将来、本気で小説家になりたいと考えている者です。
夢を実現すべく、実際に自分でも創作を折々試みる一方、様々な文学作品に目を曝して研究を重ねているのですが、如何せんまだまだ読了した本が少なく、知識の上で不安があります。
そこで、小説家を目指すならこれだけは絶対に読んでおくべきだ、という作品(文学者)を皆さんに教えて欲しいのです。
参考までに僕の好みを挙げると、
国内:谷崎潤一郎 遠藤周作 北原白秋 西脇順三郎 樋口一葉
海外:ワイルド キーツ スタンダール ヘミングウェイ
…といったところです。(特に谷崎は別格)
ちなみに日本の戦後文学には疎くて、W村上の作品でさえほとんど読んでいません。春樹なら『ノルウェイの森』や『風の歌を聴け』などの代表作をいくつか読んだのですが、龍は大の苦手で、『希望の国のエクソダス』に嫌悪を覚えて以来、まったく読む気が起きません。
目下のところは源氏物語に挑戦しています。洋書なら、ディケンズやフィッツジェラルドの作品など。(あまり英語が得意ではありませんが)
古今東西、ジャンルは問いませんので気が向いたときにでもアドバイスよろしくお願い致します。特に戦後文学について秀逸作をご存知の方、是非。勿論、ごく最近の注目作家についてでも構いません。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
初めまして。
元作家志望だった者です。「事実(現実)は小説より奇なり」を実感するあまり頓挫してしまいました。
さてANo.1様の御意見と対する御礼を拝見しましたが、なるほど、そういうことなら私から申し上げられるのは「乱読」です。
汝の気の赴くままに百花繚乱の作品世界を逍遥せよ!です。
まだ学生さんでいらっしゃいますね?なら、いまのうちに多くの作品にアタックしてください。その場合できるだけ知らない作家や、なじみの薄いジャンルを意識して選択されることも有意義であると思います。いずれ社会に出て自由時間が制限されるようになると興味の薄い分野に、わざわざ手を伸ばすというのは苦痛が大きくなると思いますし。
そこから出発して、やがて自分なりのターゲットが絞れるようになったら今度は特定の作家の作品を年代順に読破していきます。これは私も実践したことですが年代順に読むことで著者自身の思想や関心の移り変わり、一貫して変わらないもの等が浮かび上がってきて、作品そのもの以外でも興味深いです。
それから作家希望ということですので私自身が現役作家のかたに教わったことを申し添えます。
小説というのは詰る所、登場人物の「肉付け」です。いかに存在感を付与することができるか。これは作品の説得力に大きくかかわってくることです。
それには「知らなければ」書けない。
世界が狭い人には所詮狭い世界しか書けません。ファンタジー小説なら、どうか知りませんが。
しかし人間一個の知識や経験など天才でもなければ、高が知れている。ですからこそ昔から作家志望の人間には、どんなことも作品上の糧になり得ると言われるのです。そのため、どうしても自らの経験が及ばないことは関係者に或いは場所に取材を行いもする。
敢えて一つ作品(?)名を挙げるとすれば、これは小説ではなくガイダンスのようなものですがH・ヘッセの『世界文学をどう読むか』を御一読されてはいかがかと思います。
この稀有な作家が、天才に依るばかりでなく、いかに多くの世界から、つかみ取るべきをつかみ、自らの栄養として貪欲に吸収していったか、その健啖ぶりに舌を巻く思いにさせられます。
「薄っぺらな人間には薄っぺらな作品しか残せない」
これはリアルを表現する小説ならば殊にそうであって、まことにNo.1様の仰るとおりだと思います。
最後に私自身が二十歳前後の頃に読み込んでいた作品名を一部挙げますと、どちらかと言えば、かなり翻訳ものに偏っているのですがモーパッサン、ジッド、テグジュぺリ、カミュ、サガン、シェイク スピア、モーム、ヘッセ、ドストエフスキー(特に好きです)果てはショーペンハウエル、ニーチェ、フロイトの『夢判断』『精神分析』まで、全て年代順に読破しました。
日本のものですと、この年頃は芥川、太宰、志賀直哉、夏目漱石、江戸川乱歩等々・・・
御質問者様が挙げられている面々も、もちろん読みましたし好きです。特に一葉の文章の流麗さと来たら!
詩人では朔太郎も好みます。
小川未明の童話なんかもいいですよ。
私いま読んでるのは『秘密の花園』と『トムは真夜中の庭で』です^-^;;
数多くの作品に親しまれると共に御自身の人生経験も豊かに重ねられますことを期待してやみません。
ガンバレ未来の小説家!!
大変丁寧な御回答ありがとうございます。
sirayukihimeさんの読まれたものがかなり多岐に渡っていて驚きました。ドストエフスキー、サガンやシェイクスピアなら結構読みましたが、ニーチェやフロイトなどの哲学者にまで目を通しているとは・・・。かなり勉強されたんですね。
実をいうと最近は部活(陸上)で忙しく、なかなか読書の時間をとる気になれなかったのですが、おかげでまたやる気が再燃しました。
ここで挙げられている作品をすべて読み通すのはかなりの時間と労力とを要するでしょうが、せっかく推薦してくださったのですから、絶対に読んでみます。
No.6
- 回答日時:
No.4の方の「新潮文庫の100冊」が入手のし易さ、多岐に渡るジャンル、などで最も秀逸な回答だと思いますが、新潮文庫に収録されていない作家で、一人だけ推薦させてください。
その方は松浦理英子氏です。
と言うのも辛口の文芸評論でも有名な慶應大学教授の福田和也氏が「彼女の初期の作品を読んで何も感じない作家志望者に素質はない」と言うコメントをしているからです。
福田氏は『作家の値うち』(飛鳥新社)という超毒舌としか言いようのない現代文学のブックガイドを発表しています。
福田氏の意見については賛否両論ありますが、一つの目安にはなるので『作家の値うち』も立ち読みくらいはしてもよいと思います(と言っても少し古い本のせいか、最近は都心の大きな書店くらいでしか見かけなくなりましたが…)。
一方、松浦氏の作品は河出文庫から出ており、アマゾンなどで簡単に入手できます。
松浦理英子さんの名は僕も初めて耳にしました。そんな方がいらっしゃるんですか。辛口評論家の福田さん(実はこの人もあまり聞いたことがないんですが)にそこまで言わしめるとは大変興味深いので、ぜひ自分の目で確かめてみたいと思います。(しかし、読んでも本当に何も感じられなかったらどうしよう…。)
No.5
- 回答日時:
作家デビューが決まっている立場からアドバイスします。
分野はミステリですが、特に意識してミステリの本をたくさん読んだわけではないですね。通学、通勤の行き返りの電車のなかで本を読んだくらいで、現在も目に付いた本を読んでいるくらいです。たとえば、「ダ・ヴィンチ・コード」は面白かったですが、創作活動に影響があったかというと、あまり関係はないというのが実感です。たくさんの本を読むことは感性を豊かにしますから、この本を読めばいいというのではなく、手当たり次第に何でも読むといいでしょう。少なくとも本を出している作家さんたちは出版社に感性を認められ、売れている人たちですから、何を読んでもプラスになることはあれ、マイナスになることはほとんどないと思います。
作家見習い中は某出版社の編集さんの指導を仰いで創作活動をしていたのですが、そのときにアドバイスされたことは「頭の中に映写機を置いて、映画をノベライズするように、あなたの物語を書きなさい」ということでした。物語を頭の中で構成することはほとんどの人ができると思いますが、それを読むに耐える文章にすることは大変なことです。たくさんの経験、たくさんの知識が必要になってくるでしょう。
経験を積むためにはいろんなところで遊ぶことが重要です。そして、遊んだことをきちんと記憶として持つこと。遊ぶというと軽く聞こえますが、例えば、友人とバカ騒ぎをやったとして、そのイベントの前のワクワク感、最中の楽しさ、終わったあとの寂しさは何回も経験しないとわかりません。恋愛も男女間の駆け引きは経験がなければ、薄っぺらなものになるでしょう。法を犯すことは駄目ですが、できる限り社会に触れて見聞を広めることが必要です。
知識は書き始めたら何が足りないかわかってくるはずです。医学の知識、法律の知識、警察の知識、海外の知識、言葉の知識。いろいろあるでしょう。それはそれぞれの専門家がいますし、ネットで調べることも可能です。専門家の方々(警察も含めて)は小説家を目指して勉強中ですといって、きちんとアポをとるなど、失礼がないようにすれば、快く取材に応じてくれます。
最後に、作家になることは大変です。才能がいくらあっても、編集者に認めてもらえなければ何にもなりません。「リング」を書いた鈴木光司さんは「リング」が新人賞で落とされたときに、母親にこの小説は面白いから他の賞に出しなさいといわれて、書き直してだしてデビューされたと聞いたことがあります。あきらめない心を強く持つことが一番の作家への道だと思います。
デビューが決まっているとは羨ましい限り!おめでとうございます。流石に具体的なアドバイスで大変参考になりました。小説家というのはただ文章がうまいだけではだめで、感性はもちろんのこと、豊富な経験や知識を必要とするんだなあ、とあらためて実感しました。そういった要素こそがNo.2の方の言われるように、作品の説得力に大きく関わってくるのでしょうね。
No.4
- 回答日時:
>知りたかったのは要するに「こういう素晴らしい作品もあるので読んでみたらどうか?」ということ
であれば、月並みではありますが、とっかかりとして「新潮文庫の100冊」などが良いのではないでしょうか。内容は下記のURLにて参照してください。類似の企画は他にもいくつかあります。経験のある編集者が選別したものなので、様々な価値観に照らして一定以上のqualityを有しています。好みの問題とは別に一読しておいても無駄にはならないと思います。CD-ROM版はかさばらないので私も愛用しています。
他には全集もので中央公論社(現中央公論新社)の「日本の名著」「世界の名著」や小学館の「日本古典文学全集」などもお勧めです。作家になるという限定された目的に限らず、いろいろな思想に触れておくことは有形無形の財産となります。
いろいろな経験を積み、多くの書物に接し、様々な知識を有することはいってみれば、基礎体力のようなものです。名作を残す作家の多くは博学で人生経験も豊かであることが伺われます。
作家として開花するために「才能」は必須でしょうが、それだけの作家(もどき)は一時的にもてはやされても、すぐに忘れ去られるでしょうから、気にしないことですね。自分の才能と可能性を信じて精進してください。
参考URL:http://homepage1.nifty.com/mshibata/s100.htm
わざわざ参考URLまで載せてくださってありがとうございます。名著はできるだけ読んでおこうとは自分でも考えています。
それから……自分に才能があるかどうかは分かりませんが、やる以上はあると信じて精進したいと思います。(それが半分己惚れであっても)あと必要なのは、やっぱり人生経験でしょうか?
No.3
- 回答日時:
具体的にどのようにしてデビューしようとお考えでしょうか? まだそこまで具体化されていないかもしれませんが、重要なことです。
新人賞を受賞してデビューするのが一般的なルートなのでそれを前提に語りますと、狙う新人賞を一つ、もしくは二つに絞ることです。そして傾向と対策ではありませんが、その新人賞の過去の受賞作を知っておく(読んでおく)ことは大切です。あとは本人の趣味に任せて読めばいいのではないでしょうか。ただ、僕は小説家になるためには色々な本に触れることよりも、色々な経験をつむことのほうが大切と思います。勉強でも遊びでも恋でも。
言われてみれば、確かにまだ具体的にどういうデビューをするかということは考えていませんでした。いまはまだ自分がどういう作品を書きたいのか、ということを煎じ詰めるのが精一杯なもので…。そういうこともちゃんと考えなきゃだめですよね。
No.1
- 回答日時:
「小説家を志望する者が読んでおくべき作品とは」
そんなものがあるのでしょうか。多くの作家に読まれていた作品があったとして、それは結果として読まれていただけであり、それを読んでいたから作家になれたというわけではないと思います。
読んだ作品は経験として蓄積され、それを自分のフィルターを通し、何かのテーマやプロットに基づいて構築されていったのものが作品になるのではないかと思います。読書量が多くても人間が薄っぺらであったなら、その人は作家には向いていないのではないかと思います。
文章において、技術的なことならば教え育てることもできるが、作品の本質に関わることは、その人の経験がものをいう、と何かの雑誌で編集者がいっていたのを読んだことがあります。
質問者の方の質問内容を読んでいると、作家よりもむしろ評論家の方が向いているのではないかと思えてしまいました。
きついことをいってしまいましたが、これはあくまで私見です。作家としてのありようもまた人それぞれだと思います。
ちなみに学生時代の同級生で、芥川賞を取ったやつがいますが、彼は笙野頼子を読んでいました。といっても目をさらにして読むのではなく、あくまで読み物としてでしたが…。
回答ありがとうございます。そうですね、確かに人間性や経験のほうが大事だと僕も思います。それはよく分かるのですが、知りたかったのは要するに
「こういう素晴らしい作品もあるので読んでみたらどうか?」ということなんです。――実は、学校の先生に相談した際に、「小説家として身を立てたいなら、まずいろんな作品を読んで研究したり、感受性を養わなければだめだ」というアドバイスを受けたのですが、いろんな作品といわれても、どういう基準で選んだらいいのかよく分からなかったのでここで聞いてみようと思ったんです。
なんだか少し質問の仕方が悪かったみたいです。ごめんなさい。
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