No.2ベストアンサー
- 回答日時:
≫補足について
登記記載例を見ればわかります。
そういうところを省略してしまうと不動産登記法は理解できません。
所有権を信託した場合,その登記原因としては「原因 年月日信託」,権利者その他の事項として「受託者 何某」という登記がされ,同じ順位番号の別枠の権利者その他の事項として「信託目録 第〇号」という登記がされます(これじゃわかりにくだろうから,登記記載例を探してみてください。以前紹介した記載例集の中にもあるはずです)。
信託登記の抹消登記をすると,この「信託目録 第〇号」は抹消されますが,所有権移転原因の「年月日信託」はそのままですし,名義人の肩書も「受託者」のままです。これは信託の場合に限った登記記載ですから,信託目録がない信託登記という,おかしな登記が出現してしまうんです。
不動産登記法というのは,登記を前提とした手続きなんだから,その結果(登記記載)まで考えないと,真の理解にはなりませんよ。
No.1
- 回答日時:
僕が知る限りで,信託登記のことがもっとも分かりやすく書いてあると感じる書籍はこれ↓です。
第三版 信託登記の実務 @日本加除出版
https://www.kajo.co.jp/c/book/02/0201/40352000003
他には藤原勇喜先生の『信託登記の理論と実務』(民事法研究会)もありますけど,読んでいてわかりやすいと思ったのは上記の書籍です。
信託登記について詳しく知りたいと思うのであれば,そのあたりの書籍を読んでみることをお勧めします(どちらも1冊5000円以上しますけど)。
さて。
《信託財産に属する不動産に関する権利が受託者の固有の財産になる》場合には,たとえば信託財産を換価しようとしたけど第三者の買い手が付かなかったので受託者が購入する場合とか,信託報酬の支払いに代えて信託財産で支払う(委付という)といった場合があります。
ただ,それによって完全な所有者になるのが受託者であり,信託財産の登記名義人が受託者でもあることから,その行為は利益相反取引になりますし,無条件でこれを認めてしまうと,受益者が不利益をこうむりかねません。ななので信託条項でそのようなことを認めているか,受託者が当該行為に関して重要な事実を開示して受益者の承認をえた場合に限って,そのような行為を認めることとされています。
権利の変更登記というのは,登記名義人の肩書の問題と考えると分かりやすいかもしれません。信託の受託者の肩書は「受託者」ですが,受託者の固有財産になった場合のこの名義人の肩書は「所有者」等になります。実質的には所有権移転なんですけど,受託者=新所有者であるために,名義人の住所氏名(または名称)に変動がないので,所有権移転登記をするわけにはいかないんです。だから形式的に肩書に目をつけて,「変更登記」をすることになるんです。
そして1の申請情報(申請書)でしなければならないのは,2件申請を認めてしまうと片方は受理されるけどもう片方が却下されるという不都合なことが起きかねないから。
信託登記だけが抹消されても,受託者だった名義人の固有財産になった日付もわからないので固有財産になったこと自体不明確ですので,信託され続けているように見えてしまいます。
信託登記が残っていると,やっぱり信託財産のままなのかなという見え方が残ります。
なにより,信託による受託者名義への所有権移転と信託の登記(信託目録の表示)は一体のもの,分離不可能なものです。それを何とかしようというのであれば,1つの申請書で何とかするのがスジというものでしょう。
そのあたりは,そういった信託の登記の登記記載例を見たほうがわかりやすいと思います。そういう記載例が掲載されている書籍を読んでみるのが一番だと思います。
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