性の緊張関係と見ることができる。
ソシュールは、言語学とはラングにおける規範的な文法規則を研究する学であるべきと主張したが、人間においては、本体人が有する行動規範に注目すると同時に、なぜ人間はその行動規範どおりに生きられないのかという現象人の側面を探究することも重要である。弱い自分を乗り越えて強くなろうとしたり、狭い自分を拡大して寛くなろうとしたりするのは人間だけの特質である。カントの人間観から言えば、その弱い自分も強い自分もどちらも人間の真実であって、その二面性こそが人間の人間たる所以なのである。
参考文献
谷口孝男(2002)「実践哲学ノート(24)」『北見工業大学研究報告』第34巻第2号、19-26
福留久大(2001)「人間・道具を作る動物:フランクリンの人間論」『経済学研究』第68巻第2・3号、237-252、九州大学経済学会
どうもありがとうございます。
しかし長いですねえ。病身としては痛みます。
ホモサピエンスが叡智人であり 理想と現実は違うと
だから道徳法則を究めよう。
ラングの規則の中にもパロールが在るのであって
人間性としての記述性と規則性を持ちながら、現実は実際どうか
カントはその両面性を考えた。そのどちらも真実である。
ちょっと読み切れませんがその様な事でしょうか
つまり理想と現実は違うと 神を信じながら現実は残酷だとか
そういう事が言いたいのではないでしょうか?
そのとおりだとおもいます。
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