教えてください。
著作権法第51条による保護期間を経過した楽譜などの著作物については、人類共有財産としての扱いとなるという考え方と思います。
しかし、例えば、楽譜出版社が出版し販売している楽譜で、作曲者がベートーベンとかバッハとか、いわゆるクラシック音楽のものが複数の人間の使用のために複製されるのは、少なくとも出版社の権利を侵害しているのではないかと思います。
現実に、通常は楽譜(海外のものを含め)に著作権表示があります。
一方で、例えば、著作権情報センターの見解では、著作権が消滅しているものは自由にコピーをとることができる、としています。
さて、この場合、出版社の権利は侵害されるのか、侵害されるとすれば、それはどのような根拠で対抗できるのでしょうか。
楽譜が売れなくなるのは侵害と考えられます。慈善事業になるのではたまらないと思いますが。
No.5ベストアンサー
- 回答日時:
No4です。
すみません、参考URLのページは直接リンクできないようですね。下のページの目次から、ページ下部の「出版者の保護」をクリックして下さい。
文化庁 著作権なるほど質問箱 トピックス
↓
http://www.bunka.go.jp/c-edu/tpx.asp
他にも関連ページを見つけました。
出版社は、著作権法上、著作隣接権者として保護されていますか。
↓
http://www.bunka.go.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=000 …
※文化庁 著作権なるほど質問箱 著作権Q&A
>英国、ドイツなどのヨーロッパのいくつかの国では、
>出版者に「版」の権利を与え、無断出版やコピーに対抗できる制度を
>導入しているところがありますが、多くの国では
>出版者に固有の権利を認めていません。
とありますので、日本では今の所、著作権保護期間の過ぎた著作物のコピーを禁じる権利は、出版会社にないのがわかります。
※海外の著作物でも、日本で利用する場合は、日本の法律にのっとった保護をすればいいことになっています。だから本国英国では禁止されていても、日本ではコピーOKということになります。
参考URL:http://www.bunka.go.jp/c-edu/tpx.asp,http://www.bunka.go.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=000 …
ありがとうございます。
ヨーロッパと日本とで権利上の相違があるのは国際的な整合性上まずいですよね。とくにクラシック音楽などは日本側の輸入超過でしょうし。
No.9
- 回答日時:
>保護期間が70年になるようですが、その場合は、
>すでに保護期間が切れたものは再延長になるのでしょうか?
さすがにそれはないようで、この法律が改正される前に、既に保護期間が過ぎたと認定されていたものについては、そのままでいいようです。
映画の著作物の保護期間を教えてください。
↓ ※文化庁 著作権なんでも質問箱
参考URL:http://www.bunka.go.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=000 …
No.8
- 回答日時:
編集著作権……確かに難しい所ですね。
法律や条例、又はそれらを集めた法令集は著作物ですか。これらを利用する場合は誰の了解が必要ですか。
↓
http://www.bunka.go.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=000 …
※文化庁 著作権なるほど質問箱 著作権Q&A
>民間の出版者が編集発行した六法全書をコピーする場合、
>個々の法令をコピーする場合は誰の了解も必要ないが、
>六法全書の全部又は相当部分をコピーするときは
>出版者の了解が必要になるということになります。
あの分厚い六法の相当部分ってどこまでだ?と思いつつ……
例えば、出版会社が、「ドラマチックなバイオリン曲集」とか「独学で弾ける易しいピアノ曲集」などと銘打って、色々な楽曲を編集して楽譜本にして売りに出せば、編集著作権は認められるべきだと私も思います。
しかし、個々の楽曲の楽譜では、やはり無理ではないかと。総譜から個々の楽器のパート譜を取り出して並べたとしても、並び方は同じだし、独創性の表現には当らないと、私も思うので。
>ラフマニノフは1943死去ですね
>国際的な整合性上
日本は第二次世界大戦に負けたので、実は連合国の著作物に関しては保護期間が10年程度延長されています。でも、勝てば官軍、相手の連合国側は日本の著作物に対しての時効の停止は認めていません。
↓「戦時加算」について教えてください。
http://www.bunka.go.jp/c-edu/answer.asp?Q_ID=000 …
※文化庁 著作権なるほど質問箱 著作権Q&A
ということで、アメリカに亡命したことのあるラフマニノフの著作物の日本での保護期間が過ぎたのは、今年に入ってからなんですよ。海外ではかなり前に切れていたので、インターネット上では、フリーの楽譜としてずいぶん前からアップされていたようですが。
著作権の切れたあと、各出版会社がラフマニノフ特集などと銘打ってキャンペーンをしていました。今まで著作物利用許諾を得られていなかった出版会社などからも発売されたので、それまで独占的に扱ってきた出版社も、慌てて、今までの価格の上にシールを張って安く売り出していました。
著作物の保護期間は、国によって差がありますから、インターネットが普及し、海外の渡航も簡単な現在、今後色々と問題になってくるのでしょうね。
実際に、映画の保護期間が公開後50年が70年になったのは、アメリカの強い要請に日本が抗えなかったからですし。
著作権の原則的保護期間が死後50年ではない国はどこですか?
↓
http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime3.html#5
※(社)著作権情報センター 著作権Q&A 著作権の保護期間はどれだけ?
参考URL:http://www.bunka.go.jp/c-edu/index.html,http://w …
ありがとうございました。
大変勉強になります。
保護期間が70年になるようですが、その場合は、すでに保護期間が切れたものは再延長になるのでしょうか?
実務上は複雑になりませんか?
No.7
- 回答日時:
パート譜はスコアから作るとすれば、編集著作権に当たるほどの著作性はないでしょう。
それで、ブルックナーを例に出して校訂に係る編集著作権のほうを出したのですが。版面権が仮に認められると、著作権者まで縛られてしまう、それが今問題になっていると思います。楽譜ではどうか解りませんが、仮にこれがライターの書く文章だとすると、営業で「こんな文章書いています」という意味で他の出版社に自分の書いた記事をコピーして渡すことすら、元の出版社の許可が必要ということになりますから(営業目的での複製は、個人利用に当てはまらないので)。そういったことを含めて、未だに版面権が問題になっていたと思います。出版社の権利を保護することで、原著作者の権利まで制限しかねないという矛盾に突き当たるので。
ありがとうございます。
なるほど。編集の創作性ですね。
版面権というのは興味深いです。出版社にも創作性を認めることになるのでしょうか。作家によっては、ページ内での行毎に制限を設定し、それを守った文字数で書いたり、レイアウトまで決めた執筆をする人もいます。原著者も権利の拡張ができるようで。
No.6
- 回答日時:
#2です。
版面権はまだ制度化されていないようですが、
楽譜は編集著作(12条)にならないだろうか?というのが
私の出発点です。
楽譜の出版態様を知らないので、なんとも言えませんが、パート譜などは「編集」と言えないでしょうか?
なお出版から50年というのは53条の規定です。
ありがとうございます。
12条の編集著作物ですね。パート譜の創作性は難しいかもしれません。まったくの部分ですし。
編曲なら別ですが。
53条の団体名義についてですが、楽譜出版社には通常著作権は無いので、いかがなものでしょうか。
No.4
- 回答日時:
微妙な問題ですね。
個人的には、今まで儲けてきたから、ある程度は仕方がないのでは?と思います。
ちょうど特許法のカテですので(著作権は特許ではないですが)、それになぞらえて話すと、最近よくきくジェネリック医薬品などは、特許の切れた薬を、自由に製造・販売できる訳で。
確かにその薬を造った会社は莫大な開発費を使ったでしょうが、特許をとってから一定期間がたてば、その間に収益として回収できているだろうという考え方ですよね。
楽譜には著作権表示があるとおっしゃいますが、出版社が表示しているのは、著作権者に利用許諾をとっているものですという表示であって、出版会社自身が著作権を所有している訳ではないと思うのですけれど。
楽譜自体に何か独創的な工夫がされている(触ると音が出るとか、音程で色を変えているとか、)場合には、出版社に著作権が認められることもあるかも知れないですけれどね。それか、実用新案などかな。でもこれは特許庁の範疇で著作権ではないですね。
それに、保護期間が過ぎれば出版会社にもメリットがあるはずですよ。今まで支払っていた著作物利用料や印税を著作権者に支払わなくて良くなるのですから。
私自身は、ラフマニノフなどのとんでもなく高かった楽譜が、著作権が切れて安くなったので嬉しいばかりで、つい買ってしまいましたよ。安くなれば、コピーよりもちゃんとした印刷のほうが嬉しいですものね。
出版社は、「版」の製作には工夫があり著作権隣接権として、報酬請求権を認めるべきだという考え方もあるようですが、今のところ合意にいたってはいないようです。ということで、楽譜会社が著作権切れの著作物に対してもコピーするなと表示してあったとしても、現段階では法的には根拠がないということだそうです。
↓出版者の保護 ※文化庁 著作権なるほど質問箱
参考URL:http://www.bunka.go.jp/c-edu/tpx_detail.asp
なるほど。よくわかります。ありがとうございます。
保護期間と独占権とのバランスなのでしょうね。ラフマニノフは1943死去ですね。そんなにすぐ安くなるものですか。89条の著作隣接権には出版は含まれていませんね。
出版社は、かりに作曲者存命中のものでもコピーが多いので、ベートーベンのものでもコピーしてよいとは言わないでしょうね。
No.3
- 回答日時:
#1です。
#2の方がおっしゃるのは、おそらく「版面権」のことだと思われますが、確か日本では、まだ版面権は認められていなかったように記憶しています。
今年の7月に「文字・活字文化振興法」が可決され、その骨子案に版面権のことも書かれていますが、まだ、権利として法の保護を受けるものではなかったように思います。
ありがとうございます。版面権を始めて知りました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiro … 文字・活字文化振興法には乗らなかったようですね。http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gi …
国際間の整合性のため、例の三極特許庁会合で統一すべきなのではないでしょうか。
No.2
- 回答日時:
著作権で保護されるのは、著作物です。
作曲家は、いわば「音の並べ方」に関する権利を持っています(うまい表現ではありませんが)。
楽譜の出版社は楽譜という「出版物」に関する権利を持っています。
作曲家が作った「音の並べ方」を自分で書いたとしたら、「作曲者の死後50年」が経過していれば、違法ではありません。ただし、出版された物を複製したら、出版から50年経過しない場合は違法になります。
他の例で言うと、「法律の条文」は著作権の対象にはなりませんが、「六法全書」という出版物から法律の条文をコピーしたら違法になりますね。それと同じ事です。
ありがとうございます。
出版から50年というのはどの法令・条数でしょうか?
たしかに、法律そのものに著作権の主張はされないようですが、六法全書のコピーが違法かの根拠については、まさに質問させていただいた点です。もちろん法律には死後50年という制限はありませんが。
No.1
- 回答日時:
>しかし、例えば、楽譜出版社が出版し販売している楽譜で、作曲者がベートーベンとかバッハとか、いわゆるクラシック音楽のものが複数の人間の使用のために複製されるのは、少なくとも出版社の権利を侵害しているのではないかと思います。
「著作権」というのは、この場合、作曲者の権利です。ですので、「出版社の権利」というのは、この場合、おかしいのではないかと思うのですが。出版社がシューマンなりワーグナーの子孫にお金を払っているわけではないですよね? 出版社に権利があるとすれば、それは楽譜の校訂を行った場合の権利でしょう。例えばブルックナーの場合だと、改訂版は権利が消失していてもノヴァーク版は権利が消失しているわけではありません(ノヴァークに対する二次著作権が発生します)。ベートーヴェンだと、最近のベーレンライター版はジョナサン・デル・マーの校訂によるものである以上、彼にも著作権が発生するわけです。しかし、これがベートーヴェンが出版した当時の楽譜そのままの楽譜を版に起こしただけの出版楽譜なら、ここに発生する権利はベートーヴェンの権利だけなので、とうに著作権が切れている以上、コピーは自由です(出版社に著作権などありません)
事例が楽譜だからややこしく感じるわけで、これは作家と出版社の権利関係と同じなのですよ。夏目漱石の著作権はとうに消失していますから、誰が漱石の作品をコピーあるいは出版しても問題はありません。夏目家にお金を払う必要はないわけです。当然、出版社も夏目家にお金を払っていません。ここで、何らかの校訂を施し、詳細な註が入れば、その校訂者には権利が発生しますが、なにもない場合はコピー配布は自由になります(出版社には、権利がありませんから)。楽譜もそれと同じです。
漱石の著作権が切れ、多くの出版物がコピー配布自由になったからといって、岩波文庫なり新潮文庫の漱石が売れなくなるわけではありませんよね。少なくともこういった出版社がそういう主張はしていませんよね。
コストを考えた場合、コピーして製本して、というより、初めから楽譜を買う方が安い場合も多く、必ずしも「売れなくなる」とは言えないと思いますよ。第一、出版社はベートーヴェンにお金を払わずに商売しているのですから。
早速のご回答、ありがとうございます。
出版社に著作権が無いことは理解できます。
死後50年を経過していても、作曲者の子孫が出版権を継承している場合があるようですが、これは一般人が知ることはできませんね。
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